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北海道警巡査が大麻取締法違反容疑で書類送検

北海道警察の札幌方面の警察署に所属する20代の男性巡査が2020年10月に北海道内で大麻を譲り受けたなどとして大麻取締法違反容疑がある。巡査は書類送検され、2020年11月13日に懲戒免職になった。ところが、札幌地検岩見沢支部は12月21日、男性を不起訴処分とした。札幌地検は不起訴の理由を明らかにしていない(「大麻譲り受けた疑い”北海道警元巡査の男性”不起訴処分…札幌地検 巡査すでに懲戒免職」UHB 2020年12月22日)。

 

大麻は知人男性から譲り受けたとみられていて、「警察官になる前から吸っていた」と話す(「「警察官になる前から吸っていた」20代男性巡査 “大麻譲り受けた”として書類送検…北海道警が懲戒免職」北海道ニュースUHB 2020年11月13日)。「大麻常習者が警察の試験をパスし、実際に警察署で勤務していたとは驚きだ」(「20代巡査、大麻を譲り受けたとして書類送検「警察官になる前から吸っていた」発言に驚愕」リアルライブ2020年11月23日)

 

道警では21世紀に入ってから依存性薬物に関する懲戒処分は今回を含め5件になる(「大麻譲り受けた警察官 懲戒免職」NHK 2020年11月13日)。北海道警察では現職の警察官が4回も薬物事件で逮捕されている。

 

生活安全特別捜査隊班長の稲葉圭昭警部(当時40代)は2002年に覚せい剤取締法違反で逮捕された。

 

札幌中央署地域課の30代巡査部長は2007年に覚せい剤取締法違反で逮捕された。

 

函館西署警備課の30代の巡査部長は大麻とみられる薬物を譲り受けたとして2017年に麻薬特例法違反で逮捕された(「薬物逮捕の現職警官は北海道警4人目 なぜ? 元幹部が分析…46歳巡査部長覚せい剤所持で逮捕」北海道ニュースUHB 2018年10月11日)。

 

道警札幌中央署薬物銃器対策課の巡査部長は2018年10月10日に覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕された。

 

依存性薬物の使用は薬物関係者との付き合いから始まる。大阪府警や山形県警でも現職警察官の薬物犯罪が起きている。大阪府警堺署巡査も山形県警巡査も知人から大麻を勧められたことが大麻使用のきっかけになった。山形県警巡査は「親しくしていた友人グループからしつこく誘われ、断れなかった」と話す(「元警察官の男 大麻使用を認める 「友人からしつこく誘われ、断れなかった」 山形市」さくらんぼテレビ2020年10月7日)。

 

薬物関係者と接点を持つと不幸になる。薬物関係者と接点を持たないことが必要である。薬物関係者が会いたいと言ってきても会ってはならない。薬物関係者には人を巻き込もうとする性質がある。薬物使用を知られると、警察や厚労省など当局に通報され、捕まることを恐れて、自分が薬物をしていることを知った人間を共犯者にして通報できなくしてしまおうとする心理が働く。

 

故に絶対に避けなければならないことは、身近に薬物を使用している人間がいることを知った場合に、友情や同情心から自分達仲間内だけで何とか救おう、依存性薬物から足を洗わせようとすることという。それで逆に何人も引きずり込まれてしまった事例がある。薬物からの更正は専門機関でなければ困難である。薬物関係者という悪魔に、つけ込む隙を断じて与えてはならない。

 

大麻は「「身体への悪影響がない」「依存性がない」などの誤った情報が流布されていて、心理的にハードルが低いせいか、さまざまな違法薬物使用の“入り口”となる「ゲートウェイ・ドラッグ」とも呼ばれるが、実際は危険性が高い。乱用すれば幻覚作用で集中力がなくなったり、情緒が不安定になったりする。何もやる気がしない状態(無動機症候群)が引き起こされ、社会生活に適応できなくなることもあるという」(「覚醒剤、大麻、MDMA…違法薬物、それぞれの恐ろしさを確認する」産経新聞2020年2月11日)

 

「大麻の長期使用者では、学業成績が低い者が多く計算能力や言語の表現能力に問題がみられる。またその他の薬物の乱用者が多く、仕事の能力が低く失業者が多い」(徳村光昭「大麻の健康障害に関するエビデンス」慶應保健研究第27巻第1号4頁)

 

近畿大薬学部の川畑篤史教授(病態薬理学)は「脳に作用するメカニズムは覚醒剤とほぼ同じ。過剰摂取で幻覚や幻聴の症状も出るし、大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」と指摘する(「幻覚・幻聴…覚醒剤と危険性同じ 「大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」専門家警鐘」産経新聞2016年3月16日)。

 

米オハイオ州の死亡証明書データと紐付けたメディケイド保険請求データを利用した研究では大麻使用障害は非致命的自傷と全死因死亡との有意な関連が認められた。全死因死亡には偶発的過量服用による死亡や殺人による死亡が含まれる(Fontanella CA, et al. Association of Cannabis Use With Self-harm and Mortality Risk Among Youths With Mood Disorders. JAMA Pediatr. 2021 Jan 19.)。

 

大麻の煙には高濃度の発がん性物質が含まれており、大麻使用者は呼吸器疾患のリスクが上がる。また、大麻の慢性使用は他の精神疾患の発症や悪化の要因になる可能性がある。

 

うつ病にかかっている35歳未満の人の中で、10代の時に大麻(マリファナ)を摂取してなければうつ病が防げたかもしれないケースが英国で6万件、米国では40万件に達する可能性がある(松丸さとみ「思春期に大麻を摂取してなければうつ病が防げたかも 米国で40万件」Newsweek日本版2019年2月20日)。

 

薬物乱用は暴力の原因になる。「因果関係が明白な事例は多い。(14年にオーストラリアで)マリフアナで被害妄想を起こしたと思われる人物が、8人の子供を殺害する事件も起きている」(ニーナ・ゴドルスキー「マリフアナ合法化で暴力犯罪は増え続ける」Newsweek日本版2019年2月19日)

