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林田力『東急不動産だまし売り裁判8』

林田力『東急不動産だまし売り裁判8』 は東急不動産だまし売り裁判の提訴からマンション現地進行協議までを描くノンフィクションである。東急リバブル東急不動産は隣地建て替えなどの不利益事実を隠して新築分譲マンションをだまし売りした(林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』Amazon Kindle)。
引き渡し後に真相を知った購入者(林田力)は抗議したが、東急リバブル・東急不動産は不誠実な対応に終始した(林田力『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』Amazon Kindle)。東急リバブル東急不動産の姿勢は、虚偽主張をしているのではないか、何か後ろめたい事情があるのではないかなどの勘繰りを好んで招くものであった。購入者が消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づいて売買契約を取り消したことは正解である(林田力『東急不動産だまし売り裁判3』Amazon Kindle)。
東急不動産からの申し出による渋谷東急プラザの協議も東急不動産課長の開き直り「裁判所でもどこでも好きなところに行ってください」で決裂した(林田力『東急不動産だまし売り裁判4渋谷東急プラザの協議』Amazon Kindle)。東急不動産との協議は、まるで外国にいるようであった。人が話しているのを聞いても消費者感覚とかけ離れて、何を言っているのか丸っきり分からないのだから。林田力は、悪徳不動産営業から呆れられ、陰口を叩かれて、しまいには笑われてしまうほどに、胸中を満たすものは力強い自信の言葉ばかりとなった。
東急不動産は隣地所有者と対立を深め、他のマンション住戸でもだまし売りが発覚した(林田力『東急不動産だまし売り裁判7』Amazon Kindle)。林田力は東急不動産を提訴したが、裁判でも東急不動産は口頭弁論欠席や証拠改竄で不誠実を極めた。東急不動産は人を人とも思わない態度を隠そうともしなかった。
東急リバブル東急不動産への信頼は東急不動産だまし売り裁判によって沖縄の太陽の下の氷のように溶けてなくなった。この東急不動産の闇は東急不動産係長脅迫電話逮捕事件でさらに暗さを増すことになる(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』Amazon Kindle)。

【書名】東急不動産だまし売り裁判8/トウキュウフドウサンダマシウリサイバン ハチ/The Suit TOKYU Land Corporation Fraud 8
【著者】林田力/ハヤシダリキ/Hayashida Riki
【既刊】『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』『東急不動産だまし売り裁判購入編』『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』『東急不動産だまし売り裁判3』『東急不動産だまし売り裁判4渋谷東急プラザの協議』『東急不動産だまし売り裁判5東京都政』『東急不動産だまし売り裁判6東急百貨店だまし売り』『東急不動産だまし売り裁判7』
『東急不動産だまし売り裁判訴状』『東急不動産だまし売り裁判陳述書』『東急不動産だまし売り裁判陳述書2』『東急不動産だまし売り裁判陳述書3』
『東急大井町線高架下立ち退き』『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』『東急コミュニティー解約記』『裏事件レポート』『ブラック企業・ブラック士業』
『二子玉川ライズ反対運動1』『二子玉川ライズ反対運動2』『二子玉川ライズ反対運動3』『二子玉川ライズ反対運動4』『二子玉川ライズ反対運動5』『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』『二子玉川ライズ反対運動7』『二子玉川ライズ反対運動8』『二子玉川ライズ反対運動9ブランズ二子玉川の複合被害』『二子玉川ライズ反対運動10』

東急不動産を提訴
原告の一歩
東急リバブル東急不動産の欠陥
原告の請求内容
東急不動産の勘違い
提訴の報告
東急不動産の欺瞞
提訴報道
東急不動産答弁書の粗末
訴訟委任状
東急不動産の訂正拒否
東急不動産の弁論欠席
追加補足文
東急不動産準備書面の虚偽
東急不動産準備書面の反響
第二回口頭弁論
東急不動産課長の居留守
原告陳述書
弁論準備手続開始
東急不動産マンションに不審者出没

東急不動産だまし売り裁判8 の書評 / 林田力 / 林田力 / |本が好き!
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東急不動産だまし売り裁判8(Kindle) 感想 林田力 - 読書メーター
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東急不動産だまし売り裁判8 - はてなキーワード
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The Suit TOKYU Land Corporation Fraud 8
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林田力 『東急不動産だまし売り裁判』建築不動産問題

林田力「住宅購入促進は景気回復に役立つか」PJニュース2010年3月15日
林田力「地域活性化には外部の目を取り入れた柔軟な思考」PJニュース2010年4月2日
林田力「商業地域の仮処分決定に見る日照権保護の積み重ね」PJニュース2010年4月3日
林田力「向ヶ丘遊園の跡地利用計画は大幅縮小=神奈川・川崎」PJニュース2010年4月10日
林田力「日影規制違反を理由に建築確認取り消し=愛知・名古屋」PJニュース2010年4月11日
林田力「経済損失としての日照権侵害」PJニュース2010年4月12日
林田力「消費者契約法違反で耐震偽装マンション代金返還判決(上) 」PJニュース2010年4月23日
林田力「消費者契約法違反で耐震偽装マンション代金返還判決(下) 」PJニュース2010年4月27日
林田力「消費者トラブルの2つの論点」PJニュース2010年5月5日
林田力「東京スカイツリー賞賛一辺倒の貧困」PJニュース2010年5月18日
林田力「口蹄疫・食品表示要請に見る消費者庁の限界(上) 」PJニュース2010年5月19日
林田力「口蹄疫・食品表示要請に見る消費者庁の限界(下)」PJニュース2010年5月20日
林田力「重要文化財の「銅御殿」が危機、マンション建設で。周辺住民や美術館が提訴=東京・文京」PJニュース2010年5月21日
林田力「「はり半」跡地の渓流改築許可無効を求めて提訴=兵庫・西宮」PJニュース2010年6月7日
林田力「不動産の両手取引禁止を改めて公約に(上)」PJニュース2010年6月13日
林田力「不動産の両手取引禁止を改めて公約に(下)」PJニュース2010年6月14日
林田力「オリックス沖縄利権記事に見る市民メディア的側面」PJニュース2010年7月1日
林田力「土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧(上) 」PJニュース2010年7月6日
林田力「土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧(下)」PJニュース2010年7月6日
林田力「中野・警察大学校跡地裁判の報告集会」JanJanBlog 2010年7月22日
林田力「『全壊判定』マンション購入が怖くなる」JanJanBlog 2010年8月1日
林田力「追い出し屋と占有者の仁義なき戦い」リアルライブ2010年8月17日
http://npn.co.jp/article/detail/71303129/
http://news.livedoor.com/article/detail/4951211/
林田力「区画整理・再開発の法改正を考えるシンポジウム」JanJanBlog 2010年8月18日
林田力「明石小学校解体に抗議行動=東京・中央」PJニュース2010年8月19日
林田力「柔らか感のある大正建築・東京都中央区立明石小学校が解体」リアルライブ2010年8月23日
http://npn.co.jp/article/detail/09561666/
林田力「不動産仲介手数料の不合理(1)対価に見合ったサービスか」PJニュース2010年8月21日
林田力「不動産仲介手数料の不合理(2)新築マンション」PJニュース2010年8月22日
林田力「不動産仲介手数料の不合理(3)新築一戸建て」PJニュース2010年8月23日
林田力「不動産仲介手数料の不合理(4・終)新たな業者」PJニュース2010年8月24日
林田力「住民発意で区画整理・再開発の法改正を考えるシンポ(上)」PJニュース2010年8月25日
林田力「住民発意で区画整理・再開発の法改正を考えるシンポ(中)」PJニュース2010年8月26日
林田力「住民発意で区画整理・再開発の法改正を考えるシンポ(下) 」PJニュース2010年8月27日
林田力「東京都中央区立明石小学校解体をめぐる攻防(上)」JanJanBlog 2010年8月26日
林田力「東京都中央区立明石小学校解体をめぐる攻防(中)」JanJanBlog 2010年8月27日
林田力「東京都中央区立明石小学校解体をめぐる攻防(下)」JanJanBlog 2010年8月28日
林田力「区画整理・再開発反対運動の脆さと方向性(上)」PJニュース2010年8月30日
林田力「区画整理・再開発反対運動の脆さと方向性(下)」PJニュース2010年9月1日
林田力「イーホームズ・藤田東吾バッシングの背景(上)」PJニュース2010年9月8日
林田力「イーホームズ・藤田東吾バッシングの背景(下)」PJニュース2010年9月9日
林田力「中野駅地区整備・景観等検討会に都計審委員が就任=東京・中野」PJニュース2010年9月10日
林田力「街づくり条例について考え、語る会開催=東京・世田谷(上)」PJニュース2010年9月13日
林田力「街づくり条例について考え、語る会開催=東京・世田谷(下)」PJニュース2010年9月14日
林田力「明治安田生命新東陽町ビル建設に反対運動=東京・江東」PJニュース2010年9月16日
林田力「更新料廃止で賃貸住宅市場の充実を」PJニュース2010年9月17日
林田力「SUNAMOとアリオ北砂の砂町SC戦争=東京・江東(上)」PJニュース2010年9月18日
林田力「SUNAMOとアリオ北砂の砂町SC戦争=東京・江東(中)」PJニュース2010年9月20日
林田力「SUNAMOとアリオ北砂の砂町SC戦争=東京・江東(下)」PJニュース2010年9月21日
林田力「シックハウス症候群で仲介手数料紛争=横浜」PJニュース2010年9月21日
林田力「住民の個人情報収集と悪口がマンション業者の仕事」リアルライブ2010年9月24日
http://npn.co.jp/article/detail/39534664/
林田力「整形地と不整形地」PJニュース2010年9月25日
林田力「分譲被害者と賃貸被害者の連帯を」PJニュース2010年9月27日
林田力「街づくり条例改正案が可決=東京・世田谷」PJニュース2010年10月2日
林田力「歩道橋が横断歩道に、人に優しく=東京・江東の深川八中前」PJニュース2010年10月5日
林田力「羽澤ガーデンで現場検証記念フォーラム=東京・港(上)」PJニュース2011年1月27日
林田力「羽澤ガーデンで現場検証記念フォーラム=東京・港(中)」PJニュース2011年1月28日
林田力「羽澤ガーデンで現場検証記念フォーラム=東京・港(下)」PJニュース2011年1月29日

