林田力 二子玉川ライズ反対運動



区民負担増ではなく二子玉川ライズ見直しを


世田谷区の「区民利用施設使用料の見直し」「認可保育園保育料の見直し」「区立幼稚園保育料の見直し」「新BOP学童クラブ利用料の導入」「高齢者紙おむつ支給・おむつ代助成事業の見直し」に反対する。二子玉川ライズ二期事業(二子玉川東第二地区市街地再開発事業)など開発関連予算を廃止・削減すれば見直しは不要になる。それが民意にも合致する。

私は世田谷区内の住民運動に参加しており、住民運動の活動で区民利用施設を利用している。二子玉川東第二地区市街地事業計画案の意見書提出者であり、2010年4月20日に口頭意見陳述も行った。二子玉川東第二地区再開発組合設立認可処分取消訴訟の原告・控訴人でもある。二子玉川ライズ問題を扱う『二子玉川ライズ反対運動』(マイブックル、2010年)、『二子玉川ライズ反対運動2』『二子玉川ライズ反対運動3』(2012年)を電子出版した。

2011年実施の世田谷区実施計画・行政経営改革計画へのパブリックコメントにも実施計画素案0701番「街のにぎわいの核づくり」の二子玉川東第二地区市街地再開発事業への補助等による支援に利害関係を有する個人として、再開発補助削除の意見を提出した。区民利用施設利用者として、また、二子玉川ライズ二期事業への補助等による支援に利害関係を有する個人として、意見を提出する。

既に「区民利用施設使用料の見直し」「認可保育園保育料の見直し」「区立幼稚園保育料の見直し」「新BOP学童クラブ利用料の導入」へ反対意見を提出済みである。この意見は集大成となるものである。長文は御容赦下さい。



「区民利用施設使用料の見直し」「認可保育園保育料の見直し」「区立幼稚園保育料の見直し」は値上げである。「区民利用施設使用料の見直し」によって会議室・研修室・ホール・プール・運動場など施設使用料は2割、区民会館・劇場は3割の値上げになる。保育料は平均9%の値上げになる。幼稚園保育料は月額2千円の値上げになる。

「新BOP学童クラブ利用料の導入」は今まで料金を取らなかったサービスへの料金徴収である。新たに月額3千円を新設する。「高齢者紙おむつ支給・おむつ代助成事業の見直し」は給付水準の引き下げである。月額千円の減額である。何れも区民負担を増大させる。

見直しの対象となった区民利用施設、子ども関連施策、高齢者関連施策は全て住民福祉の増進を目指す地方自治体の業務であり、税金によって賄うものである。利用者に一層の負担を強いることは日本国憲法第25条の生存権の保障という点からも不当である。負担能力の乏しいものは、必要性の有無にかかわらず、事実上公共サービスから排除されることになるためである。

区民施設利用による区民活動は地域コミュニティーの振興・生涯学習の推進になる。区民施設は様々なサークルや、婦人団体、高齢者グループなど、多くの区民が利用している。利用者の多くは高齢者で心身ともに健康ですごしたいと、地域でのつながりを大事に楽しんでいる。

高齢者の少なからずは政治的・社会的に孤立状態にあり交流は重要である。交流は楽しみであり、元気付けられる。これは将来の介護予防にもつながる。利用料の値上げは参加者の経済的負担を増加させ、区民の自主的活動に否定的影響を及ぼす。区民の楽しみを奪うことになる。

子育ては区政最優先課題である。「認可保育園保育料の見直し」「区立幼稚園保育料の見直し」「新BOP学童クラブ利用料の導入」は世田谷区を子供に優しくない社会としてしまう。保坂展人区長は「子供は宝」と述べている。

認可保育園・区立幼稚園・新BOP学童クラブなどの子育て支援サービスは子育て世帯にとって重要なものであり、少子化対策としても必要である。保育サービスは区民第一の税金の使い方になる。近隣住民の迷惑になっている二子玉川ライズへの補助よりも価値ある政策である。幼稚園や保育園を充実させ、待機児童をなくし、子育てしやすい世田谷区にすることを求める。

