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二子玉川ライズ住民訴訟判決言渡日決定


東京地方裁判所に係属中の二子玉川再開発に対する公金支出の差し止めを求めた訴訟(平成19年(行ウ)第160号公金支出差止請求事件)の判決言渡日が決定した。東京地方裁判所522号法廷にて2010年5月25日に言い渡される。

この裁判は世田谷区による二子玉川東地区第一種市街地再開発事業(街の名称:二子玉川ライズ)への補助金支出が違法であるとして、世田谷区民約130名が世田谷区長を提訴した住民訴訟である。住民訴訟とは地方公共団体による公金の違法な支出に対して住民が提起する訴訟で、地方自治法を根拠とする。

住民側は都市公園の位置変更に関する都市計画決定(1989年6月16日)や事業認可組合設立決定(2005年3月4日)が違法であるため、その違法な決定に基づく二子玉川再開発への補助金支出も違法であると主張する(先行行為の違法性の承継)。

具体的には再開発地域の85%以上を所有する東急グループが世田谷区長と密約し、都市公園予定地を二子玉川駅から離れた場所に移動させ、東急グループの営利のために超高層ビル建設中心の再開発にした。これは都市計画公園・風致地区・景観重視という二子玉川の都市計画の方向性に逆行し、都市再開発法第4条第2項第1号「道路、公園、下水道その他の施設に関する都市計画が定められている場合においては、その都市計画に適合するように定める」などに違反する。

二子玉川再開発に対しては再開発組合を被告とする再開発事業の差止訴訟(民事訴訟)も提起されている(林田力『二子玉川ライズ反対運動1』「二子玉川ライズ訴訟控訴審証人尋問」)。そこでは住民側から再開発事業が周辺地域の洪水被害を増大させると主張・立証されているが、その証拠は住民訴訟でも提出された。

それに基づき、広大な人工地盤・巨大な地下建造物を建設する再開発事業は都市型水害の被害の拡大を招き、周辺住民の生命・身体・財産に甚大な被害を生じさせると結論付ける。これは都市再開発法第4条第2項第2号「当該区域が、適正な配置及び規模の道路、公園その他の公共施設を備えた良好な都市環境のものとなるように定める」に違反すると主張する。

世田谷区側は都市計画決定などの違法性を争い、また、先行行為に瑕疵があったとしても行政訴訟の公定力理論から、先行行為が取り消されていないために補助金支出は違法ではないと反論する。

住民訴訟では二子玉川再開発が公共の福祉に合致するかが争点となった。市街地再開発事業が公共の福祉に合致すべきであることは、誰もが同意できる大前提である。しかし、公共の福祉は抽象的な言葉であり、何が公共の福祉であるかは明確ではない。

都市再開発法第1条では法律の目的を以下のように定める。

「この法律は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。」

ここでは「土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新」によって、「公共の福祉に寄与する」という流れになる。「土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新」(以下、高度利用など)と公共の福祉との関係が問題になる。

高度利用などとは細分化している土地をまとめ、古い建物を壊し、高層の建物を新たに建設し、都市のインフラを整備することである。これは再開発で行うことそのものである。これによって公共の福祉への寄与を目指すことが都市再開発法の考え方になるが、両者の関係について2つの考え方が成り立つ。

第1に高度利用などと公共の福祉をイコールに近付ける考え方である。ここでは高度利用などが、そのまま公共の福祉につながる。高度利用などは再開発そのものの説明であるため、再開発をすることが公共の福祉に寄与することになる。

但し、「合理的かつ健全」という条件があるために無条件に高層ビルを是とすることにはならない。特に経済優先・開発優先の発想が見直されている現在では合理的・健全の基準も高度経済成長期からは変える必要がある。

第2に高度利用などと公共の福祉を別次元とする考え方である。ここでは公共の福祉に合致する再開発と公共の福祉に反する再開発計画が存在することになる。そこで個々の再開発計画について公共の福祉に寄与するか否かを具体的に検討し、公共の福祉に寄与する計画だけを認可することが求められる。

これまで日本では漠然と第1の考え方が採られることが多かった。実際、東京都による二子玉川再開発の意見書及び口頭意見陳述の審査でも「細分化した土地の共同化を図り、快適な市街地を形成する」から適切としており、二子玉川で土地を共同化することが公共の福祉に寄与するのかという検討はなされていない(林田力「二子玉川再開発への反対意見が情報公開で判明(下)」PJニュース2010年4月29日)。

前述のとおり、二子玉川再開発では再開発地域の85%以上を東急グループが所有する。これで細分化と言えるのか疑問があるが、この状態で共同化したら圧倒的な割合を有する東急グループによって、小規模地権者が圧殺されるということは容易に予期できる。現実に意見書や意見陳述では以下の主張がなされた(東京都「意見書及び口頭陳述要旨整理表」)。それでも東京都は「細分化した土地の共同化」で済ませた。

「小さな庶民はお金さえもらって地区外に出て行けばいい、それでなければ開発の建物に入ればいい。そのようなことでしか見てもらえない。結局、東急が大きな土地をどうにかしたいという計画である。不安だけで何のメリットもない、明日も見えてこない。」

「11haのうち多くは東急が更地で持っている。それを自力で開発することには何の問題もないはずである。なぜ、駅前の1haと合わせて再開発するのか。」

第1の考え方の問題点は再開発の判断尺度に欠けることである。再開発が機械的に公共の福祉に寄与するならば、とにかく高くて大きいビルを建設しようということになってしまう。その結果、近隣住民からは反対され、経済的社会的ニーズからは乖離し、地権者には借金が残る再開発が全国各地で強行された。

裁判の場で特定の再開発事業が公共の福祉に反すると主張されても、細分化された土地を高度利用するのだから公共の福祉に合致するという類の再開発の一般論から演繹しただけの反論が返る不毛な応酬となりがちである。そのために再開発の公共性について踏み込んだ議論は難しかった。

これに対して、二子玉川再開発の住民訴訟では住民側が都市工学の専門家である岩見良太郎・埼玉大学教授の意見書や証人尋問によって、公共の福祉の「5つの公準」を明らかにした。その上で二子玉川再開発が「5つの公準」を満たさないと主張した。「5つの公準」は以下の通りである。

公準1:地域環境の優れた資質を引き継ぎ発展させるまちづくり

公準2:持続可能なまちづくり

公準3:法制度の適切な適用と運用

公準4:まちづくりにおける公平性

公準5:住民参加

住民訴訟は2009年11月20日に結審したが、その時点で判決言渡日は明らかにされなかった。それだけ裁判所で慎重に検討していたものと考えられる。再開発の公共性について踏み込んだ判断がなされるか、判決内容が注目される。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。