外環道補正書と脱原発

林田力

国土交通省は2014年3月28日付で外環道(東京外郭環状道路)の大深度地下利用を認可した(国土交通省告示第396号)。これは大深度法(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)第16条に基づく認可である。この認可処分に対して千人を超える多数の住民が異議申し立てをした。私も異議申立人の一人である。

ところが、国土交通省は意義申立人に対し、8月22日付で「異議申立ての補正について」との文書を、送付した(国都政第36号)。文書では異議申立の要件は自己の権利が侵害されたことなどであるとし、「事業区域内に土地または物件の権利を有する」ことの資料提出を求めている。住民側は「異議申立人適格を極端に狭く解釈するものであり、不当な行為であるため、強く抗議し、併せて申立人適格の基準を直ちに改めるよう、要求します」と抗議している(「東京外環道「異議申立ての補正」についての抗議」)。

私の社会的な問題意識の出発点は東急不動産消費者契約法違反訴訟(東急不動産だまし売り裁判)であり、そこから開発問題に目を向けることになった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』「勝訴の影響」)。外環道の異議申立も、その延長線上にある。

私は世田谷区成城の世田谷区立明正小学校体育館で開催された、外環道説明会「道路の立体的区域の決定及び区分地上権設定に関する説明の場」(2013年8月29日、9月1日)、大深度使用認可申請説明会(2013年9月5日、明正小学校)に参加している(林田力『二子玉川ライズ反対運動11外環道』アマゾンKindle)。本件処分に対して問題意識を有している。

一方で今回の件は脱原発の観点でも見過ごせない問題があると考える。何故ならば放射性廃棄物の処分場として大深度地下が利用される可能性があるためである。現行の大深度法が、人口が密集し土地が高度利用されている都市空間の有効活用を念頭に置いていることは確かである。一方で大深度地下が放射性廃棄物の処分場に利用される可能性は排除できない。

大深度法第4条第12号は対象事業として「土地収用法第3条各号に掲げるものに関する事業」を挙げ、そこには原子力関連も含まれる。現実に「平成20年度環境省請負業務報告書」の「平成20年度環境影響評価技術手法(大深度地下関連)調査業務報告書」では放射性廃棄物の処分も対象に含めている。

既に存在する放射性廃棄物は安全に保管し続けなければならない。その場所として大深度地下を利用すべきか否かという議論は冷静に実施する必要がある。「何が何でも放射能は駄目だ」では放射脳カルトになってしまう(林田力『放射脳カルトと貧困ビジネス』アマゾンKindle)。しかし、大深度法の問題は土地所有者の意向に関係なく、無償で大深度地下が利用できてしまうことである。原発ビジネスを続ける上で放射性廃棄物は頭の痛い問題であるが、大深度法を利用すれば処分場の場所には困らなくなる。

仮に大深度法を利用して大深度地下に放射性廃棄物を建設する計画が具体化した場合、反対派は今回の外環道と同じく異議申立を活用するだろう。異議申立者はパブコメ攻勢の勢いを踏まえれば膨大なものになる可能性もある。国土交通省が外環道処分の異議申立人を絞り込むことを許せば、官僚にとって都合の良い先例がつくられることになる。外環道補正問題は脱原発派にも関係する問題である。



林田力


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