これは民意にも合致する。「新しいせたがやをめざす会」の政策案には「認可保育園をさらに増設して待機児童の解消を進めると共に、現在の公的保育制度を守ります」「区立保育園の民営化計画は見直します」「保護者の負担を減らし、さまざまな子育て支援に、公的助成を充実させます」と掲げている。

同じく政策案には「学童クラブの機能(職員体制、施設)を確立しつつ、新BOP事業全体の拡充をめざします」とある。利用料導入は学童クラブの性格を変質させる。制度を整えたところでその制度を必要とする精神が理解されていなければ制度は別の機能を果たしてしまう。

世田谷区議会では保育料値上げなどに反対する陳情(請願)や紙おむつなど老人福祉施策削減に反対する陳情(請願)が提出された。採択には至らなかったものの、多くの傍聴者がつめかけ、委員会で長時間審議された。その結果、紙おむつ以外の高齢者福祉施策見直しは継続検討となった。また、子ども医療費助成見直しも、区議会論戦などを受けて、「継続検討」となっている。

「区立幼稚園保育料の見直し」の「基本とする考え方」には「区立幼稚園のあり方についても、検討を進めていきます」とある。区が幼稚園を運営することは自治体の重要な責任である。「新しいせたがやをめざす会」が区民の声を集めて作成した政策案でも「区立幼稚園の役割を尊重し、存続させます」と掲げている。



世田谷区は利用者を負担する一方で、二子玉川ライズなどの様々な問題を抱える大型開発分野は手を付けずに聖域扱いとする。このような偏った政策優先順位には根本的な問題がある。それは保坂展人区長の政治姿勢「大型開発優先区政からの転換」「子ども・若者は未来の宝」「困った時にひとりにしません」と矛盾する。保坂展人区長は「区政の基本は、区民の暮らしと健康を支えることにあります」と述べている(せたがや2012年9月15日1頁)。教育・福祉予算と大型開発の補助金のどちらを優先させるべきか明白である。

保坂区長は2012年7月12日に二子玉川住民と会見した際、二子玉川ライズに対して「公共性、公益性がどこまで宿っているか、と補助金を精査して、一定程度の削減を昨年やった」「安全のこと、公共性、公益性の検証を去年もやったが、もう一度みて、しっかりやっていこう」と発言した。まだまだ「しっかりやる」余地は残っている。

区民の負担を求めるならば、その前に区民が求めていない開発関連予算の廃止・削減が筋である。不要不急の道路や再開発への予算を削ることで、庶民イジメの値上げは回避できる。二子玉川ライズに補助金を支出しながら、区民の負担を増大させることは誰の理解も得られない。二子玉川ライズや道路建設などの大型開発を聖域とすることなく、真っ先に廃止・削減対象にすべきである。

開発と福祉はトレードオフの関係にある。夕張市の財政破綻を下敷きにした小説・海道尊『極北クレイマー』では開発予算をバラまく自治体が医療費など福祉予算を削るという相関関係を描いた。財政問題解決のために区民サービスを低下させることは解決の方向性が誤っている。それは財政破綻への道である。



世田谷区は見直しの理由を財政状況に求めている。大幅な収入減、基金取り崩しと財政面の不安を強調する。しかし、世田谷区の財政状況は区が強調するほど悪くない。世田谷区の財政には執行残がある。「平成23年度決算」では120億9700万円の執行残(不用額)が発生している。一般会計の5%近い使い残しがある。2012年度決算でも120億9700万円の執行残が発生していた。保坂区長は2012年9月19日の区議会招集挨拶で「特別区交付金は前年度比で68億6200万円と、2年連続の増額」とも述べている。

無論、財政状況に余裕があったとしても無駄遣いは容認できない。世田谷区は全く公共性のない二子玉川ライズには多額の補助金を支出している。世田谷区の財政を圧迫している原因は大型開発であり、道路建設である。開発バブルに踊ったツケを庶民が支払わされることは不合理である。

