宇都宮けんじ氏に期待する理由

林田力

私が宇都宮けんじ氏に期待する理由は闇金やゼロゼロ物件などの社会悪と闘う姿勢を有しているためです。「やさしい」ばかりのイメージ戦略がミスリーディングなところがあったと考えています。宇都宮氏はヤクザや闇金、ゼロゼロ物件業者も恐れる弁護士です。

政治家としての有能さはグレーゾーン金利撤廃の実績が示しています。制度を変え、消費者金融のビジネスモデルを変えてしまいました。過払い金返還請求は弁護士業界の特需となり、金儲け優先のブラック士業という弊害を生みましたが、グレーゾーン金利撤廃によってブラック士業の飯の種さえも潰しました。政治家的な発想がなければできないことです。

脱原発に対しては夢物語との声が根強く、容易ではないことも事実です。それが具体的にできるとすれば、消費者金融という一つの産業を変えた宇都宮けんじさんになると思います。宇都宮さんは2012年選挙で新エネルギー会社の設立を公約に掲げるなど、電力自由化による脱原発とも親和性があり、観念的な脱原発ではありません。

宇都宮けんじさんが東京都知事になったとして自民党・公明党が多数派の都議会とどのように対峙するかは大きな課題です。派閥を向こうに回して日弁連会長に当選した手腕が期待できます。また、今回の出馬表明は水面下で他の人を擁立しようとする動きがある中で堂々と先出しジャンケンを公開の場で行ったものです。市民の支持を背景に改革を迫る手腕も期待できます。

宇都宮けんじさんはサラ金問題やゼロゼロ物件問題で消費者行政を真に消費者のための行政になるように求めてきた存在です。それ故に宇都宮さんが都庁職員に与しやすい都合の良い都知事になることはないはずです。支持組織のバランスは重要な要素であり、公務員労働運動は重要なアクターです。だからこそ市民の支持の厚みが重要になります。市民が宇都宮さんを応援し、市民の声を政策に反映させることが重要になります。

いわゆる左翼革新の教条主義的な主張に抵抗があることは承知しております。私も同じです。私が貧困ビジネスやブラック企業を批判する理由も、単に困っている人を税金で助けるという税負担を増やす貧困対策一辺倒に疑問があるためです。その立場からも宇都宮けんじ氏の政策は支持できるものと思います。たとえば住まいの貧困対策でも伝統的な都営住宅新設一辺倒ではなく、家賃補助も盛り込んでいます。参考になりますところがあれば幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

人にやさしいから希望へ

林田力

「希望のまち東京をつくる会(仮)」が2014年1月8日19時から「東京を変えていくキックオフ集会」を豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)で開催する。「宇都宮けんじさんと子どもからお年寄りまでが希望を持って暮らせるまち東京をつくろう」をキャッチコピーとする。

2012年東京都知事選挙では「人にやさしい東京をつくる会」が宇都宮けんじ氏を擁立し、「誰もが人らしく生きられるまち、東京」を掲げた。それが途中から「希望都市、東京へ」「希望の政策」など希望が強調されるようになった。どちらも中途半端なブランディングになってしまい、広まらなかった印象がある。

「人にやさしい」と「希望」を単純に言葉として比べると、政治的アピールとしては「人にやさしい」が数段上等である。「希望」は美しい言葉であるが、何も言っていないに等しい。それに比べると「人にやさしい」には意味がある。私も「人にやさしい」というコピーが登場した際は感激した。これは開発問題にもそのまま該当すると考えて「人にやさしい街づくりをめざし、宇都宮さんを応援する会」を呼びかけたほどである。

選挙戦で途中からコピーを「人にやさしい」から「希望」に変更したことはブランディング戦略として上策ではないが、そのようにしたくなった事情は理解できる。

第一に「人にやさしい」は宇都宮氏の一般的イメージと合わない。宇都宮氏が知られているとすれば消費者金融問題や反貧困運動である。そこには社会悪を許さない怒れる弁護士というイメージがある。その土台には人へのやさしさがあり、宇都宮氏と接した人はやさしさを感じるとしても、東京都知事選挙はブラウン管越しにしか接しない有権者への印象が重要である。

社会悪と闘う怒れる人物像と「人にやさしい」のコピーが打ち消しあって没個性化してしまった。宇都宮氏は知名度が低いと言われるが、消費者金融問題や反貧困運動で十分すぎるほどの活動をしている。知名度アップ策は、そのイメージを強めることから始めるべきである。

第二に「人にやさしい」は伝統的な革新勢力の政策とあいまって「特定人にやさしい」という印象を与えてしまった。たとえば住宅政策では家賃補助にも言及したものの、選挙戦では都営住宅の拡充ばかりが強調された。現在の状況下では都営住宅を拡充しても、住まいの貧困に苦しむ人々は救済されにくい。「人にやさしい」とは選対内部の人的軋轢を見ると「自分の息子にやさしい」が本音だったのかと思いたくなる。

この点を踏まえると最初から「希望」をコピーとして統一する戦略は有益である。加えて2014年は2012年末以上に希望が求められている。ブラック企業や脱法ハウス(住まいの貧困)が社会問題になった。成功するはずがないと思っていた東京オリンピックが決定し、特定秘密保護法が可決した。あらゆる災厄が世の中に流出した後で最後に残ったものが希望というパンドラの箱に重なる。宇都宮けんじ氏は希望である。


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