マンション建設反対と公営住宅

マンション建設反対運動が公営住宅拡充を政策論として掲げることを提言する。一時ほど注目を集めなくなったが現在も各地でマンション建設反対運動が起きている。マンション建設反対運動への注目が低下した要因は不動産不況に負うところが大きく、住民運動を取り巻く状況が改善されたとは言い難い。かつて私は街づくりを志向するマンション建設反対運動に対し、住環境破壊は人権侵害と人権論での再構築を提言した(林田力「マンション建設反対運動は人権論で再構築を」PJニュース2011年6月17日)。
ここでは人権論に立脚した政策論として公営住宅拡充を提言する。マンション建設反対運動に寄せられる最も痛切な批判は、需要があるからマンションが建設されるというものである。これに対して人権論は「住環境破壊は人権侵害であり、許されない」という近隣住民の人権で対抗する。どれほど経済的需要があろうとも絶対的な人権で否定する論理である。ここには論理的な強さがあるが、人権よりも経済の論理を優先する社会では弱い。
そこで需要が生まれる根本原因を解決する政策論として公営住宅拡充論がある。日本は持ち家信仰が過度に強いが、それは民間任せの賃貸市場が貧弱であるためである。廉価で良質な公営住宅が大量に供給されることで、分譲マンションへの需要を減少させられる。これは長期的にはマンション建築紛争の抑制になる。
マンション建設反対運動にとっては住環境を破壊する高層建築が問題であり、公営住宅であっても建物の態様によっては反対の対象になりうる。それ故にマンション建設反対運動が公営住宅拡充を掲げることへの疑問もあるだろう。しかし、公営住宅が本来の目的を果たすならば、高齢者など様々な住民に優しい建物でなければならず、低層中心になる。
公営住宅拡充はゼロゼロ物件や追い出し屋など賃貸住宅の問題でも根本的な対策になるものである。直近の課題は貧困ビジネスで搾取する悪質な業者の規制である。具体策として追い出し屋規制法案の成立が求められている。消費者に求められる対策としては、宅建業法違反で業務停止処分を受けたような問題のある業者とは契約しないことである。
しかし、根本的な問題は住宅供給を民間任せにする日本の住宅政策の貧困にあり、廉価な公営住宅の拡充が貧困ビジネスの撲滅になる。マンション建設反対運動が公営住宅拡充を掲げることは賃貸と分譲の問題を結び付け、運動の裾野を広げることになる。(林田力)

全都・都市計画道路問題交流会が開催

全都・都市計画道路問題交流会が2011年9月11日に東京都杉並区久我山の久我山会館で開催された。これは都内各地の都市計画道路建設に反対する住民団体の交流会である。
最初に東京大気公害裁判弁護団の原希世巳弁護士が「そら(SORA)プロジェクトと被害救済制度」と題して5月に発表された環境省の健康影響調査の内容と意義を報告した。SORAプロジェクトは自動車の排気ガスの健康への影響を調査する大規模なプロジェクトで、排気ガスが小学生の喘息の発症率を高めていると結論付けた。
調査内容は学童コホート調査、幼児調査、成人調査に大別される。コホートは追跡の意味で、小学生を5年間追跡調査した。その結果、幹線道路に近接している場所に居住する小学生は幹線道路から離れた場所に居住する小学生よりも喘息の発症率が高いと統計的に裏付けられた。
追跡調査を1回しかしなかった幼児調査では関連性は出なかった。追跡調査をしなかった成人調査でも関連性は出なかった。但し、非喫煙者のみを対象とすれば、排気ガスと喘息発症率に関連性が確認された。また、成人全体では排気ガスと「持続性のせき・たん症状」に関係が認められた。
原弁護士は「これまで国は排気ガスと健康被害の因果関係を認めていなかった」として、SORAプロジェクト調査結果の画期性を強調した。「幹線道路を建設することが、いかに沿道の健康を脅かすか」と述べ、「これは(住民にとって)大きな武器になる」と結論付けた。そして「国に対して公害被害者救済制度の創設を求めていく」と語った。
ところが、松本龍環境大臣(当時)は5月27日に以下のように述べて、被害者救済制度に否定的な見解を示した。
「SORAプロジェクトの結果でも関連性の程度や大きさは確定困難なこと、幼児や成人の調査で関連性が見いだせないことから、自動車排ガスが喘息などの主たる原因とは考えられない。」
これに対して、原弁護士は「関連性の程度などを確定させるような疫学調査は大気では事実上不可能」と反論する。また、幼児や成人の調査については追跡調査が不十分であることによる調査制度の問題とした。直近の方針として、「臨時国会に提出する大気汚染公害被害者に対する新たな救済制度を求める請願の署名集めを推進する」と述べた。現在は26万筆集まっており、50万筆を目指すという。
会場からは以下の意見が出された。
「マンションの10階に住む小学生が喘息患者であったが、2階建ての一戸建てに転居した途端、喘息が治った。排気ガスが上方に滞留するのではないか」
「過去には大気汚染の健康被害は道路沿いに集中していたが、最近では地域全体に広がっているのではないか」
続いて都内各地から道路問題について報告がなされた。府中市の「都道小平3・3・8号線計画を考える会」は小平都市計画道路3・3・8号府中所沢線の問題を報告した。道路建設によって玉川上水と両側の緑道が分断されると主張した。
世田谷区下北沢からは補助54号線などの問題が報告された。小田急線の地下化が完了する予定で、跡地の利用問題が浮上している。裁判官は住民が提出した証拠をよく見てほしい。交通量は横ばいまたは減少の見込みで、今後、自動車交通が増えることはない。都市計画道路は抜本的に見直した方が良い。アンケートを実施し、約1200通の回答を得た。補助54号線を「当面、建設する必要はない」との回答が約88パーセントであった。
同じく世田谷区の二子玉川再開発問題では世田谷区の動きが報告された。二子玉川再開発では駒沢通り(補助49号線)や補助125号線(多摩堤通り)など道路の拡幅・整備も計画されており、立ち退きや交通量の増大による騒音・排気ガスの問題も抱えている。
世田谷区では「平成23年度行政経営改革重点調整事業」と題して、「二子玉川東第二地区市街地再開発組合(2期)への補助事業精査」と「道路事業の一層の効率化」を掲げた。これまで開発案件は聖域化されており、「初めてチェック項目に入った」とする。住民側は「不要不急の道路に金を使うなと主張していく」とする。
また、二子玉川公園では立ち退きを拒む収容対象家屋を残し、住み続けられるようにする方針が確認された。「大きな公園は犯罪の温床になる危険もあり、住民が残った方が周辺コミュニティーにとっても安全」と語った。
東京あおぞら連絡会からは「ミュンヘン市の都市再生と自転車道」と題する報告がなされた。ドイツでは「トラック一台分の薬より、一台の自転車」という健康推進の標語があり、自転車の利用を推進している。中心市街地に車を入れない。電車は自転車積み込みが一般化している。また、ミュンヘンでは建築規制によって高層ビルが建設されていない。東京と正反対であるとした。
府中市の「東八道路の延長計画を撤回させる会」は東京八王子線(東八道路)について報告した。建設予定地は第一種低層住居専用地域であり、作ってはならない道路と主張する。「住居専用地域は居住環境地域として指定しており、幹線道路等都市計画道路は建設しない」とする東京都の都市計画道路建設方針に違反している。今後の動きとして運動を組織化する。大気汚染の学習会を計画中である。不要不急の公共事業の予算を震災復興に回すとした。
「田無3・4・7を考える会」は、東大農場・演習林を分断する道路建設の問題を報告した。交通量は緩和している。市民にとって道路は不要で、自然を守りたい。絶滅危惧種のオオタカが確認された。行政も渋滞緩和とは言わなくなり、災害対策を名目にし出した。しかし、道路ができると避難者が不便になる。
最後に標博重氏から問題提起がなされた。住民団体の共同行動が重要である。東京の交通量も減少する。人口は減少し、特に生産年齢が激減する。車の利用も減る。車の利用率が減り、鉄道の利用率が増えた。幹線道路の新設ではなく、既存の歩道のない道路に歩道を付けるなどの改良に政策転換すべきである。東京が一番遅れている。都市計画道路ネットワーク論が諸悪の根源であり、これを廃止できれば大きく変わるとした。
会場からは「福島第一原発事故の影響で、東京の人口が減少した。放射能汚染からの非難である。さらに立川断層が危険であると騒がれている。東京の人口は一層減少するのではないか。」との意見が出された。
集会終了後は「玉川上水・すぎなみの会」の案内で、玉川上水沿いの放射第5号線建設予定地を視察した。建設地はケヤキなどの樹木が茂るグリーンベルトとなっている。道路建設を進める東京都第三建設事務所側は「既存樹木は保全する」と説明するが、「すぎなみの会」側は「道路建設は歴史環境保全地域としての価値を損なう」と批判した。現地では既に買収された土地はグリーンのシートに覆われた無残な姿をさらしていた。(林田力)

