日本のピンチを希望に変えるtalk talk talk!

林田力

「民主主義社会に秘密保護法はいらない!」実行委員会(宇都宮健児・実行委員長)は2013年12月28日に「日本のピンチを希望に変えるtalk talk talk!」を文京区民センター2A会議室(東京都文京区春日)で開催した。宇都宮氏の出馬表明によって都知事選決起集会のようになった。

宇都宮健児氏は基調講演「新たな連帯と民主主義実現運動の必要性」で東京都知事選挙への出馬を表明した。都知事選を抜きに今後の市民運動は考えられない。出馬の決意は皆さん方の前で発表すべきと考え、ここで発表する。後出しじゃんけんのようなことを市民運動はやってはならない。政策を訴えなければならない。市民運動の中からスターを出していかなければならない。どこかから引っ張ってくるようなやり方は望ましくない。

前回は知名度がなかった。今は知名度が出ている。去年の戦いがなければ今はない。去年は短期決戦でよく頑張ったと考えている。選挙活動の盛り上がりは猪瀬陣営を上回っていた。去年はスタートである。どれだけ市民の運動の繋がりができたか。前回の選挙では新しい繋がりができた。政治的イデオロギー的な立場を超えた繋がりを作っていけるか。今の市民運動には分裂を乗り越える、しなやかな活動家が求められている。

安倍政権が誕生した。靖国神社参拝など国際的対立をいとわない。東京を変えて国政を変える。被災者の生活再建の見通しが立っていない。社会保障を切り下げて軍事費を増大する。生活保護法を改悪した。消費税増税は貧困と格差を拡大し、弱者切り捨てになる。安倍政権の解雇特区など労働者には地獄の国づくりになる。

特定秘密保護法が通っても諦めることはない。まだまだ運動は続く。安倍政権はアメリカと共に戦争できる体制にしようとしている。

石原都政は福祉予算を減らしている。生活保護の高齢者で都外の施設に住む人が増えている。たまゆら火災の反省を活かしていない。

首都直下地震対策ができていない。石原都政になってから防災予算を減らしている。東京湾岸コンビナートには震災の脆弱性がある。国の発表以上の被害が生じる危険がある。

どのような東京オリンピックにするかを考えなければならない。被災者も歓迎できるオリンピックにしなければならない。取り残される人がいてはならない。オリンピックは平和と友好の祭典である。今の安倍政権が続くとオリンピックは開催できない危険がある。

私は政策を支持する政党や市民団体に支持を呼びかける。希望の街東京を作ろう。今度こそ倍返しだ。市民は微力であるが、無力ではない。一回り二回り大きな繋がりができれば勝利の展望が開ける。

次は海渡雄一「バーナムの森は動いた、秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの始まりだ」である。バーナムの森はマクベスの話である。秘密保護法が何を狙っているか。反対する人をテロリストと呼んで取り締まろうとしている。安倍政権は普通の自民党政権ではなく、ファッショ化している。少し名前の知られている人が本気で安倍政権と闘ってくれるか。

谷垣氏にはがっかりした。今の自民党には安倍政権の暴走に抵抗できる人がいない。満州事変やトンキン湾事件など戦争は政府の嘘を秘密にすることから始まる。だまされる国民になってはいけない。公安警察は戦争に反対する人々をスパイとラベリングして取り締まることを狙っている。公安警察の中心は警視庁公安部である。そのトップは東京都知事である。都知事選はNOを突きつける機会である。

東京都知事選挙について勝てる候補と言うが、政策を担う人がいるか。勝たせることが私達の役割である。

休憩前の最後は高田健「秘密保護法反対運動と私たちの今後の課題」である。どうしたら安倍政権を倒せるのか。法案が成立したから終わりなのか、との声が多数寄せられている。宇都宮さんの決意表明を聞いて意欲を新たにした。平和憲法は戦後日本の大きなブレーキになってきた。安倍政権は日本を戦争ができる国にしようとしている。

日比谷の集会は市民団体の一日共闘で開催した。会場の中よりも外の方が大勢集まった。あれだけ市民が熱心に集まった集会は珍しい。市民運動は強い力を発揮できると考える。今私達が反撃しなければならない。安倍の暴走にストップという候補でなければならない。宇都宮さんでなくてもいいが、そのような人はいない。安倍さんと戦う候補者でなければ私達の力が湧かない。

