二子玉川ライズのビル風被害は一級品

林田力

世田谷区は「二子玉川東地区風調査検討プロジェクト専門家会議検討状況説明会」を2014年2月13日に玉川支所で開催した。専門家会議の中村修議長は「二子玉川ライズのビル風は一級品」と述べ、被害の大きさが再確認された。特に二子玉川ライズ・オフィスのビル風の問題が大きいことが明らかになった。

東京都世田谷区玉川では東急電鉄・東急不動産中心の再開発・二子玉川ライズのビル風被害が大きな問題になっている。住民は世田谷区に何度もビル風問題の対応を求めてきた。私も何度かオブザーバーとして住民と世田谷区の折衝に同席した(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「世田谷区民が二子玉川ライズのビル風問題を世田谷区と協議」)。世田谷区の反応は鈍かったが、専門家会議検討状況説明会開催にまで至ったことは感慨深い。

二子玉川ライズのビル風は一級品とのことで、二子玉川ライズのビル風被害の大きさが再確認された。今や超高層ビルは全国各地に存在し、傘が破壊されるなどのビル風被害も珍しくない。この中で二子玉川ライズが大問題になっていることには特別な理由があるのだろうか。都心のようなオフィス街と異なり、二子玉川は子どもや高齢者の生活する住宅街だからとの説明が考えられる。それでも超高層マンションの林立する江東区豊洲などと比べても二子玉川ライズのビル風被害は異常である。

しかも専門家会議で二子玉川ライズのビル風対策は植栽などオーソドックスな手法では不十分と指摘する。通常の対策では対処できないような異常なビル風を起こす二子玉川ライズを建設した責任は強く問われなければならない。

世田谷区玉川が元々比較的風の強い地域であったという事実があるとしても、二子玉川ライズの免責にはならない。そのような地域であるならば一層ビル風に配慮した建築にしなければならないためである。

この説明会でも世田谷区担当者の姿勢が事業者(再開発組合、東急電鉄・東急不動産)に申し入れるとの他力本願一辺倒であったことは残念である。これは住民との折衝から変わらない姿勢である。安心安全の街づくりを主体的に実現する姿勢が問われるものである。

説明会では二子玉川ライズ・オフィスにぶつかって生じるビル風の影響が大きいとする。一方で二子玉川ライズ二期ビル建設によるビル風被害は、シミュレーション結果によると二子玉川ライズ・オフィスと比べて相対的に小さいとのことである。この点は住民の感覚に反し、検証が必要である。二期ビルは建設中であり、適切な対策によって被害を防げる可能性が大きい。

また、オークモールやタワー&レジデンスのビル風についても、住民は問題視しており、調査・検証が求められる。従って説明会から「二子玉川ライズ・オフィスのビル風だけが問題」と決め付けることは誤りであるが、少なくとも二子玉川ライズ・オフィスのビル風被害が問題であることは共通認識が得られた。

二子玉川ライズ・オフィスは16階建てである。風致地区の世田谷区玉川にはふさわしくないが、相対的には、それほど高いビルではない。超高層ビルのタワー&レジデンスや二期ビルを差し置いてビル風被害の問題とされた。専門家会議は二子玉川ライズ・オフィスの風害対策は植栽などオーソドックスな対策では不十分であり、道路に覆いをかけるような経済的にも技術的にもハードルの高い手法を対策として提言する。つまり、二子玉川ライズ・オフィスは、まともな風害対策では対応できないということである。

超高層ビルと比べれば僅か16階建ての二子玉川ライズ・オフィスが通常の風害対策では対処できないビル風被害をもたらしている。これは一般の超高層ビルのビル風被害とは異質な問題と考えるべきかもしれない。二子玉川ライズ・オフィスの構造やデザインが通常では起こらないビル風被害を起こしていると考えるべきではないか。二子玉川ライズ・オフィスは一種の欠陥建築と言えるのではないだろうか。

二子玉川ライズ風害状況説明会

二子玉川東地区風調査検討プロジェクト専門家会議検討状況説明会は参加者の紹介で開始した。続いて世田谷区担当者による経過説明である。二子玉川でビル風の問題が起こり、専門家会議で検討している。結論は出ていないが、きめこまかく現状を伝えるために説明会を開催した。中間報告の位置付けである。これまでに7回の会議が開催された、

