林田力 amazon マンガ wiki



冨樫義博『HUNTER×HUNTER』


冨樫義博『HUNTER×HUNTER』は『週刊少年ジャンプ』の連載マンガの単行本である。架空の世界を舞台として、少年ゴン・フリークスらハンターの冒険を描く。『HUNTER×HUNTER 30』ではキメラ=アント編が完結する。

バトル漫画は主人公が敵キャラクターを倒す展開であるが、キメラ=アント編は異色である。人間の対極に位置すると思われたキメラ=アントの王の最後をヒューマニズムでまとめ、人間側の攻撃に人間の残酷さを描く。爆発後も体を蝕む薔薇の毒は放射能の内部被爆を連想させ、強烈な現代文明批判にもなっている。

『HUNTER×HUNTER』は下書き同然の絵が掲載され、定期的に休載することでも話題の作品である。キメラ=アント編完結で一休みに入ると予想されたが、そのまま新章に突入し、これまでと比べると相対的に長期の連載が続いている。『HUNTER×HUNTER』の度々の休載は作者の怠け癖と見られ、冨樫病という不名誉な言葉も生まれたが、キメラ=アント編は作者にとっても難しいテーマであったと言える。

新章の第319話「抽選」では十二支をモチーフにした幹部キャラクターが登場した。彼らは表紙にも後姿が描かれている。十二支をモチーフとする点は同じジャンプ作品の桐山光侍『NINKU -忍空-』と同じであり、大半のキャラクターのビジュアルが動物と関連付けられている点は尾田栄一郎の『ONE PIECE』の王下七武海に類似する。

しかも、幹部キャラの登場シーンは「どべ〜ん」の擬音付きで、これも『ONE PIECE』の「どーん」を連想させる。さらにストーリーは自己の過去作品の『幽遊白書』の魔界統一トーナメント編を想起させる展開になった。

一方で幹部キャラが動物と関連付けられる理由は、コードネームの付与者に心酔するあまり、自らを干支に因んだコードネームに似せようと自発的に努力した結果と説明する。ここには「なるほど」と思わせるオリジナリティがある。

『HUNTER×HUNTER 31』は前巻で完結したキメラ=アント編とは大きく変わった。キルアの妹のアルカがキーパーソンになる。キルアの妹を守ろうとする覚悟が光る。アルカの能力説明が複雑で頭を使う漫画である。

並行してハンター協会の会長選挙が進行する。腹黒い悪役と予想された副会長のパリストンであったが、フェアに戦っている。自分の不利になるルールを提言し、障害を楽しんでいる節がある。そこはネテロ会長に似ていると評されている。「相手の弱いところをセットで叩くから報復」という卑怯者とは大違いである。(林田力)



一瞬一瞬の心理描写が深い『HUNTER×HUNTER 第26巻』

本書(冨樫義博『HUNTER×HUNTER 第26巻』集英社、2008年10月3日発売)は週刊少年ジャンプの連載マンガの単行本である。架空の世界を舞台として、少年ゴン・フリークスらハンターの冒険を描く作品である。

この巻ではキメラ=アントという人間を捕食する危険な生物との戦いが山場を迎える。ゴンやキルアらがハンター試験を受験するところから始まった本作品であるが、このキメラ=アント編ではハンター協会会長に実力を認められるほどに成長した。キメラ=アントとの戦いはハンターとしてもレベルの高い戦いになっている。

タイトルにもなっているハンターは、念と呼ばれる特殊な能力を駆使して冒険する人々を指す。ハンターの使う念はオーラ(生命エネルギー)を操る能力で、念能力者は各々独特の能力を有する。荒木飛呂彦の作品『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンド(幽波紋)にも似ている。本作品はバトル中心のマンガであるが、個性ある念能力が戦いを単純な力対力の対決以上のものにしている。

とりわけ「制約と誓約」という念の特性が戦闘を複雑にする。これは能力の発動条件を厳しくすればするほど、威力が巨大になるという性質である。たとえば主要登場人物のクラピカの能力「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」は鎖を巻きつけることで相手を無力化できるが、幻影旅団員に対してしか使用できないという制限がある。戦いにおいては自分の能力の発動条件に適した状態にしなければならないため、頭脳戦の要素も出てくる。

