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林田 力 ノンフィクション著者

テレビドラマのレビューなどエンタメ記事です。

山口敏太郎祭4~オカルトオタクの逆襲

「山口敏太郎祭4~オカルトオタクの逆襲、武蔵野歴女会が乱入予告!!」が2011年10月14日、東京都杉並区の阿佐ヶ谷ロフトで開催された。林田力は「UMA/幽霊の法律相談」に出演した。


山口敏太郎祭は漫画原作者にしてオカルト研究家の山口敏太郎氏が主宰する毎年恒例のイベントで、数々の能力者や霊能者と研究家、懐疑派が入り乱れたオールナイトイベントである。

 

冒頭の司会は新人中年芸人・南部イチヒコ氏で、開会宣言を行う。最初は映画『Xマン VS 口裂け女』を中心にしたトークである。歩く雑誌・中沢健氏、作家・漫画家・映画監督・格闘家の巨椋修氏、怪談師・牛抱せん夏氏、超常現象研究家・中津川昴氏らが出演した。巨椋氏は不登校・ひきこもり・ニートにも詳しい。中津川氏は林田力の前世を19世紀後半に生まれたアメリカ合衆国サウスカロナイナ州の農場主の息子と述べた。

 

口裂け女は岐阜発祥の都市伝説である。1979年に岐阜で目撃されたという話が各地に伝播した。マスクをした女性が口裂け女だったという話もある。整形手術などの医療過誤を苦にして自殺した女性の怨念とする説もある。映画トークの後は『Xマン VS 口裂け女』の映画上映である。


続いて山口敏太郎氏・大輪教授の司会の「W大学学園祭」である。大輪教授は教授キャラのピン芸人である。『姫さま、事件です! 女子の悩みはいつの時代も同じでございます』を出版した武蔵野歴女会(元時代屋の若女将・磯部深雪氏、ライターの高桐みつちよ氏、漫画家のみかめゆきよみ氏)をゲストに、現役女子大生・高藤有沙氏も加わり、歴史トークで盛り上がった。


間に牛抱せん夏氏の怪談披露を挟み、引き続き「W大学学園祭」で心霊・伝説リポートである。船橋東照宮や強清水(こわしみず)をリポートしたVTRが放映された。このVTRにはスーパーヒーローマニアの伊藤博樹氏も出演して、怖がる様子が映っている。


続いて司会を巨椋修氏にバトンタッチし、スピリチュアル・アイドルの疋田紗也氏に心霊経験をインタビューした。霊感の強い疋田氏は「裸の大将に似た幽霊」を目撃し、そのイラストも披露した。疋田氏は歌も披露した。

 

次は口裂け女ライブで、『Xマン VS 口裂け女』のテーマ曲「口裂け女のブルース」が披露された。ここでは口裂け女が登場し、演奏後には、ぬらりひょん打田もトークした。


ここから巨椋氏と疋田氏で映画『世界侵略・ロサンゼルス決戦』『ラスト・エクソシズム』のトークとプロモーションVTR上映となる。『世界侵略・ロサンゼルス決戦』はロサンゼルスを襲撃してきたエイリアンに立ち向かう海兵隊員達の死闘を描くSFアクション。『ラスト・エクソシズム』はCMがテレビ局からNGとなるほどのホラー映画である。

 

UMA/幽霊の法律相談
「山口敏太郎祭4~オカルトオタクの逆襲、武蔵野歴女会が乱入予告!!」で巨椋修氏、疋田紗也氏、林田力が「UMA/幽霊の法律相談」をトークした。「幽霊は不法侵入になるか」「宇宙人の人類拉致は犯罪か」「UMA (未確認動物Unidentified Mysterious Animal)捕獲は動物虐待になるか」などのテーマを話した。


巨椋氏が「他人の住居に侵入する幽霊は失礼ではないか」と振ると、疋田氏は「そう思う時もあるが、逆に昔から心霊スポットに居着いている幽霊からすると、そこに入ってきて驚く人間の方が失礼ではないか」と応じた。