マンション建設反対運動は人権論で再構築を

マンション建設反対運動は理論的なバックボーンとして人権論で再構築すべきである。これまでマンション建設反対運動は街づくりを掲げる傾向があったが、人権論をベースにすることで強くなれる。
建設反対運動が街づくりを志向することには理由があった。建設反対運動は以下の問題を抱えていた。
第一に不動産業者側から寄せられる地域エゴ、住民エゴという非難である。それに対抗するために建設反対運動では街づくりという公共的なテーマを掲げた。
第二に運動の一過性である。マンション建設反対運動はマンション建設計画によって生じ、マンション竣工によって終了してしまう傾向がある。日本全国各地で紛争は生じているが、どこも一過性の運動で蓄積は乏しい。そのために街づくりというテーマを掲げて、恒常的な運動を志向する。
しかし、街づくり志向にも欠点がある。街づくりという広汎なテーマを掲げることが、逆に住環境を破壊するマンション建設に反対するという運動の原点を曖昧にしてしまう(林田力「マンション建設反対運動の団体名の一考察」PJニュース2011年6月17日)。
また、街づくりは政策論である。もともと自分達の住環境を守りたいという切実な思いが建設反対運動の出発点である。それが街づくりという高尚な理論で飾ることで切迫感の欠けた運動になってしまいかねない。政策論では貧困問題など生きるか死ぬかの問題を抱える市民運動家に切実さが伝わりにくい。この結果、市民運動の中でマンション建設反対運動の存在感は小さなものになってしまう。
この点は賃貸住宅トラブルの被害者の運動が参考になる。賃借人らの運動は住まいの問題を生存権(憲法第25条)などに基づく人権と位置付けている。「住まいは人権」との主張である(林田力「住宅政策の貧困を訴える住まいは人権デー市民集会=東京・渋谷」PJニュース2011年6月15日)。
賃貸トラブルの被害者に対する世間の視線は決して温かいものではない。まだまだ日本社会では「家賃を滞納する賃借人に文句を言う資格はない」「店子は大家に逆らうな」的な発想が幅を利かしている。この種の非難に賃借人の運動は人権問題と論理構成することで対抗する。人権であるならば主張することに遠慮はいらない。たとえ家賃滞納者であったとしても、人権侵害は許されない。これが賃借人の運動の強さである。
人権論をベースとしたマンション建設反対運動として、二子玉川ライズ反対運動に注目する。ここでは高層マンションによる住環境破壊を人権侵害と構成する。この点で賃借人の運動と同じ水準になっている。
具体的には憲法第13条の生命・自由・幸福追求権や第25条の生存権を基礎とする良好な環境の下に生活し続ける権利や環境権を侵害すると主張する。最高裁判所に実質的な憲法判断を求めて2011年5月9日に要請書を提出した(林田力「二子玉川ライズ反対運動が学習決起集会開催=東京・世田谷」PJニュース2011年5月9日)。
実態としても、二子玉川ライズの住環境破壊は住民にとって文字通り生死に関わる問題になっている。高層ビルのビル風に吹き飛ばされた女性が骨折する事故が起きている(林田力「二子玉川再開発説明会で住民の懸念続出=東京・世田谷」PJニュース2011年5月16日)。
ここまでの文章はマンション建設反対運動が街づくりよりも、人権論をベースとすべきとのスタンスで書いてきた。しかし、管見は街づくりを全否定するものではない。建設反対運動が街づくりを志向することに理由があったことは既に述べたとおりである。それは建設反対運動が置かれた状況を克服するために導き出されたもので、大きな意義がある。
この街づくりと人権の関係という点でも二子玉川ライズ反対運動は注目に値する。二子玉川ライズ反対運動は憲法上の権利として、住民が主体的に街づくりに参画する権利「まちづくり参画権」を主張する(林田力「二子玉川ライズ文書非開示に意見書提出=東京・世田谷(下)」PJニュース2011年1月18日)。
ここでは街づくりと人権は二者択一の関係ではない。「まちづくり参画権」という人権問題と位置付けることで二子玉川ライズ反対運動において両者は止揚されている。

東日本大震災の液状化被害は土地造成の問題

三陸沖を震源地として2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は広範な液状化被害をもたらした。地盤工学会の現地調査によると、東京湾沿岸で液状化現象が確認された面積は少なくとも約42平方キロと世界最大規模になる。
長周期地震動やエレベータ停止による高層難民化などの問題と共に震災前から指摘されていた湾岸埋め立て地域の超高層マンションの危険性が再確認された格好である。しかし、湾岸埋め立て地が液状化しやすいとの結論は早計である。
第一に液状化被害は湾岸部の埋め立て地に限定されない。液状化被害を恐れて湾岸部を敬遠し、武蔵野地域の人気が上昇していると報道されているが、短絡的である。東日本大震災の液状化被害は茨城県や埼玉県など沿岸部以外の場所でも起きている。
古くは1185年の元暦の大地震で京都(山城国)の鴨長明が「方丈記」で「土裂けて水湧き出で」と液状化被害を報告している。仮に埋め立て地を避けるべきとしても、埋め立て地には河川や湖沼もある。埋め立て地を避けるならば細かい地区レベルの古地図を参照しなければならない。
第二に埋め立て地においても液状化被害の発生有無・状況は一様ではない。たとえば千葉県浦安市の液状化被害は甚大であるが、それでも場所によって被害状況に差がある。道路一本隔てて天国と地獄に分かれるような場所も少なくない。実際、東京ディズニーリゾートの被害は軽微であった。駐車場の一部で液状化現象が発生したものの、テーマパーク内では液状化現象が発生せず、建物の被害もなかった。
街中が津波に流された東北地方の被災地に比べて、液状化被害は関心が低く、報道量が少ない。前者が被害の悲惨さや重大性で勝ることが主要因であるが、日本人の異なる層への共感力の乏しさも影響している。単一民族幻想に浸る同一性の強い日本人は皆が平等に被災した津波被害には大きく同情するが、一部の人々だけが被災した液状化被害については他人事感覚になりがちである(林田力「石原慎太郎支持層に届かなかった石原批判」PJニュース2011年5月9日)。
場所によって液状化被害に明暗が生じた理由は、埋め立て土の材料や地盤改良の有無など工法の違いである。たとえば東京ディズニーリゾートはサンドコンパクション・パイル工法を採用した。締め固めた砂の柱を地中に多数埋め込むことで地中の密度を高めている。手間暇かけて対策した土地は液状化被害を受けないという童話「三匹の子豚」と同じ教訓が導き出される。
反対に地区全体が埋立地の東京都江東区豊洲では築地市場移転地がピンポイントで液状化した。この市場移転地では土壌や地下水の汚染が問題提起されている。液状化によって汚染土壌や地下水が地表に移動し、危険性が高まったと批判が強まっている。液状化の観点では土壌汚染を放置するような土地だから、土地造成にも手間暇をかけておらず、液状化したと考えることができる。
手間暇をかけて対策を採れば液状化しないという結論は自己責任論を名目に被害者を切り捨てたい新自由主義者に好都合なものとして悪用される危険がある。しかし、幕張メッセや羽田空港など事業用地の被害は少ない一方で、新興住宅地に被害が集中する傾向を考慮しなければならない。
液状化の被害者を自己責任論で切り捨てることが正当化されるならば、液状化対策が十分になされておらず杜撰な造成をしたという説明を受け、それを承知して物件を購入した場合である。「埋め立て地だから、液状化リスクを考慮しなければならない」との主張は成立しない。適切な対策を採れば防止や被害の軽減が可能だからである。液状化被害は杜撰な土地造成の問題であり、欠陥住宅と同根の問題である。

