神奈川県警巡査が特殊詐欺の受け子

神奈川県警第1交通機動隊の巡査(24)がキャッシュカードの保全措置をすると偽って高齢者からキャッシュカードを盗んだとして窃盗容疑で逮捕されました。横浜地検は2019年11月21日、巡査を窃盗の罪で起訴しました。警察官が警察の職務を悪用した犯罪です。

横須賀市の高齢男性(80)は2019年10月7日に横須賀警察署員を名乗る男から以下の虚偽の電話を受けました。「逮捕した詐欺事件の犯人があなたの口座から現金を引き出したと言っているので、刑事を向かわせます」(「巡査を逮捕 特殊詐欺の受け子か」NHK 2019年11月1日)

「振り込め詐欺の犯人を捕まえた。あなたの口座から金を引き出したと言っている。カードの保全措置を行うので、これから警察官を行かせる」(「神奈川県警交通機動隊巡査 特殊詐欺「受け子」役 窃盗疑いで逮捕」毎日新聞2019年10月31日)

この電話の最中または30分後に巡査が男性宅を訪れました。NHKは電話の最中とし、毎日新聞は30分後とします。巡査は男性に封筒へカードを入れるよう指示しました。男性が目を離した隙に、予め用意していたプラスチックカード入りの封筒とすり替えました。劇場型詐欺です。

この日の夜にカードから横浜市都筑区内のコンビニで50万円が引き出されました。防犯カメラには男性のカードを使って現金50万円を引き出す巡査に酷似した男性の姿が映っていました。巡査が所有する自動車と同型車両の一部も映っていました。

巡査は特殊詐欺グループの受け子とみられ、取り調べに対して容疑を認めています。ギャンブルで300万円ほどの借金があったとし、「短期間でカネになる仕事をスマートフォンで検索し、闇サイトで特殊詐欺グループと接点を持った。他にも6件ぐらい同じように盗んだ」と供述(「特殊詐欺グループに関与の巡査を懲戒免職 神奈川県警」産経新聞2019年11月21日)。

詐欺グループの指示役には警察官であることを告げていたと言います(「「闇サイトで犯行グループと接触」 特殊詐欺「受け子」の巡査を懲戒免職」カナロコ2019年11月21日)。だまし取った金の5%を報酬として得ていたとされます(「神奈川県警、不祥事相次ぐ 「受け子」で報酬 捜査ミス隠ぺい」東京新聞2019年11月22日)。

この事件では神奈川県警の情報公開姿勢も問題視されています。近畿大経営学部の中谷常二教授は以下のように指摘します。「ことの重大さを真に認識しているのであれば、その後に判明した情報を積極的に公表し、事件に至った背景を『深く』知らせていくべきだ。容疑者は職場でどんな教育を受けていたのか、監督責任者は何をしていたのか、本人の私生活はどのようなものだったのか、迅速に公表されるべき事柄は数多くある」(「「警察官は聖職」の意識薄く 「受け子」疑い、現職巡査逮捕から2週間 識者、神奈川県警の姿勢にも注文」産経新聞2019年11月15日)

近時の警察不祥事では警察官が職務を騙って犯罪を行う警察犯罪が目に付きます。消費者保護の分野では警察官による詐欺(警察詐欺)というジャンルを考えるべきでしょう。この警察詐欺と呼ぶべき警察不祥事は埼玉県警が先鞭です。埼玉県警草加署巡査(22)は死体検案名目で遺族から現金82万円をだまし取りました。埼玉県警川越署巡査(25)は遺族に遺体の防腐処置費用として現金50万円をだまし取ろうとしました。

神奈川県警は2019年11月21日、巡査を懲戒免職処分としました。埼玉県警は警察官の立場を悪用して遺族女性から現金をだまし取ろうとした川越署巡査を停職6カ月の懲戒処分としました(「埼玉県警巡査を停職処分 遺族への詐欺未遂」共同通信2019年6月14日)。立場を悪用した詐欺警察官を依願退職で済ませることは問題です。

警察不祥事と言えば神奈川県警が代名詞になっていますが、埼玉県警の桶川ストーカー殺人事件は警察の体質批判の先鞭となりました。今風に言えば半グレ・ヤンキーの味方をするような埼玉県警の対応は大いに批判されました。警察詐欺の分野でも埼玉県警の警察不祥事が先鞭になっていることは象徴的です。

続警察不祥事



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