林田力 東急不動産だまし売り裁判



二子玉川の環境を守る会総会2013


二子玉川の環境を守る会総会が2013年2月9日、東京都世田谷区玉川台の玉川台区民センターで開催された。案内文では「暮らしを置き去りにした「二子玉川再開発」で、日常のアブナイ現実の改変が課題」と述べる。

活動報告では「大揺れの1年を振り返る」と題し、「第1期事業の完成により、ますます具体的な被害が深刻になっており、地元住民グループ共同の、意見集約・区との話し合い・交渉が行われています」と述べる。

世田谷区の情勢については以下のような厳しい分析となった。「昨年の総会で、『変化のきざしがみられる』と分析した世田谷区政は、区民の運動にもかかわらず、必ずしも区民本位とは言えない状況に至っており、大型開発や道路関連への対応も私たちの期待に反するものとなってきています」

この分析は二子玉川住民運動の外でも共有されている。「保坂区長が初登庁した日に語った『95%と5%』に象徴されるように、もし、前区政とその行政運営手法に固執するとすれば、その転換を求めた区民・有権者の相対的多数の期待を裏切ることになり、ひいては、区民・有権者の相対的多数の支持と信頼を失うことになるのではないか」(中村重美「東京都知事選挙の結果と都政、区政の課題」世田谷自治問題研究所『世田谷のまちとくらし』2013年1月号10頁)

活動方針は「二子玉川再開発が環境を破壊し、住民の生活に犠牲を強いる本質と実態を、裁判を含むあらゆる方法で世論に訴えます」とする。

二子玉川ライズ行政訴訟(平成24年(行コ)第360号)の訴訟代理人である渕脇みどり弁護士は以下のように述べた。

二子玉川ライズ行政訴訟控訴審では裁判所から過去の判決を出すように求められた。判決を証拠として出した。二子玉川ライズ差止訴訟と二子玉川ライズ住民訴訟、二子玉川ライズ行政訴訟の関係を準備書面1で書いた。

どこを訴えるかという点は提訴当時も大いに議論した。二子玉川ライズでは東急電鉄・東急不動産、二子玉川東地区第一種市街地再開発組合・二子玉川東第二地区第一種市街地再開発組合、世田谷区、東京都とアクターが多い。どこかに苦情を申し入れても、たらい回しにされる。

二子玉川ライズ行政訴訟は小田急最高裁判決など原告適格拡大の流れの中で提訴したものである。その流れに逆行して原告適格で切った二子玉川ライズ行政訴訟一審判決に怒りを覚える。現地に行くと風が強いことを実感する。日常生活で危険なレベルである。先日現地に行った時は下校時刻であったが、危険なために親が外に出て子どもの帰宅を見守っていた。

二子玉川ライズ建設地は第一種住居地域であり、映画館や3000平米以上の店舗・事務所は禁止されている。ところが、2013年1月21日の東京都建築審査会の口頭審査で東京都側は将来的には近隣商業地域とすることが望ましいから『やむを得ない』ものとして例外許可を認めると主張した。現状で許されないものを、規制緩和の都市計画を先行させて違法の建築を進める行政の開発優勢姿勢を露骨に感じたという。

その上で「まちづくりの自立的運動への広がりを、自信をもって、自分達の言葉や感性で語り、二子玉川ライズの構図の誤りを明らかにしていく取り組みは、さらに重要性を増していきます」とまとめた。

林田力は世田谷区の風対策プロジェクトの状況について説明した。住民の討議では様々な意見が出された。

「二子玉川ライズ差止訴訟の判決で圧迫感を認められた。二期工事で圧迫感が深刻化している。ビル風で倒れそうになったなどの被害は表に出ないだけで枚挙に暇がない。階段のカバーが飛ばされた時には世田谷区と再開発組合を呼んだ。再開発組合は風害を認めようとせず、逃げていた。世田谷区は風害と認めたが、再開発組合には及び腰である。再開発組合は住民に風速データを出さない」

「風の問題は容易に解決できないという実感がある。世田谷区は深刻な問題と認めているが、具体的な解決策は見えていない。気の遠くなるような話である。今は作業にかかる前段の状況である。その間に、また担当者が変わるのではないか。いくら金がかかるか分からない。区政に変化は見られると言われるが、本質的な変化はない」