休憩後は地域別に別れてディスカッションした。私は以下の自己紹介をした。「東急不動産からマンションをだまし売りされ、東急不動産と裁判闘争をした。それ以来、東急の開発問題などに取り組んできた。昨年の都知事選では宇都宮勝手連に参加し、その後は都政わいわい勉強会in東部地区を立ち上げて、貧困問題やブラック企業問題の勉強会を開催した」

市民運動と選挙と党派性

大久保青志(THE ATOMIC CAFE主宰)「市民運動と選挙──これからの社会運動をどうする」は重要なテーマを投げかけた。「日本のピンチを希望に変えるtalk talk talk!」は宇都宮氏の出馬表明によって都知事選決起集会の様相を呈したが、もともとは市民運動の連帯や規模拡大を長期的視点に立って取り組む趣旨の集会であった。その意味で大久保氏の指摘には重要な問題が内在する。

「市民運動と選挙」は1960年代以降の市民運動・社会運動を振り返り、運動と市民型選挙について総括と問題提起する。全共闘運動の衰退で地域の中で生活密着の運動を志向する。若者や市民や女性にアピールする運動を目指す。「政党という党派性を排除した、政策・選挙・運動を一体として取り組める社会運動体を展望できないか」と問題提起した。

党派性の否定は集会全体に共通するものである。宇都宮健児氏もイデオロギーを超えた共同を訴えた。中山武敏弁護士も宇都宮氏が無党派で活動してきたことを強調した。直近の課題は東京都知事選挙であり、首長選挙ではバリバリの政党人でも無所属として出馬する慣行になっている。東京都知事選挙の選挙戦術として党派性の否定は結構なことである。

一方で大久保氏の主張は宇都宮氏や中山氏より一歩踏み出している。異なる党派が存在することを認識した上で共同を目指すことと、党派性そのものを否定することには差がある。この党派性にどう向き合うかは市民運動の将来について考える上で大きなテーマとなる。

管見は政治を扱う以上、党派性を排除できないと考える。議会制民主主義の歴史は会派と共にあり、会派を否定したら議会制民主主義は成り立たない。これは既存政党は全て支持できないという主張とは別次元の問題である。「自民党から共産党まで現存する政党は全て体制内批判派も含む体制派である。大企業の土建政治を否定する政党も中小企業や労働者におこぼれが落ちる土建政治は推進し、既得権益を擁護する」。このような主張には賛同する部分がある。

しかし、目の前の全ての政党が愚劣であり、党利党略と既得権益擁護しか眼中にないからといって、党派を否定することは論理の飛躍がある。愚劣な党派には、まともな党派をぶつけることが解決策になる。

かつて橋下徹大阪府知事(当時)や河村たかし名古屋市長が地方議会と対立して喝采を浴びたことがあった。しかし、結局のところ、彼らは自分の主張を支持する新党を結成することになった。両氏の主張を支持するか否かは別問題であるが、両氏の立場に立つならば、それが議会制民主主義の下での正しい解決策である。

そして党派ができれば個人の恣意に歯止めが働く。たとえば公営企業の民営化は支持しても、外資への叩き売りは造反が生じる。それが首長の意向であるとしても唯々諾々と従うことはない。民主主義における党派の効用である。

一方で大久保氏のような立場が党派性を否定する結論に行き着くことも理解できる。もともと住民投票など直接民主主義を志向する人々が多い。それ故に「議会制民主主義の歴史は会派と共にある」と主張したところで、議会制民主主義自体を乗り越えようとする立場には説得力がない。

さらに大久保氏が指摘したように日本の再狭義の市民派は各地の議会に一人当選させることが精一杯という実態がある。しかも、その当選する一人は党派の力ではなく、個人の魅力・知名度に負うところが大きい。この状況で当選議員に議会の中で人数以上の存在感を発揮してもらうためには、会派という仕組みを否定した方が得策である。

ここで注目は緑の党の評価である。緑の党は従来の再狭義の市民派諸勢力と比べると、近代政党を志向する。このような評価は緑の党には不本意であることは承知している。緑の党は共同代表や地方組織のあり方などで近代政党のアンチテーゼを提示しているためである。しかし、従来の再狭義の市民派諸勢力との比較という観点では党組織を強固にしており、近代政党的である。これは無所属・無党派の枠から飛び出し、自らの党派性を出した動きである。

参議院選挙の結果は緑の党も従前の市民派諸勢力と変わらない結果となった。それ故に大久保氏が党派性否定の結論を志向することは筋が通る。緑の党が無所属議員のネットワークであり続けるか、独自の党派として成長するか分岐点に立っている。


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