更新料無効判決は消費者にも業界にも福音

賃貸住宅の契約更新時に支払う更新料を消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)により無効とする判決が相次いでいる。これは消費者にとっても不動産業界にとっても福音であると考える。
消費者にとって更新料は合理性に欠ける。建物に住むことと家賃の間に対価関係がある。ところが、更新料は契約を更新するための代金であり、そのようなものに金銭を支払うことは他の業種では考えられない。反対に一般の業種ならば長期契約者はサービス提供者にとっては有り難い存在であり、割引してでも囲い込みたい上客である。建物を借り続けると余計な金銭を支払わないところに不動産業界の異常さがある。更新料無効判決は不動産業界の悪弊を消滅させるチャンスである。
不動産賃貸業界にとっても長期契約者は上客である。賃貸ビジネスにとって一番避けたいことは空き部屋が出ることである。新たな住人を募集するためにはクリーニングやリフォームも必要である。現在では前の賃借人の敷金をクリーニングやリフォームに使うことは許されない。大家側は長期契約者を大切にしなければならない。
更新料が無効になると、短期的には賃貸業者の収入が減るが、長期的には賃貸市場を拡大させることができる。日本は異常なほど持ち家信仰が肥大化しているが、賃貸に更新料のような不合理な慣行が存在することも一因である。賃貸業界から不合理な慣行を一掃することで分譲に逃げた消費者を呼び戻すことができる。大家側には狭い業界の論理から更新料無効判決に抵抗するのではなく、普遍的な経済原理から判決の一歩先の対応を期待する。

マンションは本当に買い時か

不動産業者発表のアンケート調査で「マンションの買い時感が上昇」との結果が発表されたが、不動産不況の只中にいる肌感覚とは明らかに異なる。東証一部上場の日本綜合地所までも破綻する先の見えない不況下で「買い時」とはとても思えない。本当に今がマンションの買い時であるのか、批判的に検討したい。
アンケート結果の発表元は新築マンションのポータルサイト「メジャーセブン」である。メジャーセブンは住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、藤和不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所の大手不動産会社8社が共同で運営している。開設当初の2000年4月時点の参加企業は東京建物以外の7社であったため、名前はメジャー7である。問題のアンケートは2009年2月12日に発表された「第10回新築分譲マンション購入に際しての意識調査」である。
「意識調査」では「現在マンション購入を検討している理由」を尋ねた質問で、「現在は金利が低く、買い時だと思うから」が前回調査(2008年2月発表)の17位から6位に急上昇した。また、「土地・住宅価格が安くなり、買い時だと思ったから」も前回29位から12位に上昇した。ここから「マンション購入検討者の間で“買い時感”が出てきている」と結論付ける。
しかし、ここから本当にマンションが買い時と判断することは危険である。大きく2点指摘する。
第1に新築マンションを販売するデベロッパーが運営し、新築マンションの販売情報を提供するためのウェブサイトで発表されたアンケートである点である。マンションを販売したい側の思いがある点は割り引いて考えるべきである。
僅か2年前の2007年前半にも不動産業者は「今がマンションの買い時」と消費者を煽っていた。その時は「数ヵ月後には地価が上がるから、今が買い時」と喧伝し、「売り渋り」なる言葉まで登場した。しかし、実際の地価は上がるどころか、サブプライム不況で下がる一方であり、消費者を煽って買わせるための文句でしかなかった。本気で売り渋った業者がいたならば現在は在庫を抱えて四苦八苦している筈である。
第2に調査対象がマンション購入意向者である点である。回答者は多かれ少なかれマンションを購入する意欲のある人である。「今は買い時ではないためにマンション購入を検討しない」と考えている人も含めた調査ではない。
マンション検討動機に「今が買い時だから」と回答した人が昨年よりも増えているならば、買い時と考える購入意向者が増加したと結論付けることは間違えではない。しかし、それはマンション購入意向者の中で「今が買い時」と考える人の割合が増えたことを意味するに過ぎない。消費者全体で見れば「買い時」と考えている消費者が増加している訳ではない。
実際に増えているのは「マンションの買い時ではない」と考えている消費者であると推測する。現在は長期不況のとば口に立ったばかりというのが健全な経済感覚のある消費者の実感であろう。一頃に比べて地価が下がったとしても、これからもっと下がるならば、決して今が買い時ではない。反対に今の地価で購入してしまったならば高値掴みになってしまう。賢い消費者となって、企業のイメージ操作に踊らされないようにしたい。
最後に公正のために記者のスタンスについて説明する。この調査の幹事会社の東急不動産は不利益事実(隣地建て替えなど)を説明せずに新築マンションを販売したため、記者は裁判によって売買代金を取り戻した。この経験があるため、記者は東急不動産に対してネガティブなイメージを有していることを付言する。

不動産仲介手数料の不合理−対価に見合ったサービスか

私は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた経験がある。本記事では家探しの過程で疑問を感じた仲介手数料について取り上げる。
不動産を仲介業者経由で購入する場合、売主に売買代金を払うだけではない。それとは別に仲介業者にも仲介手数料を支払わなければならない。大半の仲介業者は仲介手数料を法定の上限である物件価格の3%プラス6万円としている。4000万円の物件ならば仲介手数料は126万円となり、決して安い値段ではない。
仲介業者は仲介手数料が収入であり、仲介手数料なしでは仲介業が成立しないことは理解できる。しかし、仲介手数料の金額はサービスレベルに比して高すぎるという感覚がある。ここでは2点指摘する。
第一に仲介業者の情報が意味を持たなくなっている。現在ではインターネット上で物件情報が公開されており、仲介業者に探してもらう必要性はない。実際、私の家探しでも記者から物件を指定して内覧するケースが大半であった。仲介業者にピンポイントで物件を指定して、購入することになった場合に仲介手数料を払うのは馬鹿らしい。
第二に仲介業者の調査能力である。ネットで物件情報を検索できたとしても、不動産仲介が意義を失うことはない。仲介業者には仲介する不動産について調査して説明する義務が宅建法上定められているためである。これによって消費者は宣伝内容と異なる物件や変な物件を買わされるリスクが少なくなる。逆に仲介業者が物件の問題点を伝えずに仲介した場合、仲介業者も責任を追及されうる。
実際、仲介業者の東急リバブルは隣人からの苦情について説明義務を尽くさなかったとして仲介物件を購入した大阪府池田市の男性から提訴された。一審大阪地裁判決では請求棄却となったものの、大阪高裁平成16年12月2日判決は「重大な不利益をもたらすおそれがある事項を十分に説明しなかった」「東急リバブルの担当者は契約の際、隣人の苦情のせいで別の購入希望者との売買が流れたことを説明しなかった」と認定し、東急リバブル側に456万円の支払いを命じる判決を下した。
しかし、上記東急リバブル事件のように仲介業者の責任が追及されるケースは、よほど悪質な事例のみである。実際問題として、仲介業者は物件について詳しく調査していない。実際、東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町では仲介業者の東急リバブルらによって繰り返し虚偽内容の広告が出稿された(林田力「マンション仲介広告に注意(1)錦糸町営業所の虚偽広告」PJニュース2010年8月3日)。
消費者の期待と実際の仲介業者の調査にはギャップがある。故に仲介業者の調査の点からも仲介手数料は正当化できない。特に不動産業者から物件を購入する場合にはメリットがない。売主も不動産業者ならば宅建業者としての義務が課されるためである。仲介業者が形式的な調査しかしないならば無意味である。