さらに、この巻では強者同士のレベルの高い戦いが展開され、戦いの一瞬一瞬での心理描写が詳細になっている。攻防を繰り返す度にキャラクターの心理説明がなされる。戦闘シーンというと派手なアクションで魅せるマンガとなりがちであるが、これほど詳細な説明がなされることに驚きである。

戦いにおいてキメラ=アント側が合理的で、主人公側が非合理的という逆転現象が生じている点も興味深い。キメラ=アントの護衛軍は、あくまで王を守るという目的を忘れない。これに対して、ナックルは計画遂行よりもシュートが侮辱されたという怒りを優先させて行動する。それを諌めるべきシュートも、ナックルの行動を支持する。

人間の価値観に基づくならば人間を捕食するキメラ=アントは悪である。故にキメラ=アントと戦うハンター達の戦いは人間にとって正義の戦いになるはずである。しかし、戦いを担う登場人物は、むしろ自分達の感情に従って行動する。人類のためという偽善的な自負心が前面に出ない分、かえって作品にリアリティを持たせている。

特に主人公のゴンは恐ろしいほど非合理性を爆発させた。これまでゴンは天真爛漫な明るく優しい性格の持ち主として描かれてきた。暗殺者の家系に生まれたキルアや同胞を幻影旅団に滅ぼされたクラピカのような影がないため、キャラクターとしての深みに欠ける点は否めない。それが、この巻では戦意を示さないネフェルピトーと対峙して、やり場のない怒りで感情が制御できなくなる。優等生的なキャラクターの人間的な側面を垣間見ることができた。

本作品は度々休載され、連載再開がニュースとして報道されるほどの状態である。最近では単行本の発売と連載再開がセットになっている感もある。それでも打ち切られず、読者から見放されないだけのクオリティが本作品には存在する。継続して欲しい作品である。



『HUNTER×HUNTER』第28巻、老人のカッコよさと醜い悪意

冨樫義博が『週刊少年ジャンプ』で不定期連載している漫画『HUNTER×HUNTER』が、7月4日に発売された。架空の世界を舞台に、少年ゴン・フリークスらハンターの冒険を描く作品である。この巻ではハンター協会会長のネテロとキメラ=アントの王の戦いがクライマックスを迎える。

少年漫画では少年や青年が主人公となって活躍することが基本である。対象読者と近い世代の方が感情移入しやすいためである。主人公の師匠役として実力ある老人が登場することも多いが、戦闘では後に主人公が倒す強敵と戦って敗北し、主人公の引き立て役になりがちである。

ネテロと王の戦いも、その路線に沿ったものである。王は文字通りキメラ=アントの王で、ラスボス的な存在である。もしネテロが王を倒してキメラ=アントの問題を解決してしまったならば、主人公は脇役で終わってしまう。それでもネテロと王の戦いは圧倒的な迫力で描かれた。

この巻に収録された内容は2010年の『週刊少年ジャンプ』に掲載されていたものだが、当時は他の人気漫画でも老人が主人公を凌ぐ活躍を見せていた。『ONE PIECE』の白ひげことエドワード・ニューゲートと『BLEACH―ブリーチ―』の山本元柳斎総隊長である。

いつの時代でも若者にとって否定し反抗し克服すべき存在であるが、少年の夢を反映した少年漫画で同時期に老人がカッコよく活躍する展開が複数作品に現れることは時代の空気を反映している。カッコよい老人の活躍は、もはや現実の老人世代は否定するほどの魅力もなくなっていることの裏返しになる。

白ひげは若い世代に希望を託し、山本総隊長は主人公の活躍の前座になった。これに対してネテロは捻りが加えられている。激しい攻防が繰り広げられた王との戦いであるが、最終的にはネテロが劣勢になる。追い詰められたネテロの行動は「人間の底すら無い悪意」が発現されたものであった。

それは念能力という架空の能力を使ったバトル漫画では肩透かしとなるものであった。武道を極め、強敵と戦うことに喜びを見出していた戦士らしからぬ行動である。しかし、現実社会に置き換えれば権力者が採るような方策であり、リアリティがある。ネテロは主人公の範となるようなカッコ良い老人であるだけでなく、権力を持つ老人のような醜い悪意も見せた。

人間を捕食するキメラ=アントは人間にとって危険な存在であるが、王や護衛軍のユピーは人間と接することで、人間に対する見方を変えつつあった。その矢先に「人間の底すら無い悪意」に直面した。ますます先の読めなくなった展開に注目である。(林田力)




東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。