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林田 力 『東急不動産だまし売り裁判』著者

テレビドラマのレビューなどエンタメ記事です。

『なつぞら』何者でもない

NHK連続テレビ小説『なつぞら』は2019年4月1日から放送を開始した。北海道で育ったヒロイン・なつ(広瀬すず)がアニメーターを目指す。連続テレビ小説の第100作目で、平成最後で令和最初のテレビ小説である。

 

アニメーターの採用を目指し、やる気を経営者に見せるために「命をかけます」との発言するが、これが裏目に出た。経営者は「命をかける必要はない」と答えた。使用者の安全配慮義務を踏まえれば当然の反応である。東急ハンズ過労死のような悲劇を避けるためには必要なことである。

 

命を懸けるという暑苦しい昭和マインドの熱血は逆に迷惑になる。実際、命をかけるという熱血アピールが採用試験に落ちた原因と推測される。昭和の熱血マインドは昭和でも通用しない。

 

2019年6月1日の放送では、何でもできる人が何者でもないと評される。器用貧乏である。何事かをなすには選択と集中、あれかこれかの選択が求められる。昭和的なゼネラリスト志向への皮肉になる。『なつぞら』は昭和を舞台としたドラマであるが、令和最初のテレビ小説だけあって、21世紀の感覚がある。

堺市長選挙とブラタモリ

堺市長選挙が2019年6月9日に投開票される。堺市は東急不動産係長脅迫電話逮捕事件の舞台となった場所である。東急不動産係長がトラブルになった堺市の顧客女性に脅迫電話を繰り返した。金銭だけとってアウトプットのないコンサルティングはトラブルになる。コミュニケーション重視を建前に無駄な会議を繰り返し、アウトプットがなければ顧客は金銭と時間の二重の損害を被る。

 

2013年9月など過去の堺市長選挙と同様、大阪都構想が大きな争点になる。私は住民に近い場所での地方分権に賛成する。合併や統合による規模の経済は20世紀の発想である。上からの視点であり、住民本位ではない。巨大な大阪市を解体する構想には魅力を覚える。一方で政令指定都市の住民にとって区は行政手続き面で馴染みのある場所である。それが統合されて遠くなるならば不便になる(林田力『東急不動産だまし売り裁判15堺市長選挙』Amazon Kindle 2013/9/3)。

 

大阪として盛り上げる要素として大阪万博の開催がある。オリンピックに万博と「高度経済成長よもう一度」の昭和懐古趣味に走るならば、私のような氷河期世代は白けるだけである。土建国家の壮大な無駄遣いを繰り返すだけだろう。

 

一方でAIやドローンなど昭和の頃に21世紀の未来社会として描いていた新技術が具体化しつつある。この時代に先端技術を提示する万博の意義は大きい。万博は万国博覧会であり、「日本凄い」をアピールすることが目的ではない。日本が世界標準から遅れている部分をキャッチアップすることにも意味がある。

 

堺市長選挙の告示日は5月26日。その前日5月25日のNHK『ブラタモリ』は堺市を訪れた。案内人は堺市押しが強かった。大阪都構想に対して堺市の独自性をアピールしたいのだろうか。番組では鉄砲鍛冶屋敷の井上関右衛門家住宅が紹介された。この屋敷は堺市に寄付されたばかりである(「堺市に寄付、井上さんに感謝状 江戸初期建築、改修し常時公開へ/大阪」毎日新聞2018年3月18日)。NHKが堺市の独自性アピールに利用された感がある。

 

林田理沙アナウンサーからは「フランシスコ・ザビエルも堺にビックリ」との名言が出た。一方でタモリさんはロケを見物した住民のアグレッシブさに対して「大阪すごい」とコメントした。外の人から見れば堺も大阪になる。このタモリさんのコメントでバランスがとれた形である。

 

番組は仁徳天皇陵から始まった。私の学生時代は本当に仁徳天皇の墓か分からないため、大山古墳と読んでいた。林田アナは巨大な墓と小さな墓の格差を気にする発言をした。歴史の素養があると身分によって墓の大きさが異なることは至極当然に感じてしまい、疑問を持たなくなる。林田アナの現代人的な平等感覚は社会派の素質がある。