林田は「幽霊の立場からすると、人間の方が侵入者になる例が多い。幽霊ではないが、ジブリ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』が典型」と述べた。また、犯罪としては「刑法に住居侵入罪があるが、幽霊が犯罪の主体、犯罪者になれるかが問題」と述べた。


これに対して巨椋氏は「ゾンビはどうか」と尋ねた。巨椋氏によると、最初からゾンビは生者を襲うものではなく、死体を操って働かせようとした人間が生み出したものという。林田は「ゾンビそのものよりも、ゾンビを操る、または生み出した人間に責任を追及できるのではないか」と答えた。


「操る」という点について疋田氏は「自殺者が相次ぐ居場所では、霊に操られて自殺するというようなこともあるのではないか」と述べた。林田は「私も子どもの頃に階段に壁がなく、柵しかないマンションの10階の上った時に、そのまま下に吸い込まれそうになったことがある。自殺したくて自殺した訳ではない人もいると思う」と答えた。


次に「宇宙人の人類拉致は犯罪か」である。巨椋氏は「明らかに犯罪ではないか」と振ると、林田は「被害者から見れば明らかに犯罪。但し、人間の拉致でも国家による戦争中の拉致は戦争行為として正当化する論理もある。宇宙人が地球と戦争行為をしているつもりならば、戦争行為として正当化するかもしれない」と答えた。


また、巨椋氏は「(フィクションなどに描かれた)宇宙人は何故『我々は宇宙人である』と語って、一人でも『私は宇宙人である』とは言わないのか」と質問した。林田は「宇宙人の代表として地球人と会話する意識なのではないか」と回答した。


疋田氏は宇宙人にも遭遇したことがあるという。巨椋氏から「幽霊やUMAではなく、どうして宇宙人と分かったのか」と突っ込まれたが、「直感的に認識した」と答えた。


続いて「UMA捕獲は動物虐待になるか」である。巨椋氏は「UMAは絶滅危惧種と同じであり、捕獲したら動物虐待になるのではないか」と質問したが、林田は「絶滅危惧種や天然記念物は規定されたもののみが対象となり、現状の法律はUMAに対応できていない」と答えた。

 

巨椋氏は米国マサチューセッツ州には「宇宙人から贈られたガンを撃つことは法律違反である。」という奇妙な法律を紹介した。これについて林田は「宇宙人は原文ではalienで、異邦人との意味を持つ。マサチューセッツ州では『alienが許可なく銃を所有してはならない』などalienに対する銃規制の条文が多い。それでもalienには宇宙人も含まれるため、もし宇宙人から銃を贈られた人がいて、それを発射したら、この法律で裁かれることになる」と答えた。

 

トークの最後は「人間も幽霊や宇宙人を毛嫌いせずに共生していかなければならない」とまとめた。これに対して疋田氏は「霊にも悪霊がいて、取りつかれることもある」と反論すると、巨椋氏は「適度に距離を置くことも大切」と補足した。

 

ラストは山口氏や中津川氏らによる「UFO/UMA最前線」である。未公開VTRや貴重写真を公開する。邪悪妖怪絵師・増田よしはる氏による妖怪ネクタイ即興書きも行われ、じゃんけんで選ばれた観客にプレゼントされた。

 

林田力の前世
超常現象研究家・中津川昴氏によると、林田力の前世は19世紀後半に生まれたアメリカ合衆国サウスカロナイナ州の農場主の息子という。農場は畜産が主体である。当初は稼業を手伝っていたものの、家を出て鉱業に従事する。

 

その分野では高名な人物に師事したものの、三年間は芽が出なかった。当初は金鉱一本であったものの、タングステンなど幅広く扱うことになる。晩年は鉱業から引退し、金属加工の工房に従事している。今でも刀工などの製作現場を見ると懐かしさを覚える筈である。 その前の前世はイギリスで、さらに前はロシアで暮らしていた。西へ西へと進み、現世は日本である。旅行者タイプである。

 

幽霊は不法侵入の犯罪者か
不法侵入は「正当な理由がなく、他人の土地・住居・建造物などに侵入すること」(大辞泉)である。他人の家に理由なく侵入されることは住人にとっては不法侵入だが、幽霊に現世の論理が通用させられるかは問題である。その幽霊も過去の住民だった場合など、幽霊の論理では現れることが正当な理由になるだろう。

