外環道異議申立補正書

林田力

平成26年9月16日

補 正 書
国土交通大臣 太田 昭宏 殿

異議申立人 氏名 林田力 印

 平成26年8月22日付け国都政第36号の928で補正を命じられた事項について、下記のとおり補正します。

事業によって自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのあることを証する資料は、住所を記載した異議申立書(提出済)及び本補正書であり、また、「異議申立の補正について」を郵送された配達証明にても証明済である。

事業によって自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある理由を以下に記載する。異議申立人は本件処分の事業と同じ大深度法(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)の対象地域(第3条)に居住する。「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法施行令」別表第一の「首都圏の対象地域」である。

「異議申立ての補正について」は不服申立適格について主婦連ジュース訴訟(最高裁判所昭和53年3月14日第三小法廷判決・民集32巻2号211頁)を例示するが、その先例としての前提が崩れている。主婦連ジュース訴訟判決後に平成16年(2004年)の行政事件訴訟法改正により、第9条第2項が追加され、原告適格の実質的拡大が図られた。不服申立適格についても、新しい行政事件訴訟法の考えが適用されると国会答弁がなされている。

さらに最高裁の判例という点でも小田急線高架事業認可取消訴訟最高裁大法廷平成17年12月7日判決がある。行訴法改正を受け、従来の判決(環状6号線1999年判決)を変更した。「周辺住民のうち東京都環境影響評価条例に基づいて定められた『関係地域内』に居住しているものは原告適格を有する」とした。

行政事件訴訟法第9条第2項は「法律上の利益の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする」と定める。よって大深度法の「趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮」しなければならない。

大深度法は「公共の利益となる事業による大深度地下の使用に関し、その要件、手続等について特別の措置を講ずることにより、当該事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利用を図ることを目的とする」(第1条)。

大深度法の大深度地下は通常利用されない空間とされるが、利用したい事業者が好き勝手に利用して良いものではない。大深度地下は「残された貴重な空間である」(臨時大深度地下利用調査会答申)。「大深度地下の利用,施設配置については,早い者勝ちや虫食い的な乱開発を避けるため,事業間,施設間で空間の利用調整を行い,適正かつ合理的な利用を図ることが求められている」(家田仁他「大深度地下利用の経済合理性」運輸政策研究Vol.4 No.3、2001年、2頁)。そのために大深度法は認可制としている。従って不適正または非合理な利用は大深度法の目的に反する。

大深度法の大深度地下利用は「人口の集中度、土地利用の状況その他の事情を勘案し、公共の利益となる事業を円滑に遂行するため、大深度地下を使用する社会的経済的必要性が存在する地域」に限って認められる(第3条)。対象地域は首都圏、近畿圏、中京圏と広域の都市圏が指定されている。これは広域都市圏が社会・経済的な繋がりを持つために、その大深度地下利用も広域都市圏全体で適正かつ合理的な利用であることが求められる。

大深度法は言わば大深度地下を対象地域住民の公共財産と位置づけている。対象地域の大深度地下が適正かつ合理的に公共の利益となる事業のために利用されること、または要件を満たす事業がないために利用されないことは、対象地域住民の法律上保護された利益である。対象地域住民は、不適正・非合理な事業が認可されるならば、法律上保護された利益を侵害されることになる。これは単なる反射的利益ではなく、大深度地下をどのように利用するかという対象地域住民の法律上保護された利益である。

大深度を利用する事業の巨大性や影響の不確定性から、都市計画と比べて影響住民の範囲が広がることは当然である。大深度を利用する事業は必然的に巨大なものになる。また、大深度利用は発展途上の技術であり、影響範囲は未知数である。現実に世田谷区大蔵の外環道工事現場では死亡事故が起きている。地下へ穴を開ける作業中に足場用の鉄筋約40本(4トン)が落下し、下にいた作業員3名が下敷きになった(「鉄筋落下で作業員1人死亡 2人重傷 東京・外環道」朝日新聞2014年5月8日)。それだけの巨大事業である。住民の法律上保護された利益は地権者や狭い意味での周辺住民(沿線住民)に限定されない。



また、外環道は国策道路である。沿線住民の生活道路ではない。この点からも住民の法律上保護された利益は沿線住民に限定されない。外環道は都心部への通過交通流入を回避するバイパス道路として計画されており、バイパス道路を作るべきか、作るとしてどのように作るかは首都圏住民全体がステークホルダーであり、法律上の利益を有している。