『タイムスリップ』Amazonキンドル

小説や漫画、映画のタイムスリップ作品のレビュー集。
【書名】タイムスリップ/Time Slip
【著者】林田力/ハヤシダリキ/Hayashida Riki 

時が新しかったころ
青玉は光り輝く
比類なき翠玉
王家の紋章
天は赤い河のほとり
異色三国志『龍狼伝』
『龍狼伝 中原繚乱編』傀儡の皇帝も超人バトルに参画
龍狼伝 王覇立国編
シュトヘル
信長のシェフ
『信長のシェフ』ヤンキー風ヒロインが唯一残念
信長協奏曲
『信長協奏曲 3』竹中半兵衛や明智光秀が登場
『信長協奏曲 4』魅力的な歴史上の人物
『信長協奏曲』『いくさの子』ヒステリックさから解放された織田信長
本能寺ホテル
淡海乃海 水面が揺れる時
ばくだん!幕末男子
『JIN-仁-完結編』気弱そうな大沢たかおが悩める医師を熱演
『JIN-仁-完結編』第2話、我が道を行く綾瀬はるかの切なさ
『JIN-仁-完結編』第5話、クオリティ・オブ・ライフを問う医療ドラマ
『JIN-仁-完結編』第6話、等身大の坂本龍馬に迫る内野聖陽
『JIN-仁-完結編』第7話、廓言葉で花嫁を演じた中谷美紀
『JIN-仁-完結編』第8話、患者本人と向き合う医療ドラマ
『JIN-仁-完結編』第9話、熱血教師を脱却した陰のある佐藤隆太
『ジパング』架空戦記でも日米の差
僕はビートルズ
君の名は。
君の名は。 Another Side:Earthbound
Re:ゼロから始める異世界生活

『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」

NHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』第13回「復活」が2019年3月10日に放送された。第1章「ストックホルム大会篇」が完結する。マラソンに出場した金栗四三(中村勘九郎)は日射病で倒れて棄権する。日射病による選手や観客の体調悪化は2020年の東京オリンピック・パラリンピックも他人事ではない。むしろ深刻である。単純なオリンピック盛り上げドラマではなく、問題点を抉る作品である。

 

意識を回復した金栗は住民にJapaneseではなく、日本人と言い張った。これが連絡の遅れた原因ではないか。このストックホルム五輪のマラソンでは死者も出た。三島弥彦(生田斗真)は死ななかった金栗を良かったと言う。死んだら終わりとし、棄権を前向きに描いている点は昭和とは異なる、21世紀のドラマである。

 

三島の属する天狗倶楽部は今風に言えば半グレ・ヤンキーみたいな位置づけで思われるかもしれない。しかし、三島はスウェーデンが白夜で毎晩お祭り騒ぎしているのを五月蠅いと批判する。深夜に馬鹿騒ぎするような半グレ・ヤンキーとは異なる。

 

そもそも当時の大学生は現代以上に知的エリートであった。天狗倶楽部の押川春浪は冒険小説やSF小説を書いており、現代風に言えばライトノベルのようなもので、オタク文化の担い手であった。むしろ現代の半グレ・ヤンキーとは対照的な気質である。

 

昭和的な精神論や根性論を否定する点として、嘉納治五郎による監督の仕事の評価がある。大声で気合いを入れるよりも、マニュアルの整備を評価する。

 

この回は播磨屋が金栗に加え、美濃部孝蔵(森山未來)とも接点を持つ回であった。人力車夫の清(峯田和伸)の台詞で言及されただけである。本来ならば播磨屋本人が出てくるシーンがあり、ピエール瀧の麻薬取締法違反容疑でカットされたのではないか。

『イノセンス 冤罪弁護士』最終回

『イノセンス 冤罪弁護士』最終回が2019年3月23日に放送された。冤罪を生み出す日本の刑事司法の問題を正面から掲げていたが、途中から普通のミステリー作品色が強くなった。特に最終回は真犯人のサイコ犯を追い詰める話がメインになりそうであり、本来のテーマはどうなるのかと思われた。まさか警察や検察の圧力で路線変更したのかとも思われたが、杞憂であった。


捜査機関が証拠を都合よく取捨選択し、不利な証拠を隠蔽してしまう日本の刑事司法の問題を取り上げた。証拠開示の問題は現実に日本の刑事司法制度の改革で主張されていることである。警察は自分達に不利な証拠を出そうとしない。証拠開示の強制化が必要である。


さらに新たな冤罪被害者が明らかになる。冤罪によって人生を滅茶苦茶にされた。最初から最後まで冤罪の話で一貫していた。自首するサイコな真犯人は『アンナチュラル』と重なるが、普通ではない異常者の話で終わらせない。


警察は自白や分かりやすい状況証拠に飛びつく。日本から冤罪がなくならない訳である。警察と検察の嫌らしさの現実味は『99.9-刑事専門弁護士』以上であった。冤罪 に対する警察の対応は、腐った肉を食べさせられた気分になる。


