希望のまち東京in東部

江東区長宛・投票率向上のための施策を求める陳情回答

林田力

希望のまち東京in東部の江東区長宛「投票率向上のための施策を求める陳情」に対し、2015年3月26日付で回答が出された。回答文書は江東区選挙管理委員会事務局長名義である(26江選第1549号)。陳情では以下の4点を要望した。

1.期日前投票所を鉄道駅構内やショッピングセンター、商店街空き店舗など人が集まる場所に増設して下さい。

2.大島7丁目住民の投票所として大島地区集会所を追加してください。

3.区内商店による選挙割(投票割)の奨励策を実施して下さい。

4.将来的にはコンビニ投票を目指し、その技術的・法制度的課題を明らかにし、国に提言して下さい。

第一の要望への回答は検討済みであるが、実現できていないというものであった。

「期日前投票所は、有権者の混乱を避け、設置場所を広く周知するため、毎回、同一施設で開設いたしております。また、投票用紙等を一定期間保管する場所や、投票の秘密を確保するための相当の設備が必要になります。

ご要望いただいた駅構内やショッピングセンター等には、今までも期日前投票所の設置の依頼を行いましたが、毎回必ず会場を確保することや、投票所の設備を整えることが難しく、実現できない状況にあります。引き続き、有権者の利便性向上のため、検討してまいります」。

第二の要望は以下のように反論された。「大島7丁目の有権者数は、平成27年3月2日現在で6702人とたいへん多い状況です。大島地区集会所は、投票所として使用できる場所が1階の洋室のみで、広さが51平米(定員30名)と狭いため、投票所の混雑が予想され、かえって不便をおかけすることが考えられます。

従いまして、円滑に投票していただくためには、現行どおり、第三大島小学校を投票所といたしますが、投票所の変更等を検討する際には今回のご意見を参考とさせていただきます」

第三の要望は拒否回答である。「選挙割につきましては、各商店に少なからず負担がかかるため、現在のところ、奨励する予定はなく、各商店のご判断にお任せしております。

本区選挙管理委員会といたしましては、投票環境の向上を図ることが重要と考えており、本年4月の江東区議会議員・区長選挙では期日前投票所を2ヵ所増設いたします。今後とも投票環境の向上に努めて参ります」

第四の投票は以下の通りである。「コンビニエンスストアでの投票は、ご指摘のとおり不正防止策や投票場所の確保等、多くの課題があります。一番の問題は、投票日当日に複数のコンビニで投票所を設けた場合、二重投票防止のために各コンビニの投票状況をオンライン化して共有する必要がありますが、現行の法律では認められていません

総務省では、平成26年5月から『投票環境の向上方策等に関する研究会』が開かれ、上記1の要望やオンライン化による投票についても既に検討がされております。今回のご意見を参考とさせていただき、今後とも投票しやすい環境づくりに努めてまいります」



陳情回答コメント

希望のまち東京in東部の江東区長宛「投票率向上のための施策を求める陳情」は投票に行きたくても行けない人々への投票の利便性向上を主眼とする。権利を行使しやすいように環境を整えることが狙いである。

この陳情のきっかけは、希望のまち東京in東部が2014年総選挙前に実施した「選挙に行こう」プロジェクトに寄せられた意見である。選挙への意識があっても足腰が弱く、投票所が遠いなどの環境的な制約から棄権する人がいると指摘した。その解決策としてコンビニ投票を求めた。

投票率向上施策としては「選挙に行こう」という有権者の意識啓発型が多い。希望のまち東京in東部「選挙に行こう」プロジェクトも、その一つであり、それを否定するつもりはない。しかし、それだけでは「意識があれば問題が解決する」という悪しき特殊日本的精神論に陥る危険性がある。

「投票に行きたくても行けない人々」とカテゴライズしたが、その多くは万難を排して投票を最優先に行動すれば投票に行くことは不可能ではない。だからと言って、それをしないことを意識が低いと切り捨てるならば、所謂「自己責任論」と変わらなくなる。日本では右翼・左翼問わず、特殊日本的精神論に汚染されており、ある分野では自己責任論を糾弾する左翼にも、ブラック企業を告発する若者を「甘ったれ」と否定するなど別の分野では特殊日本的精神論に染まっている傾向がある。

