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マンション建設反対運動の無罪男性のDNAや指紋、顔写真抹消判決

マンション建設反対運動のリーダーが逮捕時に採取されたDNA型などのデータ抹消を求めた訴訟の判決が2022年1月18日に名古屋地裁であった。西村修裁判長はDNA型、指紋、顔写真のデータを抹消するよう国に命じた。弁護団によると、警察が保管しているDNA型などのデータ抹消請求が認められたのは全国初とみられる(「暴行無罪男性のDNAデータ、国に抹消命令…捜査で採取された指紋や顔写真も」読売新聞2022年1月18日)。

 

名古屋市瑞穂区の奥田恭正さん(65)はマンション建築反対運動のリーダーだった2016年10月、工事現場の監督を突き飛ばしたなどとして逮捕された。しかし、名古屋地裁は2018年2月に防犯カメラの映像からも突き飛ばす行為はなかったと認定して無罪判決を出し、確定した。奥田さんは同年7月、違法な逮捕や勾留で精神的苦痛を受けたとして国と愛知県などに計1100万円の損害賠償を求めるとともに、国に警察庁のデータベースからDNA型などの抹消を求め提訴した。

 

無罪確定後のデータ保管は、憲法が定める人格権の一部である、プライバシー権や自分の情報の公開範囲を決める権利の侵害と主張。根拠法や必要性、合理性がなく、将来罪を犯す可能性があると扱われるのと同じで、「屈辱的で、著しい人権侵害」と主張した(「無罪確定の男性の指紋やDNAデータ、国に削除命令 名古屋地裁」朝日新聞2022年1月22日)。

 

判決は、原告側の主張に沿い「何人もみだりにDNA型を採取されない自由があり、取得された後に利用されない自由も含まれる」と指摘(「無罪確定男性から採取の指紋、DNA型など抹消命じる 名古屋地裁」毎日新聞2022年1月18日)。

 

「犯罪の証明がないと確定した場合は、具体的な必要性が示されなければ、保管する必要がなくなったと解するべきだ」。奥田さんの無罪判決が確定していることなどを挙げ、「余罪や再犯の可能性を認めるのは困難で、保管する必要がなくなったというべきだ」(道永竜命「DNAデータなど抹消命令 警察が保管、無罪男性が請求 名古屋地裁」2022年1月18日)。

 

奥田さんは以下のように語った。「無罪なんだから、10月7日(事件の日)以前の私に戻してほしい。非常に良い判決だった」(「「無罪なのだから以前の状態に戻して」 捜査で採取の指紋やDNA抹消を求めた男性 国に抹消を命じる判決」CBCテレビ2022年1月18日)

 

 




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