Last Update: 2012/05/13

林田力:静岡県伊東市で建築不動産トラブル

林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』番外


林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』番外


静岡県伊東市で建築不動産トラブル


静岡県伊東市で起きた建築不動産トラブルの話を聞いた。不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りし、消費者契約法違反で売買契約を取り消された東急不動産だまし売り裁判から不動産業界は何も学んでいないかのようである。

トラブルは戸建て注文住宅である。施主は老親の終の住処としてバリアフリー住宅を注文した。ところが、建設会社は施主に建築書類を一切見せなかった。仕方がないために施主は建築確認検査機関に閲覧とコピー代一万円支払ったところ、嘘の建築確認申請書であることが判明した。建築申請書は全く知らない人が勝手にサイン捺印したものであった。図面の内容も施主の希望した注文建築図面とは全く異なるものであった。

建設会社は「バリアフリー注文建築とは聞いてない、根も葉もないことを言うな」と開き直る。施主が女性であるために軽く見て高圧的な態度を取る。設計監理の二級建築士は名義貸しで一切監理せず、現場管理者の大工が勝手に工事を進めていた。施主は地鎮祭もさせてもらえなかった。建築条件付きでもないのに、ドンドン工事を進めてしまった。

建築確認検査機関は「提出されたモノを受けただけで、こちらに責任はない」と言う。施主が犯罪を指摘しても対処しない。「もう申請書を受理し、中間検査も済みました」と発言して終わりにしてしまう。

希望の注文建築でない上に、契約書の建築完成日2日前に、メールで「完成できません」と連絡をしてきた後、半年近く、鍵を渡されずに未完成放置された。示談屋が優しいコトバで近づいてきたが、断ると建築会社側に立ち、施主が困るように仕向けてきた。例えば、施主の敷地庭部分に無許可でわざわざトラックを駐車し、近くで作業するという嫌がらせを繰り返す。

施主は弁護士会に相談したが、何と加害者側の不動産業者の代理人経験者を紹介してきた。施主が何も知らずに、相談すると、「不動産業者も大工も悪くない」と強い口調で繰り返した。施主は弁護士会の苦情処理係に苦情を伝えた。業界関係者皆が被害者の泣き寝入りを待っているかのような態度であった。

不動産トラブルでは様々な関係者が寄ってたかって被害者を攻撃する。被害者の怒りを分散させて消耗させようとする悪徳不動産業者の戦略である。東急不動産だまし売り裁判でも東急リバブルと東急不動産のたらい回しに加えて、地上げブローカーや東急不動産工作員と一体化したゼロゼロ物件業者などが登場する。

マンション分譲主の東急不動産、販売会社の東急リバブル、管理会社の東急コミュニティーで、たらい回しにし、誰も責任を取らなかった。東急リバブル客様相談室の室長代理は「契約相手は東急不動産です。リバブルは東急不動産とは別会社なので無関係だから対応できません」と言い放った。

アスベスト使用の問題では東急リバブルと東急不動産と施工会社のピーエス三菱でたらい回しにした。欠陥施工問題では東急不動産と施工会社のピーエス三菱、設計・監理のSHOW建築設計事務所で責任のなすり合いが行われた。構造設計者の無資格問題ではSHOW建築設計事務所と構造設計のアトラス設計でたらい回しにした(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』99頁以下)。

全て批判に値する悪徳業者であるが、被害回復の闘いでは主敵を、金を取り戻す相手に絞る必要がある。東急不動産だまし売り裁判の場合は東急不動産である。それ以外の連中は悔しいものがあるが、主敵を批判する中で一緒に批判する形にする。

欠陥施工の被害者の相談に乗るべき建築士などでさえ「だまされた方が悪い」という言い方をする。これは根本的な誤りである。だます人とだまされる人の間では、だます側が全面的に悪い(林田力「消費者トラブルの2つの論点」PJニュース2010年5月5日)。

悪徳不動産業者の悪質さは消費者を一回欺くだけでは満足しないことである。未完成の家を指して「家はもうどうにもならないが、空いている庭を畑にしたらいい。ウチがやろうか」と誘ってくる。うっかり土地を課そうものならば何十年も居座られて乗っ取られてしまうことは目に見えている。

また、未完成の家の仮住まいとして建設会社とつながりのある不動産業者がゼロゼロ物件を紹介してきた。高額な違約金請求や追い出し屋で社会問題になっているゼロゼロ物件である。東京都から宅建業法違反で業務停止処分を受けた悪質な業者もいる(住まいの貧困に 取り組むネットワーク ブログ「シンエイエステートとグリーンウッドに対して東京都が行政処分」2010年6月8日)。悪徳不動産業者の詐欺ネットワークには辟易させられる。

これは東急不動産だまし売り裁判も同じである。東急リバブルは裁判中にマンションの買い替えを勧誘してきた。マンション購入者が逃げ出したくなるような屑物件を売りつけておきながら、被害者を住み替えさせて再度儲けようとする。その後も東急不動産のリフォーム子会社・東急アメニックス(現:東急ホームズ)が浄水器や換気扇のフィルターなどを売りつけてきた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』80頁以下)。

東急不動産は和解協議で売買契約の取消しではなく、仲介での売却を提案してきた。「過ぎたことは過ぎたこととして、被害者と加害者が協力することで損害を最小限にしよう」という発想である。一度、不動産取引で騙された被害者が新たな取引に応じる筈がない。当然のことながら和解協議は決裂し、東京地裁平成18年8月30日判決で東急不動産に売買代金全額の支払いが命じられた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。

東急不動産だまし売り裁判では最終的に売買代金を取り戻り、東急不動産に問題マンションを明け渡したが、その際の東急不動産の課長(当時)の発言がマンションだまし売り被害者感情を無視していた。課長は記者に「迷惑をかけた」と詫びた上で、驚く べきことに「機会があれば(東急不動産を)よろしく」と発言したのである。マンションだまし売り被害者が課長の発言に呆れたことは当然である。

一般の消費者にとって不動産の購入は一生に一度あるかないかの出来事である。一度失敗したからといって、簡単にやり直しができるものではない。散々苦しめられた業者から購入したいと考えるはずがないが、それ以前に記者があらためて物件を購入すると考えること自体が信じ難い。