東急不動産だまし売り裁判MyNewsJapan報道
東急不動産だまし売り裁判がMyNewsJapanで報道された(佐藤裕一「東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口」MyNewsJapan 2009年9月3日)。同じ記事は「回答する記者団」にも掲載された(佐藤裕一「東急不動産のマンションは「買ってはいけない」」回答する記者団2009年9月4日)。
東急不動産だまし売り裁判は東急不動産(販売代理:東急リバブル)が不利益事実(隣地建て替え)を隠して新築マンションをだまし売りし、購入者が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、売買代金を取り戻した裁判である(東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号、アルス東陽町301号室事件)。
東急不動産だまし売り裁判は消費者契約法で不動産売買契約を取り消したリーディングケースとなった。記事は東急不動産だまし売り裁判原告・林田力への取材に基づくもので、判決や訴状、準備書面、陳述書なども掲載されている。
記事では東急不動産のマンション購入者への悪質な嫌がらせの数々を紹介する。東急不動産は購入者(原告)へのアフターサービス提供を拒否し、東急不動産代理人は公開法廷で争点とは無関係な購入者の年収を暴露した。マンション建設地を地上げし、東急不動産のために近隣対策を行った地上げブローカーは東急リバブル・東急不動産でなければ知り得ない個人情報を握り、嫌がらせを行った。「ワナに落ちた者をグループで襲う」との小見出しが説得力を持つ記事である。
悪徳不動産業者は、提訴した被害者への憎しみをかきたてない限り、活力が湧いてこない。その典型が東急不動産であった。嫌がらせを怖がってはならない。
「突けば壊れる。そう思われているうちは何度でも同じ目に遭うに違いない」(落合誓子『バッド・ドリーム 村長候補はイヌ!?色恋村選挙戦狂騒曲』自然食通信社、2009年、106頁)。それ故に原告は地上げブローカーが圧力をかけた時は内容証明郵便で東急不動産に抗議した。
だまし売り被害者が被害経験を語ることは一般に受け止められているほど容易なことではない。そこには様々な葛藤があり、「時間の流れ」では解決できない問題が数多く含まれている。記事で描かれた東急不動産弁護士や地上げブローカーの嫌がらせは怒りなしでは思い返せない内容である。
それらは個人的かつ個別的な世界の出来事でありながらも、物事の本質を見抜く当事者の優れた洞察力を通して、問題の解決に向けての様々なヒントを指し示してくれる。
「人間の存在の根幹にかかわる問題に向き合おうとするとき、当事者の「ことば」に耳を傾け、そこに潜む普遍的な要素を探る作業は、今後もその重要性を失うことはない」(医療について、長尾真理「「患者の権利」としての医療」哲学第122集、慶應義塾大学三田哲学会、2009年、93頁)。
記事「東急不動産で買ってはいけない」の反響は大きい。MyNewsJapanの2009年9月16日のアクセスランキング1位である。読者評価ランキングは4位である。2009年9月13日時点ではアクセスランキング及び読者評価ランキングとも2位になった。コメント欄には東急不動産(販売代理:東急リバブル)を非難するコメントが寄せられた。
「消費者重視の時代にこれはひどい話ですね」
「騙し売りの東急という新しいブランドが確立されましたね」
「消費者庁にはこういった深刻な問題に対して意欲的に取り組んでもらいたいですね」
「こういう情報がどんどん明らかになって、騙し売りをするような会社に消費者が足を向けなくなるようになることを祈ります」
東急の被害事例も報告された。第一に一戸建て注文住宅の施主は仕上がりの酷さに驚いたという。床はコンパネ一枚分盛り上がっていた。玄関の突き出た屋根の部分は地面と平行ではなく傾いていた。外壁では割れた箇所が30カ所くらいあった。あまりにも雑なために、知り合いの一級建築士に頼んで確認してもらったところ、手直しする箇所が300カ所以上あったと語る。
第二に東急リバブルの仲介で中古住宅を購入した消費者の被害も寄せられた。基礎部に大規模かつ広範囲の腐食が見つかったという。東急リバブルは名ばかりの工事で済ましたが、専門家調査で工法不良が判明したとする。東急リバブルは「言った」「言わない」の水掛け論で責任逃れを図ると批判する。
記事「東急不動産で買ってはいけない」はブログでも取り上げられた。そこでは「大手企業というブランドでマンションを買ってしまって失敗したという話」と紹介する。「大手企業だから安心して購入する」という安易な考えを戒めている(『個人ブログで辛口批評する!消費者側から見た生命保険/損害保険』「大手企業ということで、真っ向から信用してはいけない。」2012年9月20日)。