『イノセンス 冤罪弁護士』第9話

『イノセンス 冤罪弁護士』第9話(2019年3月16日)は最終章に入る。連続殺人の謎が最終章のテーマになる点では『アンナチュラル』を連想する。当初は冤罪被害者の苦しみに重点を置くかと思われたが、終盤は被害者遺族の心情に傾いている。

『99.9-刑事専門弁護士』は警察、検察、裁判所と敵が明確であった。これに対して本作品は、それ以外の足を引っ張る要素があることが話を複雑にしている。よりリアルになっていると評価することもできるが、見込み捜査、自白強要、人質司法の問題が曖昧になるのではないか。本作品は東京高裁でロケをしている。撮影協力の裁判所への遠慮が出たのだろうか。因みに保駿堂法律事務所は東京都中央区日本橋兜町の日証館である。

秋保恭一郎(藤木直人)は「真相より目の前の答えが欲しくなる」と感情的に言ってしまう。発言後に科学者失格と自省する。これは第8話の名張毒ぶどう酒事件を下敷きにした事件のように冤罪をそのままにする日本の風潮を作っている。

黒川弁護士は「本当に無実ならば自殺しない」と発言する。これは第8話で拘禁反応を指摘した黒川弁護士らしくない。無実なのに有罪とされたら絶望して自殺したくなるだろう。自殺は本人が決意して行うよりも、追い込まれるものである。

和倉弁護士の存在感は大きくなった。序盤ではウザいと視聴者からバッシングされた和倉弁護士が黒川弁護士を励ますようになった。川口春奈は和倉弁護士を演じることで女優としての人気を下げかねない事態であったが、この回で株が上がった。とは言え、自白強要という社会的テーマを掲げながら、人間ドラマが進展するだけでは物足りない。

母親が法律事務所に訪れるシーンは無駄なコメディに感じた。大きなテーマを抱えているのに無駄なコメディに割く時間があるのかと感じたが、母親から11年前の事件を説明させる意味があった。



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