新築マンション

仲介手数料は本来、仲介業者経由で購入したことによって発生するものである。しかし、支払いの要否は事実上、物件別に色分けされている。大体、以下の通りである。
・仲介手数料あり:中古マンション、新築戸建て、中古戸建て
・仲介手数料なし:新築マンション
新築マンションのみ仲介手数料は不要である。新築マンションは通常、売主指定の販売業者が販売代理として販売する。例えば私が消費者契約法に基づき契約を取消した東急不動産のマンションは東急リバブルが販売を代理した。代理とは本人に代わって本人のために行為を行うことである。購入者から見れば仲介業者を介さずに直接売主から購入したことになり、仲介手数料を支払う必要がない。新築マンションだからではなく、仲介手数料の本来の仕組みから仲介手数料を払う必要がない。
しかし、家探しの過程で私は不思議な経験をした。地域の不動産仲介業者に物件探しを依頼したところ、条件を満たす新築マンションも紹介された。その際、中古物件では仲介手数料を払う必要があるが、新築マンションでは仲介手数料は不要と言われた。確かに新築マンションを購入するならば直接販売会社に行けばよく、仲介手数料を払ってまで地域の仲介業者から購入する必然性はない。
故に消費者にとっては仲介手数料を払わされたら話にならないが、それでは仲介業者の利益にならない。そのため、もし仲介業者の紹介で新築マンションを購入した場合、仲介業者には新築マンションの売主または販売業者からリベートを受け取れる仕組みになっているのではないかと推測する。ただ、売主側からバックされるから仲介手数料は不要となると、仲介手数料の本来の仕組みからは逸脱する。制度本来の意義よりも金銭的事情を優先させる不動産業界を象徴する一事である。
この点については販売業者の姿勢にも疑問を感じたことがある。私が東急不動産から購入したマンションは不利益事実(隣地建て替えなど)を隠されたものであった。真相を知った私は最初に東急リバブルに抗議した。当該物件では東急リバブルが販売代理であり、販売手続きも重要事項説明も全て東急リバブルの従業員が実施していた。東急不動産の従業員が登場することはなかった。
故に苦情申し入れ先として東急リバブルを選択したことは自然である。しかし、東急リバブルは「販売業者だから知らない、売主の東急不動産に言え」というたらい回しの態度であった。販売代理業者としての責任感は皆無である。東急リバブルの無責任さには激しい怒りを覚えた。東急リバブルの対応は決して同意や容認できるものではない。しかし、東急リバブルに販売代理ではなく、仲介業者としての感覚しか持ち合わせていないと考えれば、たらい回しした背景を理解することは可能である。ここにも販売代理と仲介という制度の趣旨を蔑ろにする不動産業者の体質が見え隠れする。
制度の趣旨に即しているかは疑問があるものの、新築マンション購入では仲介手数料不要という結論自体は消費者にとって歓迎できる。一方、私が家探しで疑問を感じた点は戸建ての場合は新築であろうと業者が売主であろうと仲介手数料が必要になるという点であった。この点については次に論じる。

新築一戸建て

仲介の場合、一戸建てでは新築であろうと業者が売主であろうと仲介手数料が必要になることが多い。この点で戸建ては新築マンションと比較して割高感がある。もっとも仲介制度の趣旨からすると、新築であろうとなかろうと仲介業者を通して購入すれば発生するものではある。
戸建ての仲介手数料の最大の不合理は、戸建ての売主が仲介の子会社を設立して販売させるケースが少なくないことである。売主が直接消費者に販売すれば仲介ではなく、仲介手数料は発生しない。ところが、仲介子会社を介在させることで、子会社といえども別法人になるため仲介手数料が発生する。消費者は売主に物件代金、仲介子会社に仲介手数料を支払わなければならない。これは子会社制度の悪用である。
このような仲介子会社を介することには消費者のメリットは皆無である。ここでは2点ほど指摘する。
第一に消費者の希望に即した家探しができない。戸建て販売業者の仲介子会社は親会社の物件を推奨する傾向にある。消費者の希望を満たすよりも、親会社の物件を売り切ることを優先させがちである。従って消費者に適切な情報を提供するとは限らない。
戸建て販売業者の仲介子会社であっても、子会社であることを前面に押し出して営業しているわけではない。他の仲介不動産業者と同じような形で営業しており、一般の売主の物件も扱っている。社名も親会社と全く別のケースもある。そのため、消費者としても普通の不動産業者と同じような感覚で店舗を訪れる。いかにも消費者の条件を踏まえたような形で物件を紹介するが、実は親会社の販売物件ばかりであったということがある。
第二にトラブル時の責任追及で苦労しがちである。仲介業者が間に入るため、たらい回しや責任逃れが起きやすい。仲介業者が売主の子会社ならば売主の側に立つことは目に見えている。仲介ではなく販売代理であるが、私が購入した東急不動産の新築マンションでのトラブルでも販売代理の東急リバブルは逃げるだけで、東急不動産のコールセンターの電話番号さえも教示しなかった。
以上より、私は仲介子会社から親会社の物件を購入し、仲介手数料を支払うことは意味がないと判断した。家探しの過程で私の条件を満たした物件の一つに江東区越中島の中古戸建てがあった。これが売主の子会社が仲介する物件であった。鉄骨造2階建てで築年は1984年と古いものの、全面的にリフォームして最新設備を取り付けたリノベーション住宅である。売値は当初3480万円であったものが、何度か値下げを繰り返し、3000万円を切っていた。
仲介手数料の支払いを避けるために記者は一計を案じた。売主のウェブサイトで当該物件が紹介されていることを確認した上で、売主に直接電話をかけた。すると売主の担当者は「販売業者を通さないことはできないため、仲介手数料を払ってもらうが、その分値下げするので、それで了承してください」と話した。
私は了承して内覧をすることになったが、売主に裏切られることになる。内覧時になると売主は「値下げはしない。仲介手数料も規定通り払ってもらう」と前言を翻した。当然のことながら私は「話が違うので、話はなかったことにしたい」と反応した。それに対し、売主は「折角、直接お電話を下さったので、話をまとめたい」と話を続けようとしたのである。値下げの話は内覧させるために餌に過ぎず、「内覧をさせたら、こっちのもの」という態度が明確であった。
私は東急不動産とのトラブルにおいても、文書で返答と約束したのに口頭で済ませようとするような東急不動産側の約束違反に煮え湯を飲まされ続けてきた。それ故に自社の都合だけで一方的に前言を翻す業者の姿勢が許せなかった。そのため、この業者からの購入は避けることにした。

新たな業者を使う苦労

私は仲介手数料を浮かせるために売主との直接交渉には失敗した。次に検討したことは、仲介手数料が安い業者からの購入である。仲介手数料を3%プラス6万円とする業者が多いが、これは法律で定められた上限である。本来は業者が上限の範囲内で自由に決められるが、ほとんどの業者が上限で横並びするところに不動産業界の閉鎖性がある。
しかし、最近は横並びの業界の慣行を破る業者が現れてきた。インターネットで仲介手数料を上限の半額や3分の1、一律数10万円とする業者を検索できる。市場原理が機能しつつあることを示すもので、好ましい傾向である。
しかし、このような業者を通して物件選びをすることにも問題があった。このような業者は購入希望者の希望を受けて物件の売主側の仲介業者と話をつけて内覧の手配をする。売主側の仲介業者が協力しなければ話を進めることができない。
売主側の仲介業者が仲介手数料の両手取り(売主と買主の両者の仲介業者として、両者から仲介手数料を受け取ること)を狙って物件を契約済みと虚偽の説明をする例がある。当該物件が売れていないにもかかわらず、である。実際、私は別の仲介業者を経由して内覧を申し込んだところ、契約済みと断られた。一方で売主側の仲介業者に直接申し込んだところ、内覧できたという経験がある(林田力「不動産の両手取引禁止を改めて公約に(上)」PJニュース2010年6月13日)。
加えて仲介手数料の安い業者は、自分達で物件を押さえているわけではないために情報量が弱い傾向がある。私が検討した物件の一つに文京区小日向の中古戸建てがある。鉄筋コンクリート造地上3階建ての1983年築で、売値は4880万円であった。この物件は築年数が古いこと以外にも問題があった。
一番大きな点は道路幅が3メートル強しかなく、建て替え時はセットバックしなければならないことであった。この点について仲介業者は「既存不適格になるので、住宅ローンは使えない」と説明した。ところが、私が直接銀行に確認したところ、住宅ローンの対象外ということはないとの回答であった。
住宅ローンの対象となるとしても、問題であることは確かであるため、私は大幅な値引き交渉を仲介業者に依頼した。その結果、かなりの額の値引きが了承されたため、私は申し込みをすることになる。ところが、申し込み後に売主から物件の売却自体を撤回するとの連絡がなされた。
仲介業者を経由すると、売主の顔が見えないというもどかしさがある。売主や売主側の仲介業者にとっても、得体の知れない新興の仲介業者を相手とする不安があるように思われる。この経験から私は仲介手数料の安い仲介業者を利用することの限界を感じた。
私は仲介手数料を安くする業者に限界を感じたが、このような業者の活動が不動産仲介市場に競争原理を持ち込み、活性化させることは間違いない。今後は仲介手数料を安くする業者の認知度や業界における地位も向上していく筈である。私が経験したような苦労が減少していくことを期待したい。