「建物が建てば日照の問題、照り返しの問題がある。高層ビルからの日光の照り返しは非常に不愉快がある。二子玉川ライズによって周辺環境の温度が高くなる。ヒートアイランド現象が二子玉川にできている。今のビル風は老人や子どもに影響があるが、二期ビルができれば風害は一般の男性でも歩けなくなるのではないか」

「住民が風速を測定したところ、川岸だと風速5メートル程度でも、横断歩道では15メートルくらいになる」

「二子玉川ライズからの照り返しで朝日が南から入る」

「季節感も時間感覚もなくなる」

「雨の日は傘をさせない。ビル風に傘の骨が折れてしまう」

「二子玉川には零細業者が沢山いたが、多くの業者が立ち退かされ、廃業を余儀なくされた。立ち退かされたために工場を廃業した人もいる。ノイローゼになった人もいる。再開発で買い物客が来なくなった店もある。商売にならないために田舎で農業を目指す人もいる。

「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」に入居した高齢者は孤独である。建物の中に入るまでが大変である。エレベータも指定階しか止まらない。帰るときも大変である。買い物にも容易に出られない。苦労している」

「日常的な生活から隔離される。コミュニティーから切り離される」

「マンション生活は快適と宣伝されるが、快適と思えない人も多い」

「金儲けの道具として住環境の価値を図る人がいる。人間の飼育箱としてマンションを考える。物差しが違う人にどうやって対応するか」

「我々は地価が上がっても税金が上がるだけである。環境が悪くなるのに」

「地元商店も廃業を考えている。立ち退いて横浜に引っ越した人がいる」

「莫大な税金を二子玉川ライズに投入することは多くの人がおかしいと考える筈である。保育や福祉に金を使わないで、なぜ東急の開発に金を使うのか。世田谷区民一人当たり9万円が二子玉川ライズに使われている。世田谷区では老人ホームに入れない老人が多い。待機者が年々増えている。特養老人ホームを作るのに50億円かかる。二子玉川ライズ補助金を使えば解決できる。税金によって環境が破壊されることを広く訴える」

「再開発の前提に新しい産業や綺麗という価値がある。それが中小業者を苦しめている。デジコンの問題も同じである。都市型産業とアピールしたが、補助金詐欺で終わった」

「二子玉川ライズは資本主義の矛盾である。住めない街になる。シャッター通りになる。個人がバラバラになる。背後には享楽主義がある。一時の享楽に熱中する。新たに建てられたアパートの住環境は劣悪である。連帯して闘わない限り、ダメである。安倍内閣は公共事業を推進する。『コンクリートから人へ』が『人からコンクリート』に逆行している」

「住民運動の色々な積み重ねが成果になっている。皆がバラバラにされないように連帯して生きていく」

「二子玉川の環境を守る会は東急本社でビラを撒いた。世田谷区役所前でビラを撒いた」

「風問題で3年間交渉した。やっと工程表を出してきた。9グループでアンケートを実施し、二子玉川ライズの問題を明らかにした。税金の使い方では世田谷区民も日本国民も関係ある」

「私達は人間として正しいことをしている。かつての二子玉川は素晴らしい場所であった」

「風の問題が起きているので二期工事を止めろという声は強かった。東急の対応は癪に障るものであった。東急は『原告とは会いたくない』と開き直った」

「住民運動には多摩川のスーパー堤防に反対するグループもいる。工事が再開されている。桑の木が切られた。ケヤキの木も切られた。異変を感じてカラスが集まった。カラスも仲間を呼んでいる。住民は工事の阻止行動に出ている」

江口じゅん子・世田谷区議「世田谷区の予算案が発表された。今年は歳入増が特徴。プライマリーバランスが黒字。潤沢と分析している。それにもかかわらず、施設使用料値上げなど利用者負担は増大する。

二子玉川、小田急、京王線、外環道と四大開発全てに予算がついている。補正予算はアベノミクスの影響を受け、二子玉川ライズや道路予算の前倒しになっている。開発優先の予算になっている。一方で、いくつかの成果もある。二子玉川ライズ補助金は7億円削減させ、今年度の予算では2億円を削減させた。これは住民運動の成果である」

「住環境破壊は今後深刻になっている。9グループと連帯して解決していく」


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。