広報紙「せたがや」2012年9月15日号(利用者負担特集号)8頁「膨らむ行政需要」のグラフは土木費が低調のように描かれているが、金額ベースの比較となっておらず、ミスリーディングである。区民が求めていない土木費は大いに削減可能である。行政が世論を誤った方向に誘導することは許されない。

二子玉川ライズ二期事業への補助金支出を止めるだけで利用者負担を増やさなくて済み、余剰金も生まれる。二子玉川ライズ二期事業には今後2~3年度にわたり、まだ30億円余の補助金(税金)支出が計画されている。このうち国・都支出分を除いた区の支出分は10億円程度と見込まれる。つまり、二子玉川ライズの補助金を止めれば10億円の世田谷区独自財源を生み出すことができる。利用者負担増なくして区政運営の見通しが開ける。

世田谷区の歳入減の大きな要因は住民税の落ち込みである。保坂区長は9月19日の区議会招集挨拶で「区民所得の減少等により、(平成23年度決算の)特別区税が前年度比でマイナス4億8200万円の減収」と述べている。これは住民の暮らしの厳しさを意味している。この状況下で区民負担を増加させることは区民生活を疲弊させ、区民生活悪化と歳入減の悪循環をもたらすことになる。



今回の利用者負担増では利用者と非利用者の公平性を「基本とする考え方」に置いているが、本末転倒である。この論理は前熊本哲之区政が進めてきた道路・市街地再開発の財源確保のために区民に負担を押し付けた手法である。過去にも「がん検診」など自己負担増が行われている。今回の見直しが踏まえるとしている「適正な利用者負担の導入指針」は熊本区政末期の2010年12月に策定された。

「区民利用施設使用料の見直し」では「施設を利用する方と利用しない方との負担の公平を図る」とする。しかし、これは絶対的なものではない。施設を利用しない人々の税金が施設経費に使用されることは不公平ではない。低額の施設利用料によって区民の活動が活発化することは地域社会を活性化させる。これは施設を直接利用しない人々にもメリットである。

「認可保育園保育料の見直し」の「認可保育園を利用していない子育て世帯との受益と負担の公平性」も本末転倒である。本来ならば希望する子育て世帯は全て認可保育園を利用できるようにすることが望ましい。それができていないことが問題であり、高負担を余儀なくされている子育て世帯に合わせることは筋違いである。本来ならば認可保育園を利用できない子育て世帯に世田谷区が支援すべきである。

「区立幼稚園保育料の見直し」には「区立幼稚園の保育料と区内の私立幼稚園との保育料の差は、年々拡大しています」とある。ここから区立幼稚園保育料の値上げを導き出すことは誤りである。高額な私立幼稚園の保育料を払わざるを得ない家庭があることが問題である。高い負担に合わせることは本末転倒である。

「新BOP学童クラブ利用料の導入」では「学童クラブを利用する方と利用しない方との負担の公平を図る」とするが、学童クラブを無償とすることは公平に反しない。学童クラブを必要とする子どもが学童クラブを利用できるようにすることは地域社会で子どもを育てることでなる。社会全体で負担することは公平に適う。

子育て支援サービスへの公費投入が、子どものいない人々や独身の人々に不公平との考え方は短絡的である。子どもは社会全体で育てるという視点が大切である。その子ども達が成長し働く大人になり税を納入し、社会を支える。

少なくとも東急電鉄や東急不動産を利するだけの二子玉川ライズ補助金よりも公平である。東急電鉄や東急不動産の分譲マンションや賃貸オフィス、商業施設に税金を投入する二子玉川ライズの補助金こそが不公平極まりない。独自の資金でマンション分譲や賃貸オフィス、商業施設を営む企業に対しても不公平である。二子玉川ライズを利用する人もいれば利用しない人もいる。二子玉川ライズで利益を上げる企業(東急電鉄・東急不動産)がいれば、消費者を奪われる周辺地域の商店街もある。施設利用料値上げの前に二子玉川ライズ二期事業への補助金を廃止すべきである。