ドラマ序盤は和倉弁護士(川口春奈)がいない方が調査は捗りそうであったが、最終回は深刻な打撃である。良いストッパーになっていた。『イノセンス 冤罪弁護士』が『アンナチュラル』を連想させる要素に両方のドラマに登場した市川実日子の存在がある。有馬聡子(市川実日子)の調査能力は大きい。テレビ局に雇われているのに自由に調査できるのは恵まれている。

NGT48山口真帆さん暴行被害事件第三者委員会調査報告書に失望

株式会社AKSは2019年3月21日、NGT48山口真帆さん暴行被害事件の第三者委員会調査報告書を報告した。もともと第三者委員会は第三者性に疑問が呈されており、報告まで時間がかかった上にメンバーの関与を有耶無耶にするような内容に失望の声が出ている。

AKSは報告書公表の発表文の中で「事件そのものにNGT48のメンバーが関与した事実はなかったとの判断がなされるとともに、運営上の不備が指摘されました」と記載する。いじめ調査で「いじめは無かった」とする報告書を連想する。保身第一の無能公務員体質と変わらない。

AKS発表文の「NGT48のメンバーが関与した事実はなかったとの判断」が流通しているが、調査委員会では関与したとの事実を確認できなかったと述べているにとどまり、事実はないと断定したものではない。逆に報告書はメンバーAが山口さんがマイクロバスに乗っていると暴行者に教えたとする。

これは「被疑者らが山口氏が孤立する時間帯を知っていたこと」という暴行事件の発生条件の一つである。「マイクロバスの運行経路等から山口氏が帰宅のため当該マンションの共用廊下に現れる時刻を予測して待ち伏せ、本件事件が発生することになった」(報告書26頁)。因果関係のある行為をメンバーがしたことになる。

AKS発表文の問題は「今後の方針としては、常にメンバーと向き合い、話し合いを通じて、解決していく」と話し合いで解決するコミュニケーション至上主義に陥っていることである。この問題は山口さんが外部に告発したことが発端である。内輪の問題を外に出さないという日本社会の村社会的体質を打破し、世間に問題を広く訴えられる仕組みが解決策になる。村社会的な日本社会は告発者に厳しい。山口さんが外部に訴えたことを評価しなければ救われない。話し合いの強調は告発の抑制になりかねない。

報告書に目新しい事実はないが、興味深い分析に「新潟という活動拠点の特殊性」がある。新潟は大都市と比べて狭く、公共交通機関が限られているために移動経路の特定が容易で、住居が発覚しやすかったとする(23頁)。また、ファンの絶対数も多くなく、特定少数のファンとの触れ合いが多くなったとする(24頁)。

近年は地方の良さを強調する論調が少なくないが、村社会的な窮屈さがあることも事実である。欧州では古くから「都市の空気は自由にする」と言われていた。今回のような暴行事件は近隣コミュニティーが希薄な都市型事件と思われがちであるが、むしろ地方的な閉鎖性が背景にある。だからこそ問題を外部に告発するオープン性に価値がある。

『相棒season17』最終回「新世界より」

『相棒season17』最終回2時間スペシャル「新世界より」が2018年3月20日に放送された。『イノセンス 冤罪弁護士』は現実の冤罪事件を下敷きにしているが、「新世界より」は3月20日に起きた地下鉄サリン事件を意識させる。

警察官が身分を隠して記者に同行して情報収集する。これは違法捜査である。同行させる記者もジャーナリストの倫理に反する。杉下右京(水谷豊)は目的を達するために罪を犯すのは間違いと語るが、それは違法捜査する自分に言うべきだろう。罪を償わなければならないと言うが、違法捜査の罪を償わなくても良いのか。その謹慎のための最終回なのだろうか。捜査一課は事実上強制の任意同行を連発し過ぎである。警察不祥事になる。

伊丹憲一(川原和久)が体を張ってウイルス拡散を防止する。しかし、あり得ない個人のファインプレーでウィルス蔓延を阻止するという御都合主義的な展開ではない。ここには物語の深みがある。主要キャラクターが退場し、本当の最終回になるかと思ってしまった。

未来人を自称する人々が登場し、途中から物語の世界観が変わったように感じさせる。『ドラえもん』とコラボした影響だろうか。タイトルと同名の貴志祐介の小説『新世界より』は文明が衰退し、人口が激減した近未来の物語であった。

『いだてん』第10回「真夏の夜の夢」

NHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』第10回「真夏の夜の夢」が2019年3月10日に放送された。足袋職人を演じるピエール瀧が麻薬取締法違反(使用)容疑で逮捕されて初の放送である。受動喫煙の描写が問題視されていたが、それを吹き飛ばす問題である。

