細川護煕勝手連総括と1.13東京連絡会

林田力

2014年東京都知事選挙の細川護煕勝手連である「脱原発都知事を実現する会」(代表世話人・鎌田慧、河合弘之)が総括文書を2014年5月付で公開した。私は6月8日に確認した。この細川勝手連総括について読み手として思うところもあるが、言及されている当事者側の立場として述べることがある。

総括文書は「【総括1】脱原発に希望はあるか―都知事選を振り返って―」「【総括2】信頼を基にした市民の主体的な運動を実現しよう。」「【総括3】2014都知事選をめぐる市民運動の動き(年表)」の3つから構成される。【総括3】では参考資料として5点を挙げるが、そのうちの4点までが私が世話人となっている1.13東京連絡会関連のものである。

「1.13東京連絡会2014年東京都知事選の総括」と「2014都知事選挙総括と今後」(プレゼン資料)は世話人会が作成したものである。「森友義よりみなさんへ 候補者擁立の事実経緯」と「1.13連絡会世話人各位」(人にやさしい東京をつくる会 会計責任者 豊田栄一郎)は1.13東京連絡会のメーリングリスト(ML)に流れたものである。

これは1.13東京連絡会が2014年東京都知事選挙において重要な場と認識されていることを意味し、光栄なことと考える。一方で、この紹介のされ方は1.13東京連絡会の立ち位置について実態とは異なるイメージを与える懸念がある。これは都民参加への模索連絡会側の責任であるが、都民参加への模索連絡会が7月合宿テーマに「統一候補を見据えた市民派選挙の模索」を掲げていることも上記のイメージを増幅させる懸念がある。

そこで1.13東京連絡会世話人会が2014年東京都知事選挙に際して宇都宮氏を支持し、世話人の一人が宇都宮選対に参画し、総括文書で以下の価値判断を下していることは強調しておく。

「宇都宮候補は安倍政権と石原・猪瀬都政の転換を図る位置にあった。細川候補は反原発で宇都宮候補と政策を一致させられる可能性があったかもしれないが、安倍政権と対峙し石原・猪瀬都政を転換する政策を示し得たかは、不確かである」(7頁)

管見は、これを決定的な細川批判の宣言と位置づけている。そのために細川支持者から批判・反発があることを覚悟し、その反論も考えていたが、ほとんどなかった。逆に細川勝手連の参考資料になっている。結局のところ、細川勝手連とは脱原発勝手連でしかないことが分かる。

それ故に「細川候補は反原発で宇都宮候補と政策を一致させられる可能性があった」という点で認識が合致すればよく、「安倍政権と対峙し石原・猪瀬都政を転換する政策を示し得たかは、不確かである」は批判とは受け止められない。そもそも脱原発以外に石原・猪瀬都政の転換を目指している訳ではないためである。

そうなると、やはり対立軸は脱原発至上主義の是非になる。脱原発に限らず、石原・猪瀬都政の転換を目指す人々にとって、細川勝手連の考えるような脱原発だけの統一候補という目的自体に賛同できない。2012年東京都知事選挙に脱原発以外の政策も掲げて取り組み、その後も都政全般の勉強会を開催してきた1.13東京連絡会の方向性とも異なる。

次により個人的な話を述べたい。参考資料の1.13東京連絡会総括文書とプレゼン資料は都民参加への模索連絡会ウェブサイトへのリンクとして紹介されている。これ自体は光栄なことである。元々掲載されていたページにリンクしたならば不審点はない。ところが、都民参加への模索連絡会ウェブサイトは1.13東京連絡会からの名称変更に伴って移築したばかりであった。

ウェブサイトには移築後のイベント情報を掲載するのみで、総括文書やプレゼン資料を掲載していなかった。総括文書とプレゼン資料を掲載するようにリクエストを受けたために掲載し、掲載した旨をMLでアナウンスした。前後して細川勝手連の総括が公開されたため、細川勝手連と連携プレーで動いているのではないかと痛くもない腹を探られることになった。ウェブサイトに掲載を求めるリクエストに応じて掲載しただけであり、細川勝手連の総括文書の参考資料としてリンクされることを関知していなかったと強調しておく。

「細川勝手連の総括文書の参考資料としてリンクしたいから、ウェブサイトに掲載して欲しい」と理由を明示して頼まれても、断る理由はない。紹介されることは歓迎である。一方で今回のような経緯では利用された感が残る。細川勝手連総括は「宇都宮支持グループと細川支持グループの間で若干の摩擦や感情的行き違いがあった」と述べるが、宇都宮支持グループが細川支持グループに対して抱く感情的しこりの多くは、この手の利用された感に重なる。一本化論自体が細川支持のために一本化という大義名分を利用しているものと映る。それを「感情的行き違い」でまとめてしまうことにも如何なものかという思いがある。

細川勝手連総括は「双方ともフェアに戦った」と続ける。「双方とも」と書くが、自分達がフェアであったという点に眼目が置かれている。「総括3」では「『信義則違反』としか言いようのない行為も見受けられました」と他者がアンフェアであったと批判しているためである。宇都宮陣営がフェアに戦ったと相手陣営を賞賛する意識はない。

細川勝手連には自分達がフェアであったことを相手に認めさせたい意識が強いように感じられる。河合弘之・代表世話人は雑誌『世界』2014年4月号での海渡雄一氏との対談「都知事選挙をめぐって」でも事前に紙まで用意して「双方ともフェアに戦った」との確認を求めている(『世界』47頁)。