二子玉川ライズには公共性がなく、世田谷区が税金投入する大義も法制度上の義務もない。以下に理由を述べる。

第一に世田谷区民は二子玉川ライズを求めていない。二子玉川ライズ二期事業は圧倒的な反対意見を無視して再開発組合が設立認可されたもので民主的基礎に欠ける。二子玉川東第二地区再開発事業計画案には199件の意見書が提出され、そのうちの191件が反対意見であった(林田力『二子玉川ライズ反対運動』92頁)。

二子玉川ライズ反対意見が無視された怒りは2011年4月の世田谷区長選挙で噴き出すことになる。保坂展人区長の当選は公約「大型開発優先の区政の転換」が区民に支持されたからである。少なからぬメンバーが保坂区長の支持に動き、2012年6月3日には区長参加で「世田谷区政の現状と課題を考える懇談会」を開催した「新しいせたがやをめざす会」は政策案で「『再開発』や『道路優先』がもたらす大きなムダと住民被害、財政圧迫の三重苦を取り除き、税金を区民生活第一に使います」を掲げている。

そして保坂区長当選後になされた世田谷区実施計画・行政経営改革計画へのパブリックコメントでも二子玉川ライズ二期事業補助への反対意見が多数寄せられ、賛成意見は皆無であった(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「世田谷区パブコメで二子玉川ライズ反対多数」)。

新たに意見募集するまでもなく、民意が大型開発を求めていないことは明白である。世田谷区は区民の負担を増やす前に開発予算を廃止・削減すべきである。今は意見集約ではなく、住民の意思を反映させるべく「大型開発優先の区政の転換」を実行する段階にある。むしろ二子玉川ライズへの支援を中止し、東京都に設立認可処分の再考を働きかけることが求められる。



第二に二子玉川ライズは有害である。二子玉川ライズは「土地の高度利用の追究で、緑地・オープンスペースはきわめて貧困なものとなり、また、局地的にそれをおこなったため、周辺地域に機能障害・環境破壊をもたらすものとなっている」(岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』日本経済評論社、2012年、144頁)。

二子玉川ライズ一期事業では日照被害(日照遮断)、電波障害、ビル風の風害(強風被害)、圧迫感増大、コミュニティーの分断、ファーストフード店の悪臭など複合的な住民被害をもたらしている。交通量増加は渋滞と排ガスの大気汚染、道路通行の危険増大をもたらす。災害時の帰宅難民の増加も問題である。

二子玉川ライズのビル風は風害となって周辺住民を襲っている。近隣住居では風の音だけでも物凄い。「二子玉川ライズ ガレリア」のイベントは近隣住民にとって騒音公害になっている。ビル風も騒音も悪臭も二子玉川ライズの高層ビルが空気や音の流れを妨げることによる構造的な問題である。

夏場はファーストフード店の悪臭が熱気と混ざって通行人を気持ち悪くさせている。吉田兼好『徒然草』には「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居(すまひ)は、堪へ難き事なり」とある。夏に悪臭と熱風が漂う二子玉川ライズは耐え難い再開発である。

二子玉川ライズのビル風は傘が折れ曲がる被害も増大させる。二子玉川ライズ周辺の路上や周辺の民家に折れ傘が多数放棄され、住民の迷惑になっている。折れ傘の放棄に対して通行人のモラルの問題とする論調が多いが、二子玉川ライズでは人工的なビル風が原因であり、傘が折れてしまった人々は被害者である。ビル風の元凶である二子玉川ライズのモラルを問わなければ公正ではない。

二子玉川は不特定多数の外来者の来訪で街が汚くなったという問題も抱えている。夜間は交通広場でヤンキーなどが騒ぎ、近隣住民に治安面の不安を抱かせている。二子玉川ライズは地域住民にとって憩う街ではなく、表面的な賑わいは地域住民のものではない。二子玉川ライズによって世田谷区玉川の自然と住民の生活は大きく脅かされている。住民被害が超高層ビル建設中心の二子玉川ライズ二期事業で増幅されることは必至である。