金栗四三(中村勘九郎)は国名をJapanではなく、ニッポンと表示すべきと強硬に主張する。日本の本来の呼び名は「ひのもと」である。いつから「ニッポン」と音読みになったのだろうか。NipponよりJapanの方がアルファベットが先であり、早く紹介されるメリットがある。

金栗の主張は何でもかんでも外国に合わせるものではないという守旧派に心地よい主張である。しかし、Japanと呼ばれるのが嫌ならば、日本人がイギリスやスペイン、オランダと呼ぶことも改めなければ相互主義ではない。また、中国人や韓国人の名前を日本語読みすることも改めなければならない。

三島弥彦が欝状態の時に出した手紙が3週間後に東京の三島家に届く。三島家は大騒ぎになるが、弥彦の母親は大丈夫と言う。これを息子を知っている母親の自信と見るならば誤りである。3週間の時間差があるために母親の方が結果的に正しく見るが、手紙を出した時は手紙の内容が本心であった。母親は文字が読めない設定のため、欝の手紙の深刻さが分からないだけではないか。あれを大丈夫と言うならば、弥彦は止める止める詐欺の構ってちゃんと思っていることになる。

三島弥彦は、すりきれるまで頑張らず、余力を残して棄権する。オリンピック盛り上げドラマであるが、昭和の精神論根性論やガンバリズムとは一線を画している。

『イノセンス 冤罪弁護士』第9話

『イノセンス 冤罪弁護士』第9話(2019年3月16日)は最終章に入る。連続殺人の謎が最終章のテーマになる点では『アンナチュラル』を連想する。当初は冤罪被害者の苦しみに重点を置くかと思われたが、終盤は被害者遺族の心情に傾いている。

『99.9-刑事専門弁護士』は警察、検察、裁判所と敵が明確であった。これに対して本作品は、それ以外の足を引っ張る要素があることが話を複雑にしている。よりリアルになっていると評価することもできるが、見込み捜査、自白強要、人質司法の問題が曖昧になるのではないか。本作品は東京高裁でロケをしている。撮影協力の裁判所への遠慮が出たのだろうか。因みに保駿堂法律事務所は東京都中央区日本橋兜町の日証館である。

秋保恭一郎(藤木直人)は「真相より目の前の答えが欲しくなる」と感情的に言ってしまう。発言後に科学者失格と自省する。これは第8話の名張毒ぶどう酒事件を下敷きにした事件のように冤罪をそのままにする日本の風潮を作っている。

黒川弁護士は「本当に無実ならば自殺しない」と発言する。これは第8話で拘禁反応を指摘した黒川弁護士らしくない。無実なのに有罪とされたら絶望して自殺したくなるだろう。自殺は本人が決意して行うよりも、追い込まれるものである。

和倉弁護士の存在感は大きくなった。序盤ではウザいと視聴者からバッシングされた和倉弁護士が黒川弁護士を励ますようになった。川口春奈は和倉弁護士を演じることで女優としての人気を下げかねない事態であったが、この回で株が上がった。とは言え、自白強要という社会的テーマを掲げながら、人間ドラマが進展するだけでは物足りない。

母親が法律事務所に訪れるシーンは無駄なコメディに感じた。大きなテーマを抱えているのに無駄なコメディに割く時間があるのかと感じたが、母親から11年前の事件を説明させる意味があった。

ドラえもん のび太の月面探査記

『ドラえもん のび太の月面探査記』は2019年3月1日公開のアニメ映画。ドラえもん映画では太古と宇宙、海洋が定番である。月は宇宙の中で身近な天体であるが、意外と珍しい。

一方で過去の作品でも月は重要な役回りになっている。『のび太の魔界大冒険』では月の光を浴びると魔法が解けた。ドラえもん達が魔界星に向かう際には、月のウサギが見送った。『のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』では魔界星の赤い月が重要な役回りを果たす。『のび太とアニマル惑星』でも動物の星の月が重要な役回りを果たす。ここではラッキーになる「ツキの月」という秘密道具も登場する。

日本マクドナルドはハッピーセットの玩具でドラえもん映画とコラボする。ハッピーセットとドラえもん映画のコラボは毎年の春の恒例である。ドリンク以外のハッピーセットの映画のイメージの箱に入っている。ハッピーセットにはドラえもんの玩具が付く。以前は購入時に玩具を指定できたのですが、途中から何が出るかお楽しみのガチャガチャ方式になった。

「ふってたのしい!ドラえもん ききゅう」はドラえもんの顔が気球になっている。振ると中から籠が出てくる。籠にはドラえもん、のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫が乗っている。

「ドラえもんとひみつどうぐシール」はドラえもんが白い宇宙服を着ている。後頭部の歯車を回すと、秘密道具や映画のキャラクターのシールが出てくる。




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