 

刑事上は犯罪としては刑法130条の住居侵入罪がある。また、軽犯罪法第1条第1号は「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者」を罰する。

 

しかし、犯罪の主体は人間でなければならない。幽霊が人と言えるかが問題である。一般的な法律上の考え方では幽霊は人ではない。人の幽霊ならば過去に生きていた人であるが、ここでいう人には死者は含まれない。よって幽霊は犯罪の主体にはならず、幽霊が住居などに侵入しても住居侵入罪にはならない。

 

式神のように人間が操る霊が存在したとして、操る人の意思によって霊を住居などに侵入させた場合でも、人間が侵入しなければ住居侵入罪にならない。軽犯罪法第1条第11号は「相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者」との規定がある。霊が「物」と言えるかが問題である。

 

尚、軽犯罪法は「こじき」を犯罪とするなど市民感覚から乖離した法律である。

 

人類拉致の宇宙人は犯罪者か
拉致は明らかに犯罪である。しかし、国家による拉致を戦争行為として正当化する主張もある。

 

一方、犯罪の主体は人であり、宇宙人を「人」と位置付けるかが問題になる。

 

宇宙人の立場に立てば、人間が実験動物を捕まえるような感覚と同じで罪の意識はないかもしれない。

 

宇宙人が人であるとしても人でないとしても、政府機関が宇宙人の人類拉致に関わっていたならば公務員犯罪、政府の不法行為になる。

 

UMA捕獲は動物虐待になるか
UMA (Unidentified Mysterious Animal)は未確認動物であり、未確認であっても動物であるから動物虐待の対象になる。動物虐待は道徳的な概念であるため、何が虐待であるかは価値観によって変わり得る。捕獲するだけでも虐待とする立場もあれば、捕獲方法や捕獲目的によって虐待とする立場もある。また、イルカやクジラへの捕獲への国際的な反発が典型的であるが、知能の高い動物に対しては虐待を広く認める立場もある。

 

日本法では「動物の愛護及び管理に関する法律」が動物虐待を規定している。この法律は第2条で基本原則として「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」と定めている。

 

虐待について明確に定義されていないが、罰則の対象となる行為は以下の通りである。
・みだりに殺すこと
・みだりに傷つけること
・みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行うこと
・遺棄すること
但し、罰則の対象は法が定めた愛護動物に限られる(第44条)。

一  牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二  前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

このためにUMAは対象にならないが、牛のUMAや馬のUMAと位置付けられるUMAがあれば該当する。

『麒麟がくる』帰蝶(濃姫)は冤罪弁護士の川口春奈さん

NHKは2019年11月21日、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の帰蝶(濃姫)役を川口春奈さんが演じると発表しました。ピュアな濃姫になりそうです。川口さんは『イノセンス 冤罪弁護士』でヒロインを演じました。女優人気を落としかねないウザいキャラクターを熱演し、主役を引き立てました。『麒麟がくる』でも主役を引き立てる演技を期待します。

 

濃姫役は沢口エリカさんを予定していましたが、合成麻薬MDMAを所持したとして麻薬取締法違反の疑いで緊急逮捕されました。既に沢口さんで収録が開始されており、撮り直しするかが注目されていました。報道では降板を確実視し、代役女優の名前を挙げるものもありました。大河ドラマは『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』のピエール瀧さんといい、祟られ続けています。

 

私は作品と演者の作品外の行為は別との立場から業界横並びの作品お蔵入りには批判的です。むしろ、差し替えせずにテロップを出したチュートリアル徳井義実方式を評価します。しかし、作品と演者の作品外の行為は別という原則を貫くが故に薬物犯罪には逆の結論が出てきます。

 

ダウンタウンの松本人志さんはピエール瀧さんの事件に際して「薬物という作用を使ってあの素晴らしい演技をしていたら、それはある種、ドーピングです」と発言しました。常人離れした芸術的才能の発露が薬物の効果であるならば、スポーツにおけるドーピングと同じであり、お蔵入りさせることに意味があります。

