林田力 東急不動産だまし売り裁判



二子玉川ライズ強風対策検討会が始動


東京都世田谷区玉川の二子玉川ライズのビル風問題について、世田谷区民有志4人は2013年1月18日、世田谷区役所で堀川雄人・生活拠点整備担当部長ら区職員と協議した。2012年9月18日や12月4日の協議の続きである。

検討会の発足が説明されるなど二子玉川ライズのビル風対策に世田谷区が動き出していることが明らかになった。一方で問題の深刻さの認識や解決までの時間間隔について住民とのギャップが改めて浮き彫りになった。検討会は実務家や研究者の人選が決まり、会合も1月下旬から始まるが、住民側の傍聴要求には消極的な回答であった。住民側は住民不在で解決策が決められ、それが実施され、解決されたことになってしまうことを懸念する。

また、集められた専門家は風工学の専門家で、風害を起こさないような設計とすることはできるが、二子玉川ライズ1期ビルは竣工し、2期ビルは建設中である。現に起きているビル風を避けるために歩道橋を作るなどの検討が可能かという問題もある。

住民側は二子玉川東地区第一種市街地再開発組合が採取した風速データを検討会で分析することを求めたが、これにも消極的であった。世田谷区は区で新たに採取することに拘るが、二子玉川ライズ2期ビル建設中という環境が変わりつつある状態でのデータには問題がある。測定場所についても区が多摩堤通りの横断歩道を挙げたのに対し、住民側は二子玉川ライズのビルの屋上や中間点での測定も必要と主張した。

総じて住民からの指摘には「現実的には難しい」的な紋切り型の回答が目立った。反射的な返答である。先ずは考えて、やってみて、どうしても「これば実現できない」「この問題を解決しなければ実現できない」となる。しかし、そこまで具体的に検討しているようには見えなかった。

懸案の多摩堤通り横断対策について住民側からは「屋根つきの歩道橋」や「地下道」を求める声が出ているが、世田谷区側の反応は消極的であった。2012年9月18日の協議で期待を持たせた状況からは後退している。世田谷区が再開発組合に実施させるスタンスであったことを踏まえるならば、再開発組合に打診して拒否されたと想像できる。

その背景には東急電鉄・東急不動産の住民無視の姿勢がある。地下道にしても歩道橋にしても本来は二子玉川ライズのメリットになる。地下道を「二子玉川ライズ ショッピングセンター」の地下街に連結する。2期事業で建設するペデストリアンデッキを南側にも伸ばして多摩堤通りの歩道橋にする。これらによって二子玉川南地区の住民を買い物客として取り込むことができる。この程度の開発戦略もないところに東急電鉄や東急不動産の救い難い住民無視の体質がある(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「二子玉川ライズ強風対策工程表案の意義」)。

協議では強風時の誘導員がバス乗降客しか補助せず、南地区からの歩行者を無視していると指摘された。東急が二子玉川南地区を頑なまでに無視する背景としてスーパー堤防建設で南地区が全面的に再開発されることを見越しているのではないかと勘繰りたくなる。二子玉川ライズは二子玉川南地区を哀れなバンツースタンBantustans(南アフリカ共和国がアパルトヘイト政策に基づいて設置した黒人居住地域)にしようとしているかのようである。

前回協議からの継続課題として、強風時の補助員の行動基準とファーストフード店からの悪臭・熱風問題がある。強風時に補助員が出ていないという問題については、現状では防災センターの責任者が歩行困難な状況か判断するということになっている。つまり防災センターの責任者が歩行困難な状況ではないと判断すれば、どれほど現実に歩行者が困っていても補助員を出さなくていいということになる。

誘導員配置要請に対して二子玉川ライズ側は「コストがかかる」との開き直りの回答もあったという。東京スカイツリーでは落雪被害を避けるために約60人の警備員を配置して目視で警戒する(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「東京スカイツリーの落雪被害」)。東急電鉄・東急不動産のデベロッパーとしての格の低さが表れている。

この問題での二子玉川ライズ側の対応の悪さは世田谷区担当者も認めるところであり、二子玉川ライズの良識と自主性に期待しては住民の安心・安全は守れない。世田谷区が二子玉川ライズからコストを徴収して歩行者の誘導・補助員を雇うというアプローチも考える価値がある。これは地域雇用問題への取り組みにもなる(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「二子玉川ライズ強風対策で定点測定」)。

ファーストフード店からの悪臭・熱風問題は冬になっているために、それほど住民も気にならなくなったという実態がある。本格的な対策は完了していないとのことであった。毎年、夏は住民の苦情があっても、時間稼ぎして冬になれば自然と住民の不満も小さくなると二子玉川ライズ側が考えているのではないかとの懸念もある。二子玉川ライズは口先だけのコミットメントを継続することで、住民の不満から逃げたいと考えているようである。これは戦術的には狡猾であるが、長期的な戦略ビジョンは一切示しておらず、住民と向き合っていない。

このように問題の元凶は二子玉川ライズにあり、世田谷区には身勝手な東急の後始末をさせられる被害者として同情の余地があることも否定しない。二子玉川ライズは世田谷区にとって荷物である。しかし、世田谷区も二子玉川再開発を推進した立場であり、責任は免れない。

二子玉川ライズ風害は世田谷区議会でも取り上げられている。2012年11月の第四回定例会では、みんなの党・行革110番の桃野よしふみ議員がビル風対策を迫った。桃野議員は二子玉川再開発に伴う風害は未解決とし、専門家を含めたチームを結成し、地下道などの設置も視野に入れ、一段と風が強まる春までの解決を求めた。ここでは「地下道」「春までの解決」と解決策や期限を具体化している。これが住民の感覚である。

住民からは「各地で説明会を開催してください」「ヒアリングをしてください」「住民が当事者です。住民の声をきいてください」などの声があがっている。二子玉川ライズで最も被害を受ける存在は近隣住民であるが、大型開発の被害は広範囲に及びます。世田谷区は二子玉川ライズの住環境破壊の実態を踏まえるため、住民からの聴き取りを行うとともに、広く懸念を有する市民の声を聴くべきである。各地域で説明会を開催すべきである。

高層ビルのビル風は川崎市中原区の武蔵小杉でも問題になっている。23階建てビルの前は地元で「突風が吹く」と悪評高い場所である。2012年夏に住民運動が通行人105人に聞きとったところ、「傘が壊れて困る」「母が転んで眼鏡が壊れた」など89人がビル風を経験したり、見聞きしたりしていた。転んで骨折し、3カ月入院したと答えた人もいた。中原区内の女性(71)は、ビル前の交差点で強風にあおられて自転車に乗ろうとしたところ転倒し、右手の薬指を負傷した。「しがみついても吹き飛ばされそうになるぐらいだ」(「高層マンション 建設続く武蔵小杉」朝日新聞神奈川版2012年11月11日)




東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。