埼玉県警の警察官が覚醒剤を自宅で所持

埼玉県警東入間警察署地域課の課長代理の男性警部(60)は証拠品の覚醒剤などを自宅で所持していたとして、2021年4月9日に覚醒剤取締法違反(所持)などの容疑で書類送検された。3月17日に覚醒剤およそ0.15グラムなどを自宅で所持していた容疑がある。

 

警部の自宅や自家用車の中から捜査書類約2400点と粉末入りビニール袋3点などが見つかった。粉末は鑑定で覚醒剤と麻薬ケタミンと判明(成澤隼人「警部が捜査書類や覚醒剤を自宅に保管 停職した日に定年退職 埼玉」毎日新聞2021年4月9日)。ケタミンはアリルシクロヘキシルアミン系の解離性麻酔薬である。

 

覚醒剤は熊谷署生活安全課に勤務していた2003年から事件捜査で提出を受けたもの。鑑定する必要があったが怠っていたという。元警部は事件の処理をせず、自宅に持ち帰っていた。調べに対し「捜査や書類の廃棄が面倒だった」と説明している(「埼玉県警の警察官 証拠品の覚醒剤などを自宅で所持 書類送検」NHK 2021年4月9日)。公務員の言い訳は言い訳として成立していない。警察官による押収品の依存性薬物の横流しも疑われる。

 

問題発覚経緯も杜撰である。元警部が2021年3月に同僚に預けた紙袋に捜査書類が入っていたことから発覚した(山田暢史「証拠品の覚醒剤持ち帰る、警部を処分 「処理が面倒」」朝日新聞2021年4月9日)。

 

埼玉県警は3月31日付けで停職6か月の懲戒処分にした。3月末に定年退職する人物を3月31日付で停職6か月にしても、あまり意味がない。身内に甘い処分である。埼玉県警では巡査が2019年に覚醒剤を使う仲間を募る書き込みをして問題になった(「埼玉県警の巡査 覚醒剤使う仲間募る書き込み 書類送検へ」NHK 2019年7月2日)。

 

「事件捜査で提出受けた覚醒剤を自宅に所持 男性警部を停職6か月」TBS 2021年4月9日

「埼玉県警警部 証拠品の覚醒剤を自宅に保管」日本テレビ2021年4月9日

 

埼玉県警は証拠品管理がずさんである。熊谷警察署は熊谷小4死亡ひき逃げ事件の遺品の腕時計を紛失した。しかも、事件を担当した交通捜査課の男性警部補が証拠品紛失の隠蔽工作をしたと問われている。覚醒剤所持の警部も覚醒剤は熊谷警察署勤務時の証拠品である。熊谷警察署には杜撰な管理の伝統があるのか。

 

覚醒剤所持の警部も熊谷小4死亡ひき逃げ事件の遺品紛失の警部補も、その後に定年退職した。遺品紛失の警部補が公文書毀棄罪で起訴された時の報道では「上尾市、会社員」となっている。退職金を受領した上に会社員ということは再就職の斡旋がなされたのだろうか。盗人猛々しい。

 

警部補は紛失を隠蔽するため、腕時計の記載があった押収品目録交付書を遺族の母親から回収して破棄し、「腕時計」の記載を削除して改めて渡したという(「証拠品紛失を隠ぺい?遺族からリスト回収し破棄か」テレビ朝日2019年2月17日)。

 

母親の代理人弁護士は「腕時計をなくしたことを隠すために文書を回収して破棄し、新たに虚偽の文書を作ったのではないか」と指摘。虚偽公文書作成の疑いがあると主張した(「紛失遺品記載文書を破棄疑い 埼玉県警、元警官を書類送検へ」東京新聞2019年2月17日)。

 

母親の代里子さんは、「事件の捜査もいい加減だったのではないかと不安になっています。警察には本当のことを話していただいた上で、全力で犯人逮捕に向けて動いてもらいたいです」とコメントしている(「埼玉県警 証拠品の10歳男児“遺品”紛失」日本テレビ2019年2月17日)。

 

元警部補(61)は2019年9月27日、虚偽有印公文書作成・同行使と公用文書毀棄容疑で書類送検された。元警部補は「腕時計を遺族に返したように装うためだった」と述べた一方で供述が変遷している(「元警部補を書類送検 小4ひき逃げ 証拠紛失隠ぺい 埼玉県警」東京新聞2019年9月28日)。権威を守るために嘘を重ねていけば、色々なことのつじつまが合わなくなり、国家は破滅的な状況に陥る。

 

県警は同日までに、証拠品管理に不手際があったなどとし、熊谷署の元交通課長代理や元警部補の上司ら5人を訓戒や所属長注意とした(「元警部補を書類送検=遺品紛失を隠ぺい疑い-埼玉県警」時事通信2019年9月27日)。

 

さいたま地検は2020年7月17日付で警部補(62)を公文書毀棄の罪でさいたま地裁に在宅起訴した。起訴状では元警部補は腕時計の紛失していたことを隠すため、2015年9月に母親から回収した押収品のリストをシュレッダーで裁断し、破棄したとする(「熊谷ひき逃げ事件 元警部補を公用文書毀棄の罪で起訴」テレビ埼玉2020年7月20日)。裁断した書類は証拠品に関する書類計2通(中川友希「証拠品紛失隠すため文書廃棄 埼玉県警元警部補を在宅起訴 小4ひき逃げ死亡」毎日新聞2020年7月20日)。

 

しかし、虚偽有印公文書作成・同行使容疑は17日付で不起訴処分とした。地検は裁定主文や処分理由を明らかにしていない(「元警部補を在宅起訴 熊谷小4死亡ひき逃げで遺品紛失、捜査書類を破棄」埼玉新聞2020年7月20日)。

 

