林田力 二子玉川ライズ反対運動



岩見良太郎『場のまちづくりの理論』


岩見良太郎『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』(日本経済評論社、2012年)は都市計画の研究者による研究書である。著者は埼玉大学名誉教授で、二子玉川ライズ住民訴訟で証言するなど活動的な研究者である。現代日本の都市計画は人々に豊かな暮らしをもたらしていない。この問題意識から「場」をキーワードとして、豊かな活動、生き甲斐のステージとしてのまちづくりを提起する。

『場のまちづくりの理論』は『場』についての哲学的な文章が続くために表面的には難解である。哲学書を読むような気分にさせられるが、主張は明快である。『場のまちづくりの理論』の場とは単なる場所ではなく、街は単なる建物の集合を意味しない。人々の生活や交流の場である。縁のある場ということに意味がある。

しかしながら、現代日本の都市計画は開発業者の金儲けのために場を破壊する方向に利用されている。その典型例として東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)などを取り上げる。二子玉川ライズは東急電鉄や東急不動産主導で住環境を破壊する再開発である(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。二子玉川ライズに対する著者の批判は厳しい。それらは二子玉川ライズの実態を正確に描写するものである。

「土地の高度利用の追究で、緑地・オープンスペースはきわめて貧困なものとなり、また、局地的にそれをおこなったため、周辺地域に機能障害・環境破壊をもたらすものとなっている」(144頁)

「本事業で設けられた巨大な人工地盤は、周辺地域との連続性を心理的にも、物的にも希薄にし、周辺から隔離した孤立的環境をつくりあげた。これは、再開発地域内の住民と周辺住民が一体となって、新たなコミュニティを創り出すという可能性を奪うものである」(146頁)

「東急の大商業ビルが、その吸引力によって『地域社会の活性化』をもたらすと強弁するかもしれないが―むしろ、その逆の可能性の方が大きい―自らの利益追求のために建設したにすぎない」(146頁)

既存の生活を場や縁という価値で理論化する『場のまちづくりの理論』の視点は住民運動に希望を与える。開発推進派は開発による経済発展というドグマを押し付けてくる。このドグマは不動産不況の中でメッキが剥がれてきているが、まだまだ強固である。反対運動にもドグマの前提を無意識的に受け入れてしまい、自然保護という対抗価値に頼る傾向がある。

開発による経済利益よりも自然に価値があるという思想は正しい。鞆の浦裁判は大きな成果である。しかし、建築紛争の現場で守るべき自然は、鞆の浦ほどネームバリューのないものの方が多い。むしろ多かれ少なかれ自然を破壊しているものである。反対に開発推進派からは木造密集地域を再開発して超高層ビルを建設し、オープンスペースを作ることが緑化になると反転攻勢にも使われる。自然保護は重要なキーワードであるが、自然保護一辺倒では行き詰る。自然や景観だけを価値とする場合、人々の生活は守れない。

「木造密集地域に価値がある」と胸を張って主張できなければならない。その価値を『場のまちづくりの理論』は示すものである。場のまちづくりの理論は開発への対抗価値となるものである。それはバブル経済崩壊後の新たな指針となるべきであったが、東日本大震災後は一層重要になる。



専修大学法学研究所主催法学ワークショップ研究会「場のまちづくりの理論 現代都市計画批判」が2012年10月16日に専修大学神田校舎1号館13A会議室で開催された。報告者は岩見良太郎・埼玉大学名誉教授で、司会は白藤博行氏である。この研究会は『場のまちづくりの理論 現代都市計画批判』の出版を記念してのものである。

岩見氏は「現代の都市計画が住民要求を原理的に排除している」ことを問題意識の出発点とする。現代の都市計画はル・コルビュジエ流の機能的都市計画言語によって支配されている。そこでは都市計画は理性によって作るもので、住民参加は悪となる。独裁者が都市計画を立てることがいいとなる。社会変革主体変革を伴う都市計画言語こそ求められている。それが場のまちづくりである。

岩見氏が強調した点は「住民参加の徹底が解決にはならない」ということである。確かに現代日本の都市計画では住民参加が不十分である。それは大きな問題である。しかし、住民参加だけでは解決にならない。現代日本の都市計画に異議申し立てする立場の進歩的知識人にもル・コルビュジエ流の機能的都市計画言語の信奉者が多い。

これは納得である。二子玉川ライズも革新区政時代に誕生した計画である。ある点では進歩派の方が進歩や発展を無自覚に賛美しやすい。進歩派も含めて世論が東京スカイツリーへの賛美一色である点も日本の都市計画言語の貧しさを示している。

住民参加だけでは根本的な解決にならないことは現在の世田谷区政の迷走が示している。保坂展人区長は「住民参加」を掲げ、その精神は区職員にも浸透しているように見える。住民運動関係者も「前区政と比べれば、区が住民の話を聞き、対応するようになった」と指摘する。しかし、「大型開発優先区政からの転換」の実際の成果は具体的な形になっていない。むしろ前区政を踏襲が目立つ。このギャップは住民参加のみを考え、都市計画言語が旧態依然であるためと思える。

岩見氏は場の特徴として、対話を強調する。場は単独で自己完結するものではなく、周辺によって作られるものである。それ故に開かれたものであることが重要である。総有など所有権を制限することで街づくりの問題解決を考える傾向があるが、開かれた場という観点がなければ、強力な私的所有権に悪用されることになると警告した。

