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中野・警察大学校跡地裁判の報告集会

警大跡地市民フォーラムが2010年7月26日に報告集会「開発で失われるもの」を桃園会館(東京都中野区中野)で開催する。警大跡地市民フォーラムは中野・警察大学校跡地の開発問題を考える市民団体である。

東京都中野区の中野駅北口に広がる警察大学校等の跡地は、東京建物らによる高層オフィスビルなどを建設する計画がある。これに対して、周辺住民らから周辺の環境を悪化させると反対の声が出ている。反対住民らは緑地・公園を中心にする計画を求めている。

この警察大学校等跡地の開発計画をめぐって、中野区や杉並区の住民は2009年に2件の行政訴訟を東京地方裁判所に提起した。

第一に東京都を被告とする地区計画の取消を求める訴訟である。

第二に中野区を被告とする防災公園の面積縮小の違法性についての訴訟である。

その後、中野区は2009年10月に「中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例」(地区計画条例)を制定し、再開発の準備を整えた。これに対し、住民らは地区計画条例の取消を求める新たな裁判を2010年4月21日に提起し、第1回口頭弁論が6月10日に開かれた。

今回の報告は最初の提訴から1年の節目を記念したもので、裁判の経過報告、裁判の意義について考える講演、参加者との交流、情報交換などを企画する。時間は19時から21時半までを予定する。参加費は資料代として500円である。

具体的な内容は以下の通りである。

第一にスライドプレゼンテーション「中野区役所一帯避難場所の安全性を検証する」である。

第二に訴訟の経過報告である。

第三に日置雅晴弁護士(景観と住環境を考える全国ネットワーク代表)の講演である。演題は「警大跡地訴訟の意義と課題〜都市計画をめぐる行政訴訟を考える〜」である。

第四に「「まち」をテーマにつながろう」と題し、中野駅周辺・東中野地域まちづくりグループからのメッセージを紹介する。

中野駅地区整備・景観等検討会に都計審委員が就任=東京・中野

東京都中野区の中野駅周辺の景観等を検討する組織「中野駅地区整備・景観等検討会」の委員に2名の中野区都市計画審議会(都計審)委員が就任している。都市計画行政の公正・中立性の観点から疑問の声もある。
検討会は「中野駅及び駅周辺を、東京の新たな活動拠点にふさわしい景観形成と、環境やユニバーサルデザインに配慮した一貫性のある整備を実現する」ことを目的として設置された(中野駅地区整備・景観等検討会運営要領第1条)。具体的には再開発が計画されている中野駅地区の景観、デザインコンセプト、駅前広場のあり方などを検討する。既に8月10日に第1回検討会が開催された。
この事実は中野区議会中野駅周辺・西武新宿線沿線まちづくり特別委員会において、中野区まちづくり推進室拠点まちづくり担当が提出した資料「中野駅地区整備・景観等検討会の設置について」(2010年9月6日)によって事後的に明らかにされた。
気になる点は検討会の委員に現役である第18期都計審委員(任期:2009年2月12日〜2011年2月11日)が含まれることである。都計審会長の矢島隆・日本大学理工学部客員教授と委員の老沼宏二・東京都第三建設事務所長である。
運営要領第7条では以下のように定める。「検討会の庶務は、中野駅周辺まちづくりに係るコーディネート等業務の受託者である独立行政法人都市再生機東京都心支社が行う。」
開発業者が事務局を務める点は、開発を進める側の組織という印象を与える。会議及び会議資料は原則非公開であり(運営要領第5条第3項)、少なくとも住民のための検討会ではないことは確かである。
これに対し、都計審は都市計画法に基づき設置された組織である。第三者機関による審議を経ることで、公正・中立性を確保し、開かれた都市計画行政とすることを目指している。開発を進める側の検討会に都計審委員が参加することは、自身が関与した計画案を都計審で委員として審議することになり、公正・中立性に疑問符が付される。
この種の奇妙な兼任は他の再開発でも見られる。二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)では、株式会社アール・アイ・エーの宮原義明・代表取締役が再開発計画の初期に、再開発を考える会(再開発組合の母体となった団体)と世田谷区の双方のコンサルタントとして活動していたことが明らかになった。この点は二子玉川ライズの違法性を争う裁判において住民側代理人から以下のように批判された。
「これは、真に行政から公共性の担保、機能チェックができない、お手盛りの体制じゃないですか」(林田力『二子玉川ライズ反対運動』マイブックル、2010年、17頁)。
しかもアール・アイ・エーは再開発で建設された超高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」の設計も受注した。再開発を進めることで儲ける企業が、行政のコンサルタントとして私企業の開発と公共性を調整する役割も担当していた。これでは公共性が企業に都合よく捻じ曲げられてしまう。
中野区では他の街づくり関連の会議体(中野駅周辺まちづくり推進会議、東中野地域まちづくり検討会)でも会議を非公開とする。再開発自体に反対意見がある中での秘密主義的運営は、住民の批判に耐えられない再開発計画であることの自認に等しい。再開発を進めることを前提として形式的に手続きを整えるのか、住民のための街づくりにするために趣旨に則って制度を運用するのか。都市計画行政の姿勢が問われている。