埼玉県の警察や検察の身内に甘い処分が繰り返された。埼玉県警機動隊では2012年に佐々木俊一巡査(享年26)が朝霞市の機動隊のプールで何度も沈められて溺死した事件が起きた。これも集団リンチ殺人と形容できるが、起訴は業務上過失致死罪に過ぎなかった。

 

さいたま地裁(任介辰哉裁判官)で2020年12月16日に初公判が開かれた。元警部補は「腕時計を紛失したという認識はなく、発覚を免れようとした覚えもない。公文書という認識もなく、書類を破棄した覚えもない」と起訴内容を全面的に否認した。裁判を傍聴した母親は以下のように話す。

 

「した行為すらも全否定だったので、犯人も見つかってませんし、腕時計も見つかっていないので、ずさんさが目に見えているように感じました」(「県警元警部補 証拠品書類破棄の罪 否認/埼玉県」テレビ埼玉2020年12月16日)。

 

「法廷での発言を聞いていると、証拠品の保管態勢だけでなく、『本当にひき逃げの犯人を逮捕する気があったのか』と当時の捜査態勢にまで疑問を感じてしまう。男には真実を話してほしい」(「<熊谷小4ひき逃げ>母親がくぜん…息子の腕時計紛失で公文書破棄、元警部補が否認「犯人ではない」/地裁」埼玉新聞2020年12月17日)

 

腕時計には犯人につながる重大な手がかりがあったのではないか。犯人を庇うための証拠隠滅ではないか。それとも無能公務員体質によるものか。無能公務員は目の前の問題を片づけることしか考えられない。解決できない事件に直面すると、証拠品を始末して事件を潰す。

 

紛失を隠蔽した点で悪質である。腕時計は母親からの十歳の誕生日プレゼントだった。事件当時も身に着けており、母親が事件直後に署に任意提出していた。子どもの大切なものをきちんと管理せずになくし、紛失をなかったことにしようとした。自己の責任逃れしか考えない公務員体質である。腕時計は遺族にとっては形見である。公務員感覚は民間感覚と乖離している。民間企業と異なり、税金が収入源のためにモラルハザードが起きている。

 

埼玉県警では草加署刑事課巡査が遺族から金を騙し取る事件が起きた。警察の要求には一々合理的な目的を確認する必要がある。被害者や遺族にも警察対応で弁護士が必要になるのではないか。事件や事故が発生した場合は最初に警察内部の犯行かを捜査する。外部への捜査は、その後である。

 

福島県警若松警察署でも証拠品がゴミ箱に廃棄された。会津若松警察署に勤務する53歳の男性警部補と38歳の男性巡査長に2020年3月に福島県会津若松市で発生した当て逃げ事件をめぐり、現場で押収したバンパーなどの証拠品を警察署内のゴミ箱に捨て証拠を隠滅した疑いがある。男性警部補が男性巡査長に指示してゴミ袋に捨てさせたという。

 

「その理由は警察官として考えられないものだった」(「「捜査をするのが面倒だった」事件証拠品を捨てた警察官を書類送検<福島県・会津若松警察署>」福島テレビ2020年6月26日)。男性警部補は「捜査するのは面倒だった」と話す。検察は2020年7月21日、会津若松簡易裁判所に略式命令を請求した。

 

警察は6月に男性警部補を戒告処分、男性巡査長を本部長注意とした(「警察官2人を略式起訴 「捜査するのが面倒」事件の証拠品を勝手に捨て書類送検 <福島県>」福島テレビ2020年7月22日)。証拠隠滅に対する処分が甘い。懲戒免職が当然だろう。これでは、いくらでも証拠隠滅が続くだろう。

 

埼玉県警でも証拠品の紛失が起き、警部補が隠蔽工作をした。埼玉県警の警部補は定年退職してしまったが、福島県警程度の調べをすれば、同じような動機が明らかになったかもしれない。

続警察不祥事

 

危険ドラッグなど薬物乱用禁止

危険ドラッグなど依存性薬物の恐ろしさは人格を崩壊させることである。依存性薬物の使用自体が個人の尊厳の破壊になる。依存性薬物の使用は集中力の欠如や情緒不安定をもたらす。幻覚、幻聴、妄想などの症状が起こる。無気力状態に陥る。知的機能が低下してものを考えられなくなる。複雑な会話ができなくなる。書く文章が平仮名ばかりになる。簡単な計算を間違えてしまう。

 

大麻は「「身体への悪影響がない」「依存性がない」などの誤った情報が流布されていて、心理的にハードルが低いせいか、さまざまな違法薬物使用の“入り口”となる「ゲートウェイ・ドラッグ」とも呼ばれるが、実際は危険性が高い。乱用すれば幻覚作用で集中力がなくなったり、情緒が不安定になったりする。何もやる気がしない状態(無動機症候群)が引き起こされ、社会生活に適応できなくなることもあるという」(「覚醒剤、大麻、MDMA…違法薬物、それぞれの恐ろしさを確認する」産経新聞2020年2月11日)

 

「大麻の長期使用者では、学業成績が低い者が多く計算能力や言語の表現能力に問題がみられる。またその他の薬物の乱用者が多く、仕事の能力が低く失業者が多い」(徳村光昭「大麻の健康障害に関するエビデンス」慶應保健研究第27巻第1号4頁)

 

近畿大薬学部の川畑篤史教授(病態薬理学)は「脳に作用するメカニズムは覚醒剤とほぼ同じ。過剰摂取で幻覚や幻聴の症状も出るし、大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」と指摘する(「幻覚・幻聴…覚醒剤と危険性同じ 「大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」専門家警鐘」産経新聞2016年3月16日)。

 

米オハイオ州の死亡証明書データと紐付けたメディケイド保険請求データを利用した研究では大麻使用障害は非致命的自傷と全死因死亡との有意な関連が認められた。全死因死亡には偶発的過量服用による死亡や殺人による死亡が含まれる(Fontanella CA, et al. Association of Cannabis Use With Self-harm and Mortality Risk Among Youths With Mood Disorders. JAMA Pediatr. 2021 Jan 19.)。