住環境を破壊する二子玉川ライズは人々を愚弄するものであり、あまりに無茶苦茶で心底から怒りが湧き上がる。二子玉川ライズを歩けば、二子玉川ライズの住民への明確な悪意を実感できる。

二子玉川ライズは地域社会や住民と向き合っていない。「今までのやり方を通そうとし、住民の被害経験に取り組もうとしない」「高圧的な態度をとる」。住民からは二子玉川東地区市街地再開発組合や東急電鉄・東急不動産に対する辛辣なコメントが並ぶ。

二子玉川ライズの住環境破壊が表面化してから相当の時日が経過した。しかし、残念ながら、その悩みは解消されるどころか、手詰まり感さえ漂っている。世田谷区は二子玉川ライズの住環境破壊に、どのような備えをしてきたか。「なぜ、あの時に動き始めなかったのか」。そのような後悔の言葉を口にしたくないものである。

二子玉川ライズは地域社会を分断する。「本事業で設けられた巨大な人工地盤は、周辺地域との連続性を心理的にも、物的にも希薄にし、周辺から隔離した孤立的環境をつくりあげた。これは、再開発地域内の住民と周辺住民が一体となって、新たなコミュニティを創り出すという可能性を奪うものである」(岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』日本経済評論社、2012年、146頁)

「高齢者紙おむつ支給・おむつ代助成事業の見直し」「基本とする考え方」の「運動機能向上や認知症予防等の総合的な介護予防事業の充実」は重要な政策である。それには高齢者が外出しやすい街が求められる。木造で低層の街並みや路地のような歩行者中心の道路である。

超高層ビルや自動車道路中心の街では高齢者は安心して出歩けない。特に二子玉川ライズではビル風で高齢者が転倒して骨折する事故まで起きている(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。大型開発優先区政からの転換こそが総合的な介護予防事業となる。



第三に二子玉川ライズは多摩川と国分寺崖線に囲まれた二子玉川の伝統的な景観・世田谷らしい風景を破壊する。二子玉川ライズは、ふくよかな自然を破壊する。再開発前の二子玉川は散策の場として馴染み深い場所であった。二子玉川ライズによって緑被率(緑で覆われた土地の占める割合)も緑視率(視野において樹木の占める割合)も低下した。

二子玉川ライズはコミュニティーで共有された地域の魅力や価値に反している。「新しいせたがやをめざす会 政策案」では「今まで、二子玉川や下北沢などの「再開発」に多額の税金がつぎ込まれ、街の歴史や文化、住民の生活やきずな、環境が壊されてきました」と分析する。

二子玉川の魅力は多摩川と国分寺崖線という水平的な景観にある。二子玉川ライズの垂直的な人工的景観は二子玉川の水平的な景観を破壊する。これは山形県環境審議会自然環境部会(2012年1月)における庄内海浜県立自然公園の風力発電設置反対意見が参考になる。

「庄内海浜の(自然公園)指定理由は水平的な景観だと思う。水平的な景観は日本人の郷愁を誘う日本の原風景の一つ。水平的景観と、風力発電の非常に高い垂直的な人工的景観は、対極にある」(「追跡やまがた:庄内海岸に大型風力発電施設計画 どうなる「白砂青松」 「水平の景観」破壊の危機 /山形」毎日新聞2012年10月1日)。

二子玉川ライズは水害の危険を増大させる。公園予定地をコンクリートで覆って超高層ビルを建設する二子玉川ライズは災害対策上危険である。近年、台風や豪雨、竜巻などを原因とした大規模な風水害が相次いでいる。二子玉川ライズ周辺地域は元々、水害の多い地域であり、ハザードマップでも警告されている。かろうじて二子玉川園などの緑地が水害を抑えてきた。その緑地を破壊し、二子玉川ライズというコンクリートで固めた再開発を進めることで水害の危険性は現実的なものになる。

真木雅之・防災科学技術研究所観測・予測研究領域長は以下のように指摘する。「都市部で問題なのは、地面がアスファルトやコンクリートで固められてしまっていることですね。降った雨が地中に蓄えられずに、すぐに中小河川に流れ込んだり、あるいは下水に流れて、排水ポンプが間に合わないと一気にあふれてきたりします」(川端裕人「ゲリラ豪雨や竜巻の被害を減らすには」日経ビジネスオンライン2012年9月25日)。