ところが、その同じ対談では河合氏が「あなたの将来を心配している」など脅迫にも受け取れる文面で細川一本化を求めるメールを海渡氏に送ったことが露見している(『世界』39頁)。これは河合氏と海渡氏の関係だけでなく、他でも似たような話を聞いている。

結局のところ、自分達がフェアであったと認めさせ、相手の被害者意識を否定し、自分達を正当化したいだけではないだろうか。この種の人々が一方では自虐史観を否定する人々に戦争責任の自覚を求めるならば驚きである。右翼からの「左翼はダブルスタンダードが酷い」との嘲笑にも理が存在することになる。


脱原発知事を実現する会総括と現実認識

林田力

脱原発知事を実現する会(細川護煕勝手連)総括との一致点は「特に重要なのは選挙である」(総括1)との指摘である。当たり前過ぎるほど当たり前な指摘であるが、これを一致点と挙げなければならないほど双方の開きは大きく、日本の現状は深刻である。宇都宮健児候補の支持者同士の話でも必ずと言っていいほど低投票率が問題であると指摘されている。

それ故に細川勝手連が「政策実現の上で選挙が重要」と総括したことは大局的には歓迎できるが、2014年東京都知事選挙では混乱要因となった側面がある。それまで「選挙では原発は止まらない」「タハリール広場を東京に現出しよう」と言っていた直接行動的な人々が2014年東京都知事選挙に際しては何故か突然、選挙に目覚めたところがある。これは実に不思議なことである。このこと自体は結構なことであるが、それまで選挙から遠ざかっていた政治感覚が都知事選挙で通用するものではない。

細川勝手連との論争が脱原発至上主義の是非という考え方に対するものとして議論されることは当然である。私も脱原発至上主義を繰り返し批判した。一方で議論が紛糾する一因には現実認識の乖離がある。脱原発至上主義批判に対して細川勝手連からは「ご高説は結構。我々は良い運動ではなく、勝利を目指している」との反論が予想される。しかし、何が勝利につながるかという現状認識でも差異がある。

細川勝手連総括は「脱原発候補が当選すれば小泉氏が支持する細川氏しかありえない」との下馬評を大前提にしている。細川勝手連による自己の言動の正当化は、この大前提が成り立って初めて導き出せるものである。しかし、市井の肌感覚では細川氏は過去の人であり、脱原発で都知事選に立候補することは直近の政治的文脈では説明できない。むしろ細川氏の出馬を唐突とする反感さえ存在した。細川氏を勝てる候補とする現実認識は市井の肌感覚と乖離する。このような市井の肌感覚と向き合うことなしに選挙を制することはできない。

現実認識の乖離は細川勝手連総括の細川陣営批判にも見られる。細川勝手連が細川陣営を真摯に批判している点は、細川勝手連が細川陣営と一体ではないと好意的に評価する要素にもある。一方で批判する諸々は細川陣営にとっては合理性のあるものである。細川勝手連総括は「一週間の沈黙」を批判するが、細川陣営は逃げ切りを考えていた。話せばボロが出るというリスクを背負っており、陣営が「沈黙は金」と考えていたとしても驚くに値しない。

細川勝手連総括は「地道な、こまめな宣伝活動の不足」も批判するが、候補者の健康管理を考えれば「なるべく出さない」という方針に合理性はある。選挙戦の最中に倒れることがあったら致命的である。細川候補に近い立場ならば、このようなリスクを十分に考えていただろう。

細川勝手連総括は「細川選挙事務所の非友好的対応」を批判するが、これも無理からぬことである。たとえば細川候補は国家戦略特区推進の立場である。出馬会見(1月22日)では「とりわけ岩盤規制といわれる、各種の既得権によっては阻まれてきた医療、介護、子育て、教育などの分野での規制改革を、強力に推し進めていきたい」と述べた。この主張に賛否はあるが、これを主張することで得られる票があることは事実である。

ところが、細川勝手連なるものが現れて「細川候補は実は経済左派であり、本音では国家戦略特区に反対している」とのキャンペーンを展開したならば、陣営にとって迷惑である。左派票を欺いて奪う戦略として左派内部で展開するならば利用価値があるかもしれないが、公式には陣営本体は勝手連とのつながりを避けようとするだろう。

細川勝手連総括の細川陣営批判は選挙戦術の主張としては基本的に首肯できる。しかし、それらは細川陣営の実態そのものと言ってよく、それを批判するならば、細川陣営に期待したことが誤りであると言いたい。細川陣営の実態を直視せずに、自己の理想で細川候補を描いていたのではないか。

この現実の相手ではなく、自己の理想で描いた相手を基礎として議論する姿勢は対宇都宮陣営にも発揮されている。細川勝手連総括は「『信義則違反』としか言いようのない行為も見受けられました」と書くが、最大の信義則違反は「宇都宮氏が他候補擁立に動いていた」との虚偽情報である。これが実態と相違することが露呈した後でも、宇都宮氏が他候補をサポートする側に回ればいいという空想的な願望から現実の宇都宮陣営を批判しているように見える。

細川勝手連総括が政治勢力を保守と革新の二項対立で捉えていること、政党の存在を消極的にしか捉えていないことも、その政治感覚の現実との乖離を印象付ける。総じて細川支持は現実主義、宇都宮支持は理想主義であり、現実を見ることも大切と言いたいのだろうが、その現実主義は空想的である。



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