林田力 東急不動産だまし売り裁判



二子玉川の環境を守る会総会での問題提起


二子玉川の環境を守る会総会(2013年2月9日)での問題提起は非常に重要な内容を含んでいる。以下は全て個人の見解である。

第一に二子玉川ライズ反対運動の成果について考えることが提起された。この問題提起に管見は賛成するが、何を成果とするかの点では様々な議論が成り立つ。二子玉川ライズ反対運動の大きな成果は保坂世田谷区政による約7億円の補助金削減である。

東急電鉄・東急不動産の私的な営利目的の再開発が実態の二子玉川ライズに7億円分の税金を投入しなくて済んだことは大きい。住民反対運動に直面したデベロッパーが住民のために何らかのコストを負担するとしても、7億円も支出することは考えにくい。企業にとって7億円分の利益を出すこともコストを削減することも容易ではない。

これは非常に大きな成果であり、広くアピールする価値がある。アピールする上では、どのようなところに補助する予定であったか、具体的な説明を付すことが望ましい。二子玉川ライズ1期事業の分譲マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」ではエレベータ建設費のようなマンション住民のための設備に税金が使われた。デベロッパーが自己資本で負担すべき箇所に公共性の名目で補助金がつけられようとしていたという事実が二子玉川ライズ反対運動の推進力になる。それは一層の補助金削減の論拠にもなる。

問題提起者が具体的に想定した成果は二子玉川ライズのビル風対策で地下道や歩道橋を求めることなどである。これにも管見は賛成する。二子玉川ライズ反対運動と、二子玉川ライズに住民への配慮を要求することは両立する。マンション建設反対運動でもマンション建設に反対するとともに目隠しなどの住民要求を突き付けることは通常行われている。

歩道橋や地下道は二子玉川南地区住民を二子玉川ライズに取り込む有効な手段である。合理的な開発業者ならば自発的に建設しても不思議ではないものである。それすらしないところに東急電鉄・東急不動産の徹底した住民無視の姿勢がある(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「二子玉川ライズ強風対策工程表案の意義」)。

それは多摩川のスーパー堤防建設による二子玉川南地区の住民立ち退きを見越しているとの推測が成り立つ(林田力『二子玉川ライズ反対運動5』「二子玉川ライズ強風対策検討会が始動」)。それならば歩道橋などを設置して住民が住み続けられる環境にすることが抵抗になる。イスラエルの占領下にあるヨルダン側西岸ではインフラを維持して住み続けることが重要な抵抗運動になっている。

一方で二子玉川ライズに公共施設を入居させることを成果として目指すことには反対する(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「二子玉川ライズ公共施設入居反対論」)。玉川に公共施設が少ないとの事実に基づいて公共施設を求めることは自然な街づくりの運動である。しかし、二子玉川ライズが設置先として優れているかは別問題である。

コンクリートで固められ、風害、イベント騒音、飲食店の悪臭などの問題を抱える二子玉川ライズは地域住民が通いやすい場所ではない。公共施設を求めるならば住民にとって便利な場所に求めるべきである。特に二子玉川南地区はスーパー堤防という開発危機を抱えている。南地区に新たに公共施設を設置するならば南地区を住み続けられる街にすることになる。独占的開発資本の都市計画に対する抵抗になる。

第二の問題提起は二子玉川ライズ反対運動の広がりについてである。二子玉川ライズ反対運動は活動の幅を広げている。地域の住民運動と連携して活動する。さらに世田谷区の街づくりの問題や施設利用料値上げなど区民負担増大反対の運動など世田谷区政の問題に関心を広げ、汎世田谷的な運動を志向する。東京都知事選挙では人にやさしい街を目指す宇都宮候補の勝手連を支えた。

それを二子玉川ライズ反対運動の拡大につなげていくことが問題である。これは決して容易ではない。これまでの連携の相手は2パターンに大別される。第一に街づくりの運動である。この運動体にはプチブル的な性格があり、反対運動には抵抗感を抱き、反対運動そのものの拡大にならないことが多い。

連携相手の第二は様々な市民運動である。貧困や格差を作っているものは市場での競争ではなく、開発利権などの不公平な富の再配分である。それ故に再開発反対運動は様々な市民運動のテーマと密接に関わっている。実際、開発に投入される税金を福祉や反貧困など市民運動の要求に回せば、ほとんどの問題は解決できる。

この方面でも二子玉川ライズ反対運動は連帯の実績を積み重ねているが、市民運動は自分達の領域で忙しく開発問題に意識が回らない傾向がある。そのために二子玉川ライズ反対運動そのものの拡大には中々結びつかない。

連帯は大事であるが、過度の期待は禁物である。汎世田谷的な運動は二子玉川ライズ反対運動の拡大に必ずしも直結しない。二子玉川ライズ反対運動を広げるとの問題提起への解としては、同じ東急電鉄・東急不動産の開発に苦しめられた被害者との連帯を重視すべきと考える。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。