 

薬物犯罪は作品と無関係な行為ではなく、作品も薬物犯罪の結果になります。この場合は撮り直しに時間とコストがかかることは言い訳にならず、是が非でも作品を葬るべきとなります。それが社会の公正さを維持することになります。

 

危険ドラッグが2014年の流行語大賞トップテンにランクインしたように依存性薬物は深刻な社会問題です。依存性薬物の危険性はどれほど指摘してもし過ぎるものではありません。ところが、危険性よりも、治療や支援、回復を重視すべきとの論調があります。その立場から沢尻エリカさんの作品お蔵入りに反対する声があります。そのような議論はドーピング論からすれば贔屓の引き倒しの逆効果になるでしょう。薬物と共にあった過去を肯定することはできません。

 

私は依存症患者への治療のアプローチを否定するつもりはありません。SDGs; Sustainable Development Goalsのターゲット3.5は以下のように防止と治療の二本柱です。「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する」(Strengthen the prevention and treatment of substance abuse, including narcotic drug abuse and harmful use of alcohol)。

 

しかし、田代まさしさんの例が示すように回復は非常に困難です。その事実から目を背けて危険性よりも回復の重視を主張することは、不利益事実に触れない無責任な言説になります。

『なつぞら』何者でもない

NHK連続テレビ小説『なつぞら』は2019年4月1日から放送を開始した。北海道で育ったヒロイン・なつ(広瀬すず)がアニメーターを目指す。連続テレビ小説の第100作目で、平成最後で令和最初のテレビ小説である。

 

アニメーターの採用を目指し、やる気を経営者に見せるために「命をかけます」との発言するが、これが裏目に出た。経営者は「命をかける必要はない」と答えた。使用者の安全配慮義務を踏まえれば当然の反応である。東急ハンズ過労死のような悲劇を避けるためには必要なことである。

 

命を懸けるという暑苦しい昭和マインドの熱血は逆に迷惑になる。実際、命をかけるという熱血アピールが採用試験に落ちた原因と推測される。昭和の熱血マインドは昭和でも通用しない。

 

2019年6月1日の放送では、何でもできる人が何者でもないと評される。器用貧乏である。何事かをなすには選択と集中、あれかこれかの選択が求められる。昭和的なゼネラリスト志向への皮肉になる。『なつぞら』は昭和を舞台としたドラマであるが、令和最初のテレビ小説だけあって、21世紀の感覚がある。

堺市長選挙とブラタモリ

堺市長選挙が2019年6月9日に投開票される。堺市は東急不動産係長脅迫電話逮捕事件の舞台となった場所である。東急不動産係長がトラブルになった堺市の顧客女性に脅迫電話を繰り返した。金銭だけとってアウトプットのないコンサルティングはトラブルになる。コミュニケーション重視を建前に無駄な会議を繰り返し、アウトプットがなければ顧客は金銭と時間の二重の損害を被る。

 

2013年9月など過去の堺市長選挙と同様、大阪都構想が大きな争点になる。私は住民に近い場所での地方分権に賛成する。合併や統合による規模の経済は20世紀の発想である。上からの視点であり、住民本位ではない。巨大な大阪市を解体する構想には魅力を覚える。一方で政令指定都市の住民にとって区は行政手続き面で馴染みのある場所である。それが統合されて遠くなるならば不便になる(林田力『東急不動産だまし売り裁判15堺市長選挙』Amazon Kindle 2013/9/3)。

 

大阪として盛り上げる要素として大阪万博の開催がある。オリンピックに万博と「高度経済成長よもう一度」の昭和懐古趣味に走るならば、私のような氷河期世代は白けるだけである。土建国家の壮大な無駄遣いを繰り返すだけだろう。

 

一方でAIやドローンなど昭和の頃に21世紀の未来社会として描いていた新技術が具体化しつつある。この時代に先端技術を提示する万博の意義は大きい。万博は万国博覧会であり、「日本凄い」をアピールすることが目的ではない。日本が世界標準から遅れている部分をキャッチアップすることにも意味がある。

 