世田谷区担当者の話し方がモゴモゴしていたため、参加者から「声が聞こえない。マイクを使っているのだからはっきり言って」との苦情が出た。

専門家会議の中村修議長は検討状況を説明した。現地を見て風が強いと感じた。商売柄風の強いところに行っているが、ここは一級品と思った。植栽の防風効果は十分ではない。他の超高層ビルとも共通するか、樹木の枝がなくなっているなど防風対策としては不十分である。

状況把握のために風速計を設置した。歩行者に対する影響が問題であるために、本来は人の身長の高さに風速計を設置することが望ましい。しかし、それでは歩行者の邪魔になる。悪戯の被害を受けやすくなる。そのために風速計は3メートルの高さにした。

風速についてメディアでは最大瞬間風速が取り上げられることが多いが、専門家の検討ではバラツキがあるために平均風速と合わせて使うことが多い。しかし、ビル風にあおられて転倒という場合は最大瞬間風速の問題になる。そのために最大瞬間風速で議論する。

二子玉川は多摩川があるため、もともと風が強い場所ではあった。一般に風速10メートルくらいで強い風と感じる。個人差はあるものの、これくらいから歩行者の転倒の問題が起きる。

測定したところ、玉川西陸閘の風が最も強い(陸閘は堤防に挟まれた河川敷への通路)。台風の時は風速30メートルを記録した。皆様には失礼であるが、強い風が観測できると嬉しい。コンピュータシミュレーションも実施した。コンピュータシミュレーションは観測結果と整合性を取る必要がある。ビルの横で風が強くなるとは異なる渦巻状の風の動きも確認された。

続いて専門家会議の日比一喜委員がコンピュータシミュレーション結果を説明した。シミュレーションはコンピュータの性能向上によって様々な場面で使われるようになった。

今回のシミュレーションは二期ビルを中心として半径600メートルで計算した。植栽は現在あるものと二期ビルについては事業者から提供されたCADのモデルに基づいた。シミュレーションは測定結果と比較しながら精度を高める。

高い建物が建つことで風が強くなるところと弱くなるところがある。南西の風が二子玉川ライズ・オフィスに、ほぼ直角でぶつかる。壁面からはねかえった流れになる。壁面にぶつかって両側に拡散する。日比委員は「西の風は弱い」と説明したが、住民は「そんなことはない」と呟いていた。

北寄りと南寄りの風が多い。植栽によって少し風が弱まっている。細かく見ると事業者の努力は見られる。しかし、植栽だけでは難しい現象であることがシミュレーションで確認された。

再び中村議長の説明に戻る。様々な風向があり、全ての風向について検討しなければならない。6月までに対策を検討する。しかし、今の段階でも早めに手を打った方がいい場所がある。先程から出ている西陸閘である。これから春風で一層強風が吹く。生活で利用頻度が高い。体のバランスを崩しやすい風が吹く。

対策として第一に注意喚起する。第二に迂回路をつくる。第三に風そのものを減らす。二子玉川ライズ・オフィスにぶつかって上からの風をこないようにする。屋根のようなものを覆う。但し、これによって今まで風が強くなかった場所で風が強くなる危険がある。慎重に進めるように世田谷区に申し送りした。

世田谷区担当者が世田谷区の取り組みを説明した。迂回路の建設予定地を提示し、迂回路の建設を事業者に要請したとする。これに対して参加者は「遠回りになる」などザワザワした声が出る。「単に道を造るだけじゃないか」との声もあった。また、世田谷区担当者は注意喚起の補強も事業者に要請したとする。