藤野達善氏と語り合うまちづくりの秘訣

「まちづくりの達人 藤野達善さんに聞き、語り合うまちづくりの秘訣」という集いが2009年3月8日に東京都世田谷区等々力の軽食喫茶店「シドアール」にて開催された。13年間で6企業のマンション建設計画を断念させた藤野氏の経験に裏付けられた体験談はマンション建設紛争を抱える参加者にとって反対運動に活路と展望を見出せる内容であった。
藤野氏は住民団体「多賀・高宮の緑の環境を守る会」の中心的メンバー(現会長)として、福岡市南区多賀・高宮で10メートル以上の中高層マンションの建設を阻止してきた人物である。現在は建物の高さを10メートルまでとし、建物の形態や色彩を周辺環境に調和させる地区計画の拡大に精力的に取り組んでいる。
住民団体「二子玉川東地区再開発事業を問う住民の会」世話人の志村徹麿氏が藤野氏と知人であった関係で、藤野氏が上京する機会に、この集いが設けられた。出席者は世田谷区や川崎市でマンション建設反対運動に携わっている人を中心に20人弱が集まった。中でも二子玉川東地区再開発の反対運動に携わっている人が大半で、二子玉川再開発の問題に引き寄せての活発な意見交換がなされた。
藤野氏の運動方針は明快で、原理原則を大切にする。印象に残った3点を指摘したい。
第1に住民を主人公とすることである。行政や議会には協力を依頼するが、あくまで解決の主体は住民であるとする。業者や行政、議会に出す要請文書も文書の受け手が要請に従ってくれることを期待すること以上に、住民に対して自己の主張の正当性をアピールすることを目的とする。そのため、文書を出したならば、ビラなどに内容を掲載し、住民にフィードバックする。
第2に要求内容を明確化して会則に明記する。例えば「10メートル以上の超高層建築を許さない」などである。イメージしやすい明確な要求が住民の団結の原動力になる。「自然を守ろう」というような抽象的な目的では中々団結できない。
第3に住民側の大義名分を押し通すことである。業者側は「建築基準法上適法」と主張する。下手に頭のいい人ほど、業者の主張を真に受けて「仕方ない」と断念してしまいがちである。これに対して藤野氏の論理は、建築基準法一つで憲法や法律・条令・道徳で守られている生活と環境を破壊することは許されないというものである。建築基準法で建てられるか否かではなく、「何故、この場所に建築するのか」を追及する。これによって業者の土俵に乗らず、住民側の主張を貫徹できる。
参加者の関心は藤野氏の経験を自分達の反対運動にどのように活かせるかという点に集中した。工事現場に入ろうとする施工会社のトラックに対し、毎日のように体を張って工事強行中止の説得活動を続けた住民の団結力は反対運動に取り組む人にとって羨ましいものである。
鍵となるのは住民一人一人が他人任せではなく、問題解決の主役として自覚を持つことである。藤野氏には生活や経験の異なる人々が集まるのであるから、反対運動に温度差があって当然という発想がある。それ故にビラ配布などで運動の正当性の説明を何度も繰り返す。また、業者との交渉は役員一人ではなく複数人で出席する、重要な方針決定は総会の議決で行うなど一部の役員が(たとえ善意であっても)暴走できないようにしている。この徹底した情報公開と運営の民主化が住民の団結力を高める。
建設反対運動は景観や環境を守るための正しい運動である。しかし、正しいからといって他人も支持することが当然とはならない。ここに反対運動の落とし穴がある。この点、運動に対する温度差があって当然とする藤野氏の人間理解は現実的である。これが多賀・高宮で地に足着いた反対運動が展開され、マンション建設を阻止できた要因であると考える。

渋谷駅徒歩圏に縄文・弥生遺跡

東京都渋谷区鶯谷町にある鶯谷遺跡が2007年12月1日に一般公開された。鶯谷遺跡は外国人向け高級マンション「エバーグリーンパークホームズ」跡地に発見された縄文時代と弥生時代の遺跡である。縄文中期約4600〜4000年前及び弥生後期約1800年前の集落と推定されている。現地説明会では竪穴住居跡や炉跡が示され、出土品の土器や耳飾りが展示された。
遺跡は渋谷駅から南に500メートルほど歩いたところに位置する。このような場所で大規模な古代遺跡が発見されたことは奇跡的であり、貴重である。実際、現地説明会には370人も訪れており、関心の高さがうかがえる。しかし、土地所有者の住友不動産株式会社は発掘調査終了後に賃貸マンションを建設する予定とする。
これに対し、一部の近隣住民らは「渋谷区鶯谷周辺の環境を守る会」を結成し、遺跡の保存と環境維持を訴えている。現地説明会時には見学者に環境保全のための署名を呼びかけた。また、現地説明会終了後には乗泉寺にて独自の集会「鶯谷跡地とこの周辺の環境を守る集い」を開催した。この集会では勅使河原彰・文化財保存全国協議会常任委員を招き、遺跡についての勉強会を行った。
勅使河原氏は最初に発掘調査制度の問題点を指摘した上で、最終的な見解は発掘調査結果を待つ必要があると前置きしつつ、縄文時代と弥生時代の各々について鶯谷遺跡の貴重な点について説明した。
最初に発掘調査制度について、従来、発掘調査は教育委員会のような公の機関が行っていたが、「民間にできることは民間で」の流れの中で民間委託するようになった。しかし発掘調査は利益を生むものではなく、本質的に民間事業には馴染まないと主張した。また、民間業者が行うようになってから、研究者に発掘情報が入りにくくなったとも指摘した。勅使河原氏自身、「渋谷区鶯谷周辺の環境を守る会」から連絡を受けて初めて鶯谷遺跡の存在を知ったという。
縄文時代遺跡については、入り口が柄のように細長い柄鏡形住居跡などから縄文時代中期末に村が栄えたとする。この時期は武蔵野台地では集落が衰退する傾向にあった。このため、鶯谷遺跡は、縄文時代中期末に武蔵野台地で集落が衰退した謎を解く鍵になり得るとした。
弥生時代遺跡については、環濠が未だ発見されていない点に注目した。稲作が始まった弥生時代は土地や水をめぐって集落同士で戦争が行われた時代であり、集落は環濠で囲まれているのが普通である。鶯谷遺跡では環濠が存在しないのか、それとも集落の規模が想像以上に巨大で、その外側に環濠があるのか。前者ならば環濠が存在しない理由が問題になるし、後者ならば集落の規模が問題になる。結論として鶯谷遺跡は研究対象としても、渋谷という間近に見られる場所に位置する希少性という意味でも保存する価値のある遺跡とした。
遺跡の発掘調査は12月いっぱいとされる。集会では遺跡の保存を求める運動をしていくことが確認された。身近な遺跡を残すことができるか、開発企業、行政、そして市民の文化意識が問われている。

渋谷区鴬谷町環境を守る会が審理打ち切りに抗議声明

住民団体「渋谷区鴬谷町環境を守る会」(竹居治彦会長)は渋谷区鴬谷計画開発許可取消訴訟の審理打ち切りに抗議する声明「裁判の審理中途での打ち切りは行政への加担」を発表した。
渋谷区鴬谷計画開発許可取消訴訟は住友不動産によるエバーグリーンパークホームズ跡地(渋谷区鶯谷町)へのマンション建設計画に対する開発許可の取り消しを求めた行政訴訟(東京地裁・八木一洋裁判長)である。原告は竹居氏ら近隣住民で、被告は渋谷区である。第4回口頭弁論が2009年11月13日に開かれ、原告側は第3準備書面を陳述した。ここで原告側は渋谷区長の開発許可権限の法的根拠を争点とする主張立証方針を開陳した。
ところが、八木裁判長は抜き打ち的に弁論の終結を宣言した。原告代理人は即座に異議を申立て、口頭弁論を続行し、さらに審理を尽くすよう求めたところ、裁判長は両陪席裁判官を伴い退廷して評議したものの、再び弁論を終結すると述べた。
原告側は裁判所の訴訟指揮を住民の主張・立証を許さないという被告側に偏した不公平なものと判断し、3名の裁判官の忌避を申し立て、後日書面でも提出した。渋谷区鴬谷町環境を守る会の声明では「この裁判長の指揮は言論の封殺であり、明らかに行政に加担するばかりか、違法開発を推し進めようとする旧勢力への奉仕の姿勢を示すもので、許すことは出来ません。」と述べる。
問題のマンション建設地は渋谷駅と代官山駅の中間点にある静穏な住宅街にある。約1万7千平米の敷地内には渋谷区指定の保存樹林に加えて、4千年前の縄文時代の竪穴住居跡や2千年前の弥生時代の集落跡などの複合遺跡(鶯谷遺跡)が発見された。
この環境面でも歴史的にも貴重な土地に住友不動産は総合設計により、6階建てマンション10棟を建設する。これによって貴重な遺跡が破壊され、近隣住民は日照や景観を奪われ、ビル風や生態系破壊から健康被害を受けることになった。
住友不動産は渋谷区に建設計画を提出し、渋谷区長は開発許可を出したが、住民側は渋谷区長には開発許可権限が付与されていないと主張して東京都開発審査会に審査請求を行った。しかし、主張が認められなかったために2009年1月27日に取消訴訟を提起した。
また、住民側は開発許可の取消訴訟とは別に建築確認の取消訴訟も提起している。こちらは第3回口頭弁論が2009年12月22日14時から東京地裁522号法廷で開かれる。
建設地では鶯谷遺跡は既に消滅し、建設中のマンションは「鉄とセメントで固めた、軍艦のような」姿(渋谷区鴬谷町環境を守る会)を現しつつある。竹居氏は「惨憺たる絶望のなかから、縄文・弥生人に代わって発言していく」と決意を表明した。