地区まちづくり条例制定の動き=東京・中野

東京都中野区で「(仮称)中野区地区まちづくり条例」を制定する動きが明らかになった。中野区議会建設委員会で2010年10月12日に区側から条例の考え方について報告された。
区側は条例の目的を以下のように説明する。
「中野区都市計画マスタープランの実現に向け、区民参加による身近な地区のまちづくりと合意形成を促進するため、地域住民等によるまちづくり構想の策定や地区計画等の案の申出など、必要な手続き方法や支援の仕組みを定め、もって安全で快適な活力あるまちの実現に寄与することを目的とする。」(中野区都市整備部都市計画担当「『(仮称)中野区地区まちづくり条例』制定に向けた考え方について」2010年10月12日)
今後のスケジュールとして、10月下旬に区民意見交換会を開催し、11月下旬に条例(素案)、12月中旬に条例(案)を作成する。12月下旬から1月下旬までパブリック・コメント手続きを実施し、2011年2月に条例(案)を議案として提出する予定とする。
中野区地区まちづくり条例の考え方の特徴は以下の通りである。
第一に条例の名称にある通り「地区」を対象としている。具体的には「地区まちづくり構想」「地区まちづくり団体」「地区計画」などを規定する。これは街づくりへの問題意識を踏まえると物足りない。
街づくりへの住民意識が高まる出発点は景観破壊マンションなどの大規模開発であることが多い。どうやって不動産業者の営利優先の開発を規制するか、既存の街並みと調和させるかが街づくりの大きな課題である。中野区でも警察学校跡地などで建設反対運動が起きている。
そのために街づくり条例に大規模土地取引の事前届出や土地利用の調整制度を盛り込む動きもある。不十分との声も大きいものの9月28日に改正された世田谷区街づくり条例が一例である(林田力「街づくり条例について考え、語る会開催=東京・世田谷(上)」PJニュース2010年9月13日)。
http://news.livedoor.com/article/detail/5005470/
しかし、この種の制度は中野区地区まちづくり条例の考え方には見られない。
第二に区民の責務である。区議会提出資料「(仮称)中野区地区まちづくり条例に盛り込む事項の整理」では、「区民等の責務」として「区が行う地区まちづくりに係る施策への協力」が一番目に書かれている。これは住民参加や住民主体の街づくりに逆行する発想である。
第三に街づくりについて調査や審議する会議体が存在しない。街づくりは住民生活に大きな影響を及ぼすものであり、上位下達で進めることは相応しくない。学識経験者や専門家、住民が意見を交換して決めることが望ましい。そのために諮問機関のような形で何らかの会議体を設けている例もある。
しかし、中野区地区まちづくり条例の考え方には会議体は存在しない。「地区まちづくり構想」や「地区まちづくり団体」の審査・登録も区が行うことになっており、区にとって都合の良い構想や団体ばかり選別されるという危惧もある。
会議体が存在しても往々にして行政に都合の良い人選になり、行政の都合の良い結論になりがちではある。それでも会議や議事録を公開するなどで、透明性を高めることができる。それすらも中野区地区まちづくり条例の考え方では達成できない。

