愛川町の受刑予定者逃走事件の公表遅れ

神奈川県愛甲郡愛川町の受刑予定者逃走事件では、住民への周知が4時間半後に遅れた(「住民周知は4時間半後 連絡の遅さに募る不満」神奈川新聞2019年06月20日)。覚せい剤取締法違反などの罪で実刑が確定した男性(43)は2019年6月19日午後1時半頃に自宅から刃物を持って車で逃走した。しかし、住民への防災無線での連絡は午後6時頃になった。


愛川町の会社員の鈴木富雄さんは「もっと早く公表していれば市民の通報などですぐに捕まった可能性があった」と指摘する(「「ひと安心」「対応お粗末」=逃走男宅近くの住民ら-神奈川」時事ドットコムニュース2019年6月23日)。


「検察と警察の間で、あるいはそれぞれの内部で、どんな協議がなされていたのか。そのはざまで住民の安全という視点がすっぽり抜け落ちてはいなかったか」(「収容者逃走 隙や緩みはなかったか」神奈川新聞2019年6月23日)


横浜地検の中原亮一検事正は6月23日に会見し、公表の遅れについて「一定の時間が経過しており、私の責任は重い。痛恨の極みだ」と述べた(「「地域住民に心配かけた」横浜地検検事正が謝罪」神奈川新聞2019年6月23日)。


このような事件が起きると管理強化に傾きがちであるが、日本の受刑者の自由のなさは世界的に批判されている。この事件では薬物犯罪者であることが問題である。自宅に注射器があり、覚醒剤を使うために使用した可能性がある(「自宅に注射器、覚醒剤使用の可能性も 県警新たな画像公開」神奈川新聞2019年06月21日)。薬物犯罪者へのピンポイントの対応が必要である。


住民への公表の遅れは熊谷殺害事件とも共通する。熊谷殺害事件の遺族は、埼玉県警が不審者情報を適切に周辺住民に提供しなかったことで妻と娘2人が犠牲になったとして、埼玉県に損害賠償を求める訴訟を提起した(平成30年(ワ)第2193号・国家賠償請求事件)。


熊谷殺害事件の問題共有や反省ができていない。問題に対しては何故、そのような状況になったのか、根本的な原因を探る必要がある。さもなければ再発し、繰り返される。広い視野から考察し、根本的な対策が必要である。想定外と言いたくなることがあるかもしれない。しかし、普段から注意点や対策を意識すれば、想定外を減らすことはできる。そのためには情報公開による外部の目が必要である。



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