堺市長選挙の告示日は5月26日。その前日5月25日のNHK『ブラタモリ』は堺市を訪れた。案内人は堺市押しが強かった。大阪都構想に対して堺市の独自性をアピールしたいのだろうか。番組では鉄砲鍛冶屋敷の井上関右衛門家住宅が紹介された。この屋敷は堺市に寄付されたばかりである(「堺市に寄付、井上さんに感謝状 江戸初期建築、改修し常時公開へ/大阪」毎日新聞2018年3月18日)。NHKが堺市の独自性アピールに利用された感がある。

 

林田理沙アナウンサーからは「フランシスコ・ザビエルも堺にビックリ」との名言が出た。一方でタモリさんはロケを見物した住民のアグレッシブさに対して「大阪すごい」とコメントした。外の人から見れば堺も大阪になる。このタモリさんのコメントでバランスがとれた形である。

 

番組は仁徳天皇陵から始まった。私の学生時代は本当に仁徳天皇の墓か分からないため、大山古墳と読んでいた。林田アナは巨大な墓と小さな墓の格差を気にする発言をした。歴史の素養があると身分によって墓の大きさが異なることは至極当然に感じてしまい、疑問を持たなくなる。林田アナの現代人的な平等感覚は社会派の素質がある。

『タイムスリップ』Amazonキンドル

小説や漫画、映画のタイムスリップ作品のレビュー集。
【書名】タイムスリップ/Time Slip
【著者】林田力/ハヤシダリキ/Hayashida Riki 

時が新しかったころ
青玉は光り輝く
比類なき翠玉
王家の紋章
天は赤い河のほとり
異色三国志『龍狼伝』
『龍狼伝 中原繚乱編』傀儡の皇帝も超人バトルに参画
龍狼伝 王覇立国編
シュトヘル
信長のシェフ
『信長のシェフ』ヤンキー風ヒロインが唯一残念
信長協奏曲
『信長協奏曲 3』竹中半兵衛や明智光秀が登場
『信長協奏曲 4』魅力的な歴史上の人物
『信長協奏曲』『いくさの子』ヒステリックさから解放された織田信長
本能寺ホテル
淡海乃海 水面が揺れる時
ばくだん!幕末男子
『JIN-仁-完結編』気弱そうな大沢たかおが悩める医師を熱演
『JIN-仁-完結編』第2話、我が道を行く綾瀬はるかの切なさ
『JIN-仁-完結編』第5話、クオリティ・オブ・ライフを問う医療ドラマ
『JIN-仁-完結編』第6話、等身大の坂本龍馬に迫る内野聖陽
『JIN-仁-完結編』第7話、廓言葉で花嫁を演じた中谷美紀
『JIN-仁-完結編』第8話、患者本人と向き合う医療ドラマ
『JIN-仁-完結編』第9話、熱血教師を脱却した陰のある佐藤隆太
『ジパング』架空戦記でも日米の差
僕はビートルズ
君の名は。
君の名は。 Another Side:Earthbound
Re:ゼロから始める異世界生活

『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」

NHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」が2019年3月10日に放送された。第1章「ストックホルム大会篇」が完結する。マラソンに出場した金栗四三(中村勘九郎)は日射病で倒れて棄権する。日射病による選手や観客の体調悪化は2020年の東京オリンピック・パラリンピックも他人事ではない。むしろ深刻である。単純なオリンピック盛り上げドラマではなく、問題点を抉る作品である。

 

意識を回復した金栗は住民にJapaneseではなく、日本人と言い張った。これが連絡の遅れた原因ではないか。このストックホルム五輪のマラソンでは死者も出た。三島弥彦(生田斗真)は死ななかった金栗を良かったと言う。死んだら終わりとし、棄権を前向きに描いている点は昭和とは異なる、21世紀のドラマである。

 

三島の属する天狗倶楽部は今風に言えば半グレ・ヤンキーみたいな位置づけで思われるかもしれない。しかし、三島はスウェーデンが白夜で毎晩お祭り騒ぎしているのを五月蠅いと批判する。深夜に馬鹿騒ぎするような半グレ・ヤンキーとは異なる。

