林田力 林田力

埼玉県警羽生署地域課須影駐在所の巡査部長=羽生市須影=は業務で知った個人情報を不正に利用して女性を呼び出し、体を触ろうとしたとして強制わいせつ未遂の罪で有罪判決を言い渡された(「性行為を20代女性に迫る「誠意を見せて」元巡査部長に執行猶予 女性を懲らしめるためとの主張に裁判官は」埼玉新聞2021年7月2日)。さいたま地裁(菅原暁裁判官)は2021年7月1日に懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。

 

巡査部長は2021年4月4日に20代の女性を脅して呼び出し、羽生市内の商業施設の駐車場に止めた車の中でわいせつな行為をしようとしたこと。巡査部長は駐在所の業務で被害女性に応対していた(「エッチさせろ…女性を触ろうとした巡査部長を逮捕 埼玉県警に勤務 わいせつ目的を否認「納得できない」」埼玉新聞2021年4月10日)。そこで収集し個人情報を使って女性を脅迫した。

 

巡査部長は4月2日と3日に女性の個人情報を不正に利用して携帯電話で連絡した。さいたま地検は被害者の特定につながるとして起訴内容を明らかにしなかった(「埼玉県警巡査部長を起訴 強制わいせつ未遂罪」産経新聞2021年4月28日)。その卑劣な手口は週刊誌で報道された。性悪で冷酷、一刻も早く退場して欲しいと願うほどの唾棄すべき存在である。

 

「池田容疑者は駐在所に相談に来た女性に目をつけたようです。相談を受けた際に女性の電話番号を手に入れたとのこと。4月4日、女性に『秘密をバラされたくなかったら、カネを持ってこい』と電話で脅迫して、商業施設の駐車場に呼び出しました。女性は池田容疑者のことを覚えておらず、彼も当日は非番で身分を隠していたようです。彼は女性を車の中へ無理やり連れ込み、カネを要求した挙げ句に『エッチをさせろ』と身体を触ろうとしたんです」(「埼玉県羽生市「わいせつ巡査部長」のヤバすぎるウラの顔」FRIDAY 2021年5月1日)

 

兵庫県警神戸西署員のまん延防止重点措置無視 #警察不祥事

 

 

警察不祥事被害者の20代女性には万引きの過去があり、巡査部長は「万引きは通報しないでやるからそれなりの誠意を見せろ」などと女性に迫り、弱みにつけ込んで性的行為に応じるよう脅した(「万引きの弱みにつけ込み20代女性に性行為を迫った元警察官 「警察活動の根底を揺るがす行為」元刑事が怒り」ABEMA TIMES 2021年7月5日)。

 

巡査部長は4月7日に強制わいせつ未遂容疑で逮捕された。さいたま地検は2021年4月28日に巡査部長を強制わいせつ未遂の罪で起訴した。産経新聞記事は「池田被告」と書くが、被告は民事訴訟の用語である。刑事訴訟は被告人になる。

 

初公判は、さいたま地裁で2021年6月17日に開かれた(「強制わいせつ未遂の罪に問われる元巡査部長 懲役2年求刑」NHK 2021年6月17日)。検察側は以下のように指摘した。

 

「被告人は女性に窃盗の前歴の弱みがあることに付け込み、『万引きをしたらそれなりの誠意を見せてほしい』『月に一回で良いです』『嫌なら留置場に入りますか』などと言ってわいせつ行為を迫った」「アダルトビデオなどの影響を受けた犯行で、幼稚かつ浅はかな動機で酌量の余地はない」(「「懲らしめようと…」強わい未遂の元警察官初公判」テレビ朝日2021年6月17日)

 

「警察官という立場は、仕事上、個人情報に触れる機会が多く、その情報はプライベートに深く関係するものもある。しかし、警察官がその情報を個人的な欲望のために悪用してしまったら、今後、市民は警察の業務に協力することができなくなるだろう」(河村忠徳「警察業務で取り扱った個人情報で女性呼び出し 強制わいせつ未遂で地域を守る現役警官を逮捕・起訴」FNNプライムオンライン2021年6月1日)

 

巡査部長は逮捕時の報道では(33)であった(内田優作「「まじめな人」「示しつかない」…駐在所近隣住民に驚きと憤り 埼玉県警巡査部長逮捕」産経新聞2021年4月8日)。起訴時の報道では(34)になった。起訴時には(34)になった。

 

巡査部長は2008年10月に警察官になり、2017年3月から須影駐在所で勤務しており、犯行後も出勤していた。須影駐在所は東武伊勢崎線南羽生駅の西約1キロの住宅街の一角に位置する。駐在所に妻と二人の子供と暮らしていた。

 

巡査部長は2021年5月21日付で懲戒免職処分となった。埼玉県警は監督責任があるとして、羽生署地域課課長の男性警部と同課係長の男性警部補を監察官による口頭厳重注意とした。再発防止へ向けて、各所属長に対し、勤務員への面談などを通じた指導や支援を実施するよう通達した(「女性の体を触ろうとした巡査部長を懲戒免職 業務で知った個人情報を不正利用、女性を呼び出す/埼玉県警」埼玉新聞2021年5月22日)。

