東京地裁立川支部の刑事裁判で手錠を付けたまま審理

東京地裁立川支部の2021年2月17日の刑事裁判で「公判廷で被告の身体を拘束してはならない」とする刑事訴訟法の運用に反して、被告人が手錠をつけたまま審理が続けられた。日本の刑事司法の形骸化を物語る出来事である。問題の公判は組織的犯罪処罰法違反に問われた男性被告人のもの。

本来は入廷後に腰縄と手錠を外すが、手錠を外さないまま被告親族の証人尋問と検察側の論告、弁護側の弁論が続けられた。最後に被告人が意見を言うために立ち上がった際、矢野直邦裁判官は手錠がついたままだと気づき、手錠を外して審理をやり直した。

やり直せば手続き上の瑕疵は治癒されるものなのか。公務員は自分達のミスには甘いのではないか。本当に最初からやり直したのだろうか。「従前の通りで良いですね」というような簡略化していないか。裁判はやり直した後に結審しており、形式色が強い。

福島至・龍谷大教授(刑事訴訟法)は「被告(原文のママ)は裁判の当事者で、防御権を主体的に行使する立場にある。手錠をはめられていれば思考が制約され、メモの許可も求められず、権利が行使できない状態であり問題だ」と指摘する(林田奈々「手錠つけたまま審理 裁判官が気づきやり直し 東京地裁立川支部」毎日新聞2021年2月22日)。

警察のルール無視はしばしば起きているが、裁判所まで及んでいる。滋賀県警草津署では2020年10月に逮捕された会社員男性が、国選弁護人の選任を希望したにもかかわらず、「休日」を理由に手続きを拒否した(「国選弁護人手続き怠る 滋賀県警、「土日」理由に」時事通信2020年11月28日)。

沖縄県警は2018年11月15日に2018年11月に裁判官の押印がない無効な逮捕令状を用いて市民を逮捕した。沖縄県警那覇署は2018年11月16日に無効な差し押さえ令状に基づいて押収を行った(「裁判官の押印がない…無効な逮捕状発付 那覇簡裁ミスで容疑者一時釈放」沖縄タイムス2018年12月1日)。

沖縄県警捜査第2課は多良間村幹部と地元業者らに絡む贈収賄疑惑で捜索の令状(捜索差し押さえ許可状)がないまま、事実上の強制的な家宅捜索を行った(「業者にも令状なし捜索 多良間贈収賄疑惑 沖縄県警、強制捜査を否定 業者「勝手に棚あさった」」琉球新報2018年11月3日)。



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