放射脳カルトの加害性

林田力

放射脳カルト批判をめぐる議論が混迷に至る要因は、放射脳カルトの加害者意識の欠如である。放射脳カルトは福島県の復興に取り組む人々を攻撃する。放射脳カルトは福島県産の桃を購入した人々にすら噛みついてくる。

糸井重里氏は2014年8月22日にTwitterで以下のように呟いた。「福島の桃を買ったとか、それがおいしかったと書くと、一部の人たちから三年も前と同じような『反論?』が飛んでくる。あらゆる不安に丁寧に答えようと地道に調査して計測してきた人たち、安心でおいしい農作物を自信をもって届けられるようになった人たちのことを、馬鹿にされたような思いになる」

このような放射脳カルトの積み重なった言動に対する反論が放射脳カルト批判である。言わば放射脳カルト批判は個別的自衛権の行使である。放射脳カルト批判は幅広い支持が得られる。狭い仲間内のセクトではなく、市民社会という視点に立てば、これは明らかである。このために放射脳カルト批判の高まりに対し、放射脳カルトは自分達が排除される、切り捨てられていると被害者感情を抱く。それは筋違いである。

脱原発運動は、被災地復興に対する考え方の相違に関わらず、原発をなくしたい人々が集まって運動すればよい。それならば平和であった。ところが、「脱被曝でなければ真の脱原発ではない」と言ったのは誰か。瓦礫焼却受け入れ派の主催する脱原発デモへの不参加を呼び掛けたのは誰か。

放射脳カルトは不和の種である。放射脳カルトは批判者を攻撃するあまり、ネットストーカー化している。以下は放射脳カルトのTwitterアカウントをブロックしたTwitterユーザーの感想である。「「通知」には放射脳からの汚いメンションがいっぱい溢れていたけど、わたしがフォローしているユーザーだけにすればスッキリした」

分裂と排除の原因は放射脳カルトにある。そこを無視して被害者意識だけを持つから議論が成り立たなくなる。相手を認めて敬意を払わない放射脳カルトが相手から認められることは決してない。放射脳カルトよりも放射脳カルト批判者は度量が広く、敵対者でも相手の良いところを認める能力があるかもしれない。しかし、その能力の発動を放射脳カルトが期待するならば不公正である。

放射脳カルトは脱原発の達成を困難にする。放射脳カルトの差別と偏見は人の目を曇らせる。放射脳カルトが存在する限り、福島県民に安寧の日々はない。市民は福島の大地を耕し、ものを作り、皆が当然として生きる世界を目指している。市民にとって大切なものは自己決定権である。それを阻害する放射脳カルトが反発されることは当然である。

被災地復興に体を張っている者は福島県民であって放射脳カルトではない。福島の生活と風景がいつまでも続くように守るべきことはしっかりと守らなければならない。地に足着いた生活を愛し、福島県民のことを考え、人権を大切にしたい。


放射脳カルトとデング熱

放射脳カルトは貧困ビジネスである(林田力『放射脳カルトと貧困ビジネス』アマゾンKindle)。デング熱に関するインターネット上のデマから放射脳カルトが御都合主義の貧困ビジネスであることが再確認される。

放射脳カルトはデング熱でもデマを量産している。最初は「デング熱も放射能汚染の影響」というデマが拡散された。これは何でもかんでも放射能のせいにする放射脳カルトらしいデマである。放射能汚染の影響を過大評価する放射脳カルトとしては筋を通している。

ところが、その後のデマは様相が変わった。「今年のデング熱感染者数は昨年のデング熱感染者数よりも少ないのに、今年は大騒ぎして公園を封鎖することは陰謀だ」と騒いでいる。しかし、これはデマである。国内の感染者が発生したという点で大騒ぎする理由は十分に存在する(たけだ「デング熱も怖いけどこんなデマが拡がるのも怖い。去年のデング熱の国内での感染者数はゼロだよ!」2014年9月6日)。

興味深い点は放射能汚染については危険を強調する放射脳カルトがデング熱では安全側になっていることである。デング熱安全デマでは「公園で寝ていたが問題なかった」とのホームレスの証言が提示されている。それならば「原発事故から一度も鼻血を出したことはない」との福島県民の証言も信用しなければダブルスタンダードである。

未知の物事に対して安全と考えるか危険と考えるかは各々の価値観である。私は住環境の問題について危険側で考える立場である。東急不動産消費者契約法違反訴訟では東急不動産マンションがアスベストを使用していることを突き止めた。東京急行電鉄(東急電鉄)が田園都市線すずかけ台駅(東京都町田市南つくし野)ホーム脇に計画した高圧変電所の電磁波問題を取り上げたこともある。

故に私にとって「可能な限り被曝を避けることが望ましい」という主張は肯定できる。そのような私でも放射脳カルトは支持できない。それは放射脳カルトが危険を前提に安全第一で考えているのではなく、自分達に都合がよければ安全デマも拡散するデマゴーグだからである。放射能汚染に対しては自主避難支援を名目に劣悪なゼロゼロ物件に住まわせたり、海外移住支援で人身売買したりと自分達の貧困ビジネスの利益になる。しかし、デング熱のように政府批判やマスメディア批判になるならば安全デマを拡散する。市民社会が放射脳カルトを拒絶することは当然の帰結である。

デング熱デマには以下の批判が寄せられている。「忘れちゃいけないのは、デング熱にかかっている方々や、その拡がりを抑えようと対策を一生懸命考えている方々や、本当に必要な情報を集めて報道している方々や、亡くなったディレクターの方の遺された家族の方々など、色んな立場で当事者として苦しんだり頑張ったりしている方々が、現在進行形で実際にいらっしゃること。自分が考えるステキな社会のために主義主張を伝えようとするのはご立派だけど、そんな方々の気持ちをあまりにも蔑ろにしてる気がしてならないよ」(たけだ「デング熱も怖いけどこんなデマが拡がるのも怖い。去年のデング熱の国内での感染者数はゼロだよ!」2014/09/06)

これは放射脳カルトへの社会の反感と重なる。福島県をはじめ東日本には現在進行形で復興に取り組む人々が存在する。放射脳カルトは、そのような方々の気持ちを蔑ろにしている。



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