土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧

東京法務局中野出張所(中野区野方)にて土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧した。
不動産を購入する場合など通常は登記簿謄本(全部事項証明書)を取得する。これによって土地についての権利関係を確認できる。登記には権利推定力が認められている。即ち、登記簿の内容は実際の権利関係に合致していると推定される。このため、登記簿の内容は一応、信頼できる。
しかし、現実には実際の権利関係とは異なる登記が存在し得る。これは登記手続きでは形式的な書類審査しか行わないためである。住民票や実印、印鑑証明書、権利証(登記識別情報)を無断で借用または偽造できるならば、登記できてしまう。この結果、自分名義の筈の土地が登記簿上は譲渡されてしまったり、抵当権が設定されてしまったりという事態が起こりうる。このようなことを行う犯罪者は地面師と呼ばれる。
このような場合、先ず登記簿を調べることになるが、登記簿に記録された権利変動に不審点がある場合、どのような形で登記申請がなされたのか調べる必要がある。調査の必要は相続問題でも生じ得る。
故人(被相続人)の所有(相続財産)と思っていた不動産が、相続人の一人または第三者に所有権移転されていたということもある。そのような所有権移転登記の原因となる契約などが実際に行われていることを相続人が知っていれば問題ないが、そうでなければ実体がないのに勝手に名義を変更した可能性が生じる。
相続対策として特定の相続人に不動産を生前贈与する例は少なくない。全相続人了解の下で生前贈与したならば問題ない。しかし、そうではない場合、同居の相続人が勝手に親の権利証や実印を利用して、被相続人の知らないところで登記した疑いが生じる。このような場合に登記申請書を閲覧する必要がある。
登記簿は不動産に関する権利関係の公示が目的であり、誰でも確認できるものである。一方、登記申請書は登記申請するために申請人(の代理人)が作成し、法務局に提出した書類であり、閲覧は利害関係のある人に限られる。たとえば前述の相続の例ならば相続人である。閲覧中にメモや写真撮影は認められるが、コピーは交付されない。
法務局のカウンターで登記申請書の閲覧を希望すると、受付の人では対応の範囲を越えるためか、別の人に担当が代わった。最初に、どの申請書の閲覧を希望するのか尋ねられる。問題の不動産登記の全部事項証明書を提示し、閲覧したい登記申請の受付年月日・受付番号を答えた。
続いて利害関係を聞かれる。予め用意した戸籍全部事項証明書と身分証を提示し、土地所有者であった被相続人の相続人であることを説明した。申請書を渡されるので記入し、法務局内の印紙売場で購入した登記印紙(収入印紙とは別物)を貼り付けて提出した。しばらく待つと閲覧できる。
登記申請書は大体、以下のような内容になっている。
・登記申請書
・印紙貼付台紙
・登記義務者(不動産の譲渡人)の住民票
・登記義務者の印鑑証明
・登記義務者・登記権利者(不動産の譲受人)の司法書士への委任状
・登記原因証明情報
・登記権利者の住民票
・固定資産評価証明書
申請書を閲覧することによって、どの司法書士に依頼したのか、いつ司法書士に委任状を提出したのか、署名の筆跡などを確認できる。
閲覧する上で最も肝心な資料は登記原因証明情報である。これは不動産登記法第61条に定めた「登記原因を証する情報」である。登記の原因となった事実や法律行為を示す情報である。具体的には売買ならば売買契約書が相当する。売買契約書だけでは権利移転日が不明な場合、例えば契約書で残金支払い時を権利移転時と定めた場合は、売買契約書に加え、残金の領収書も必要になる。「登記原因証明情報」という名前の文書が求められている訳ではない。
前述の通り、登記官は書面審査しか行わないため、登記申請の内容が正しいか否かは、この登記原因証明情報の内容が申請内容と矛盾しないか否かによって判断される。これによって、書面審査しか行わないながらも登記の信頼性を高めることができる。
しかし、制度には抜け道もあり、登記原因証明情報という名前の文書を作成して登記申請されることが多い。これは登記の原因についての事実を記載したものに当事者が署名押印したものである。
