東急電鉄・東急バスの一時金請求裁判

東急電鉄と東急バスでは労働者が一時金の支払いと不払いによる慰謝料を請求した裁判が起きた。東急電鉄・東急バスは長年に渡り支給されてきた一時金の労使慣行を無視し、一時金を特定労働組合員に支給しなかった。全関東単一労働組合東急分会は「東急電鉄・東急バスの差別的労務管理、労働者使い捨てを許すことはできない」と主張する。


東急一時金請求裁判の背景には東急電鉄の不明瞭な給与体系がある。給与の内訳に移行調整給という不明瞭なものがある。これが給与の3分の1程度を占める労働者もいる。この移行調整給分を削減しようとしたが、労働者の生活に大きな影響を与えるために組合として拒否した。


次に東急は一時金の算定額から移行調整給分を削減しようとし、それに同意しない東急分会の組合員への給与を支払わない。交渉時に東急は暫定支払いの意向を示していたが、提訴後は一切払わないと不誠実にも前言を翻した。東急側は「賞与は就業規則に定められていないから、法的に支払う義務はない」と主張する。


東京地裁判決(2013年1月22日)は、就業規則に一時金支給の規定がないことを理由に、労働協約の締結がなければ支給しなくてもよいとする会社主張を全面的に取り入れたものであった。原告の一人は「一審判決はメチャクチャな判決であった」と述べる。


労働者側は東京高等裁判所(一時金等請求控訴事件、平成25年(ネ)1061号)に控訴した。控訴審は第19民事部に係属した。控訴審では東急の不誠実な交渉態度に対する慰謝料請求を追加した。第1回口頭弁論は5月9日に行われたが、裁判官は一切の事実調べをせずに結審という乱暴な訴訟指揮を行った。控訴人側は高裁の態度に怒り、裁判官忌避を申し立てたが、棄却された。


第2回口頭弁論が2013年7月11日14時から東京高裁809号法廷で開催された。第2回口頭弁論は「裁判所の構成が変更された」で始まった。控訴人代理人・萩尾健太弁護士は「どなたが変わったのですか」と質問した。控訴人側は準備書面と陳述書を提出し、萩尾弁護士が準備書面の趣旨を口頭で陳述し、東急の中立義務違反などを批判した。


準備書面は東急の主張への反論である。東急は控訴人側の控訴審での追加主張を時機に遅れた攻撃防御方法と主張した。控訴理由書での主張を時機に遅れた攻撃防御方法として否定できるならば、一審の主張立証の繰り返しになってしまい、控訴審の意味がなくなる。陳述書で歴史的な経緯が書かれている。


控訴人側は労働者の人事考課の内容を明らかにするために文書提出命令を申し立てていたが、裁判所は申し立てを却下した。弁論を終結して、判決言い渡しを9月12日とした。一方で「何年も労働協約が締結されないままで一時金支給されないことは異常」との述べ、和解勧告するとした。


口頭弁論終結後に16階で和解協議がなされた。書記官室前の廊下に控訴人や支援者が集まり、東急の問題点を話していた。そこに東急の代理人が通りかかり、「和解を潰してやる」と捨て台詞をはいてきた。支援者らは「常識がない」と憤っていた。東急代理人は内心のイライラが見えるほど、大企業に相応の余裕や貫禄といったものは、どんどん感じられなくなる。


東急代理人の嫌らしさは東急不動産だまし売り裁判と同じである。東急不動産だまし売り裁判でも、東急不動産代理人が話しかけてきた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス)。相手方当事者に気安く話しかけること自体が信じがたい。


和解協議終了後の会合では「東急への闘いは続く」「運動をしていかないと世の中の流れは変わっていかない」との声が寄せられた。林田力は東急不動産だまし売り裁判や二子玉川ライズ行政訴訟を紹介した。二子玉川ライズ住民訴訟については知っている方がいた。


東急バスの労働者はビラまきが損害賠償の対象になると会社から脅された事例を紹介した。橫浜北労働基準監督署は2012年10月25日付でバス乗務中の休憩時間などに労働基準法違反があったとして東急バスに是正勧告した。ビラには「是正勧告が出ているにも関わらず、何ら改善されていない」と書いたが、東急バス側は「少しは改善しているから、『何ら改善していない』は事実に反する」と屁理屈をつけてきた。東急はなんと見下げた企業であろうか。ほんの目先の話しか見えていない。

全関東単一労働組合・東急分会
https://labours.wixsite.com/tanitsu/tokyu



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