第四に二子玉川ライズは東急電鉄や東急不動産ら東急グループの営利事業である。特にホテル、オフィス、商業ビルだけの二期事業は営利独占性が露骨である。フィットネスクラブが東急スポーツシステム株式会社、ホテルが株式会社東急ホテルズ、シネコンが株式会社東急レクリエーションと主要テナントが東急グループで占められている(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「東急ホテルズ入居の二子玉川ライズ2期事業の閉塞」)。

二子玉川ライズは地域経済に貢献しない。「東急の大商業ビルが、その吸引力によって『地域社会の活性化』をもたらすと強弁するかもしれないが―むしろ、その逆の可能性の方が大きい―自らの利益追求のために建設したにすぎない」(岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』日本経済評論社、2012年、146頁)

二子玉川地域に根差した広告誌の編集者は、二子玉川ライズからの広告出稿は皆無と語っている。二子玉川ライズには100円ショップやファーストフードなど全国どこにでもあるようなチェーン店が入居し、二子玉川らしさが急速に失われている。

二子玉川ライズでは消費者がモルモットになる。「二子玉川ライズ ショッピングセンター」のIMES(Indoor Messaging System、屋内GPS)実証実験が象徴的である。IMESではプライバシー侵害の懸念も生じている。

「昨年来相次いで発覚した携帯アプリの位置情報の悪用は、測位の進化でさらに深刻な問題を起こしかねない」(戸田拓「衛星が導く『位置情報』新時代」朝日新聞2012年9月1日)。「自分の位置情報を悪用されるロケーションハラスメントが起こらないとも限りません」(熊山准「屋内GPSで“ロケハラ”被害増加?」R25 2012.02.16)。

同じ東急グループが進める渋谷再開発でも「大規模な駅ビルが渋谷の魅力を奪う」と懸念する声が出ている(「渋谷駅が高層ビルを軸に再開発へ周辺店舗で交錯する不安と楽観」ダイヤモンド・オンライン2012年9月24日)。小規模な路面店が渋谷の街の魅力であったが、再開発は街の魅力を弱め、人の流れを変えてしまう。

既に二子玉川ライズの実質的な開発主体である東急電鉄や東急不動産は既に莫大な開発利益を得ている。二子玉川再開発に伴う「容積率緩和による東急の受益額は、520億円に達する」と分析されている(岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』日本経済評論社、2012年、145頁)。しかも、二子玉川東地区再開発には既に425億円以上の巨額な税金が投入されている(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「二子玉川再開発への税金投入額が400億円超と判明」)。

これ以上の税金投入を東急電鉄・東急不動産中心の二子玉川東第二地区市街地再開発組合が要求するとあれば厚顔無恥である。巨額の開発利益を得ている東急電鉄・東急不動産には莫大な利益の社会還元こそが求められている。

しかも東急電鉄や東急不動産は世田谷区が数百億円の税金を支出して開発を支援することに値する企業ではない。東急電鉄は東京都品川区の東急大井町線高架下住民を生活保障もなく一方的に立ち退き要求している(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「東急電鉄が大井町線高架下住民を追い出し」)。東急不動産は不利益事実を隠して新築分譲マンションをだまし売りする企業である(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。

営利性の強い二子玉川ライズは社会の腐敗を進行させる。莫大な金が動く大型開発の宿命である。現実に二子玉川ライズを舞台としてデジコン問題という補助金詐欺が起きた。地域経済の発展に貢献しようと懸命に働いてきた人々にとって、二子玉川ライズや二子玉川ライズを舞台としたデジコン詐欺は、どのように映っているか。多数の住民が二子玉川ライズに不安と怒りを抱いている。



第五に二子玉川ライズなどの大型開発は財政構造を硬直化させる。これには二つの理由がある。二子玉川ライズ補助金などの大型開発関連予算自身が財政を圧迫する。加えて大型開発が引き起こす社会問題が将来に渡って行政需要を増大させ、財政負担になる。