 

大麻の煙には高濃度の発がん性物質が含まれており、大麻使用者は呼吸器疾患のリスクが上がる。また、大麻の慢性使用は他の精神疾患の発症や悪化の要因になる可能性がある。

 

薬物乱用による自傷行為や犯罪、事故が後を絶たない。危険ドラッグ使用者の暴走運転は大きな社会問題になった。薬物乱用は痛みや恐怖を感じさせなくなるため、自傷行為も他人を傷つけることも行いやすくなる。依存性薬物は暴力団や半グレなど反社会的勢力の資金源になる。依存性薬物を利用した犯罪も行われる。

 

特定の依存性薬物は依存性などの害が少ないから問題ないとの主張は欺瞞である。強姦は駄目であるが、強制わいせつは良いとの主張と変わらない。普通は覚醒剤も麻薬も危険ドラッグもダメ、ゼッタイとなる。依存性薬物の隠れ売人は依存性薬物の宣伝あからさまにして恥もひったくれもないのか。依存性薬物を害が少ないとするデマから、正気を取り戻せたら良いのに。

 

それは危険ドラッグ売人と同じ手口である。危険ドラッグという言葉は後からできたものである。売人は合法ドラッグ、合法ハーブ、脱法ドラッグ、脱法ハーブと称して販売し、問題を少ないように見せかけていた。危険ドラッグ売人は法規制された依存性薬物とは化学式が異なるということで依存性薬物を脱法ドラッグ、脱法ハーブと称して販売していた。

 

お金もない、仕事もない状況だから他人を害して強盗殺人をしても良いということにならないことと同じく、お金もない、仕事もない状況だから依存性薬物の売人になって他人を害しても良いとはならない。

 

薬物依存や薬物中毒は麻薬や覚せい剤、危険ドラッグに限らない。砂糖や塩にも依存性があるとの見解がある。それらの問題意識も私は否定しない。しかし、大麻や危険ドラッグを相対化するためにタバコやアルコールを持ち出す議論には与しない。

 

大麻合法論者が持ち出したがる酒やタバコは禁止されていないものの、受動喫煙やアルハラが社会問題になり、抑制していく傾向にある。コロナ禍の飲み会抑制も後押ししている。アルコールが危ないと主張したいならばアルコールの規制や不買をすれば良い話である。依存性薬物を容認する話にはならない。酒やタバコの害を唱える立場が大麻容認になる論理は理解に苦しむ。

 

依存性薬物の問題として、関西学院大の佐藤哲彦教授は「薬物を所持・使用した人が社会から孤立し、キャリアを失うなどの損害を被ること」と指摘する(「覚醒剤、大麻、MDMA…違法薬物、それぞれの恐ろしさを確認する」産経新聞2020年2月11日)。これは事実である。恐らく依存性薬物容認者は、依存性薬物を所持・使用しても孤立させず、キャリアを失わせない社会にすべきと言いたいのだろうが、話の出発点が噛み合っていない。依存性薬物を所持・使用しても孤立させないというのは周囲に依存性薬物を容認させるということである。依存性薬物を嫌悪する人の感覚を無視している。

兵庫県警警部が人権団体メンバーに捜査情報漏洩

担当する事件の捜査情報を知人に漏らしたとして、兵庫県警灘署刑事2課長で警部の志村哲史容疑者(59)が2021年3月26日、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検された。県警は起訴を求める「厳重処分」の意見をつけた。停職3か月の懲戒処分を受けた。志村容疑者は同日、依願退職した。

 

送検容疑は2020年8月から10月に高校の同級生で人権団体のメンバーだった男性(59)に対し、団体元代表に関する捜査情報を漏らしたこと。団体元代表は金取引の投資話などで複数の人から現金を詐取したとして詐欺容疑で逮捕された。志村容疑者は、元代表の供述内容や検察庁との協議内容を被害者側と連絡を取っていた男性にLINEで計5回伝えたという(韓光勲「兵庫県警灘署元課長を書類送検 知人に捜査情報漏らした疑い」毎日新聞2021年3月26日)。

 

この詐欺事件を巡っては、奈良市内の男の親族宅に押しかけて金を取り戻そうとしたなどとして、奈良県警が2020年12月、知人男性ら8人を恐喝容疑で逮捕。いずれも不起訴(嫌疑不十分)となったが、捜査の中で、知人男性の携帯電話の通話記録などを調べたところ、志村容疑者が詐欺事件などの捜査情報を漏らしていたことが発覚した。

 

奈良県警から連絡を受けた兵庫県警が2021年2月、志村容疑者と知人男性に任意で事情聴取を始めた。知人男性は2月末、自宅で自殺。志村容疑者は事実関係を認め、「情報は伝えたが、被害者対応の一環だった」などと供述しているという(「【独自】担当詐欺事件の捜査情報、警部が知人に漏らす…停職3か月」読売新聞2021年3月26日)。

 

 

長崎県警でも捜査情報の漏洩が起きた。長崎県警本部の40代女性警部は2021年3月5日、捜査情報を報道機関の男性記者に漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで長崎地検に書類送検された。送検容疑は2020年8月頃、職務上知り得た捜査情報1件を男性記者に提供した疑い。

 

警部は既婚者であるにも関わらず、2018年頃に仕事で知り合った報道機関に務める男性と不適切な交際をし、職務上知り得た情報を漏らした。20年2月下旬から10月上旬までの間、不適切な異性交際を行う中、捜査情報や警察職員の個人情報など10件程度を男性記者に教えたという(「男性記者に捜査情報漏らす 女性警部を書類送検 長崎県警」時事通信2021年3月5日)。漏洩には電話やLINEを利用した(「新聞記者に情報漏洩で女性警察官を停職6か月の懲戒処分【長崎】」NBC長崎放送2021年3月5日)。