浜田山・三井グランド環境裁判原告団がDVD制作

浜田山・三井グランド環境裁判原告団がDVD「わたし達が裁判を続けているわけ」を制作した。制作協力は三井グランドと森を守る会で、収録時間は20分程度である。DVDは原告団及び守る会が2009年6月から1枚500円で頒布している。
浜田山・三井グランド環境裁判は、三井不動産による三井上高井戸運動公園(東京都杉並区、通称:三井グランド)のマンション・戸建て建設計画に対し、土地区画整理事業施行認可の取り消しと建築確認の差し止めを求める裁判である。地域住民らが杉並区及び東京都を被告として、2006年5月17日に東京地方裁判所に提訴した。現在は控訴審が東京高等裁判所に係属中である。
住民らが三井グランドの開発に反対する主な理由は以下の通りである。
・三井グランドは3万7千人余の避難場所であり、住民の命を守るかけがえのない場所である。
・野鳥・小動物・野草生育地で、都内屈指の自然環境である。
・周辺一帯は第一種住居専用地域で、高さ10メートル以下の低層の静かな町並みである。
・表土の喪失はヒートアイランド現象をもたらす上、水害の危険を生ずる。
DVDは三井グランドの由来から紐解く。1939年に策定された東京緑地計画では東京市(当時)の外周に環状緑地帯(グリーンベルト)の設置が提言された。この計画は官民一体で推進され、その一環として三井財閥は三井グランドを整備した。この歴史を踏まえ、DVDでは三井グランドを三井グループが好き勝手にしていい純粋な意味での私有地ではないと主張する。
また、三井グランドの開発計画が脱法的なやり方で進められてきた実態を明らかにする。三井グランドという連続した一体の土地を南北2つに分けて、別個の土地区画整理事業として事業認可されている点などを指摘する。ここまでは写真や資料を映すだけのシーンが多く、静止画像のスライドショーと代わり映えせず、映像としては物足りなさもある。
しかし、この後に大型の工事車両が住宅街の狭い道路を我が物顔で走り抜ける映像が登場する。大型車両が走ると住民は普通に道を歩くこともできなくなる。住民が危険な思いをし、不便を強いられる状況をリアルに映し出す。この点にこそ映像の魅力がある。大型車両の衝撃を強調するために、あえて静のシーンを並べていたのではないかと思わせるほど巧みな展開であった。DVDは運動の意義を語る斉藤驍・弁護団長の談話で幕を閉じる。
IT技術の普及・発達により、資金力のない反対運動でも様々な情報発信が可能になった。それでも表現には巧拙がある。このDVDにも素人っぽさは散見されるが、制作者は映像の意義を心得ている。動きのある映像を映すと視聴者の目は、そちらに向かってしまう。それ故にナレーションでじっくり説明したい場合は静止画像が効果的である。むしろ映像は工事車両の害のようなポイントで利用する。反対運動のアピールの仕方という点でも参考になるDVDである。

『鎌倉広町の森はかくて守られた』の感想

本書は鎌倉市西南部にある約60ヘクタールの丘陵地「広町の森」を開発から守った市民団体「鎌倉の自然を守る連合会」の記録である。四半世紀にわたる息の長い運動であり、緑地の全面保全という成果を出した市民運動の貴重な記録は、同種の運動に取り組む人にとって参考に資するところが大である。
この運動の最大の特徴は自治会や町内会を組織の基盤としたことである。自治会による反対運動によって、反対が住民の総意であることを強力に示すことができた。これは他の反対運動でも見習いたいところであるが、自治会が反対運動を行うことに消極的な発想が根強く、古くからの自治会役員に反対されがちという現実がある。
この点について最初に反対運動に取り組んだ新鎌倉山自治会では会則の事業目的に地域の住環境を守ることが挙げられていることを根拠に、反対運動を自治会としての本来の機能を果たす大切な機会であると位置付けた(16ページ)。
これは非常に重要な正論である。古い体質の役員が占める自治会では自治会活動に馴染まないことを理由に反対運動への協力を拒みがちである。しかし、ほとんどの自治会では会則で環境について定めている。会則に照らせば地域の環境を守ることも自治会の任務である。これまでの自治会活動にとらわれることなく、会則から自治会のあるべき活動を追求した柔軟な発想は高く評価する。
現代日本が抱える多くの社会問題も行政や企業など各種組織が本来的な役割を果たしていれば防げるものは少なくない。「これまで取り組んだことがない」で思考停止するのではなく、組織の目的から演繹して「何をなすべきか」を考えることが硬直化した日本社会において強く求められている。
自治会という安定的な組織を背景として、連合会は息の長い活動を続けることに成功した。業者との一進一退の攻防は非常に読み応えがある。住民向け説明会を業者の既成事実にさせないため、説明会の席上で開発反対の声明文を読み上げ、議事録に記録させるなど反対運動の戦術として有益な内容が満載である。
但し、一点だけ気になる表現があった。それは住民側の戦術の説明に「時間稼ぎ」という表現が多用されていることである。一日でも着工を遅らせるという点では時間稼ぎであるが、これは業者側が感じることであって、住民側が使うべきではない。住民への説明が尽くされていないために再度の説明会開催を要求することは、街づくりへの住民参加を求める正当な要求であって、決して時間稼ぎではない筈である。
私が時間稼ぎという表現に嫌悪感を抱くのは、企業や行政による時間稼ぎの印象が強いためである。企業や行政が引き伸ばすことで有利になる立場に立ったならば、彼らの方が悪辣な時間稼ぎを厭わない。極論すれば公害訴訟において公害病患者の原告が全員死亡するのを待つような訴訟戦術さえとる。私はマンション購入トラブルで大手不動産会社と裁判した経験がある(参照「マンション販売トラブルで「お詫び」 東急リバブル・東急不動産」)。そこでも口頭弁論の欠席や当事者尋問当日になっての延期要請など露骨な時間稼ぎが行われた。
本書でも業者側は住民の質問への回答や資料の提示を遅らせるなど、別の局面では業者が時間稼ぎをしていた。この種の既成事実を固定化し被害者の諦めを待つための時間稼ぎと、説明責任が尽くされるまで開発着工を阻止する活動は同視できない。後者を「時間稼ぎ」と呼んでしまうと、前者の反道徳性を批判しにくくなる恐れがある。
敵が汚い手を使っても住民側は手を汚さずに戦わなければならないと主張するつもりはない。しかし、敵とは異なる戦術で戦っているにもかかわらず、あえて敵と同じ表現を使って、自らの戦術を貶める必要はないと考える。

