書評『未来派左翼(上)』

林田力

アントニオ・ネグリ著『未来派左翼(上) グローバル民主主義の可能性をさぐる』(NHK出版、2008年)は左翼の衰退の理由を明らかにし、新たな方向性を提示する。左翼教条主義に辟易する立場として納得できる記述が多い。

本書は、ソ連などの社会主義を「資本主義が国家主義的に変容を遂げただけ」と指摘する。左翼の指導者は経営者になりたいだけであると。私企業の経営者になるわけにいかないので公営企業の経営者になったと(73頁)。

その上で中央集権型の官僚支配の社会主義ではなく、下からの共同を志向する。公ではなく、共を志向する。共とすべきものを国家所有としてしまったことが間違いであったと。この姿勢には賛同する。この場合、難しい点は新自由主義思想の扱いである。新しい公共や「自助・共助・公助」などの視点は政府の支配を否定する問題意識については未来派左翼と重なるところも多いのではないか。左翼が新自由主義を頭から毛嫌いすることは偏狭ではないか。

一方で新自由主義勢力の進める民営化などとは対立する。共に属するものを私物化するものであるからである。資本主義の原始形態もエンクロージャー(囲いこみ)であり、共有地からの追い出しであった。集権的な動きを批判し、下からの共同を志向する点で一貫する。

本書は、左翼が迷信にこっそり目配せし続けると批判する(76頁)。たとえばゲノム計画に反対するために「私は神の被造物だから」と主張する傾向がある。これは日本では原発に反対するために福島が放射能で汚染されて人が住めない土地でないと困るとする放射脳カルトに重なる(林田力『放射脳カルトと貧困ビジネス』Amazon Kindle)。

書評『未来派左翼(下)』

林田力

アントニオ・ネグリ著『未来派左翼(下) グローバル民主主義の可能性をさぐる』(NHK出版、2008年)は左翼の衰退の理由を明らかにし、新たな方向性を提示する書籍の下巻である。上巻と同様に対話形式で進む。世界各地の比較的新しい左翼の動きを一定評価しながらも限界を辛辣に指摘する。

私は逆に本書を読んで左翼の未来に悲観的になってしまった。たとえば本書は左翼が土地の家族所有への信仰を有していることを限界ととらえ、土地所有制度の構造的転換を志向する(72頁)。しかし、現実問題として土地の私所有権は大資本の開発に対する障害になる。私所有権は強制的な土地買収への抵抗の拠り所になっている。日本にも総有論のような私所有権を相対化する議論があるが、現実問題として私所有権ドグマを放棄しなければならないとしたら、開発への抵抗は今よりも弱体化するのではないか。

この問題は日本において特に重要である。日本の一番の問題は滅私奉公的な発想が残っていることである。個人の利益よりも集団の利益を優先する全体主義が残っていることである。その右翼的な滅私奉公に対し、左翼的な「一人は皆のために」思想は対抗軸にならず、逆に全体主義を強化する発想となりかねない。古い保守と古い革新が同じ守旧派に映るのは、このためである。

これは観念的な思考実験にとどまらない現実的な問題である。現代ではブラックバイトが社会問題になっている。私のようなロスジェネ世代は世代間不公正の犠牲者であるが、ブラックバイトは起こりにくい問題と胸を張ることができる。不当な条件のバイトはバックレで対抗するためである。それだけの個人主義精神は有している。

今の若者が不当なバイトでもバックレをせずに、ブラックバイト問題が起きてしまう原因として、公共心や集団に対する責任など道徳教育の影響があるのではないか。そこに左翼的な連帯の精神を持ち込んでも逆に事態を悪化させるだけではないか。本書は、もっと「公」的になること、さらに「共」的になることを志向する(133頁)。しかし、それが滅私奉公的な支配に苦しむ人々の救済になるか疑問を感じた。


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