 

女性警部は2020年9月、これらの件について自らに警察の捜査が及んでいると感じ、男性と連絡をとるために友人に自分名義でない携帯電話を契約させた詐欺行為にも及んだという。女性警部は情報漏えいした事実を認め、「男性と連絡をとるために携帯電話が欲しかった」と話す(「【長崎】不倫の女性警部が長崎新聞記者に情報漏えい」長崎文化放送2021年3月5日)。

 

警部は同日、「警察の信用を著しく失墜させた」として男性記者との不適切交際などと合わせて停職6カ月の懲戒処分を受けた。警部は依願退職した。警察とマスメディアがズブズブの関係になることは警察不祥事の報道を弱くすることになる。

 

警察官と記者の不倫には埼玉県警の例もある。埼玉県警刑事総務課長(50歳代の男性警視)が、共同通信社の女性記者と不倫関係になった。警視は既婚者にもかかわらず、女性と不適切な交友関係を持っていたことが確認され、警視も認めた(「女性問題で警視処分へ 埼玉県警」読売新聞2021年1月19日)。警視は退職届を提出しており、2021年3月に自主退職予定という。

 

以下は埼玉県警関係者の話。「セクハラまがいのことをされたという記者たちの噂をよく耳にしました。容姿は小太りで禿げたオッサン。蓼食う虫も好き好きと言うから断定はできないが、恋愛関係だったとは思えませんね」(「女性記者との不倫がバレた埼玉県警警視 県警が昨春までの所属部署を隠したい理由」デイリー新潮2021年1月28日)

 

 

「報道関係者に捜査情報漏えいで警部を書類送検 停職6月処分」毎日新聞2021年3月5日

「交際記者に情報漏らした女性警部処分 「提供情報で記事、うれしかった」」西日本新聞2021年3月5日

「女性警部、不適切な交際相手の報道関係者に捜査情報漏えい…書類送検され依願退職」読売新聞2021年3月5日

中野相続裁判さいたま地裁第17回期日は電話会議

みなさまお変わりありませんか。いつも中野相続裁判のご支援ありがとうございます。

中野相続裁判(Nakano Inheritance Trial)さいたま地裁第17回期日はコロナ禍の措置として電話会議が導入されます。法廷での口頭弁論から会議室での弁論準備手続きに変更されました。代理人は現地に行きますが、当事者は電話会議で参加します。傍聴はありません。電話会議は初めてであり、電話がきちんとつながるかなど不安はありますが、非対面非接触の選択肢を増やすことは良いことです。

 

新型コロナウイルス感染抑制の「対策としては、人と人の接触を減らす、人出を減らすことしかない」とされます(「緊急事態宣言、4週間程度の延期が望ましい 効果確認のため最低でも3月末まで」時事メディカル2021年3月16日)。電話会議は「人と人の接触を減らす、人出を減らす」対策に寄与します。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大により、非対面非接触のNew Normalへの対応が求められています。New Normal対応は民間企業だけが頑張ればよいというものではありません。訴訟当事者の負担を減らし、利便性を高める選択肢を増やしていくことが求められます。

 

一方でNew Normal対応を名目として裁判の公開原則(日本国憲法第82条第1項)の形骸化に拍車をかけることを懸念する声も出ています。この点は警戒しなければならず、中野相続裁判は引き続き情報公開に力を入れていきます。患者の権利と相続の公平の輪を広げられるように力を尽くして参ります。

 

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は3月21日まで延長されました。医療体制のひっ迫は続き、新規感染者も下げ止まり、増加に転じる傾向も見られます。埼玉県では変異ウイルス(変異種)のクラスターも起きました。

 

緊急事態宣言を57%の人々が「3月21日以降も延長すべきだ」と回答しました(「首都圏の緊急事態宣言「延長すべきだ」57% 毎日新聞世論調査」毎日新聞2021年3月13日)。不安定な時期こそ健康的な生活を意識して過ごしましょう。

 

事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件

日時:2021年3月19日(金)11時15分

裁判所:石垣陽介裁判長、玉本恵美子裁判官、牧野一成裁判官

#中野相続裁判 #さいたま地裁 #裁判 #高齢者医療 #相続

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兵庫県警警部補が証拠隠滅容疑で書類送検

兵庫県警高砂署地域課の男性警部補(50)は、現行犯逮捕した容疑者が所持していたICレコーダーの音声データを無断で消去したとして、2021年3月12日に証拠隠滅容疑で書類送検された。警部補の起訴を求める「厳重処分」の意見が付された。停職1カ月の懲戒処分とした。

 

警部補は容疑を認め、「不適切な言動が録音されており、後で問題になると思った」と供述しているという。現行犯逮捕の現場にいた男性巡査部長(45)と男性巡査長(31)も、消去に同調する発言をしたとして同容疑で書類送検された。

 

警部補の送検容疑は2019年10月1日午後5時頃、高砂市職員に対する公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した男(56)=公判中=が胸ポケットに入れていたICレコーダーを同署で保管中、記録されていた全音声を消去した疑い(「逮捕時の音声記録無断消去 容疑で警部補書類送検 兵庫県警」時事通信2021年3月21日)。

 

警部補は「逮捕の際に容疑を間違って暴行と告知したため、後でトラブルになるのを恐れてやった」と説明。これに対して県警は「現行犯逮捕の時に容疑を告げる必要はなく、結果的に違っていても問題はない」とする(「兵庫県警、警部補を書類送検 逮捕時の音声データ消去か」共同通信2021年3月12日)。そのようにいい加減なものならば誤認逮捕や冤罪はなくならないだろう。

 

神奈川県警鶴見警察署で勤務管理を担当する男性警部補(50代)が自分の残業時間を水増しし、不正に超過勤務手当を受け取っていた疑いがある。警部補は署員の残業時間を管理するシステム上の権限を悪用し、自分の残業時間を水増しして不正に超過勤務手当を受け取っていた疑いが持たれている(「残業時間の水増しで不正受給か 警察官が権限悪用…」テレビ朝日2021年3月11日)。