世田谷区は「区として自由に使える経費の割合が減ること」を問題視する(「財政構造の硬直化が進んでいます」せたがや2012年9月15日号7頁)。この問題意識を是としても、義務的経費か否かで判断することは硬直的である。義務的経費に列挙した子ども関連経費、高齢者関連経費、生活保護費などは住民福祉の増進を目的に掲げる地方自治体の基本的な仕事である。この多くは国や東京都からの支出金で補助される性格のもので、世田谷区の負担は軽減されている。

むしろ二子玉川ライズのようなバブル経済期に誕生した再開発計画に縛られて補助金を支出し続けることこそ財政構造の硬直化をもたらしている。このような硬直的な開発計画の廃止・見直しが行財政改革に値する。財政状況にかかわる「行革」計画であるならば、二子玉川ライズ補助金の30億円余を削減すべきである。

加えて二子玉川ライズは行政需要を増大させる。大型開発関連予算は財政を圧迫する支出になるが、大型開発自体も将来に渡って行政需要を増大させる荷物になる。世田谷区は二子玉川ライズによって生じた住環境破壊の尻拭いしなければならない立場にある。二子玉川ライズによる住民被害は地域の問題であり、安心・安全の街づくりを目指す世田谷区が解決しなければならない課題である。

現実に東京スカイツリーという大型開発を抱える墨田区では1日3回夜間に警備員を巡回させている。また、清掃員を10人雇い、見物客が多い地域で毎日ゴミ拾いを実施している(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「東京スカイツリーと二子玉川ライズの弊害」)。これこそが安定的で持続可能なサービス提供への脅威である。

ビル風によって散乱した折れ傘の処理も行政の負担になる。新宿清掃事務所では「駅前や繁華街に散乱している傘のゴミを、通常の収集が終わった後に、手の空いている職員が軽トラックで収集に向かいます」「これまでで、1日で最大軽トラック1杯分(300kg)の傘のゴミを回収したことがあります」と説明する(「「軽トラ一台分も」台風の後に路上に捨てられビニ傘は誰が片付ける?」サイゾー2012年10月1日)。

二子玉川ライズのような大型開発を抑制することが非生産的な行政需要の抑制になる。



第六に超高層ビル中心の二子玉川ライズは時代遅れである。日本経済はデフレに突入して十年以上が経過している。未だにデフレ脱却の道筋は明らかではない。開発業者の目では豪華な(人々の目からは貧相な)ビルが建ち続ける中、弱者は排泄されるかのようにゴミのように捨てられる。

東日本大震災から一年以上が経ち、今なお変化の振り幅の大きい社会環境にあって、日本社会は新たな方向へと既に舵を切っている。バブル経済時代の二子玉川ライズに固執することは、あまりに時代遅れである。建築不動産業界の成長は頭打ちである。超高層ビル中心の二子玉川ライズは非常にせせこましい窮屈なプランである。

二子玉川ライズのような高層化は子育て支援とは矛盾する。高層マンションは子供の発育に害を及ぼす。高層階に住む住民は低層階に住む人に比べて精神状態が不安定である割合が高い。高層階での流産率が高いとの研究結果もある。高血圧症や妊娠障害などの出現率を高める。幼児の自立行動の達成が低い。人類の歴史を省みても、地上から非常に高い閉ざされた空間に住むことは不自然である。

「緊張しやすい人が高層階に住むと無意識に高所性ストレスを強いられて、その結果、四割もの妊婦に流産・死産を招いている」(織山和久『東京いい街、いい家に住もう』NTT出版、2009年、134頁)

東海大の研究グループが横浜市内の2000人を対象に行った調査では高血圧症と高層との関連性が導き出された。これまでに心臓病や脳卒中、糖尿病、貧血、肝臓病などで治療を受けたことのある人では高血圧症と診断された人は1・2階に住む人7.4%に対し、3・4階に住む人では16.7%、5階以上に住む人となると20.4%に達した。

