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新田たつお『静かなるドン 104』


『静かなるドン 104』は鬼州組とシチリア・マフィアの決戦前夜を描く。イタリア首相にしてシチリア・マフィアのドン・メタボーニが、最強の殺し屋軍団を従えて来日した。世界皇帝・ドレイクの思惑通り、ヤクザとマフィアの血で血を洗う決戦が始まろうとしていた。しかも、この戦いに秋野明美が思わぬ形で巻き込まれることになった。

『静かなるドン 104』では新たに黙示録の四騎士という敵幹部が登場するが、流石に次々と新キャラクターが登場する中でインパクトが弱くなっている。かつてのビトー・アレキサンダーの四天王ほどの迫力はない。それでもシリアスな展開でも下らないギャグを畳み掛ける『静かなるドン』らしさは健在である。

また、四騎士随一の切れ者が毒の使い手という設定は興味深い。現代日本では脱法ハーブ(合法ハーブ)という毒物が社会問題になっている。ユーモラスなシチリア・マフィアのキャラクターであったが、毒の使い手の登場によって敵としての憎らしさが出てきた。

シチリア・マフィアと対決する白藤龍馬はメタボーニ殺害の覚悟を決めた。もともと龍馬の関心は世界皇帝であって、シチリア・マフィアはふりかかる火の粉に過ぎなかった。しかし、シチリア・マフィアに邪魔され、自らの構想を妨げられた結果、矛先をシチリア・マフィアに向けることを決意する。

林田力は東急不動産だまし売り被害者として東急リバブル東急不動産と闘いながら、地上げブローカーやゼロゼロ物件業者に攻撃されてきた。本来の敵対者とは異なる相手と戦わなければならない龍馬の悔しさや怒りは大いに共感できる。世界皇帝への戦い方が二転三転して何をしたいか共感できなかった龍馬であったが、覚悟を決めた龍馬は応援できる。



『静かなるドン 105』

『静かなるドン 105』ではヤクザとシチリア・マフィアの決戦が幕を開ける。ここでアポロニアの正体が明らかになる。「太陽の娘」というアポロニアの形容からの想像は見事に裏切られた。若い頃はムッソリーニやナチスドイツというファシスト勢力と戦うレジスタンスであった。マフィアがファシストに抵抗したことは歴史的事実である。

物語においてシチリア・マフィアは当面の敵であるが、黒幕が世界皇帝であることは既に明らかになっている。本来はヤクザにとってマフィアは敵ではなく、世界皇帝によって戦うことを仕組まれた存在である。むしろ戦わずに済ませたいところである。それ故に戦いが一段落したならばマフィアと和睦する展開が容易に予想できるが、昨日の敵は今日の友の展開は時代遅れである(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。

そこでアポロニアがファシストと戦うレジスタンスであったという過去が重要になる。これによってアポロニアが本質的な悪でないことを意味することになる。ナチズムなどのファシズムは人類最悪の敵という共通観念があるためである。単純な昨日の敵は今日の友は無節操であるが、反ファシズムの闘士と手を握るならば格好はつく。

日本では反ファシズムの意識は乏しい。ヤンキーを売りにする弁護士がナチスのハーケンクロイツ(鍵十字)をウェブサイトに掲げて、サイモン・ウィーゼンタールに情報提供された。世界皇帝などユダヤ陰謀論を取り込みながら、ファシズムとの戦いを遠景に描く『静かなるドン』の思想は健全である。



『静かなるドン 108』

『静かなるドン 108』は最終巻である。連載長期化によって物語が別の方向に進む作品も少なくない中で、近藤静也と秋野明美の物語というブレのない最終回であった。

最終章は世界皇帝という巨大権力との戦いがテーマであった。世界皇帝の支配の構造が温存された結末には不満もあるだろう。しかし、世界皇帝との対決は白藤龍馬の目的であり、近藤静也のものではない。静也は一貫して暴力団の平和的な解体を望んでいた。初心を貫く最終回は見事である。

シチリア・マフィアとの戦いに何の意味があったか疑問であるが、静也のヤクザ解体の抵抗勢力となりうる新鮮組幹部を退場させるというストーリー展開上の意味はあった。

ヤクザ解体という静也の目標に向かった結末であるが、世間から見るとヤクザの大組織同士が同盟し、ヤクザの立場が強くなっている点が逆説的で面白い。現実世界では暴力団排除が進行しているが、その結果として関東連合などの暴走族上がりの半グレが跳梁するという悪質な結果になっている。元暴走族は六本木フラワー集団撲殺事件など暴力団以上に反社会的である。また、暴力団排除を名目に天下りなど警察利権になるという問題もある。その意味で『静かなるドン』のヤクザ解体の方向性は現実社会への皮肉になる。






東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。