江東区回答は陳情の要望がそのまま採用された訳ではないが、問題意識は共有できていると評価する。希望のまち東京in東部は過去に江東区長宛陳情「若者の自立支援政策を目的とした区内の空き家の実態調査とそれに基づく施策策定の陳情」を出した。その回答「若者の自立支援政策を目的とした空き家の実態調査等を実施する予定はございません」「若年層の住宅確保要配慮者に対する施策については具体的な協議課題とはしておりません」とは大きくスタンスが異なる。

選挙制度に対して市民側からは様々な取り組みがなされているが、投票の利便性向上を求める運動は行政側ともベクトルを同じにできる希少な分野と言えるのではないだろうか。

期日前投票所増設

希望のまち東京in東部の江東区長宛「投票率向上のための施策を求める陳情」の第一の要望は「期日前投票所を鉄道駅構内やショッピングセンター、商店街空き店舗など人が集まる場所に増設して下さい」である。江東区の回答は検討済みであるが、ハードルがあり、実現していないというものであった。江東区回答で言及されている総務省「投票環境の向上方策等に関する研究会」は2015年3月に中間報告を発表した。そこでも商業施設などへの期日前投票所の設置を投票環境の向上を図る有効な選択肢と位置付けている。

「有権者の中には、政治や選挙に関心があっても便利な場所に投票所が設置されていないために結局投票に行かなかったという者も存在すると考えられるので、柔軟性や機動性のある期日前投票をさらに効果的に活用することができれば、そのような有権者に有効な投票機会を提供できる可能性がある」(投票環境の向上方策等に関する研究会「投票環境の向上方策等に関する研究会中間報告」2015年3月、8頁)

陳情では期日前投票設置場所として「鉄道駅構内やショッピングセンター、商店街空き店舗」と3箇所をあげた。この中で商店街空き店舗は空き家活用や商店街振興にもつながるために特に強調したいところであった。

ところが、江東区回答では「駅構内やショッピングセンター等」と商店街空き店舗を抜かしている。「等」とあるために無視している訳ではないが、三つあげたところ、二つだけしか返さず、一つを等で省略していることには価値判断が表れている。有権者の利便性向上のための期日前投票所設置ならば、有権者にとって便利な場所を追求すべきで、空き家活用や商店街振興のような要素を入れるべきではないという考えには一理ある。

一方で江東区回答は駅構内やショッピングセンターでの期日前投票所の設置がスペース的な問題から実現していないとも述べている。駅構内やショッピングセンターに難しさがあるならば商店街空き店舗が選択肢として浮上してもいい。

選挙割

希望のまち東京in東部の江東区長宛「投票率向上のための施策を求める陳情」は投票に行きたくても行けない人に投票に行きやすくすることが狙いである。この観点では陳情の四つの要望のうち、第三の選挙割は異質な要望である。これは投票者に特典を付すもので、投票の利便性向上とは性質が異なる。

この相違を江東区も認識しているようで、選挙割に対する回答が最も冷たいものになっている。この要望への回答では何故か以下の文言が付されている。

「本区選挙管理委員会といたしましては、投票環境の向上を図ることが重要と考えており、本年4月の江東区議会議員・区長選挙では期日前投票所を2ヵ所増設いたします。今後とも投票環境の向上に努めて参ります」

これは選挙割のような取り組みではなく、投票環境の向上策ならば検討に値すると述べているようにも読める。選挙制度の改革を行政との協同・提案型で進めたいならば投票環境の改善というアプローチが有効になるだろう。

コンビニ投票

希望のまち東京in東部の江東区長宛「投票率向上のための施策を求める陳情」で最も期待しているものは最後のコンビニ投票である。当初は期日前投票所の投票時間の延長も検討したが、現在の体制では区役所職員にとってブラック企業になってしまいかねないために見送った。コンビニを利用できれば時間と場所のハードルが大きく下がる。

江東区回答ではコンビニ投票実現のためにはオンライン化が必要とする。ここは考えなければならないところである。ネット投票に対して不正のリスクから否定意見も根強い。しかし、脊髄反射的に否定するだけでは何も変わらない。現状を是とするならば別として、現状に問題意識を持っている人からすれば脊髄反射的な否定論は現状維持の既得権擁護にしか映らない。実現させるためにはどうすればいいかという姿勢が求められる。

尚、ネット投票が可能ならば個人の端末から行うこともできる筈で、コンビニ投票は不要との見解も考えられる。しかし、エンドユーザーとのラストワンマイルの部分が一番大変なところである。これはネットの確定申告が示している。コンビニというインフラを使うことには大きな意味がある。

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