 

しかし、管理主義的な公務員組織の面談は逆効果になる。埼玉県警では川越署刑事課の巡査が詐欺未遂と地方公務員法違反で2019年8月7日に、さいたま地裁から有罪判決を言い渡されている。この巡査は病死した埼玉県川越市の男性の遺族から2019年3月に現金50万円ほどをだまし取ろうとした。また、検視を担当した女性の遺族の個人情報を2019年2月に知人の40代男性に漏らした。

 

この巡査が金をだまし取ろうとした背景には、上司から生活指導を受けて貯金を増やそうとしたことがある(「遺族から現金だまし取ろうとした元巡査、情報も漏らす 地裁が執行猶予「依願退職などすでに社会的制裁」」埼玉新聞2019年8月8日)。管理主義的な締め付けが性犯罪などの警察不祥事を増やしているのではないか。

 

貯金を殖やそうとして詐欺に走る巡査の思考回路は半グレ・ヤンキー並みに短絡的である。警察組織に欠けているものは消費者に価値を提供して対価を得るという民間感覚である。

 

警察官の民間感覚の欠如は小説でも描かれている。以下は巡査のセリフである。「わたしたち官には不況というものがいまひとつ実感できないものですから、民間の方の苦労を他人事のように思ってしまって」(奥田英朗「ここが青山」『家日和』集英社、2007年)。

 

巡査部長は取り調べで「車の中で金を要求したり性行為をさせろなどと言ったが、わいせつ目的の部分が納得できない」と話す(「警察官が強制わいせつ未遂か 業務通じ女性と面識」テレビ朝日2021年4月10日)。矛盾した発言である。公務員の屁理屈である。わいせつ目的でなければ何なのか。

 

筋違いの言い訳は犯罪警察官に共通する。埼玉県警では鉄道警察隊巡査=さいたま市見沼区=が県警のデータベースを悪用して得た情報をもとに女性宅を訪ね、体を触ったなどとして、強制わいせつや住居侵入などの有罪判決を言い渡された。巡査(32)は、さいたま市のマンションの女性の部屋に2019年8月、不動産業者を装って侵入し、身体を触るなどした疑いで逮捕された。巡査は2018年12月にも同市の別の女性の情報を不正に得ていた。

 

巡査は逮捕時には「家には入ったが、触っていない」と容疑を一部否認した(「部屋に不動産業者装い侵入 強制わいせつで警察官逮捕」FNN 2019年10月11日)。家には入ったとの言い訳が言い訳になっていない。公判では犯行を認める一方、女性宅を訪ねた動機を「仲良くなるため」と言い訳した(「元巡査に3年6月求刑 埼玉県警データベース悪用、強制わいせつ罪」産経新聞2020年12月9日)。

 

論告求刑公判は2020年12月9日、さいたま地裁(任介辰哉裁判官)であり、検察側は懲役3年6月を求刑した。検察側は論告で巡査が女性と性的な関係を持ちたいと考え、データベースで対象者の個人情報を収集していたとして「計画的で狡猾(こうかつ)な犯行」と指摘した。

 

さいたま地裁は2021年1月14日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年6月)の判決を言い渡した。「警察官としての立場を悪用して犯行に及んだことは非常に悪質だ。より強い非難に値する」と非難した(「県警データ悪用の元巡査に有罪 女性宅訪ね強制わいせつ さいたま地裁」産経新聞2021年1月14日)。判決は、「仲良くなるためだった」という巡査の主張について「信用できない」と指摘した。

 

巡査は2013年2月に県警の警察官となり、2017年3月から鉄道警察隊に所属し、鉄道施設内の痴漢やすりなどの犯罪を警戒する業務に当たっていた(「痴漢を取り締まる巡査逮捕 マンションに侵入、女性触って逃走した疑い 一部否認「家には入ったが」/県警」埼玉新聞2019年10月11日)。

 

そもそも警察のデータベースを私的目的で利用することが犯罪である。変なことに使わなければ良いという発想が誤りである。警察官は自分達が特権身分と勘違いしているのではないか。警察官にデータを渡してはならないという反面教師になる。例えば何の法的根拠も無い巡回連絡は無視することが正解である。

 

警察のデータベースを利用した犯罪であり、求刑が軽すぎるのではないか。総じて日本では警察官の犯罪は刑が軽い。公務員の懲戒免職が社会的責任を受けたとして刑の軽減理由になるならば、公務員は前近代の貴族のような特権身分になってしまう。

 

不動産業者を装う点で知能犯である。埼玉県警では警察官の職務を悪用する警察不祥事が相次いだ。埼玉県警草加署巡査は死体検案名目で遺族から現金82万円をだまし取った。埼玉県警川越署巡査も遺族に遺体の防腐処置費用として現金50万円をだまし取ろうとした。市民が警察官に警戒するようになったために不動産業者を装うようになったのだろうか。



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