尾久警察署長が懇親会参加後にCOVID-19感染

警視庁尾久警察署(東京都荒川区)署長(60)が十数人の懇親会参加後に新型コロナウイルスに感染した。署長は2020年12月28日、都内の飲食店で署員や地元の交通安全協会のメンバー、合わせて十数人で行われた懇親会に参加した。警視庁では5人以上の会食を控えるよう警務部長名で通達していたが、無視されたことになる。

「東京都の小池百合子知事が、不要不急の外出自粛を呼び掛けていた年末28日、大野署長は署員3人とともに地元交通安全協会のメンバーら十数人が出席した懇親会に参加。3日には50代の女性交通課長の感染が確認されており、参加者4人のうち3人の感染が判明した」(「尾久署長ら4人が警務部長の通達を無視 十数人の忘年会で“集団感染”」日刊ゲンダイ2021年1月8日)

署長は懇親会後に2次会にも参加した疑いもある。署長は2021年1月1日に37度4分の熱が出た。3日にPCR検査を受け、5日夜に陽性が判明した(「警視庁・尾久警察署の署長がコロナ感染、10数人の懇親会に参加」TBS 2021年1月6日)。

署長は1月8日付けで警務部への異動となった(「年末に懇親会参加の署長 新型コロナ感染 同席の課長も 警視庁」NHK 2021年1月6日)。警視庁は新型コロナの感染拡大を受け、1月5日以降は人数に関わらず会食を自粛するよう職員に求めている(斎藤文太郎「警視庁尾久署長がコロナ陽性 自粛求める通達後、十数人で会食」毎日新聞2021年1月6日)。

兵庫県警神戸西警察署では居酒屋で歓迎会を開催し、新型コロナウイルス感染症の集団感染が起きた。警察組織は昭和の宴会文化から脱却できないのか。自分がどのような立場でどのような仕事をしているか全く理解していない。行動自体に対して自覚が足りなすぎる。

新型コロナウイルス以前の問題として、忘年会スルーやメシハラスメント(メシハラ)という言葉が普及している中で昭和の宴会文化から脱却できない警察組織は古い。21世紀に入っているにもかかわらず、日本型組織は職員全員に昭和の思想や行動様式を求める傾向がある。組織が大きければ大きいほど古ければ古いほど、無関心勢力や抵抗勢力が変革主導者の足を引っ張る。

埼玉県上尾警察署では地域課勤務の20代の男性巡査が同僚6人と会食後に新型コロナウイルスに感染した。巡査はパトカー乗務員。

巡査は2020年8月25日や28日、29日に同僚や知人と会食した(「<新型コロナ>パトカー勤務員の巡査が感染 知人や署の同僚らと会食する機会、18人が自宅待機/上尾署」埼玉新聞2020年8月8日)。28日に上尾署地域課の警察官6人と飲酒を伴う会食をした。29日に同僚4人で食事をした。30日に勤務した。

宿直明けの7月31日夕方に38度以上の発熱があった。8月5日にPCR検査を受け、6日に陽性が確認された(「男性巡査陽性 発症3日前に同僚6人と会食」日本テレビ2020年8月7日)。埼玉県知事が会食を控えることを要請する中で軽率である。

埼玉県警の感染者は累計12人となった(「埼玉県警巡査が感染 同僚と会食、18人自宅待機」産経新聞2020年8月7日)。埼玉県警は8月10日に新たに上尾警察署の警察官1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。この警察官は8月7日に感染が判明した警察官と7月29日に会食していた(「上尾警察署の警察官1人感染/埼玉県」テレビ埼玉2020年8月10日)。

埼玉県警は日本で最初に警察官の新型コロナウイルス感染が判明した。武南警察署の警察官が2020年3月に感染が確認された。武南警察署長は署員の感染が判明した日の翌朝に署員ら約70人を会議室に集めて訓示した。密集・密閉・密接の三密防止に反している(林田力「埼玉県警武南警察署の警察官がCOVID-19感染」ALIS 2020年3月9日)。新型コロナウイル対策では行動変容が求められるが、その中で警察組織の旧態依然ぶりが際立っている。

https://alis.to/hayariki/articles/2vA8GPGqBwkR



新着記事


林田 力 公式Twitter


TOP