ノーベル物理学賞受賞の中村修二氏に複雑な声

林田力

スウェーデン王立科学アカデミーは2014年10月7日、2014年のノーベル物理学賞を、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇名城大教授(85)と天野浩名古屋大教授(54)、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)に授与すると発表した。日本人の受賞は大きく報道されたが、中村氏に対しては複雑な声も聞かれる。何でもかんでも「俺がやった」的な態度が感じられるためである。「これまで僕を支えてくれた会社や仲間、皆のお陰、一人の力ではない」と語る赤崎氏とは対照的である。

先ず赤木氏・天野氏と中村氏の果たした役割は異なる。赤崎氏は松下電器産業(現パナソニック)東京研究所に在籍していた73年、窒化ガリウム系の青色LEDの開発を始めた。名古屋大工学部教授に転身後の89年、天野氏らと同系の青色LED開発に世界で初めて成功した。製品化に向けた技術開発は、日亜化学工業(徳島県阿南市)に在籍していた中村氏が先行し、93年に同社が発表した(「赤崎、天野、中村氏にノーベル賞=青色LED開発―物理学、日本人6年ぶり」時事通信2014年10月7日)。

そして中村氏の研究には日亜化学工業の果たしていた役割が大きい。中村氏は入社から約10年間ほど成果を出せなかった。1988年に辞職を覚悟で、当時の小川信雄社長に直談判し、青色LEDの開発の許可を求めた。小川氏の判断で、研究費の支出や米国留学が認められた(「まだ辞めないのか…中村氏「怒りが私の原動力」」読売新聞2014年10月8日)。

会社が発明資金を出し、留学までさせてくれた。倒産寸前になってまで中村氏を支援したとの指摘もある。研究には時間も金もかかり、それを提供してくれた企業がなければ達成できなかった。日亜化学工業が個人を信じてバックアップしたことは事実である。その点への感謝が中村氏からは聞かれない。「一方的に批判するのはどうか」「もう少し感謝の弁があってもいいのでは」「一方的に所属していた企業を責めるのはどうか」との声がある。

中村氏は米国の研究環境を持ち上げて、日本の研究環境を批判する(「ノーベル賞、勝因は「怒り」=日本企業に苦言も―中村さん」時事通信2014年10月8日)。しかし、成功してから渡米したから今の環境がある。日亜科学工業のように実績のない研究者をバックアップするほど米国は甘くない。日本のメディアは日本人の受賞だから大騒ぎしている。海外で海外の良さばかり感じ取り、日本を悪く主張することは、折角の晴れ舞台を台無しにするようで印象も悪い。

中村氏は自己の研究成果に対する対価に不満を有している。企業は中村氏の研究を支援した時点で出資している訳ではあり、その出資分は取り戻す権利がある。「発明する時間と金と設備は会社が出せ。発明したら全部自分の物」との主張は通用しない。「双方に利益が出るようなシステム作りを」と言う方が好感が持たれただろう。また、対価が少なかったことと、支えてくれた同僚の話は別である。中村氏の発言には同僚への敬意がまるで見えない。

中村氏は発明対価をめぐって訴訟を起こしたが、その結末も後味が悪かった。この訴訟は2005年1月11日に東京高裁(佐藤久夫裁判長)で和解した。原告の中村氏は、被告の日亜化学工業(徳島県阿南市)から6億857万円(遅延損害金含め8億4391万円)の支払いを受ける内容である。一審・東京地裁判決の200億円から大幅な減額だった。

中村氏は翌12日、東京都内で記者会見し、和解内容は「100%負け。和解に追い込まれ、怒り心頭だ」と語った。和解額の約6億円について、裁判官は「訳の分からん額を出して『和解しろ』と言う。日本の司法制度は腐ってると思う」と憤った(「<青色LED和解>中村教授「日本の司法制度は腐ってる」」毎日新聞2005年1月12日)。

中村氏は和解案を見て、「1%でも勝てるなら最高裁までたたかう」と弁護士に主張したが、弁護士から「勝てる可能性はゼロ以下」と言われ和解に応じたという。発明に対する貢献度が5%とされた点については「(東京高裁が)大企業を守るため、まず額の上限を決めたからだろう。一審の裁判官はきちんと書面を読んでくれていたのに」と批判した。

当事者の一方が和解を求めず、判決を望んでいるならば、裁判所は無理に和解させるべきではない。強引に和解に追い込む裁判官がいるとの指摘はある。「裁判官中には、きわめて少数ではありますが、強引な訴訟指揮により、訴訟の初期の段階で当事者に和解を強要する裁判官もないではありません」(寺田熊雄、第96回国会(参議院)法務委員会第11号、昭和57年5月13日)。

しかし、中村氏の批判は的外れである。中村教授自身が敗訴の可能性を恐れて和解を選択したのである。和解条項が飲めなければ和解しなければいい。和解勧告は所詮勧告である。そして、目先の和解金を選択したのは中村氏である。司法の発展を腐らせてしまったのは中村氏自身である。



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