住宅購入促進は景気回復に役立つか

林田力

長引く不況の脱出策として住宅取得優遇策が取り上げられる。たとえば日本政府は住宅購入促進のために住宅ローン減税を実施している。政府の経済政策に批判的な立場からも不動産取得の優遇が主張される。たとえば経済学者のラビ・バトラ博士は「住宅投資の促進が日本経済再生の鍵」と主張する(ラビ・バトラ著、ぺマ・ギャルポ、藤原直哉監訳『資本主義最終章の始まり 大恐慌2009〜2010』あ・うん、2009年、34頁)。

市場主義経済において政府が特定の産業を優遇することは産業の健全な発達を阻害する。公共事業で膨れ上がった建設業のように非効率な産業を延命させることになる。それにもかかわらず、景気対策で他の産業よりも住宅を優遇すべきと主張される理由には、住宅購入に波及効果があるとされるためである。新居を購入すれば家電や家具なども新調することが多いため、他の分野の消費も拡大させると主張する。

上記主張は直感的には納得しやすいが、この住宅購入優遇が消費拡大に本当に結びつくかを本記事で議論したい。一般の消費者が住宅を購入する場合、住宅ローンで購入費用を賄うことが普通である。住宅ローンは長期(35年間など)に渡って毎月返却していかなければならない。その分、住宅購入者の月々の可処分所得が減少する。これは中長期的には消費を抑制させる。

一方で住宅を購入しないならば賃貸となるが、その場合は家賃を支払うことになる。家賃を払い続ける場合も月々の可処分所得が減少することは同じである。但し家賃と住宅ローンの返済では金額に差がある。住宅ローンの返済額を家賃並みに抑えるならば、それなりの頭金を支払わなければならない。これは住宅購入者にとって貯金の減少を意味し、新たに貯金する必要が生じる。この点で賃貸の方が可処分所得の減少は抑えられる。より重要な相違は賃貸ならば生活レベルを落とすことができるが、分譲ではローンを返済続けなければならないことである。この点が住宅ローン破産という悲劇を生み出している。

結局のところ、分譲でも賃貸でも住居関連の支払いが支出の多くを占めているという状況が可処分所得を減少させ、消費を抑制する要因になっている。ネットカフェ難民や派遣村など格差社会の悲劇も住む場所の確保に非常にコストがかかる状況が一因である。それ故に消費を拡大させる最善の方策は住宅関連の支出を減少させることである。

より直接的に言えば消費者が今よりも安く住めるようにすることである。この点、ラビ・バトラ博士が賃貸にも言及している点は救いである。公的機関が廉価な賃貸住宅を大量に供給することが消費を拡大させる。不動産業界や住宅ローンを貸し出す銀行を儲けさせることが景気回復の道ではない。

最後に公正のために記者のスタンスを説明する。記者は大手不動産会社から新築マンションを購入したが、それは不利益事実(隣地建て替えなど)を説明されないものであった。そのため、消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。この経験があるために分譲マンションにネガティブな意識があることを付言しておく。


林田力


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