 

静岡県警静岡中央署の30代の男性警部は2021年2月下旬頃に県中部のスーパーマーケットで菓子を盗んだ(「静岡中央署警部が万引 静岡県警「事案承知、厳正に対処」」静岡新聞2021年3月13日)。

続警察不祥事

新警察不祥事

北秋田警察署長が公用車でスノボ

秋田県警察北秋田警察署(北秋田市)の小松辰弥署長(警視)は2021年2月の平日の勤務時間中、公用車で北秋田市内のスキー場に行き、スノーボードをしていた。小松署長は2月12日昼前、北秋田署の20代女性署員と2人で公用車に乗り、森吉山阿仁スキー場に移動。ゴンドラで上り、スノーボードで滑り降りた。途中で昼食を取ってから夕方までに署に戻った。

 

小松署長が公用車を私用目的で複数回使っていたという証言がある(「警察署長が勤務中にスノボ 秋田県警、同僚女性署員と」共同通信2021年3月6日)。小松署長は秋田魁新報の取材に事実関係を認めた上で「事故現場の確認のためだった」と説明した(「北秋田署長、勤務中にスノボ 「事故現場を確認」と説明」秋田魁新報2021年3月6日)。苦しい言い訳である。女性署員と一緒ということで不倫疑惑も出るだろう。

 

「事故現場の斜面がどの程度の傾斜だったのかを確認するため」とする(「警察署長が勤務中にスノボ 女性署員と2人で…昼食も」フジテレビ2021年3月8日)。それならばどのくらいの傾斜かアウトプットが求められる。署長自ら計測器などの道具も何も持たずに現場検証はあり得ない。自分がスノボで滑った感覚ではあてにならない。そのような直感で警察の仕事をしているならば冤罪が生まれて当然である。

 

「何もわざわざ傾斜を確認するために署長が女性署員を伴い、ボーダーの格好で滑走する必要はない。だが、署長によると、それが最も効率的と判断したらしい」(「平日昼間に女性署員とスノボ…北秋田署長のツッコミどころ満載な言い訳」日刊ゲンダイ2021年3月12日)

 

小松署長は2021年3月12日付で警務部への異動が発令された。「事実上の更迭処分」と報道された(「警察署長が勤務中にスノボ 「事故現場の確認」名目で」フジテレビ2021年3月12日)。後任は斎藤克幸・交通機動隊長(58)。

 

町井浩一・県警警務課長は異動理由を「少なからず県警に(県民などから)声が来ており、北秋田署の業務管理に支障が及ばないようにするため」と説明する(「「公務中に女性署員とスノボ」報道 警察署長が異動」朝日新聞2021年3月13日)。問題が発覚した6日以降、県警本部や同署に、小松警視の行動を批判する電話やメールが140件以上寄せられたという(「勤務中スノボで署長異動に、秋田 県警「調査中で更迭ではない」」共同通信2021年3月12日)

 

警務部は他の警察不祥事でも警察署長の異動先になっている。十数人の懇親会参加後に新型コロナウイルスに感染した警視庁尾久警察署(東京都荒川区)署長(60)も警務部に異動した(「年末に懇親会参加の署長 新型コロナ感染 同席の課長も 警視庁」NHK 2021年1月6日)。

 

公用車の警察不祥事は滋賀県警でもある。滋賀県警の男性警部(50)は公務中に警察車両で複数の女性とホテルに行き、不適切な交際をしていた。滋賀県警監察官室は2018年10月26日、警部を減給100分の10(6カ月)の懲戒処分にした。警部は26日までに警部補への降格を申し出た。

 

警部は2017年2月末から2018年6月の勤務時間中、出会い系サイトで知り合った女性7人と、県内や京都市のホテルに計7回行き、不適切な行為をした。移動には公用車を使い、女性も乗せていた。うち2、3人には約1万5千円ずつの現金を支払った。警部は妻帯者で、出会い系サイトを使った不倫を2014年に始め、十数人と交際していた。警部は「女性と出会うのが楽しくなり、快楽を求めてしまった」と話しているという。

 

県警などの説明では、2018年7月1日、警部の上司にあたる警視に部下から通報があったが、警視は監察官室に報告しなかった。県警は、監督責任を問い、上司の警視を本部長訓戒とした(「警部が公用車で女性とラブホ、7人と「快楽求め」懲戒処分」京都新聞2018年10月26日)。

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熊本県警「違法捜査」国賠訴訟で黙秘権侵害認定

熊本県警「違法捜査」国賠訴訟の熊本地裁2021年3月3日判決(中辻雄一朗裁判長)は黙秘権侵害を認定した。県警側が取り調べで黙秘権を侵害し、弁護士との接見内容を聞き出そうとしたと認め、県に16万5千円の支払いを命じた。損害賠償の請求額は220万円。違法捜査の認定は妥当な判決であるが、損害賠償額が低い。冤罪被害者はフラッシュバックに苦しんでいる。

 

熊本県警「違法捜査」国賠訴訟は、熊本県警の違法な取り調べで苦痛を受けたとして会社員の男性が2019年5月7日付で熊本県に損害賠償を求めた訴訟である。男性は「熊本県警は冤罪と認めて謝罪してほしい」と訴える。

 

男性(当時19歳)は2016年5月、小学6年生の女児に「スマートフォンでわいせつな動画を見せた」として県少年保護育成条例違反容疑で県警に逮捕され、12日間拘束された。男性は容疑を一貫して否認していた。男性のスマホからわいせつな動画の閲覧履歴は確認されなかった。

 

