与謝野晶子の反戦思想

林田力

与謝野晶子の反戦歌「君死にたまふことなかれ」は現代において再評価する価値がある。戦争法反対運動では「殺し殺される」と戦争の被害者だけでなく、加害者になることも拒絶する。戦後の反戦運動が戦争被害を強調して加害者の側面を軽視する傾向があったと批判されているが、それを克服する視点である。この視点は既に「君死にたまふことなかれ」にも「親は刃をにぎらせて人を殺せとをしへしや」と存在していた。

このように「君死にたまふことなかれ」は非常に説得的な反戦歌であるが、反戦平和運動の中で与謝野晶子の評価は低い。太平洋戦争に際しては「水軍の 大尉となりて わが四郎 み軍にゆく たけく戦へ」など戦争賛美の歌を詠んでいるためである。これは個人史として見ると、年をとって体制順応に堕落したと批判することもできる。一方で社会的に見ると、より社会的な存在としての変化と見ることもできるのではないか。

日露戦争は政府が勝手に行った戦争であって、自分達には無関係な迷惑なだけの戦争であった。だから「旅順の城はほろぶともほろびずとても何事ぞ」と歌った。これに対して太平洋戦争は自分達の社会の存亡を賭した総力戦との認識があったのではないか。実は庶民にとって太平洋戦争よりも日露戦争の方が反戦を貫きやすいのではないか。

これは太平洋戦争の戦争被害を出発点としている戦後日本の反戦平和運動にとって盲点である。太平洋戦争を酷い戦争と批判するほど、日露戦争への批判は少ない。逆に一定年齢以上の左翼にも日露戦争までを輝ける時代と描く司馬遼太郎史観が蔓延している。しかし、現実の歴史の人々の意識は逆ではなかったか。日露戦争は国家が勝手に行い、庶民には迷惑でしかなかった戦争であった。これに対して太平洋戦争は多くの人々が主観的には自存自衛の戦争と認識していた。日露戦争には反戦、十五年戦争では愛国という選択は、庶民感覚として成り立つのではないか。

司馬史観のように日露戦争は輝いていたが、十五年戦争は愚かな戦争という見方は改めた方がいい。司馬史観は庶民の反戦意識とは最も遠いところにあるのかもしれない。市民運動家が自己をバルチック艦隊に立ち向かう日本海軍になぞらえるなどは愚かしい限りである。

日露戦争には嫌悪感を表明しても総力戦には取り込まれるという現実を土台として考えるべきだろう。よって反戦平和運動が司馬史観のようなスタンスで太平洋戦争を貶めるために日露戦争を持ち上げるような欺瞞をすることは自爆行為である。そのような欺瞞が逆に若い世代を中心に反発を呼び、太平洋戦争における日本の正当な評価を求める動きになっている。つまり右傾化の原因になっている。

確かに総力戦体制に組み込まれ、客観的には自存自衛ではないものを自存自衛と認識してしまう庶民の弱さは課題である。しかし、広汎な支持を得ることを目指すならば、ハードルの高いところを土俵にする必要はない。日露戦争のような国家が勝手に行った戦争への反戦意識を高めることが有益である。現実に集団的自衛権に対する有力な批判の一つは「米国が勝手に行う戦争に巻き込まれたくない」である。

日露戦争は世界史的に見れば大英帝国のロシア帝国に対するグレートゲームの一環に過ぎない。当時の日本政府に英国の走狗以上の思惑はあっただろうが、現在の安倍政権にも米国の覇権の中で日本の権益を追求するくらいのことは考えているだろう。

そして安倍政権が戦争を進めるとしたら、一足飛びに太平洋戦争のような総力戦ではなく、日露戦争的なものになるだろう。従って太平洋戦争には反戦と言えないとしても、日露戦争には反戦と言える思想とつながっていくことが大切である。自分達と無関係な戦争に巻き込まれたくないという感覚を大事にしたい。




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