二子玉川ライズ風害説明会質疑応答

参加者「早めに対策した方がいいとの御説明は心強い。歩道橋を考えなかったのは何故か」

中村「歩道橋や地下道という案が出たが、そこに至るところの風を弱くしないと遠くから渡さなくなる。迂回路と同じ考えでならばありうる」

参加者「現在の堤防を除去するという話もある。その場合、もっと風が強くなるのではないか」

参加者「シミュレーション結果は感覚的に異なる」

中村「実際の風は波があるが、シミュレーションでは平均データを利用する。シミュレーションは平均的な絵である。実際は瞬間的に強くなることもある」

参加者「対策は西陸閘から交通広場まで上に屋根をかけるということか」

中村「多摩堤通りに屋根をかけるというイメージである。効率のよい屋根のかけ方で多くの場所をカバーすることを望む」

参加者「現在の堤防は本堤防である。水害対策として機能している。屋根をかけるなどの工作物は堤防の機能を損なわないか。そこを考えて検討してほしい」

中村「我々はコストなどを度外視しており、実現時には議論が必要である」

世田谷区「事業者に強く要請していく」

参加者「二期ビルの風が強くならない理由を聞かせてください」

中村「横幅が広い方が吹き戻しは強い。二子玉川ライズ・オフィスと二期ビルは角度が異なる。二子玉川ライズ・オフィスは幅がある。二期ビルはひょろ長いので下に行かず横に行く」

参加者「(細長い超高層ビルの)タワー&レジデンス周辺も風が強い」

中村「ピロティで風が抜ける」

参加者「対策案の屋根を作ることと迂回路は危険がある。屋根を造ると住宅街に強風が来るのではないか。迂回路も実感では風が強い場所である。北西の風の場合は、横断歩道よりも強い風が吹く。

多摩堤通りを横断する南地区住民の目的は二子玉川駅や買い物である。二子玉川駅に行く通勤通学者向けには迂回路よりも新しい改札を作ることが有用である。買い物はショッピングセンターに直接入れるアンダーパスを作ればいい。

オークモールを抜けたところの風が強い。今後の検討をお願いしたい。

バスを待つ人も大変である。対策が必要である」

中村「ご意見をいただいたので世田谷区に諮る」

参加者「交通広場の対策が必要。バス停にはガラス張りのカバーをつける。二子玉川ライズの中の道も風が強い。注意喚起が対策に挙げられているが、注意喚起されたら住民はどうすればいいか。出歩くなということか。注意喚起は効果がない。これから春先を見たら、二期の影響がないとは言えない。引き続き観測シミュレーションして下さい」

中村「測定点の場所だけ対策するというつもりではない。総合的に世田谷区で検討してほしい。周辺の高層ビルで複合的に被害が出ていることも確かである」

参加者「北西の風の日は家が揺れる。傘が折れて捨てられた。迂回路は効果がない。わざわざ遠回りする人はいない。タワー&レジデンスのビル風も強い。相当の吹き下ろしがない。だから二期ビルの影響が小さいことは実感に反する。

世田谷区が事業者に対して、強風時に警備員を出し、歩行者を助けることを強硬に要望して欲しい。二子玉川ライズは強風時に警備員を出すようになったが、バス乗降客しか相手にせず、歩行者を助けていない。世田谷区に再三要求しているが一向に改善されていない」(会場から拍手が出た)

参加者「二子玉川南地区は何をするにも外に行かなければならない。迂回路の実現に全力をあげてほしい」

参加者「二子玉川ライズのビル風で大きな被害を受けている。乳母車で通ろうとすると風で上下する。二子玉川ライズができる前は、今のような風は吹かなかった。二子玉川ライズの超高層ビルが原因であることは素人でも分かる。屋根なんか作っても吹っ飛ばされてしまう。ビル風対策の成功事例を聞かせて欲しい」

中村「大きな屋根を付けた事例はある」

参加者「ビルの真ん中に穴を開けることはどうか」

中村「効果があった」

参加者「効果があることは分かっている。そのような提言を期待している」

中村「有効な手段を探していきたい。一番大切なことは転倒事故を避けることである。観測結果と皆様の感覚は大きなところでは一致していると実感している」

参加者「二子玉川ライズ・オフィスの壁面に風を下に行かせない工夫ができないか。穴を開けることはできないか。地面の方で対策をするのではなく、元凶の二子玉川ライズ・オフィス側で対策をとるべきである」

中村「決定的な効果にはなりにくい。小さな対策を積み重ねることも大切であるが、あれだけのボリュームであるため、小さい対策よりも大きく覆うことが有効と考える」

参加者「予算を決めないと対策をとりようがないのではないか」

参加者「高齢者はビル風で多摩堤通りを自力で渡ることができない。高齢者を動かなくさせている原因を究明して欲しい。世田谷区の予算を使ってほしくない。事業者に責任を持ってもらいたい。事業者が参加して住民の声を聞かなければ解決しない」


     
     
     
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