『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」

NHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」が2019年3月10日に放送された。第1章「ストックホルム大会篇」が完結する。マラソンに出場した金栗四三(中村勘九郎)は日射病で倒れて棄権する。日射病による選手や観客の体調悪化は2020年の東京オリンピック・パラリンピックも他人事ではない。むしろ深刻である。単純なオリンピック盛り上げドラマではなく、問題点を抉る作品である。

意識を回復した金栗は住民にJapaneseではなく、日本人と言い張った。これが連絡の遅れた原因ではないか。このストックホルム五輪のマラソンでは死者も出た。三島弥彦(生田斗真)は死ななかった金栗を良かったと言う。死んだら終わりとし、棄権を前向きに描いている点は昭和とは異なる、21世紀のドラマである。

三島の属する天狗倶楽部は今風に言えば半グレ・ヤンキーみたいな位置づけで思われるかもしれない。しかし、三島はスウェーデンが白夜で毎晩お祭り騒ぎしているのを五月蠅いと批判する。深夜に馬鹿騒ぎするような半グレ・ヤンキーとは異なる。

そもそも当時の大学生は現代以上に知的エリートであった。天狗倶楽部の押川春浪は冒険小説やSF小説を書いており、現代風に言えばライトノベルのようなもので、オタク文化の担い手であった。むしろ現代の半グレ・ヤンキーとは対照的な気質である。

昭和的な精神論や根性論を否定する点として、嘉納治五郎による監督の仕事の評価がある。大声で気合いを入れるよりも、マニュアルの整備を評価する。

この回は播磨屋が金栗に加え、美濃部孝蔵(森山未來)とも接点を持つ回であった。人力車夫の清(峯田和伸)の台詞で言及されただけである。本来ならば播磨屋本人が出てくるシーンがあり、ピエール瀧の麻薬取締法違反容疑でカットされたのではないか。



新着記事


林田 力 公式Twitter


TOP