例えば「乙は、甲に対し、平成××年×月×日、本件不動産の所有権を贈与し、甲はこれを受諾した」と書かれた登記原因証明情報と題する文書に譲渡人・譲受人が署名捺印するものである。文面は司法書士が用意し、当事者は署名捺印するだけである。登記のために用意された文書であり、登記の原因となった契約などを調査することは困難になる。
売買契約書ならば売買代金、手付金の額、その他の契約条件など詳細な内容が書かれていることが多く、閲覧によって契約の内容をつかむことができる。しかし、「乙は甲に本件不動産を売却し、それによって権利が甲に移転した」というだけの登記原因証明情報では契約の実体は不明である。
以下、登記申請のために登記原因証明情報という文書を作成することの得失をまとめる。
先ず社会的要請である。そもそも契約は意思表示によって成立するものであり、契約書の存在は必須ではない。口頭でも契約は有効に成立する(但し、宅地建物取引業者には書面の交付が義務付けられている。宅地建物取引業法第37条)。そのため、登記申請のために登記原因証明情報を作成する必要が生じる場合は否定できない。
一方で登記原因証明情報の添付が登記の信頼性を高めることを目的としていることを考えると、登記原因の実体を把握できる資料の方が望ましい。可能な限り生の資料を添付することが社会的要請である。
次に登記申請人(契約当事者)の立場で考える。契約当事者にとっては登記とは関係ない売買代金のような情報を、法務局に保管される登記申請書に添付したくないという思いがある場合もあるかもしれない。この場合、登記申請に必要最小限の情報を記載した登記原因証明情報を新たに作成する方が望ましいことになる。
一方、契約書のような資料を登記原因証明情報とすることは申請人の権利を守るものである。契約書とは別に登記申請のために登記原因証明情報を作成するということは、契約書と異なる内容になってしまう可能性がある。相手方当事者と司法書士の悪意が介在すれば不可能ではない。その結果、契約書で意図したものと異なる内容で登記されてしまい、損害を被りかねない。
登記原因証明情報も自らが内容を確認した上で署名捺印するのだから自己責任と主張されるかもしれないが、契約書とは別に書類を作成する以上、間違えは起こり得る。実際問題として契約書に署名捺印する時ほど熟慮して、登記原因証明情報に署名捺印することはない。専門家である司法書士に登記手続き上必要な書類と説明されれば「そういうものか」と署名捺印してしまいがちである。契約書を登記原因証明情報とすれば、たとえ司法書士に如何なる悪意があろうとも、契約書と矛盾する内容での登記はできない。
この点については記者に苦い経験がある。記者は東急不動産から購入したマンションの売買代金返還を求めた訴訟で、売買代金の返還を受け、登記原因を「訴訟上の和解」で所有権移転登記をするという訴訟上の和解を成立させた。ところが、和解の履行時期になって東急不動産側は登記原因を「和解」とする登記原因証明情報への署名捺印を要求してきた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。
これに対し、記者は和解調書を登記原因証明情報とし、和解調書通りに登記申請することを主張した。最終的に記者の正論が通ったが、東急不動産の主張に従っていれば、和解調書とは異なる内容で登記されてしまうところであった。
最後に申請手続きを行う司法書士の立場を考える。司法書士にとっては、どのようなフォーマットか分からない契約書を使用するよりも、自ら作成した定型的な「登記原因証明情報」に記名捺印させた方が楽という発想がありうる。
しかし司法書士の職業倫理からすれば、登記の真実性を高める方法を選択すべきである。真実性を高めるとは単に自分が正しいことを行うというだけではない。第三者が事後的に確認できるように証跡を残しておくことも必要である。さもなければ唯我独尊に陥ってしまう。
このように考えるならば登記原因証明情報に相当する資料が存在する場合は、それを登記原因証明情報として使用することが法目的に合致する。建築不動産業界には「手続きが通ってしまえば、それでいい」という発想が根強い。
その極端な例が耐震強度偽装事件であった。耐震強度のあるマンションを設計するのではなく、建築確認が下りればいいという発想が強度不足のマンションを増産した。登記申請のために作成された「登記原因証明情報」ばかりが利用されるならば、登記においても上記傾向に汚染されていることになる。

