長崎県警巡査部長を女子大生恐喝未遂で逮捕 #警察不祥事

長崎県警外事課の巡査部長、笹田信(まこと)容疑者(25、長崎市若葉町)は知人の女子大生に慰謝料名目で現金を脅し取ろうとしたとして、2021年6月5日に恐喝未遂容疑で逮捕された。依存性薬物使用者と接点を持ってはならないと言われる。依存性薬物使用者と接点を持ったら、迷惑を及ぼされるだけである。これと同じく、警察官とも接点を持ってはならないとなる。

逮捕容疑は3日夕、長崎市内に住む女子大生(19)に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」などを使って「慰謝料をください」「学校側に相談してもいいですか」などと複数回メッセージを送り、慰謝料として現金数万円を脅し取ろうとしたこと。交際を断られた腹いせという。

警察官が女性に強要する犯罪が相次いでいる。埼玉県警羽生署地域課須影駐在所の池田高秀巡査部長=羽生市須影=は業務で知った個人情報を不正に利用して女性を呼び出し、体を触ろうとしたとして強制わいせつ未遂の容疑で逮捕・起訴された。巡査部長は「秘密をバラされたくなかったら、カネを持ってこい」と現金も脅し取ろうとした。

長崎県警外事課巡査部長も埼玉県警羽生署巡査部長も警察官であることを隠して犯行している点で共通する。少し前に埼玉県警では警察官の職務として市民から金銭をだまし取る警察不祥事が相次いだ。埼玉県警草加署巡査は死体検案名目で遺族から現金82万円をだまし取った。埼玉県警川越署巡査も遺族に遺体の防腐処置費用として現金50万円をだまし取ろうとした。警察官としてでは信用されなくなっているのだろう。

「恐喝未遂容疑で警察官逮捕、長崎」共同通信2021年6月5日

松村真友「恐喝未遂で巡査部長を逮捕」毎日新聞2021年6月5日

「長崎県警の巡査部長の男を恐喝未遂の疑いで逮捕」テレビ長崎2021年6月5日

埼玉県警巡査部長が個人情報不正利用で強制わいせつ未遂容疑

埼玉県警羽生署地域課須影駐在所の池田高秀巡査部長=羽生市須影=は業務で知った個人情報を不正に利用して女性を呼び出し、体を触ろうとしたとして強制わいせつ未遂の容疑で逮捕・起訴された。容疑は2021年4月4日に20代の女性を脅して呼び出し、羽生市内の商業施設の駐車場に止めた車の中でわいせつな行為をしようとしたこと。巡査部長は駐在所の業務で被害女性に応対していた(「エッチさせろ…女性を触ろうとした巡査部長を逮捕 埼玉県警に勤務 わいせつ目的を否認「納得できない」」埼玉新聞2021年4月10日)。そこで収集し個人情報を使って女性を脅迫した。

巡査部長は4月2日と3日に女性の個人情報を不正に利用して携帯電話で連絡した。さいたま地検は被害者の特定につながるとして起訴内容を明らかにしなかった(「埼玉県警巡査部長を起訴 強制わいせつ未遂罪」産経新聞2021年4月28日)。その卑劣な手口は週刊誌で報道された。性悪で冷酷、一刻も早く退場して欲しいと願うほどの唾棄すべき存在である。

「池田容疑者は駐在所に相談に来た女性に目をつけたようです。相談を受けた際に女性の電話番号を手に入れたとのこと。4月4日、女性に『秘密をバラされたくなかったら、カネを持ってこい』と電話で脅迫して、商業施設の駐車場に呼び出しました。女性は池田容疑者のことを覚えておらず、彼も当日は非番で身分を隠していたようです。彼は女性を車の中へ無理やり連れ込み、カネを要求した挙げ句に『エッチをさせろ』と身体を触ろうとしたんです」(「埼玉県羽生市「わいせつ巡査部長」のヤバすぎるウラの顔」FRIDAY 2021年5月1日)

巡査部長は4月7日に強制わいせつ未遂容疑で逮捕された。さいたま地検は2021年4月28日に巡査部長を強制わいせつ未遂の罪で起訴した。産経新聞記事は「池田被告」と書くが、被告は民事訴訟の用語である。刑事訴訟は被告人になる。

巡査部長は逮捕時の報道では(33)であった(内田優作「「まじめな人」「示しつかない」…駐在所近隣住民に驚きと憤り 埼玉県警巡査部長逮捕」産経新聞2021年4月8日)。起訴時の報道では(34)になった。起訴時には(34)になった。

巡査部長は2008年10月に警察官になり、2017年3月から須影駐在所で勤務しており、犯行後も出勤していた。須影駐在所は東武伊勢崎線南羽生駅の西約1キロの住宅街の一角に位置する。駐在所に妻と二人の子供と暮らしていた。

巡査部長は2021年5月21日付で懲戒免職処分となった。埼玉県警は監督責任があるとして、羽生署地域課課長の男性警部と同課係長の男性警部補を監察官による口頭厳重注意とした。再発防止へ向けて、各所属長に対し、勤務員への面談などを通じた指導や支援を実施するよう通達した(「女性の体を触ろうとした巡査部長を懲戒免職 業務で知った個人情報を不正利用、女性を呼び出す/埼玉県警」埼玉新聞2021年5月22日)。

しかし、管理主義的な公務員組織の面談は逆効果になる。埼玉県警では川越署刑事課の巡査が詐欺未遂と地方公務員法違反で2019年8月7日に、さいたま地裁から有罪判決を言い渡されている。この巡査は病死した埼玉県川越市の男性の遺族から2019年3月に現金50万円ほどをだまし取ろうとした。また、検視を担当した女性の遺族の個人情報を2019年2月に知人の40代男性に漏らした。

この巡査が金をだまし取ろうとした背景には、上司から生活指導を受けて貯金を増やそうとしたことがある(「遺族から現金だまし取ろうとした元巡査、情報も漏らす 地裁が執行猶予「依願退職などすでに社会的制裁」」埼玉新聞2019年8月8日)。管理主義的な締め付けが性犯罪などの警察不祥事を増やしているのではないか。

貯金を殖やそうとして詐欺に走る巡査の思考回路は半グレ・ヤンキー並みに短絡的である。警察組織に欠けているものは消費者に価値を提供して対価を得るという民間感覚である。

警察官の民間感覚の欠如は小説でも描かれている。以下は巡査のセリフである。「わたしたち官には不況というものがいまひとつ実感できないものですから、民間の方の苦労を他人事のように思ってしまって」(奥田英朗「ここが青山」『家日和』集英社、2007年)。



新着記事


林田 力 公式Twitter


TOP