大麻密売の町議会議員の裁判員裁判

福岡県宇美(うみ)町の町議会議員の40代男性は大麻を売りさばいた容疑がある。町議は2019年10月24日に大麻取締法違反(営利目的譲渡)容疑などで逮捕された。逮捕容疑は町議在職中の7月14日と31日、在沖縄米海兵隊の軍属の男に大麻計約100グラムを宅配便で送り、売ったなど。

町議は大麻取締法違反と麻薬特例法違反の罪で起訴され、裁判員裁判が2020年8月5日から開始された。2018年12月から2019年8月にかけて県内のアメリカ海兵隊の軍属など合わせて4人に営利目的で大麻を譲渡した罪に問われている。大麻の売買で得た400万円あまりは政治資金などに使われていた。判決は7日に言い渡される(「大麻売りさばいた福岡元町議の裁判始まる」沖縄ニュースQAB 2020年8月5日)。

町議は14年2月に宇美町議に初当選。2期目在職中の10月24日に逮捕された後、「一身上の事情」を理由に辞職届を提出し、町議会の許可を経て11月18日付で辞職した(平川昌範「福岡・宇美町の元町議が大麻密売容疑 沖縄の高校生や米軍属の男らに 20人検挙」毎日新聞2019年12月9日)。

沖縄県警は2019年12月7日までに大麻取締法違反の疑いで県内の高校生ら未成年を含む約20人を摘発した。町議が大麻をバイヤーに売りさばき、そこから知人友人同士のつながりで拡散したとみられる。大麻で逮捕された大阪府警堺署巡査も山形県警巡査も高校生の頃に大麻を始めている。

これを報道した沖縄タイムス記事は「SNSで沖縄の若年層にまん延」とある。ところが、本文では「大麻の流通経路の全容は分かっていないが、譲渡の際のやりとりで、会員制交流サイト(SNS)は主に使われていないという」とある(「福岡の町議が大麻売りさばく SNSで沖縄の若年層にまん延 高校生ら20人摘発」沖縄タイムス2019年12月8日)。SNSが使われているのか使われていないのかどちらか。

薬物犯罪は薬物使用者以上に薬物の売人の罪が重い。依存性薬物として社会問題になった危険ドラッグは中国からの原料輸入が大部分を占め、沖縄は輸入ルートにされた。ルートになるということは通り道になるということだけでは済まず、依存性薬物の市場にされてしまう。

中南米とアフリカの薬物密輸ルートにされてしまった大西洋の島国カボベルデは悲惨な状態に陥っている。「スラムには麻薬やギャングの暴力がはびこっている。欧州向けの麻薬取引の副産物だ。地元では12歳からクラック(コカイン)に手を出す子供もいる」(Colin Freeman「欧州麻薬戦争の最前線となった島国 コカイン密輸ルート「ハイウエー10」とは」The Telegraph 2019年12月1日)



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