ところが、警察は取り調べで非行を前提に「反省の色がない」「(男性に)不利になるものばかり出てきている」と言ったとする。点数稼ぎのために自白を強要する無能公務員体質である。男性は「県警の取り調べで黙秘権を侵害され、接見内容を聞き出そうとされた」と主張する(綾部庸介、松本紗菜子「無罪の元少年「違法捜査」地獄の12日間 警察官の姿、今も恐怖心」西日本新聞2021年3月2日)。

 

熊本家裁は同10月、刑事裁判の無罪に当たる不処分を決定した。「客観的な証拠がなく、母親の目撃証言も信用性に疑いがある」として、非行事実なしとした(「「違法捜査」と熊本県を提訴 女児への迷惑行為「無罪」元少年」西日本新聞2019年5月24日)。

 

判決は、巡査部長が取り調べの際、容疑を裏付ける証拠が女児と母親の供述しかないと知りながら、男性に「調べるうちにどんどん不利になるものばかり出てきている」などと発言したと指摘。「発言は男性にとって不利な証拠を既に多数収集しているとの印象を与え、黙秘権の行使が男性にとって不利益ないし社会的な非難を受けるかのような誤解を与えかねず、黙秘権を実質的に侵害して違法」とした(栗栖由喜「「取り調べで巡査部長が黙秘権侵害」熊本県に賠償命令 地裁判決」毎日新聞2021年3月3日)。

 

警察官が男性と弁護人の具体的な接見内容を質問したことも挙げ、接見交通権を侵害したと判断した(「違法取り調べ、県に賠償命令 不処分決定の元少年に―熊本地裁」時事通信2021年3月3日)。

 

男性は嘘の被害を申告したとして女児の母親を相手に損害賠償を求めて2018年5月に提訴した。二審福岡高裁判決は2019年9月、賠償請求は棄却したものの「母親の供述は信用性が乏しく、一部は虚偽で違法」と認定した。

 

問題は日本警察の自白強要体質にある。脅迫や誘導を駆使した刑事の卑劣極まりない取り調べに激しい怒りと恐ろしさを覚える。愛媛県警のパソコンから流出した「被疑者取り調べ要領」では「否認する被疑者は朝から晩まで調べ室に出して調べよ(被疑者を弱らせる意味もある)」とある(「渦巻」救援新聞2019年10月25日)。昭和の精神論根性論で自白を獲得しようとする。自白を引き出すことのみに集中して視野狭窄になっている。

 

警察にとって真実はどうでもいい。点数稼ぎが目的である。醜い公務員体質がある。警察の取り調べは犯人と決めつけた被疑者をどのように追い詰め、問い詰めるべきかのみである。自分の思い込みやイメージ、想像を確認するためのものでしかない。ひたすらに目の前の人物をどうやって有効利用しようかという計算があるのみである。

 

警察組織には硬直性があり、それが警察官を一直線に進ませたり、他人の言うことによく耳を傾けさせなかったり、何にも聞き入れようとさせなかったりする。警察官の「捜査は適切に行った」との発言程に嘘臭い言葉もそうそうお目にかかれまい。

 

警察は何故、誤認逮捕や自白強要で市民の日常を破壊するのか。日本警察の人質司法は何故、これほどに残虐・邪悪なのか。恐らく、日常の生活に幸せを見出せていないのだろう。知らないのかもしれない。だから壊す。

 

自分達が何やら偉い人にでもなったように振る舞う。権力を笠に着たパワーハラスメントである。ヒステリックな敵意と憎悪は、普段のストレスの発散行為なのだろう。狭隘で独善的な「正義」を振りかざし、市民の生活を無遠慮に、粗雑に、無造作に奪っていく警察の支配が正しい訳がない。厳格と冷酷の境目を知らない冷血漢である。歯止めはなく、無限に残虐さを発揮している。人間の邪悪を最大限に開放し、「何をしてもいい」というトリガーを入れて、荒れ狂っている。思考を支配していたのはただただひたすらにどす黒い憎悪と焦燥のみであった。人権の弱い国は進歩も止まる。

 

人質司法は自己決定権を侵害する。野平康博弁護士は人質司法の問題を「被疑者が捜査機関のコントロール下に置かれ、最も重要な人権、自己決定権が奪われてしまうことです」と指摘する(木野龍逸「日本の「人質司法」をどうするか――長期勾留や自白偏重に国際社会の批判」Yahoo!ニュース2018年1月31日)。徹底的に管理され、時間の感覚が曖昧となり、時として自分は生きているのか死んでいるのかといった疑問さえ抱くようになる状況に追いつめる。

 

「他の先進国ではあり得ないほどの長期にわたる勾留に加え、弁護士の立ち会いも認められず、録音録画もされていない密室での長時間に及ぶ取り調べ、警察署内に設けられた劣悪な環境の代用監獄、被疑者が勾留され反論ができない状態に置かれた中で記者クラブメディアと警察・検察が一体となり被疑者を社会的に抹殺するような一方的なリーク報道の垂れ流し等々、中身を列挙する限りとても近代国家とは思えないような非人道的、かつ被疑者、被告人に非常にアンフェアな刑事司法制度が、未だに日本では横行しているといわざるを得ない」(「日本が人質司法をやめられないわけ/今村核氏(弁護士)」ビデオニュース・ドットコム2019年4月20日)

 

国際人権非政府組織NGOのHuman Rights Watchは2020年1月14日、年次報告で日本の人質司法を批判した。自白を強いるために容疑者を長期間、厳しい環境下で勾留し、取り調べの際に弁護士の同席を認めていない問題を指摘した(「日本司法は「自白制度」 国際人権団体 ゴーン被告巡り」東京新聞夕刊2020年1月15日)。

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新型コロナ緊急事態宣言解除に懸念

緊急事態宣言の解除は感染再拡大(リバウンド)の懸念がある。入院したくても入院できない入院待ちが存在する限り、医療崩壊が起きており、文字通りの緊急事態である。東京都の小池百合子知事は2021年3月2日、緊急事態宣言の今週末解除に懸念を表明した。新規感染者数の減少ペースが目標に届いていないとして、「もう1段(対策の)ギアを上げないと間に合わないのではないか」と述べた。