シンポジウム「奥山の生物多様性をとりもどそう」開催

日本熊森協会が主催する第3回くまもり東京シンポジウム「奥山の生物多様性をとりもどそう」が2009年10月4日、早稲田大学国際会議場井深大記念ホール(東京都新宿区)で開催された。
日本熊森協会(本部・兵庫県)は奥山保全・復元に取り組んでいる実践自然保護団体である。1992年に尼崎市立武庫東中学校の森山まり子教諭(現日本熊森協会会長)と生徒達が始めたツキノワグマの保護運動が出発点という地に足ついた運動である。
シンポジウムは清野和彦・実行委員長と森山会長の主催者挨拶から始まった。清野氏は「森と林を分けるべき」と問題提起した。人間が使う林と自然を残す森を区別する。現在の日本の国土では森は僅か7%しか存在しないという。
森山会長は以下の3点を指摘した。
第1に経年データから有害獣として駆除された熊が2006年に激増したと指摘する。それだけ熊の生育環境が貧しくなったことを意味する。
第2に2009年8月に兵庫県佐用町などを襲った台風9号による豪雨水害について、人工林の問題を指摘した。放置されている人工林は豪雨に弱く、簡単に崩れてしまう。崩れた樹木は流木となり、被害を拡大させた。
第3に生物多様性というキーワードへの期待と失望である。来年(2010年)は国際生物多様性年である。生物多様性条約締結国会議(COP10)が名古屋で開かれる。生物多様性への意識の高まりに期待するが、COP10の内容には失望した。生物多様性からどのように利益をあげるか、分配するかという視点が中心であるためである。生物多様性を守ることこそが最優先されるべきである。この思いがシンポジウムの表題「奥山の生物多様性をとりもどそう」につながっていると説明した。
続いて主原憲司・日本熊森協会相談役による記念講演「日本の森で何が起こっているのか〜急速に失われていく生物多様性〜」である。ここでは地球温暖化による植生の変化について説明した。主原氏が調査した京都周辺の山林の荒廃は目を覆うばかりであった。主原氏は「京都旅行の際は観光地だけでなく、自然にも目を向けて欲しい」と締めくくった。
質疑応答では「森林の立ち枯れは中国などからの酸性雨の影響もあるのではないか」との質問がなされた。これに対し、主原氏は温暖化と酸性雨の複合的な被害と答えた。但し、酸性雨の発生源については調査した結果、中国よりも首都圏からの汚染物質が流れた結果とする。
橋本淳司・アクアスフィア代表のビデオ・インタビュー「水資源が危ない」では水資源という広い視点が提示された。島国の日本は水資源をめぐる国際紛争に巻き込まれていないが、食料を輸入することは水を買うことであり、食料自給率の低い日本にとって水の奪い合いは決して他人事ではない。
橋本氏はペットボトルの水を飲む人が増えていることの問題点も指摘した。ペットボトルの水はパッケージや輸送にエネルギーを使うため、環境負荷が高い。そのため、海外では水道水を飲むのがカッコいいという風潮が出ている。
シンポジウムでは「奥山保全・復元 実践報告」と題して様々な具体的な活動を報告した。
四元忠博・NPO法人奥山保全トラスト理事長はイギリスのナショナルトラストとの交流を紹介した。
村上美和子・日本熊森協会滋賀県支部長は人工林間伐など滋賀県支部の活動を報告した。
石原光訓氏は早稲田大学の学生で、学生が山村生活をすることの意義を説明した。森は生活の原点であり、生物多様性を五感で理解したと語る。
川嵜實・日本熊森協会群馬県支部長は酸性雨による山林の荒廃、さらには利根川の水量減少という恐るべき実態を指摘した。炭を酸性土壌に撒くことで中和させる活動を進めていくと話す。
深刻な自然破壊の現状と自分達でもできる対策が分かりやすく紹介されたシンポジウムであったが、一点だけ指摘する。熊森協会がトラストを進めるために設立したNPO法人奥山保全トラストでは三重県大台町の山林買い取りのために寄付を募っている。寄付を求めるチラシがシンポジウム資料に含まれていたが、その裏面には中国資本が日本の森林買収を進めているとの記事が印刷されてあった。
トラストは自然の保全が目的であって、中国資本の購入を妨げることではない筈である。日本の開発業者が所有者であっても自然は保全されず、外国資本を殊更悪玉視する意味はない。中国の脅威を煽ることで寄付が集まる社会であるならば寂しいことである。自然保護は取り組む意義のある運動だが、方向性を誤るとファシズムに行き着く危険を内包する。開かれた自然保護運動を期待する。

エイブル、景表法違反で排除命令

東急リバブルにも指摘されていた虚偽広告

賃貸仲介不動産大手の株式会社エイブル(平田竜史社長)は2008年6月18日、景品表示法の規定に違反しているとして、公正取引委員会から排除命令を受けた。
自社ウェブサイトや賃貸住宅情報誌、ウェブサイト「CHINTAI NET」上の賃貸物件広告が景品表示法に違反すること(おとり広告、優良誤認)を理由とする。9店舗で18件もの違反が見つかっている。具体的な違反内容は以下の4点である。
第1に最寄り駅までの距離を実際は徒歩26分であるにもかかわらず、徒歩16分の地点に所在するかのように表示した。
第2に建物の建築年月日を実際よりも新しい日にちで表示した。1979年2月築を1996年5月、1990年10月築を1997年8月に表示した。
第3に存在しない物件を賃借できるかのように表示した(おとり物件)。
第4に賃借中の物件を賃借できるかのように表示した(おとり物件)。
記者は不利益事実不告知(消費者契約法第4条第2項)で売買契約を取り消した東急不動産(販売代理:東急リバブル)の分譲マンションを購入する前はエイブルの仲介で門前仲町の賃貸マンションに居住していた。
部屋を探す際にウェブで条件に適合した物件を見つけ、エイブルに問い合わせたが、先に契約が決まってしまったということで上記マンションを紹介された経緯がある。最初の物件は「おとり物件」だったのではないかという疑念がよぎる。
この種の問題は一社だけの問題ではなく、業界的な体質であることも少なくない。耐震強度偽装事件や古紙偽装問題、食品偽装事件が好例である。実際、東急リバブル株式会社の不動産売買の仲介広告でも虚偽表示が繰り返されていた。東急リバブルの場合、同じマンションの媒介で虚偽広告が繰り返された点が悪質である。
第1に2005年の錦糸町営業所の媒介広告で、間取り、用途地域、駐車場料金に虚偽があった(参照「不動産広告にだまされないように」)。
第2に2007年12月末から翌年2月にかけての東陽町営業所の媒介広告で、駐車場料金、間取り図、管理会社名、近隣のスーパーマーケット名に虚偽があった(参照「東急リバブル、虚偽広告でお詫び」)。駐車場料金の虚偽は前回と同じである。店名の虚偽は例えば「ダイエー」と書くべきところを「タイエー」と書いてしまったならばケアレスミスの範疇と好意的に考えることもできるが、東急リバブル東陽町営業所の虚偽内容は、そのレベルを越えている。
東急リバブルの虚偽広告に対しては、2件とも公正取引委員会に情報提供した。公取委はともに東急リバブルが加盟する社団法人首都圏不動産公正取引協議会において改善措置を講じさせた(独占禁止法45条3項の規定に基づく公正取引委員会通知書。第1の件については2007年12月16日付け公取通第497号、第2の件については2008年5月2日付け公取通第202号)。
2008年5月8日付けオーマイニュース週間市民記者賞講評では「自分の身近な体験が、マスメディア報道をきっかけに、後から注目を集める(ニュースになる)」記事が評価された。手前味噌になるが、東急リバブルの虚偽広告を報じた拙記事も時代に先んじた問題意識によるものと自負している。まだまだ不動産業界は健全な消費者感覚とは乖離している。今後も消費者の立場から不動産業界の問題に注目していきたい。(林田力)

ゼロゼロ物件のグリーンウッド新宿店の宅建業法違反

賃貸仲介不動産業者・グリーンウッド(吉野敏和代表、東京都知事(9)第40352号)は東京都から2010年6月に宅地建物取引業法違反で業務停止処分を受けた(東京都都市整備局「宅地建物取引業者に対する行政処分について」2010年6月8日)。処分内容は宅地建物取引業務の全部停止である。

グリーンウッドは「礼金0敷金0仲介手数料1万円・ 無職・アルバイト・フリーター・派遣OK 保証人無し 相談 東京・神奈川・千葉・埼玉のお部屋探しはグリーンウッド新宿店」を掲げる。行政処分当時の企業名は株式会社グリーンウッドであったが、ホームメイトでは株式会社アトラスとなっている。ゼロゼロ物件住まいの貧困の観点から大きな社会問題になっている。

2012年5月時点でグリーンウッド新宿店のウェブサイトはアトラス東京(株式会社アトラス、東京都知事(1)第93815号、2012年4月16日設立)にリダイレクトされる。グリーンウッド新宿店とアトラス東京の住所は同じである。

宅地建物取引業者に対する行政処分について

平成22年6月8日
東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課
被処分者 商号 グリーンウッド(資本金0円)
代表者 代表 吉野敏和(よしのとしかず)
主たる事務所 東京都渋谷区代々木二丁目23番1号
免許年月日 平成21年2月13日(当初免許年月日 昭和56年2月13日)
免許証番号 東京都知事(9)第40352号
聴聞年月日 平成22年5月10日
処分通知発送年月日 平成22年6月7日(処分確定日 処分通知到達の日)
処分内容 宅地建物取引業務の全部停止10日間
適用法条項 宅地建物取引業法第65条第2項(業務の停止)
同法第35条第1項(重要事項説明書の不記載)
同法第37条第2項第3号(賃貸借契約書の不記載)
事実関係 被処分者は、平成20年3月26日付で、貸主Aと借主Bとの間で締結された、埼玉県新座市内の賃貸マンションの1室の賃貸借契約の媒介業務を行った。
この業務において、被処分者は次のとおり宅地建物取引業法(以下「法」という。)違反があった。

1 重要事項説明書(法第35条書面)に、登記記録に記録された事項についての記載がない。
2 重要事項説明書に、契約の解除についての記載がない。
3 重要事項説明書に、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項についての記載がない。
4 重要事項説明書に、管理の委託先についての記載がない。
5 契約締結時に、退室立会費の授受があったにもかかわらず、賃貸借契約書(法第37条書面)にその額についての記載がない。
これらのことは、1から4については法第35条第1項に違反し、法第65条第2項第2号に該当し、5については法第37条第2項第3号に違反し、法第65条第2項第2号に該当する。