『イノセンス 冤罪弁護士』第7話

『イノセンス 冤罪弁護士』第7話(2019年3月2日)は「青梅のカサノバ」が登場する。紀州のドンファンが下敷きだろう。今回はイノセンスでもなければ、冤罪でもないというタイトルと異なる話となった。

黒川拓弁護士(坂口健太郎)は真実を追求することで冤罪を明らかにしてきた。これは『99.9 刑事専門弁護士』の深山大翔弁護士と同じである。黒川弁護士や深山弁護士の関心は専ら事実である。それによって見込み捜査で冤罪を作り上げる警察や検察から無罪を勝ち取った。

これに対して従来のステレオタイプでは、熱心な刑事事件の弁護人の関心は人権であった。「知りたいのは事実」と人権擁護が両立するとは限らない。『デスノート』のLや『相棒』の杉下右京のように違法捜査など手段を選ばずに事実を明らかにするキャラクターも事実重視である。捜査側ではなく、被疑者・被告人側で事実重視のヒーローを生み出したことは新しい。

今回は、「知りたいのは事実」と弁護活動が対立するパターンである。黒川真(草刈正雄)は「本当のことを知りたいという動機で成り立つ弁護活動はない」と黒川弁護士を批判する。違法捜査など手段を選ばずに事実を明らかにしようとする発想を根本的に批判するためには、やはり正しい手続きや被疑者・被告人の防御権の思想が必要である。

ドラマは被告人が最後に優等生的な態度になり、無理やり物語をまとめた感がある。日本国憲法第38条第3項の「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」との関係はどうなるのだろうか。但し、情状弁護の中で青梅のカサノバの悪徳商法ぶりを明らかにすることになるので、その点では意味のある告白であった。

イノセンスでもなければ冤罪でもない話であったが、警察や検察の冤罪製造機は相変わらずである。警察の証言の獲得の仕方は誘導的であった。また、監視カメラが検察の主張を崩すために使われる。監視カメラの映像を弁護人が平等にアクセスできることが必要である。



新着記事


林田 力 公式Twitter


TOP