整形地と不整形地

土地には整形地・不整形地という分類がある。整形地の典型例は正方形や長方形の土地である。これに対し、不整形地の典型例は三角形の土地や旗竿地である。整形地に比べると、不整形地は土地の利用効率が低くなりがちである。それ故に同じ面積でも整形地よりも不整形地の方が土地の値段は低くなる。
土地の価格を決める尺度として単価(平米単価、坪単価)がある。これは一平米または一坪当たりの土地の価格である。この単価に対象の土地の面積(平米数または坪数)を乗じることで価格を算出する。例えば平米単価50万円の場合、70平米の土地は3500万円となる。路線価にしても公示価格にしても、この単価という考え方が基本になっている。
単価に従って土地の価格を計算する場合、同じ単価ならば面積が広いほど値段が高くなる。また、同じ面積ならば同じ値段になる。これは多くの場合に常識と合致するが、整形地と不整形地を比べると不都合である。この場合の調整用の概念が不整形地である。整形地は単純に単価に面積を乗じて計算する。これに対し、不整形地では乗じた値から一定割合を差し引くことで調整する。これは税務評価では不整形地補正と呼ばれる。
この考え方自体は一般論として広く認められているが、問題は特定の土地が整形地であるか不整形地であるかの判断である。概ね長方形であるが、厳密には長方形の定義から外れている。角が直角ではなく、対辺の長さが少し異なるなどである。そのような土地は整形地になるのか、不整形地であるのか。
この回答を導く倫理構成は二段構えとなる。
第一に、このような土地を整形地として扱う。大阪市「固定資産評価実施要領 第1 土地の評価」平成21年度版では以下のように定義する。
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(ア)整形地
矩形の画地及びこれに準ずる画地をいう。
(イ)不整形地
整形地以外で形状の不整形な画地をいう。
***
整形地を「矩形(四角形)の画地及びこれに準ずる画地」と定義することで、ほぼ四角形の土地も整形地に含まれる。もし厳密に四角形ではない土地を全て不整形地と扱うと、ほとんどの土地が不整形地となる。それでは本当の意味での不整形地(三角形の土地や旗竿地など)を区別して調整しようとした意味が損なわれてしまう。
第二に不整形地であっても減額しない。不整形地を減額する趣旨は建物の敷地として有効利用が難しい土地への考慮にある。建物の敷地として有効利用が損なわれていなければ減額しない。
不動産を不整形地として減額する場合、対象地の存する近隣地域の標準的な土地建物の利用形態を想定する。そして標準的な利用形態が、その不整形状でどの程度の支障、阻害を受けるかで減価率を決定する。
土地に凹凸部分が存在したとしても利用阻害にならなければ減価されない。たとえば凹凸部分を物置設置場所とすることや、容積率で建築可能なボリュームに寄与させることもできる。不整形地と判断されるケースは明らかに使いにくい、使えない部分ができる土地である。
裁判例でも不整形地補正の趣旨からすれば、画地の形状が不整形地であっても、家屋の建築等が通常の状態において行い得るなど不整形による利用上の制約が認められない場合には、この補正は適用されないとされる(広島地判平成2年9月18日、昭和62年(行ウ)第3号、固定資産評価額審査決定処分取消請求事件)。
行政出身者の書籍でも以下の通り記載されている。
「不整形地補正は、上記のように、画地の形状が悪いことによって、画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できないための補正であるから、画地の形状が、完全な正方形又は矩形でないとしても、画地の面積がおおむね減正規模か若しくはそれ以上の広さがあり、かつ、不整形の程度が小さい場合など、宅地としての利用に当たり特に支障がないものについてまで、不整形地補正を行う必要はない。」(肥後治樹編『平成22年版 財産評価基本通達逐条解説』大蔵財務協会、2010年、81頁)
地方自治体の評価基準にも同種のものがある。
小平市固定資産(土地)評価事務実施要領(昭和53年9月6日)「不整形地であっても家屋の建築等が通常の状態において行い得るものは、補正を要しないものとする。」
平成21基準年度新潟市固定資産(土地)評価事務取扱要領「家屋の建築等が通常の状態において行い得るもので、宅地の価格に影響がないと考えられる場合は、補正を要しないものである。」
税金を少しでも安くするための節税対策として不整形地補正を最大限に利用するケースもあるが、土地の価格の正当な評価としては望ましいことではない。