市民団体の意思と多様性

林田力

市民団体の意思というものを検討する。およそ団体として社会において活動する以上、構成員個々人とは別個の団体の意思というものを社会的に観念できる。もし、そのようなものを何ら持たないと主張するならば、「この団体は団体の体をなしていないため、相手にしないで下さい」と外部にアピールするようなものである。人の集合が団体になる訳ではない。新宿駅や渋谷駅の毎日の利用者は莫大な数になるが、大勢の人が集まるというだけで団体にならない。団体の意思を否定することは団体性を否定することになる。

もし社会的な実体を認められる団体として目指すならば、ある程度の組織論理を身につける必要がある。たとえば団体役員たるものは、ある機関決定に個人的には不満でも、構成員や外部から機関決定の説明を求められたり、批判されたりしたならば、まずは団体の立場で説明することが求められる。それを行わずに、内部で批判に同調することはあり得ない。組織論理を身につけられないならば、そもそも団体を形成する水準に達していないことになる。個々人が好き勝手に活動したいということならば、団体は不要である。

この団体の意思は団体内部で民主的な手続きによって意思決定がなされるか否かとは別の問題である。社会において団体として扱われたいならば、構成員個々人と形式上区別される団体の意思を観念しなければならないということである。ここでは内部の意思決定手続きは内部の問題でしかない。「民主的手続きによる意思決定は尊重するが、そうでないならば否定する」は構成員の価値判断としては成り立つが、対外的な問題ではない。組織内民主主義があろうとなかろうと団体の意思は観念でき、社会的には団体の意思として扱うべきものである。

一方で物理的には団体の意思はフィクションである。物理的には団体は人間のようなものではなく、団体の意思と言ったところで誰かの意思でしかない。団体の意思を強調することは構成員個々人の自由意思を妨げる面がある。衆愚的熱狂や場の空気への同調は最たるものである。利益共同体ではなく、個人の自発性を出発点とする市民団体において団体の意思に落とし穴があることは否定できない。それ故に団体の運営が構成員個々を圧殺する危険性を常に自覚し、謙抑的な運営が求められる。

ここから一歩進んで団体の意思自体を否定する論理も登場する。個々人の集合体(ネットワーク)と定義し、団体性を否定することも一つの姿勢である。これは民法的には社団ではなく、組合になる。この姿勢を便宜上ネットワーク論と名付ける。

このネットワーク論は近代組織に対するポストモダン的なアプローチとして新しさがあるが、これにも落とし穴がある。この姿勢の出発点は、団体の意思ということで少数派個々人の意思が圧殺されることへの問題意識である。それならば異なる考え方を持つ人を尊重し、異なる考え方に対して知性と理性を持った対応が求められる。

ところが、問題はネットワーク論の主張者に多様性を尊重する姿勢が見られにくいことである。ステレオタイプな見方をすると、自分の過激な主張が上品な市民団体からは受け入れられず、多数派から眉をひそめられ、挙句の果ては排除されたという経緯がネットワーク論の動機になっている。言わば過激な主張を自由に唱える場を確保することを目的としてネットワーク論を唱えているように見受けられる。

ある団体から過激な主張が穏健な多数派によって締め出されたという事例はあるだろう。しかし、過激な主張者にも穏健な主張を異なる意見として尊重する姿勢が欠落していることが多い。改良主義的な穏健派を詐欺勢力と罵るような議論が横行している。そのような主張を野放しにした結果、穏健派が退出し、過激派の吹き溜まりのようになってしまった集団もある。これが日本の左翼の四分五裂の要因である。

ここでは多様性の尊重という名目が穏健派に過激な主張を許容させるためだけに唱えられる。このようなネットワーク論には新規性はなく、左翼過激派が組織を乗っ取る論理の焼き直しに過ぎない。過激派を嫌悪する穏健な主張を異なる主張として尊重できるか。自分の認める枠内の多様性ではなく、自分の主張も相対化できるか。これが多様性尊重の試金石になる。



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