林田医療裁判

林田医療裁判は、入院中に死亡した患者の母親の長女が長男夫婦と病院を訴えた医療裁判です。高齢者医療のあり方と自己決定権、尊厳とは、看取りとは、人間的であるためにはどうあるべきかを問う問題です。
母は脳梗塞で倒れて佼成病院に入院しました。母は快方に向かいリハビリを始め退院の指示が出ていました。ところが、長男は入院中の母の経鼻経管栄養の流入速度を医師の許可なく勝手に速めました。その後、母は嘔吐して誤嚥性肺炎になりました。
長男は延命につながる治療を全て拒否しました。病院は点滴を中止し、日中の酸素マスクもしませんでした。毎日のようにお見舞いに通っていた長女には相談も説明もなされませんでした。長女は母親の死から2年後にカルテを見て初めて治療が中止されたことを知りました。厚労省のガイドラインの手続きとは違っていました。

原告の訴え

1 私の母親は脳梗塞で倒れて佼成病院に入院しました。母は快方に向かいリハビリを始め退院の指示が出ていました。ところが、長男はひたすら治療に消極的であり、母が受ける病気を治す為に普通に行われている点滴などの治療を拒否したのです。終末期で問題となる「生命維持装置などの機械によって生かされるような延命治療をするか否か」ではなかったのです。佼成病院は長男の意向しか確認せずに治療をしなかったというだけでなく、経鼻経管栄養の速度などの安全管理が杜撰だったこと、治療を中止する手続きが簡単だったこと、死なせ方が残酷であったことなどが問題となりました。

2 以下のネットニュースで報道されています。
渋井哲也「母の治療をめぐり兄弟間で食い違い。高齢者の命の尊厳を守る医療裁判は最高裁へ」BLOGOS 2017年8月23日
  残念ながら上告は棄却され、高裁判決(東京高等裁判所平成29年7月31日判決、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)に対して再審を経て特別抗告を提起しています。

3  高裁判決の問題点として病院が患者本人や患者の長女の意思を確認せず、治療を拒否した長男夫婦の意向だけで、治療方針を決めていました。それを判決は不合理ではないとしました。「控訴人を含めた患者の家族の全員に対して個別に連絡を取ることが容易な状況であったことを具体的に認めるに足りる証拠はなく、そうである以上、キーパーソンを通じて患者の家族の意見を集約するという方法が不合理であるとは認められない」(18頁)。

4  しかし、医療は患者のためにあるもので、家族の意見を聞く場合も本人の意思を判断するための証拠としてするもので、キーパーソンの意見で決めるものではない筈です。たとえば以下の論文にあります。
 「近親者の意見もまた重視されることになるが、それは同意の推定の根拠、すなわち、患者の意思のあり方を推測する一証拠として考慮されるのであり、近親者の(生の事実としての)現実の意思がそのまま意味をもつのではない」(井田良「治療中止をめぐって 立法による問題解決は可能か」判例時報2373号111頁)。高裁判決が通用するならば一部の家族の都合で医療が決められてしまいます。

中野相続裁判さいたま地裁

林田医療裁判が医療過誤原告の会会報に掲載

医療過誤原告の会の会報第40号『悲しみにくじけないで』(2018年7月1日)に林田医療裁判(立正佼成会附属佼成病院裁判)原告の手記が掲載されました(林田悦子「母の望まぬ死」66頁)。「母は終末期でもなければ、人工呼吸器のような延命治療をどうするかの問題でもありません。兄夫婦が拒否したのは、病気を治す為の普通の治療であり、それに担当医師が安易に応じて実行したことを問題としています」(67頁)。
この会報にはノンフィクションライターの北穂さゆりさんの記事「「高齢者差別」という隠れた命題を闘う 林田医療裁判」も掲載されています(68頁)。林田医療裁判を高齢者への過少治療の観点から問題提起しています。
林田医療裁判
林田医療裁判

林田医療裁判の特別抗告・抗告許可申立

林田医療裁判は特別抗告・抗告許可申立を行います。再審請求は東京高裁第22民事部(河野清孝裁判長、岡口基一裁判官、田中孝一裁判官)により、平成30年9月27日付けで棄却されました。岡口裁判官は白ブリーフが話題の裁判官です。

再審請求では病院がキーパーソンと決めた長男にしか説明しなかったことを説明義務違反と主張しました。これに対して決定は「それ(注:再審原告が頻繁に病院に見舞いに来ていたこと)のみをもって直ちに、再審被告法人が、再審原告を含めた家族全員に対して個別に連絡をとることが容易な状況であったことが導かれるものとはいえない」としました。しかし、それならば見舞いに来ていた家族に説明すれば良いものです。家族全員とすることは論理の飛躍です。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂)は患者本人や家族等と繰り返し話し合うことを求めています。ここには医療現場で繰り返し説明し、意思確認するアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の考え方が表れています。これは本来的意味のインフォームド・コンセントからも導かれます。

「大手術の際に「インフォームド・コンセントをとりましたか」と聞かれて、「この通りとってあります」と医者が言い、その際に録音したやりとりをテープレコーダーで聞かせていることがあります。それはそれでいいのですが、インフォームド・コンセントは必ずしもそういう1回の瞬間的な説明で終わるものではありません。医者と患者がお互いに接触しながら、極端に言えばお互いの医療に対する考え方とか病気に対する考え方、生命に対する考え方などの価値観をわかり合うというプロセスがあってこそ、本当のインフォームド・コンセントになります。」(唄孝一「スペシャリストに聞く 第23回:インフォームド・コンセントの現状と課題」Medsafe.net 2004年2月4日)


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『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
林田力『東急不動産だまし売り裁判』
東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた著者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した闘いの記録(ロゴス社、2009年7月1日発行)。
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