 

そもそも当時の大学生は現代以上に知的エリートであった。天狗倶楽部の押川春浪は冒険小説やSF小説を書いており、現代風に言えばライトノベルのようなもので、オタク文化の担い手であった。むしろ現代の半グレ・ヤンキーとは対照的な気質である。

 

昭和的な精神論や根性論を否定する点として、嘉納治五郎による監督の仕事の評価がある。大声で気合いを入れるよりも、マニュアルの整備を評価する。

 

この回は播磨屋が金栗に加え、美濃部孝蔵(森山未來)とも接点を持つ回であった。人力車夫の清(峯田和伸)の台詞で言及されただけである。本来ならば播磨屋本人が出てくるシーンがあり、ピエール瀧の麻薬取締法違反容疑でカットされたのではないか。

『イノセンス 冤罪弁護士』最終回

『イノセンス 冤罪弁護士』最終回が2019年3月23日に放送された。冤罪を生み出す日本の刑事司法の問題を正面から掲げていたが、途中から普通のミステリー作品色が強くなった。特に最終回は真犯人のサイコ犯を追い詰める話がメインになりそうであり、本来のテーマはどうなるのかと思われた。まさか警察や検察の圧力で路線変更したのかとも思われたが、杞憂であった。


捜査機関が証拠を都合よく取捨選択し、不利な証拠を隠蔽してしまう日本の刑事司法の問題を取り上げた。証拠開示の問題は現実に日本の刑事司法制度の改革で主張されていることである。警察は自分達に不利な証拠を出そうとしない。証拠開示の強制化が必要である。


さらに新たな冤罪被害者が明らかになる。冤罪によって人生を滅茶苦茶にされた。最初から最後まで冤罪の話で一貫していた。自首するサイコな真犯人は『アンナチュラル』と重なるが、普通ではない異常者の話で終わらせない。


警察は自白や分かりやすい状況証拠に飛びつく。日本から冤罪がなくならない訳である。警察と検察の嫌らしさの現実味は『99.9-刑事専門弁護士』以上であった。冤罪 に対する警察の対応は、腐った肉を食べさせられた気分になる。


ドラマ序盤は和倉弁護士(川口春奈)がいない方が調査は捗りそうであったが、最終回は深刻な打撃である。良いストッパーになっていた。『イノセンス 冤罪弁護士』が『アンナチュラル』を連想させる要素に両方のドラマに登場した市川実日子の存在がある。有馬聡子(市川実日子)の調査能力は大きい。テレビ局に雇われているのに自由に調査できるのは恵まれている。

NGT48山口真帆さん暴行被害事件第三者委員会調査報告書に失望

株式会社AKSは2019年3月21日、NGT48山口真帆さん暴行被害事件の第三者委員会調査報告書を報告した。もともと第三者委員会は第三者性に疑問が呈されており、報告まで時間がかかった上にメンバーの関与を有耶無耶にするような内容に失望の声が出ている。

AKSは報告書公表の発表文の中で「事件そのものにNGT48のメンバーが関与した事実はなかったとの判断がなされるとともに、運営上の不備が指摘されました」と記載する。いじめ調査で「いじめは無かった」とする報告書を連想する。保身第一の無能公務員体質と変わらない。

AKS発表文の「NGT48のメンバーが関与した事実はなかったとの判断」が流通しているが、調査委員会では関与したとの事実を確認できなかったと述べているにとどまり、事実はないと断定したものではない。逆に報告書はメンバーAが山口さんがマイクロバスに乗っていると暴行者に教えたとする。

これは「被疑者らが山口氏が孤立する時間帯を知っていたこと」という暴行事件の発生条件の一つである。「マイクロバスの運行経路等から山口氏が帰宅のため当該マンションの共用廊下に現れる時刻を予測して待ち伏せ、本件事件が発生することになった」(報告書26頁)。因果関係のある行為をメンバーがしたことになる。