岩見氏は住民反対運動に積極的な意味を見出し、賞賛する。反対運動は素晴らしい街づくりの運動である。場を破壊する行政や開発業者に対し、場を守り、発展させる活動が開発反対の住民運動である。場の悪化を食い止めることが出発点であるが、縁をつなぎ、深めることになる。強固な街づくりの主体を育成する。住民が主体的に活動する反対運動が地域の縁を強め、場を活性化させる。

反対運動に対しては「反対のための反対で生産的ではない」とのネガティブな見方がある。この見方の影響力は強く、反対運動側からも「反対から街づくりへ」と言うことがある。これに対して岩見氏は「反対という街づくりから街づくりへ」と断言する。

「場のまちづくりの理論」に対してはコミュニティ論に取り込まれてしまうのではないかとの懸念が表明された。これに対して岩見氏は「場や縁を重視した都市計画では超高層マンションにはならない。ヨーロッパでは減築が行われているが、高層建築では場を壊すためである」と回答した。

この懸念も岩見氏の回答も納得できる。開発業者側も開発業者に都合の良いコミュニティ形成を大義名分として掲げることがある。たとえば二子玉川ライズでは「にぎわい」の形成がキーワードにされた。これに対して『場のまちづくりの理論』では高齢者の生活圏を分析して場や縁を浮かび上がらせる。

場や縁が生活者の現存するものを対象とする。それを大切にするならば高層マンションが登場しないことは当然である。これに対して開発業者の唱えるコミュニティは現存の場や縁を破壊し、スクラップ・アンド・ビルドで人工的に作り出すものである。開発業者のコミュニティ論に対抗するためでも「場のまちづくりの理論」は重要である。たとえば二子玉川ライズでは二子玉川駅東口側に買い物などに出かけていた二子玉川一丁目の住民が、二子玉川ライズのビル風や混雑のために行きにくくなった住民がいる。このような社会学的調査を重ねることで場や縁を提示することが具体的な解決策である。



建築紛争の世界では総有や建築許可によって所有権を概括的に制限することを解決策とする動きがある。この動きに対して岩見氏は国民の権利制限に悪用される危険を警告する。

これは慧眼である。実際、総有をテーマにしたシンポジウムで総有的な土地所有として紹介された例は、昔ながらの形態を維持するというものであった。特殊日本的ムラ社会の復活強化にしないためには「開かれた場」という視点は必須である。

また、シンポジウムでは複数人の行政担当者も登壇したが、彼らの問題意識は「空き家の放置が問題になっているために、所有権を制限して適切に管理しよう」というものであった。私権制限の発想である。だから行政担当者にも一定の理解を得られたものと言えるが、権力による国民の権利抑圧に悪用される危険にも注意しなければならない。

そもそも、マンション建設反対運動に携わる人々が総有に活路を見出すことには違和感がある。

第一にマンション建築紛争被害者の問題意識にストレートに結びつかないことである。デベロッパーの建築自由という名の横暴に苦しめられた人々が規制に期待することは自然である。しかし、総有という形で全ての土地所有権を規制することには論理の飛躍がある。問題はデベロッパーによる開発であって、その規制が求められている。

全ての土地所有を一律に規制することは、個人所有者を敵に回し、わざわざハードルを高くすることになる。地区計画的な発想では自己の土地所有権を規制対象とすることは当然であり、自らも規制してこそ開発業者にも規制を要求する思想は高尚である。しかし、個人の土地所有者は小なりとは言え、自立心がある。地区計画的な規制強化の進め方は理解が得られにくく、躓きの石になりやすい。

無論、デベロッパー的土地所有と個人の土地所有を峻別することは法技術的には容易ではない。それでもデベロッパー的開発をピンポイントで規制する法理論を構築した方がマンション被害者の問題意識にはストレートである。

第二に再開発や区画整理の問題意識とギャップがあることである。再開発や区画整理では土地所有権を一方的に制限する横暴によって人々が苦しめられている現実がある。

第三に権利本位の私法体系との異質さである。社会問題は権利に権利を対抗させることで解決してきた歴史がある。資本家の所有権による合法的な横暴に対抗するために労働者の権利が定められた。賃貸人の所有権による合法的な横暴に対抗するために借地借家権が定められた。比較的新しい企業の悪徳商法に対抗するために消費者の権利が定められた。林田力も東急不動産のマンションだまし売りに対して消費者契約法に規定された消費者の権利で対抗した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。

この歴史を踏まえれば街づくりも住民の住環境に対する権利で対抗する思想が自然である。現実に環境権という概念がある。二子玉川ライズ差し止め訴訟など多くの建築紛争の裁判で住民側の拠り所として環境権が使われている。裁判所は環境権に消極的で有効な武器とならない現実があるが、立法的解決を目指すならば環境権に基づく訴権を認めるなどのアプローチもあった。

建築許可も同じである。規制強化という方向性は理解できるが、許可という行政の裁量に委ねてしまうことで果たして住環境が守れるか不安がある。むしろマンション建設反対運動に取り組んでいた人々ならば行政に委ねられないことは肌感覚で分かるのではないか。二子玉川ライズのように世田谷区が東急電鉄という開発業者と密約して高層化を推進した事例もある。

一方で建築許可という裁量的な規制にした背景には画一的な基準にできない、画一的な基準を作っても重層長屋のような脱法的な建築を規制できないという事情があった。そのために具体的な状況を踏まえて許可するか否かを判断することを期待する。この許可を機能的都市計画言語によって一方的に判断するならば問題である。これに対して場や縁を踏まえて対話の中で判断するならば「場のまちづくりの理論」とも適合性がある。様々な開発問題の関係者が対話を重ねて運動を広げることを期待したい。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。