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静岡県警巡査長が聴取中に強制わいせつ未遂と特別公務員暴行陵虐

聴取中に女性にわいせつな行為をしようとしたとして、静岡県警浜松中央署地域課巡査長が2019年6月1日に、強制わいせつ未遂と特別公務員暴行陵虐の容疑で逮捕された。女性は1人暮らしで、当時は2人きりの状態であった。


事情聴取の名目で2時間も拘束したならば、未遂ではなく既遂と言えるのではないか。身内の犯罪を軽くしようとしているのではないか。『笑点』「大喜利」(2019年6月2日)では「LINE Pay」などに因み、「○○ペイ」のお題が出た。厚生労働省は隠ぺいという回答が出たが、警察不祥事の隠蔽も深刻である。


「逮捕容疑は5月28日午前8時半から午前10時半までの間、別事件の事情聴取で行った浜松市内の女性宅で、女性に対しわいせつな行為をしようとした疑い」(「わいせつ未遂容疑で巡査長を逮捕 静岡県警、勤務中に」共同通信2019年6月1日)。


巡査長は2016年4月に採用され、17年3月から同署管内の交番で勤務していた(大谷和佳子「聴取中わいせつ行為試みる 独居女性に 巡査長を逮捕 静岡県警」毎日新聞2019年6月1日)。


職務質問でも強引な警察官が増えている。「明らかに年下の警察官がタメ口だったのでカチンときて「任意のはずだ」と拒否したら増員を呼ばれ「公務執行妨害になるよ。会社クビになっちゃってもいいの?」と脅された」(「「ヒドい職質」が急増中」週刊SPA!2019年5月28日号)。警察官の点数稼ぎが原因である。マンション投資の迷惑勧誘電話と同じである。民間企業では最低レベルの働き方になる。

布川事件の国家賠償請求訴訟

布川(ふかわ)事件では桜井昌司さんの再審無罪が確定した。布川事件は茨城県利根町布川で1967年8月に大工の男性が自宅で殺され、10万円余が奪われた事件。別件で逮捕された桜井昌司さんと杉山卓男さんが殺害を「自白」したとされる。二人は裁判で無罪を主張したが、1978年に最高裁で無期懲役が確定した。被告人の自白に依拠しており、当初から冤罪の可能性が指摘されていた。


桜井さんは「違法な捜査によって有罪となった」などとして国と茨城県に計約1億9千万円の国家賠償を求めた。東京地裁2019年5月27日判決(市原義孝裁判長)は、警察官と検察官に捜査や公判で違法行為があったと認め、計約7600万円の支払いを命じた。


判決理由では、警察官の取り調べについて、桜井さんに虚偽の事実を伝えて自白させたほか、記憶喚起の限度を超えた誘導があったとして、違法と認定した。取り調べ段階の「現場付近で(桜井さんを)見たという目撃証言がある」との警察官発言を虚偽と認定した。


検察官については、弁護人から具体的な証拠の開示請求を受けた場合、合理的な理由がない限りは「開示義務を負う」と判示。その上で、現場近くで桜井さんを見たとする記載がない目撃者の捜査報告書など、弁護人が請求していた証拠のうち、結果に影響を与えた証拠を開示しなかったことは違法とした(「布川事件、国に7600万円賠償命令 検察の証拠非開示違法 東京地裁」産経新聞2019年5月27日)。開示されていれば、二審で無罪が出ていた蓋然性が高かったとした。


「検察が合理的な理由がなく証拠開示を拒否することは、できないはずである。手持ち証拠は基本的にすべて法廷に出すという規範が働くことが期待される。万一、証拠隠しが発覚すれば、賠償義務が生じることになるからだ」(「布川事件に賠償 再審でも証拠開示を」東京新聞2019年5月31日)


「証拠は捜査機関の「専有物」ではない。事件の真相究明や冤罪(えんざい)防止のために、有利不利を問わずすべて開示すべきである」(「布川事件で国賠 「証拠隠し」に猛省促す」北海道新聞2019年6月1日)


録音・録画は被疑者・被告人が自由にアクセスできるものでなければ意味がない。Coinhive事件のように任意捜査の段階でも強引な取り調べが行われている(「録画なし取り調べ8時間「お前がどう思おうが関係ねえ」」朝日新聞2019年5月31日)。取り締まる側の警察官が警察署内で犯罪を犯しても、被害者はそれを立証出来なければ告訴も出来なければ警察に脅迫されて冤罪をきせられた証明もできない。

『なつぞら』何者でもない

NHK連続テレビ小説『なつぞら』は2019年4月1日から放送を開始した。北海道で育ったヒロイン・なつ(広瀬すず)がアニメーターを目指す。連続テレビ小説の第100作目で、平成最後で令和最初のテレビ小説である。

 

アニメーターの採用を目指し、やる気を経営者に見せるために「命をかけます」との発言するが、これが裏目に出た。経営者は「命をかける必要はない」と答えた。使用者の安全配慮義務を踏まえれば当然の反応である。東急ハンズ過労死のような悲劇を避けるためには必要なことである。

 

命を懸けるという暑苦しい昭和マインドの熱血は逆に迷惑になる。実際、命をかけるという熱血アピールが採用試験に落ちた原因と推測される。昭和の熱血マインドは昭和でも通用しない。

 

2019年6月1日の放送では、何でもできる人が何者でもないと評される。器用貧乏である。何事かをなすには選択と集中、あれかこれかの選択が求められる。昭和的なゼネラリスト志向への皮肉になる。『なつぞら』は昭和を舞台としたドラマであるが、令和最初のテレビ小説だけあって、21世紀の感覚がある。




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