林田力 amazonレビュー



板橋茶論in世田谷「原発と倫理」


板橋茶論in世田谷「原発と倫理」が2013年7月18日に世田谷区下馬の泉バプテスト教会で開催された。話題提供は、藤野寛・一橋大学大学院教授 「原発は(なぜ)倫理学の問題になるのか」、城倉啓・泉パブテスト教会牧師「地域からの平和的生存権:板橋の防災計画改訂にかかわって」である。

城倉氏は「核発電の倫理的問題」として、「被ばく労働者なしには稼動できない発電方法」と指摘する。藤野氏は「生産力の増大・拡大が人間により大きな幸せをもたらす」とする「無邪気な科学技術信仰が崩れた」と指摘した。共に原発と倫理を考える上で重要な指摘である。押さえるべきところは押さえている。

但し、原発と倫理をめぐる議論そのものは、それほど深まらなかった。藤野氏が指摘したように原発否定には理屈抜きの直感的な思いがある。そのような思いを抱えた人々が集まった会ならば議論するまでもなく原発にNOとなる。一方で世の中の全ての人が同じ思いを抱いている訳ではない。原発推進派は原発が安全という建前である。原発と倫理というテーマは社会的に重要である。

城倉氏は板橋区での核燃料輸送に対する取り組みを説明した。これは板橋区の地域的な取り組みであるが、輸送車は他の地域にも通過しており、事故の危険と隣り合わせという問題をどこも抱えている。江東区も青海埠頭に核燃料物質が陸揚げされていると指摘されている。自分達の生活の安全に直結する問題である。一部に現実生活から遊離した傾向も出てきた脱原発運動を生活や地域に密着したものにできるテーマである。

「ふくしまっ子リフレッシュin世田谷」の取り組みも紹介された。この活動は世田谷まちづくりファンドの助成を受けている。懇親会も含めて保坂展人・世田谷区政の市民寄りの姿勢への好意的評価が高かった。私は二子玉川ライズなど開発問題を契機として世田谷区政に関心を持つ(林田力『二子玉川ライズ反対運動1』Amazon Kindle)。「大型開発優先区政からの転換」の公約にも関わらず、開発政策での転換の実感は乏しい。「裏切り者」などの辛辣な評価も耳にする。そのために評価されているところでは評価されていると認識を新たにした。やはり開発問題は土建国家の利権の総本山であり、これに取り組むことは並大抵のことではない。民主党が「コンクリートから人へ」で正面から斬り込んで腰砕けになってしまったほどの問題ではある。

藤野氏は1968年以降の左翼運動(68世代)に関心を持っている。興味深い指摘としてドイツ緑の党は比較的豊かな層に支持されているとの説明があった。貧困層は社会主義政党か極右に流れるという。ドイツに比べると日本の緑の党は盛り上がりに乏しいが、日本では比較的豊かな層への訴求に欠けているように思われる。日本では比較的豊かな層で脱原発を志向する人々は、みんなの党的な電力自由化による脱原発を支持する傾向がある。脱原発運動には極端で教条主義的な主張を掲げて彼らと自分達を区別したがる傾向がある。

藤野氏はドイツ緑の党が比較的豊かな層に訴求できた思想的要因として欲望の肯定と説明した。従前の左翼運動には禁欲主義的なところがあったとする。この説明には我が意を得たりである。環境保護というと「自然を破壊してはならない」という「べからず」的なイメージがあるが、そればかりでは市民的な広がりは生まれない。私も開発問題は自然保護よりも自分達の生活を守るという生活の価値をバックボーンに置くべきと主張した(林田力「開発問題から考える東京都政の課題」第2回「都民参加への模索」研究会)。

また、従来の左翼運動を禁欲主義的と評したことも納得である。特に日本には特殊日本的精神論とでも呼ぶべき意識が左右を問わずに存在する。戦時中を知らない世代にとって左翼運動こそ「欲しがりません 勝つまでは」「滅私奉公」を体現した世界に見えることもある。実際、「昔陸軍、今総評」なる言葉もあった。

これは若年層の右傾化の説明にもなる。軍国主義化したら自分達の自由もなくなってしまう。それ故に若年層が好んで右傾化することが理解できない人もいるだろう。しかし、むしろ左翼こそ自由のない抑圧的な世界と見られていることを理解すべきである。

それ故に新しい運動が欲望の肯定を土台とすることは正しい。一方で改めて欲望の肯定から論じられなければならないかという思いがある。滅私奉公が否定されるべきは当然である。それは戦後日本の土台になるべきものである。今もって欲望の肯定が議論の種になるところに日本の68世代の後進性を見出すことができる。実際、学生運動家の多くが卒業後は社畜になって滅私奉公するようになった。

日本の68世代にとっては欲望の肯定と向き合うことから始めなければならない。その意味で藤野氏の問題意識は正しい。しかし、とうに日本社会では欲望の肯定は受け入れられており、68世代的問題意識は古い。それに社会全体が振り回されるならば他の世代にとって不幸である。

たとえば学生運動が批判しようとした日本共産党も欲望の肯定の側に立っている。中小企業を潤し、庶民の懐を暖めることで景気回復を提言している。資本主義的欲望にどっぷりと浸かっていると見ることもできる。それを堕落と批判することも可能であるが、問題は欲望を肯定するか否かではなく、欲望の質である。経済的繁栄ではなく、社会的に価値あること、善いことをしたいという欲望の充足。それがマッチしたからドイツでは緑の党が比較的豊かな層に支持されたと考える。

また、日本で民主党が「コンクリートから人へ」を掲げた時は共産党よりも革命的と感じたものである。共産党には「大企業のコンクリートから中小企業のコンクリートへ」というところが感じられるためである(林田力『二子玉川ライズ反対運動10』「「コンクリートから人へ」の行方」)。オルタナティブな政治勢力の伸張は、共産党の主張が保守政党と同じ土俵にあると感じさせてしまうような資本主義的欲望とは別次元の価値(欲望)を提示できるかが鍵になる。

日本の緑の党は欲望の肯定というレベルでは満たしていると考える。緑の党の活動には祝祭的雰囲気さえある。しかし、欲望の肯定が大麻合法化のような即物的で反社会的な方向に進むことを懸念する。藤野氏もドイツ68世代の欲望の肯定も、当初は極端な性の解放を叫ぶなどの紆余曲折があったと説明する。オルタナティブな政治勢力の健全な発展は欲望の肯定の一歩も二歩も進んだところにある。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。