外環道は16kmに約1兆3千億円もの巨費を使うことは、税金の無駄遣いである。外環道には需要がない。人口減少、高齢化は、車減少社会をもたらしている。また、若年層の車離れが指摘されている。将来交通量予測及び費用便益は首都圏1都3県の道路を対象として計算したと国は述べている。数分、数秒の走行時間短縮のための約1兆3千億円は、巨大な道路建設で過剰投資である。

外環道は通過交通減少にも寄与しない。異議申立人も参加した住民説明会(2013年9月5日、世田谷区立明正小学校)でも住民から「中央環状線開通以後も都心の通過交通量は増えている。これは外環ができても変わらない」と指摘された(林田力『二子玉川ライズ反対運動11外環道』「外環道・大深度使用認可申請説明会」)。

社会保障政策に必要な予算は不足していることは明らかである。将来世代には、年金の仕組みを支えること、放射性廃棄物の処理、1000兆円の借金返済などが押し付けられる。このような状況で外環道建設に巨額の税金を投入する余裕はない。外環道建設に拒否を投じるならば「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進」(日本国憲法第25条第2項)が疎かになる。

数千年の歴史を有するマヤ文明は神殿ピラミッドという巨大公共事業が衰退を招いたとされる(青山和夫、米延仁志、坂井正人、高宮広土『マヤ・アンデス・琉球 環境考古学で読み解く「敗者の文明」』朝日新聞出版、2014年)。これは外環道の問題に重なる。

これ以上、将来世代に負荷をかけることは対象地域住民の法律上保護された利益を侵害する。外環道建設の強行は国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法第25条第1項)を侵害する。



そもそも行政不服審査法第1条第1項は「国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開く」と定めており、適格性を厳格に解して異議申立を門前払いすることは法の趣旨に反する。

「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」

行政不服審査制度研究報告書は不服申立適格について「行政事件訴訟法第9条第2項の趣旨・運用も注視しながら柔軟に対応していく必要がある」と述べている。不服申立適格を限定せず、柔軟に対応することが行政の方針である。

「今回、不服申立適格を拡張する可能性も含めて検討したが、「処分」についての不服審査の仕組みにおいては、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟との連続性にも配慮し、不服申立適格については現行の取扱いを維持すべきと考えられ、行政事件訴訟法第9条第2項の趣旨・運用も注視しながら柔軟に対応していく必要があるとの検討結果に達した」(行政不服審査制度研究会「行政不服審査制度研究報告書」5頁、平成18年3月)

行政の適正な運営確保の観点からは、厳密な意味で個人の権利侵害にあたる場合でなくても、不服申立人適格が認められてしかるべきである。なぜなら、不服申立てにおいては、違法性だけでなく不当性についても主張できるため、本来、不服申立人適格は、行政事件訴訟法の原告適格より広く認められるべきものである。

「行政不服審査法の改正に関する「国民の声」」でも「行政事件訴訟法の原告適格よりも広く改正すべき」が、「拡大された行政事件訴訟法の原告適格と同じ範囲であることを明確にするべき」「不服申立人適格の規定を変更する必要はない」よりも圧倒的に多い。

本件に参考になる声には以下がある。「裁判の原告適格も狭すぎるとは思うが、不当な行政運営は裁判上の利害関係範囲を超えて、行政区内の住民に広く影響を及ぼすので、最大限広く解釈するべきだと思う」(「行政不服審査法の改正に関する「国民の声」」行政救済制度検討チーム第2回会合資料、2010年11月1日)

以上より、今回の補正命令書の「事業区域内に土地または物件に関する権利を有する」との記述は、異議申立人適格を極端に狭く解釈するものであり、不当な行為であるため、強く抗議し、併せて申立人適格の基準を直ちに改めるように要求する。

「外環の2」について東京都は市民参加・住民参加の原則を採用しながら、実際にはそれを無視した行政基準によって手続きを進め、住民との信頼関係を自ら壊したと批判されている(小山雄一郎「「外環の2」計画をめぐるコミュニケーション過程を検証する―いかにして行政は沿線住民との関係を悪化させてきたのか―」玉川大学リベラルアーツ学部研究紀要第7号、2014年)。国土交通省が一方的な基準によって不服申立適格を狭く解釈し、住民の不服申立を切り捨てることは東京都と同じ轍を踏むことになる。そのようなことがないよう強く求める。


林田力


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