AKS発表文の問題は「今後の方針としては、常にメンバーと向き合い、話し合いを通じて、解決していく」と話し合いで解決するコミュニケーション至上主義に陥っていることである。この問題は山口さんが外部に告発したことが発端である。内輪の問題を外に出さないという日本社会の村社会的体質を打破し、世間に問題を広く訴えられる仕組みが解決策になる。村社会的な日本社会は告発者に厳しい。山口さんが外部に訴えたことを評価しなければ救われない。話し合いの強調は告発の抑制になりかねない。

報告書に目新しい事実はないが、興味深い分析に「新潟という活動拠点の特殊性」がある。新潟は大都市と比べて狭く、公共交通機関が限られているために移動経路の特定が容易で、住居が発覚しやすかったとする(23頁)。また、ファンの絶対数も多くなく、特定少数のファンとの触れ合いが多くなったとする(24頁)。

近年は地方の良さを強調する論調が少なくないが、村社会的な窮屈さがあることも事実である。欧州では古くから「都市の空気は自由にする」と言われていた。今回のような暴行事件は近隣コミュニティーが希薄な都市型事件と思われがちであるが、むしろ地方的な閉鎖性が背景にある。だからこそ問題を外部に告発するオープン性に価値がある。

『相棒season17』最終回「新世界より」

『相棒season17』最終回2時間スペシャル「新世界より」が2018年3月20日に放送された。『イノセンス 冤罪弁護士』は現実の冤罪事件を下敷きにしているが、「新世界より」は3月20日に起きた地下鉄サリン事件を意識させる。

警察官が身分を隠して記者に同行して情報収集する。これは違法捜査である。同行させる記者もジャーナリストの倫理に反する。杉下右京(水谷豊)は目的を達するために罪を犯すのは間違いと語るが、それは違法捜査する自分に言うべきだろう。罪を償わなければならないと言うが、違法捜査の罪を償わなくても良いのか。その謹慎のための最終回なのだろうか。捜査一課は事実上強制の任意同行を連発し過ぎである。警察不祥事になる。

伊丹憲一(川原和久)が体を張ってウイルス拡散を防止する。しかし、あり得ない個人のファインプレーでウィルス蔓延を阻止するという御都合主義的な展開ではない。ここには物語の深みがある。主要キャラクターが退場し、本当の最終回になるかと思ってしまった。

未来人を自称する人々が登場し、途中から物語の世界観が変わったように感じさせる。『ドラえもん』とコラボした影響だろうか。タイトルと同名の貴志祐介の小説『新世界より』は文明が衰退し、人口が激減した近未来の物語であった。

『いだてん』第10回「真夏の夜の夢」

NHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』第10回「真夏の夜の夢」が2019年3月10日に放送された。足袋職人を演じるピエール瀧が麻薬取締法違反(使用)容疑で逮捕されて初の放送である。受動喫煙の描写が問題視されていたが、それを吹き飛ばす問題である。

金栗四三(中村勘九郎)は国名をJapanではなく、ニッポンと表示すべきと強硬に主張する。日本の本来の呼び名は「ひのもと」である。いつから「ニッポン」と音読みになったのだろうか。NipponよりJapanの方がアルファベットが先であり、早く紹介されるメリットがある。

金栗の主張は何でもかんでも外国に合わせるものではないという守旧派に心地よい主張である。しかし、Japanと呼ばれるのが嫌ならば、日本人がイギリスやスペイン、オランダと呼ぶことも改めなければ相互主義ではない。また、中国人や韓国人の名前を日本語読みすることも改めなければならない。

三島弥彦が欝状態の時に出した手紙が3週間後に東京の三島家に届く。三島家は大騒ぎになるが、弥彦の母親は大丈夫と言う。これを息子を知っている母親の自信と見るならば誤りである。3週間の時間差があるために母親の方が結果的に正しく見るが、手紙を出した時は手紙の内容が本心であった。母親は文字が読めない設定のため、欝の手紙の深刻さが分からないだけではないか。あれを大丈夫と言うならば、弥彦は止める止める詐欺の構ってちゃんと思っていることになる。

三島弥彦は、すりきれるまで頑張らず、余力を残して棄権する。オリンピック盛り上げドラマであるが、昭和の精神論根性論やガンバリズムとは一線を画している。




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