 

新型コロナウイルスの新規感染者数は年末年始より減少したものの、減少スピードは鈍化している。都は直近7日間で平均した1日当たりの新規感染者数が前週比の7割とする目標を掲げている。小池知事は現状が「8~9割に近く、スケジュールに間に合っていない」と指摘した(「小池知事、今週末宣言解除に懸念 減少ペース鈍化で」共同通信2021年3月2日)。

 

東京都の2021年3月2日の新規感染者数は232人。東京都の一日の感染者数が数百人は十分多い数字である。東京都の2020年7月10日の感染者数は243人で、この時点での過去最多である(「東京都で新たに243人の感染確認 過去最多を更新」ABEMA TIMES 2020年7月10日)。500人以下を安心材料とすることは感覚が麻痺している。しかも感染者数減少には積極的疫学調査縮小の影響もあり、実際の感染者減少とは限らない。

 

千葉県の森田健作知事は「(感染状況が)現状か悪化するなら解除は難しい」、埼玉県の大野元裕知事は「解除できるという確信に至っていない」と指摘する。「「国民の生活」を守る気があるなら、一斉解除なんてムリだ」(「「1都3県」3.7宣言解除は到底ムリ…千葉県「4指標」ワースト1位、感染者数は東京超え」日刊ゲンダイ2021年3月2日)

 

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は2021年2月26日の衆院予算委員会分科会で東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県について3月7日が期限の緊急事態宣言が再延長される可能性に言及した。「他の地域に比べて感染の減少スピードが鈍化している」と指摘する(「首都圏の緊急事態、再延長も 尾身氏」時事通信2021年2月26日)。

 

神戸市では新型コロナウイルスの変異株の割合が増えている。検査数に占める変異株の割合は、1月29日から2月4日までの4.6%から、2月12日から18日は15.2%と増えている(「神戸の変異株拡大に懸念 西村担当相「モニタリング強化を」」産経新聞2021年3月2日)。緊急事態宣言解除が拙速だったのではないか。緊急事態宣言が解除されるまで情報を伏せていたことはないか。

 

緊急事態宣言解除で感染拡大のリバウンドが起きかねない。小池知事は「『解除』という2文字が飛び交えば飛び交うほど、首都圏の解除が遠のくという恐れを抱いている」と述べた(「都知事 対策ゆるみ再拡大に警戒」NHK 2021年2月26日)。第3波は年末年始の時期で宴会が多かったことが原因だろう。3月4月もイベントの多い時期のために解除で同じことが繰り返される危険がある。

 

「緊急事態宣言下にもかかわらず都内各所の繁華街の人出は増加傾向にあり、昼夜を問わず多くの若者などの姿を目にする。この状況で緊急事態宣言が解除されれば、さらに人出が増え、患者数が再度増加に転じることも予想される」(「緊急事態宣言、再延長も視野~専門家「新型コロナ対策緩めるな」~」時事通信2021年2月24日)

 

小池知事も飲食店の行列を指摘する。「新橋・御徒町など一部時短要請に応じておりません(飲食店で)長蛇の列を確認いたしました」(「小池都知事「新橋・御徒町などで“長蛇の列”を確認」一部飲食店に直接時短を要請」ABEMA TIMES 2021年2月28日)。

 

 

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東京地裁立川支部の刑事裁判で手錠を付けたまま審理

東京地裁立川支部の2021年2月17日の刑事裁判で「公判廷で被告の身体を拘束してはならない」とする刑事訴訟法の運用に反して、被告人が手錠をつけたまま審理が続けられた。日本の刑事司法の形骸化を物語る出来事である。問題の公判は組織的犯罪処罰法違反に問われた男性被告人のもの。

 

本来は入廷後に腰縄と手錠を外すが、手錠を外さないまま被告親族の証人尋問と検察側の論告、弁護側の弁論が続けられた。最後に被告人が意見を言うために立ち上がった際、矢野直邦裁判官は手錠がついたままだと気づき、手錠を外して審理をやり直した。

 

やり直せば手続き上の瑕疵は治癒されるものなのか。公務員は自分達のミスには甘いのではないか。本当に最初からやり直したのだろうか。「従前の通りで良いですね」というような簡略化していないか。裁判はやり直した後に結審しており、形式色が強い。

 

福島至・龍谷大教授(刑事訴訟法)は「被告(原文のママ)は裁判の当事者で、防御権を主体的に行使する立場にある。手錠をはめられていれば思考が制約され、メモの許可も求められず、権利が行使できない状態であり問題だ」と指摘する(林田奈々「手錠つけたまま審理 裁判官が気づきやり直し 東京地裁立川支部」毎日新聞2021年2月22日)。

 

警察のルール無視はしばしば起きているが、裁判所まで及んでいる。滋賀県警草津署では2020年10月に逮捕された会社員男性が、国選弁護人の選任を希望したにもかかわらず、「休日」を理由に手続きを拒否した(「国選弁護人手続き怠る 滋賀県警、「土日」理由に」時事通信2020年11月28日)。

 

沖縄県警は2018年11月15日に2018年11月に裁判官の押印がない無効な逮捕令状を用いて市民を逮捕した。沖縄県警那覇署は2018年11月16日に無効な差し押さえ令状に基づいて押収を行った(「裁判官の押印がない…無効な逮捕状発付 那覇簡裁ミスで容疑者一時釈放」沖縄タイムス2018年12月1日)。

 

沖縄県警捜査第2課は多良間村幹部と地元業者らに絡む贈収賄疑惑で捜索の令状(捜索差し押さえ許可状)がないまま、事実上の強制的な家宅捜索を行った(「業者にも令状なし捜索 多良間贈収賄疑惑 沖縄県警、強制捜査を否定 業者「勝手に棚あさった」」琉球新報2018年11月3日)。

 




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