「一番の原因にはストレスが考えられます。高層階に住んでいると一日中外出しないという人がかなりおり、他人との交流も途絶えがち。また間取りによっては閉鎖感を覚えることも考えられます」と分析される。

また別の調査では、高層住宅で6階以上に住む人には耳鳴りや肩凝り、頭痛を訴える人が多く、これが10階以上になると極端に増えるという結果も出ている。以下のようにアドバイスされる。

「これは本人には分かりませんが、建物がわずかに揺れているせいだと思われます。今後、住宅の高層化と人口の高齢化が進むため、高層階に住む高齢者の割合も高くなるでしょうが、高血圧症など何らかの既往歴を持つ人は極力、低い階に住むようにすべきです。現在、高層階に住んでいる人は、できるだけ外出し、他人との交流などでストレスを発散するよう努めてください」

感受性の強い乳幼児への悪影響は成人の比ではない。世田谷区が良好な子育て環境を求めるならば、街の低層化を目指すべきである。それに矛盾する二子玉川ライズの補助金は全廃し、計画の見直しを再開発組合に求めるべきである。



いかなる点から検討しても、これ以上の税金を二子玉川ライズに投入することは不当である。二子玉川ライズへの税金投入の打ち切りこそ、世田谷区の財政構造を改善し、「大型開発優先区政からの転換」との保坂区政の公約を大きく前進させる。

政治の根底はヒューマニズム尊重であるべきである。自治体は住民が何を求めているかを理解する必要がある。住民は二子玉川ライズを求めていない。二子玉川の痛みと向き合い続けてきた住民は、体を張って抗議の声を続けている。二子玉川ライズが竣工したとしても二子玉川ライズ反対運動は終わらない。減築という大きな目標が存在する。

世田谷区は二子玉川ライズに対する住民の悲しい怒りの一端に触れて欲しい。利用者負担の増大と二子玉川ライズへの補助金支出は住民を魅了する政策ではない。区民を苦しめる二子玉川ライズなどの開発事業に税金を使い、住民を助けない自治体であるならば、やめていただかなければならない。

政治が子育て支援よりも二子玉川ライズなどの開発を優先することは、貨幣経済が人間の存在よりも尊いということを容認してしまうことになる。区民サービスを削る一方で特定企業(東急電鉄・東急不動産)を潤わせるだけの二子玉川ライズに巨額の税金を支出する区政では区民税納入の意欲を喪失させてしまう。

二子玉川ライズへの補助金投入の是非は区政が決定できることである。公約を自分で骨抜きにする政治家には期待できない。保坂区政は熊本哲之前区政のシナリオに成り行きを委ねるのではなく、自己の見識や政策的な判断を求める。「二子玉川ライズ オフィス」を舞台としたデジコン補助金不正受給問題の教訓に照らしても、これ以上の二子玉川ライズへの税金投入については、区行政と区議会において、厳正な審査をされるように要請する。是非ともご検討をお願いする。



最後に意見募集は住民参加の一手法であるが、「意見を募集するだけの形式的手続きで、結論は最初から決まっている」となりがちである。小説では以下のように揶揄される。

「パブコメの件数が少なければ、世の中の関心が低いから決定権は僕たち(注:官僚)のもの。件数が多ければ、関心が高いということだけど、いろんな立場の利害が衝突するから、意見を列記するだけで立派な仕事をしたように見える。その上、統一見解なんて得られないに決まってるから、結局多彩な意見がありました、と言っておけば文句はつけられない」

「(パブコメは)ただのガス抜き。そして。僕たち官僚は国民の声を聞きましたというアリバイ工作」(海堂尊『イノセントゲリラの祝祭』宝島社、2008年、205頁)

二子玉川ライズ二期事業の補助金は約3億円削減されたことは大きな成果であるが、それで十分ではない。反対意見が圧倒しているにもかかわらず、二子玉川ライズ二期の建設工事が進んでいる現状に対し、世田谷区民には無念の思いや脱力感が広がっている。意見を提出した住民が参加を実感できるような工夫を期待する。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。