相鉄東急直通線シールド工事で道路陥没

相鉄東急直通線の新横浜トンネル建設工事で土砂を取り込みすぎたことが原因で道路が相次いで陥没した。施工者がシールド機停止中の土砂流入量を監視していなかったため、過剰な取り込みを把握できなかった(河合祐美「掘削土量を監視せず取り込みすぎ、新横浜の陥没事故」日経XTECH 2020年8月17日)。

問題の工事は新綱島駅(仮称)から新横浜駅(仮称)に向かって、延長約3.3kmのトンネルを加圧泥水シールド工法で掘削していた。施工者は奥村組・佐藤工業・青木あすなろ建設・NB建設JV。

最初に陥没は2020年6月12日にJR新横浜駅近くの横浜市道環状2号線で起きた。6月30日には同じ市道上の300mほど離れた箇所が陥没した(河合祐美「新横浜でシールド工事中に路面陥没」日経XTECH 2020年7月13日)。

「最初の陥没が起きた6月12日は現場から約40m先(新横浜寄り)を掘削しており、陥没現場付近を掘削したのは6日前の6日だった。2度目の陥没現場は300mほど手前で、シールドマシンが通過したのは約2カ月前の4月30日だったという」(小佐野景寿「相鉄・東急直通線、工事の真上で連続陥没の不安 6月に2回も発生、トンネル工事との関連は?」東洋経済Online 2020年7月5日)

相鉄東急直通線は色々と縁起が悪い。相鉄東急直通線は建設費増大と開業延期に見舞われた(安藤剛 「相鉄とJR・東急の直通線、費用5割増で開業は延期」日経コンストラクション2016年8月30日)。相鉄東急直通線は綱島温泉の破壊も批判された。

相鉄JR直通線は相鉄本線の西谷駅とJR東海道貨物線の羽沢駅(仮称)を結び、相鉄東急直通線は羽沢駅(仮称)と東急東横線の日吉駅を結ぶ計画である。相鉄東急直通線は綱島温泉を潰すために批判されていた。新設する「新綱島駅(仮称)」周辺の地質が想定より軟弱だったため、補助工事が必要となったことで工期がずれ込むことが主因であるが、これは住民反対運動から指摘されていたことである。

Twitterでは相鉄東急直通線を無理とする声や綱島温泉を懐かしむ声が出ている。

「もう繋げないでいいじゃん。ああ綱島温泉(T_T)」

「相鉄東急直通線ホントはもうできないんじゃないか」

「今まで多くの建物の別れを看取ってきたような気がする。 一番印象深いのは、やはり綱島温泉東京園だな。 もう跡形もないけど、あそこは残すべきだったよ」

そもそも相鉄は東京急行電鉄(東急電鉄)と因縁がある。東急は相模鉄道を吸収合併しようとしたが、相鉄が反発して敵対関係になっていた(山崎宏之『日本の鉄道路線 国鉄在来線の栄枯盛衰』ミネルヴァ書房、2019年、95頁)。東急グループ創業者の強盗慶太の乗っ取りは悪名高いが、相鉄も被害者である。日本人は昨日の敵は今日の友展開が好きであるが、過去の敵対関係を軽視しても上手くいくものではない。



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