埼玉県警や高知県警で個人情報不正取得
埼玉県警や高知県警で警察官が個人情報を不正取得した。埼玉県警岩槻署の男性警部補は2010年2月から2014年6月にかけ、「捜査に必要」と偽り、知人女性の個人情報を照会するための書類を携帯電話会社などに提出した。公用端末での不正照会を含め、計10人66件の個人情報を不正取得した。警察組織の中に不心得者がいるというレベルではない。むしろ警察官の職権を濫用した計画的な不正取得である。
問題は個人情報の不正取得が埼玉県警のレベルでは是正されないことである。不正取得の発覚は警部補が2014年11月に都内で酒気帯び運転による物損事故を起こしたことがきっかけである。事故の際に車内から不正照会した書類が発見された。埼玉県警は2015年1月23日付で虚偽有印公文書作成・同行使容疑でさいたま地検に書類送検した。
警察官の職権を濫用した個人情報の不正取得は更なる犯罪を生む。埼玉県警川口署地域課の巡査は公用端末で不正に取得した女性の住宅に侵入したとして、住居侵入の現行犯で逮捕された。現金約3万円などを盗んだとして同罪と窃盗罪で2015年1月2日に起訴された(「個人情報不正照会、住居侵入、捜査書類偽造… 埼玉県警、2人免職、1人停職」産経新聞2015年1月24日)。恥も外聞も知らないのかと嫌らしさにゾッと総毛立つ。
山形県警では巡査部長が2017年7月から2018年2月の間、知人女性の犯罪歴などの個人情報を公務目的外で2回、照会したとして、本部長注意とした。これは毎日新聞の情報公開請求で明らかになった(日高七海「<警察学校>山形県警の警部補と巡査がカンニングで処分」毎日新聞2018年10月6日)。
情報公開請求では警察学校で行われた試験で山形県警の警部補と巡査がカンニングをし、本部長訓戒としていたことも判明した。記事ではカンニングをメインにしている。情けなさではカンニングが勝る。そのために記事の中心の内容とし、見出しにもしたと思われるが、市民への悪影響では個人情報の目的外照会が悪質である。
高知県警の30代の男性巡査長は、警察内部のシステムを不正に用いて20代女性の住所を調べ、女性宅への嫌がらせやストーカー行為をしていた。県警は2019年2月15日付で巡査長を器物損壊容疑で高知地検に書類送検し、懲戒処分(減給6カ月)に。巡査長は容疑を認め、同日に依願退職した。
送検容疑は以下である。2018年8月11日と同19日のいずれも午前2時頃、女性の住む集合住宅の窓ガラスに石を投げて割った。同年12月29日午前3時頃、女性宅の玄関ドアの鍵穴とのぞき穴に接着剤を流し入れて壊した。
県警監察課によると、巡査長は2015年12月、高知市内の飲食店で勤務していた女性と知り合い、好意を抱いた。聞き出した家族の車の情報などを警察内部のシステムで不正に照会し、住所を調査。女性宅への嫌がらせに加え、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で繰り返しメッセージを送るなどした。
県警は公表しなかった理由について「システムの使用は勤務中の行為だが、私的に調べたことで公務ではない」とする(松原由佳「警察システムを不正利用しストーカーも 高知県警巡査長を書類送検」毎日新聞2019年3月5日)。ここに隠蔽体質がある。警察のシステムが私的に使われたことは、むしろ問題である。古来より、貪官汚吏の駆除が政治改革の第一である。現代日本では警察組織が先ず対象になるだろう。